気付いたら自分の部屋がパーティー会場だった

パーティー。

このおめでたい響き、いつぶりだろうか。

2020年11月11日、Base Ball Bearが結成19周年を迎えた。
毎年、お祭りのように手放しで喜んでいたが、今年はまず、無事にこの日を迎えることができて良かったという安堵と感動の方が先にやって来た。

ほとんどのバンドが止まらざるを得なかった2020年。
前回のnoteでも書いたように、ベボベの盟友とも言えるバンドのメンバーもこの世を去ってしまった。

それだけに、今まで以上にバンドが活動を続けてくれていることへの尊さ、ライブ一本一本の大切さ、音楽のありがたみを噛み締めるような日々だったから、そんな中で一緒に19周年を迎えることができたのが、本当に良かったなぁと。

悲しみも無念も、そしてそれらを越えた先の喜びも引き連れて、また20年目も進んで行ってくれると信じて、まずは心からのおめでとうを贈りたい。

さて、そんな記念日を祝して同日、Base Ball Bear「LIVE IN LIVE ~(IN YOUR) HOME PARTY~」と銘打って配信ライブが開催された。
考えてみればパーティーという響きは今年に入ってから久しぶりで…まぁ去年以前も別にパーティーピーポーってわけじゃない自分だけど、ファン皆でお祝い事ができるというのが本当に嬉しかった。

メンバー3人各々がやりたい曲、3人一緒に選んだ曲、そしてファンサイトのベボ部限定で人気投票にもとづいた曲をやってくれるというコンセプトで、小出氏も「だいぶわけわかんないセットリストになった」と言っていただけに、どんな曲をやってくれるのか、この日をワクワクと待ちわびていた。

当日、配信サービスのStageCrowdにログインしてそのときを待っていると、既にチャット上でレモンサワー飲みます!ピザ頼んだ!と、本当にみんな実際にホームパーティーを楽しんでいるかのようなコメントが並んでいて、改めて自分が好きなバンドはこんなにもたくさんのファンに愛されていて、仲間がたくさんいるんだなぁと嬉しくなる。

そしていよいよ配信がスタートすると、ベボベの3人もソファーに座っていて、テーブルには19才を祝うバースデーケーキとともに、やはりブラックサンダーや蒲焼さん太郎といったお菓子たちが並んでいる。
そんなゆるいホームパーティー感を醸し出しながら、改めて今回のライブの構成が発表された。

関根さん・堀之内さん・小出さん各々3曲ずつ、メンバー全員で3曲、そしてベボ部限定でファン投票曲の中から3曲という5ブロック、計15曲演奏されるというもの。
そしてよく見てみると配信元の会場はライブハウスで、ステージに移動するとすぐに演奏できるようになっていた。

より一層のワクワクが募っていく中、いよいよ関根さん選曲ブロックが始まる。
1曲目はなんと、『天空 Lonely Hearts』。
いきなり初期のシングル「STAND BY ME」のカップリング曲ときた。
おいおいマジかよ…とさっそく度肝を抜いてくる選曲を、しかもさらっと3ピースで初めて演奏しているので、末恐ろしくなる。

続けて間髪入れずに『文化祭の夜』。
19年前の文化祭で結成されたバンドであることを思い出すと、まさにこの日にピッタリな曲だが、演奏されたのは2018年のツタロック以来というのもあり、これまた嬉しい選曲。
配信ライブ初回の『不思議な夜』もそうだったが、ベースの存在感マシマシでアウトロが長くなったアレンジからは、ただ昔の曲をなぞるだけでなく、あくまで19周年を迎えた最新のBase Ball Bearを見せるぞという気概が伝わってくる。

そして3曲目の『LOVE LETTER FROM HEART BEAT』は、前回のファン投票を受けての「バンドBのすべて」ツアー以来の披露だが、これもやはり3ピースでは初めて。
もはやこの時点で致死量のセトリを吸っている…。

演奏し終わると、またメンバー3人がステージ下のソファーに戻りトークパートへ。
なるほどこれがあと4回続くのか………と、心臓が持つか心配だったが、実際ファンとしては垂涎の時間が始まっており、めちゃめちゃ嬉しいし楽しい。

関根さんの選曲コンセプトは今日ぐらいはわがまましたいということで、いつも候補には上がりながらなかなかセトリに入らずやれない曲とのこと。
『天空 Lonely Hearts』は「C」の一曲目候補でもあったというほど古い曲だが、今のベボベがやっても遜色なくカッコいい。

そして次は堀之内さん選曲パートへ。
小出氏は「情緒が不安定」などと言いながら頑なに嫌がっていたが、まずは『kodoku no synthesizer』からしっとりスタート。
この曲は3ピースとして初めての2018年のツアー「LIVE IN LIVE」で披露されたのが記憶に新しいが、関根孃は当時のチャップマンスティックをベースに持ち変え、正真正銘のギタードラムベースでの演奏となった。

近々で解釈し直した曲をさらにまた解釈し直すというこだわりに頭が上がらない…と感心していると、立て続けに『SHINE』へ。
たしかに前曲とのテンション差が激しく、情緒不安定感があるが、「光源」ツアーで途中から1曲目に演奏されたり、「I HUB YOU」で初めて3ピースで演奏されたりする度に観てるこちらもぶち上がったので、聴いていてやっぱり楽しい。

そしてさらに堀之内さんの熱を帯びたシャウトから『夕方ジェネレーション』へ。
度々これまでも演奏されてきていて、直近では「17才から17年やってますツアー」の思い出が蘇るが、アンコールなどライブ終盤で披露されることが多いので、既にピーク感が凄い。

演奏が終わる頃には小出氏の息も上がっていて、「はぁ~」と心の声が漏れていたが、観てるこちらも既に満足感が高く、ついつい「お疲れっしたー!」と言ってしまいたくなる。笑
コンセプトは"3人映え"ということで、わりかし最近3ピースで演奏している曲が中心だったが、きっとやっていてすごく楽しいんだろうなというのが分かる選曲だった。

次の小出氏セレクトはズバリ"休憩"がコンセプトとのことだったが、リズム隊2人はいやいや大変ですよと反撃。
小出氏も思わずレッドブルに手を伸ばしていて、先日のインスタライブでも「良い疲労感」と堀くんが語っていたように、いかに今回慣れない曲が多く、演奏が大変か…ということが伝わってくる。

そんな中で鳴り始める『深朝』のイントロ。
アルバム「新呼吸」の1曲目だが、どちらかというとタイトル曲の方がセトリでもフィーチャーされがちで、自分としてもこちらの方はライブで聴いたことがなかったので、これまた唸る選曲。

続く『LOVESICK』もBase Ball Bearのライブで聴くのは初めてで、関根孃がメインボーカルを務める曲とあってsticoのライブでは一度聴いたことがあったが、小出氏の優しいコーラスが乗ったベボベでの演奏はやっぱり映える。
休憩と言っておきながらとても良い仕事をしているじゃないか…。

続いてアルバム「二十九歳」一曲目の『何才』が投下されると、社会人一年目のときに行ったツアーがフラッシュバックしたとともに、今現在、自分が29歳というのもあり、かなり感慨深い気持ちに。
関根孃も、演奏しながら感極まったという堀くんも選曲候補にあったとのことで、やはりバンド的にも節目となる特別な曲だということが分かる。

ここまででメンバー各々の選曲が終了となるが、ここで、来年の1月11日(月・祝)に、ようやく観客を入れてライブが行われるという、嬉しすぎる告知が。
20年目に突入するバンドの、成人の日の、しかも現場で観られるかもしれないライブである。
チャットもTLもハッシュタグも歓喜に沸いた。
やっと、やっとだ。

トークパートも終わり、メンバー3人全員が選曲した本編最後のブロックへ。
ジャカジャーン!と聴き馴染んだイントロは祝砲のようで、思えば2年前の同じ日、11月11日のピロウズとの対バンでも本編ラストを飾った『17才』。
もはや、『何才』から嬉しい発表を経てのこの流れに感極まりそうだった。
いつものライブと同様、\パン!パン!/とクラップをせずにはいられない。

続く『風来』は前回の配信ライブでも初披露されたばかりの、ぷりっぷりな最新アルバム「C3」の曲。
この曲にちなんだグッズも出ており、前回もまだあまり演奏していないのでもっとやりたいと語っていたから、この曲も来ると確信していた。
スタジオライブの前回とは違いライブハウスでの演奏なので、曲の持つ疾走感がまたかなり映える。
早くライブハウスで聴きたいなと、3人の音に浸かり、次の旅を思いながら聴いている自分がいた。

本編ラストは、久しぶりにワクワク跳ねる、あのドラムのイントロ。
配信ライブはベボ部限定のものも含めると3回目になるが、思えばコール&レスポンスをしてこなかったなぁということで、画面の向こうに"88888888"とタイピングやフリック入力を促す煽りが始まる。

\Everybody, Say Ho~!/→"Ho~!"

\Say Ho~!/→"Ho~!"

\Say Hot!Hot!/→"Hot!Hot!"

\Say Hot!Hot!/→"Hot!Hot!"

\Say Base Ball Bear!/→"Base Ball Bear!"

\Say Base Ball Bear!/→"Base Ball Bear!"

\騒げ~!!!!!!!!!!!!!!!/

と『The Cut』へ突入し、いよいよクライマックス。
画面越しの、声と文字のやり取りではあれど、こうして久しぶりにバンドとファンとが交わり合う瞬間が楽しくてたまらない。
ラップも歌も演奏もキレッキレで、思わず自宅で座って観ていた自分も跳ねに跳ねた。

これにてあっという間に本編終了。
一般のチケット購入者向けの配信が終わり、この時点でも充分満たされるような気持ちだったが、ここからベボ部限定配信に切り替わる。

配信ページを移動しても熱が全く冷めないのがコメント欄のスピードからよく分かり、ここでも改めて、いかにBase Ball Bearを愛する部員が多いのかということを実感させられる。

この最終ブロックではファン投票の上位曲の中から選ばれた3曲が演奏されるということで、あれやって欲しい!これやって欲しい!と、既にたくさんの曲名がコメント欄に並んでいた。

果たして何が演奏されるのか…とドキドキしながら待っていると、これまでライブをしていた会場とはまた別の、よくベボ部のWEBラジオで見かける会議室のような場所にいるメンバー3人が映し出される。

どうやら事前収録のようで、事前に募っていた楽曲のファン投票の集計結果をまさに確認する瞬間だったのだが、ちゃんとその過程も見せてくれるところがまた嬉しい。

ファンサイトの内容なので投票結果の明示は避けるが、上位20位の曲名が発表されていくと、メンバーたちのリアクションも意外なようで、4年前の15周年の際に行われた投票とはまたガラリと変わったラインナップが並ぶ。

ライブで演奏して欲しい曲を選ぶという特性も大きいのだろうが、やはり近年ライブで演奏されていない曲たちのランクインが多かったような気がする。
もちろん同時に、前回と順位が不動の曲もあったりして、根強い人気を保ち続けているものもある。

さて、この結果からどの曲が選ばれるのか、上位3曲か?といろいろ思いを巡らせていると、おもむろにボックスが登場し、何と上位10曲の中からクジ引き形式でランダムに選出するというシステム!笑

何だかこっちも緊張してくるぞ…と思いながら、関根孃、堀くん、小出氏がそれぞれ箱の中から曲名の書かれたボールを引くのを見届けていると、レア曲もあったり粒揃いだったりでなかなか面白い結果に。

曲順も「流れ的にこれしかないだろ~」とその場で打ち合わせているのが印象的で、しかもこれから本番に向けて練習するぞということで、企画に対する本気度が伝わってくる。

こんな経緯を経て演奏曲3曲が決まったんだなぁと唸っていると、画面がまたリアルタイムのライブ会場に切り替わり、早速まず『明日は明日の雨が降る』が演奏される。
ベボベ唯一の、アルバム「(WHAT IS THE) LOVE & POP?」の隠しトラックであり、実に10年ぶりぐらいの演奏ということもあるので、下手したらこの曲を知らない人もいるかもしれない。
自分も演奏されているのを観たのは初めてだが、何度も聴いてきたアルバムの最後に入っているので、ものすごく郷愁感に駆られた。

続けて、事前収録のトークで小出氏も語っていたように、ガラリと雰囲気が変わって開けていくようなイメージで『アイノシタイ』へ。
これもまたベボベでは唯一の、歌詞が未公開という特性を持つ曲で、「PERFECT BLUE」のカップリングでリリースされた当初に衝撃を受けたのを覚えている。
跳ねるリズムとギターリフも印象的だが、太くなった3ピースサウンドで聴くとまたカッコいい。

そして、今回のライブで最後を飾るのは『夜空1/2』。
ほとんどの曲において関根孃のコーラスが欠かせない中、小出×関根のデュエットとも言えるような、2人のツインボーカルが綺麗で印象的な曲。
ベボベならではだよな~という感じがするし、本当に人と人との繋がりが薄くなりがちな2020年なだけに、余計にロマンチックな歌詞が心に響いた。

これらラスト2曲も、バンドBのすべての一部会場で演奏されていたものの、自分が行った公演では巡り会えなかったため、初めて聴くことができて嬉しかった。

思えば世の中がこのような状況になってから、普段やらないようなこういう企画をしてくれるバンドが多く、だからこそ奇しくも聴いてみたかった曲が聴けるというのは、世の中捨てたもんじゃない。

- Base Ball Bear「LIVE IN LIVE ~(IN YOUR) HOME PARTY~」セットリスト -

01.天空 Lonely Hearts
02.文化祭の夜
03.LOVE LETTER FROM HEART BEAT
04.kodoku no synthesizer
05.SHINE
06.夕方ジェネレーション
07.深朝
08.LOVESICK
09.何才
10.17才
11.風来
12.The Cut
13.明日は明日の雨が降る
14.アイノシタイ
15.夜空1/2

こうして改めてセトリを振り返ってみると、シングル曲にカップリング曲、アルバム曲に隠しトラック、インディーズからC3まで、本当にバラエティーに富んだ選曲で、「C」からの選曲こそ無かったが、『天空~』も実質「C」の0曲目だと捉えると、ほぼこれまでの全ての時代/アルバムの曲が演奏されていることに気付く。

インディーズ→夕方
1st(実質)→天空
2nd→17才
3rd→LOVE LETTER~、明日は明日の~
3.5→LOVESICK
4th→kodoku、深朝、夜空
5th→何才、The Cut
6th→文化祭
7th→SHINE
8th→風来

19年続いてきたバンドなだけに、その曲の豊かさはさることながら、すべてのタイミングでまんべんなく名曲を生み出し続けてきたベボベはやっぱり凄い。

実際Twitterなどを見直しながら、このライブに向けてベボ部であれに投票した!これに投票した!という声を見ていると、1人1曲しか選べないにも関わらずラインナップがあまりに幅広く、あれもいいな!これもいいな!となるので、これからもライブで新旧どんな曲で聴けるのか、楽しみが止まらない。

そして何より、今回発表された1/11のライブ。
やっとベボベに、画面の隔たりを越えて、久しぶりに会えるかもしれない。
会場とキャパ、チケット取れるかどうかと情勢によって、すべての条件が揃えばだけど、20年目に成人の日ライブをしてくれるという事実だけでまずは感無量だし、これこそパーティーだと言いたくなる。

しかしながら今回も、前々回の配信ライブのレポでも書いたように、気付けば曲に夢中になり、過去のライブの思い出の数々が蘇り、歓喜し、手を叩き、身体が跳ね、自宅の部屋にいながらそこがパーティー会場であるかのように引き込ませてくれた。

⚫気付いたら自分の部屋が下北沢GARAGEだった|https://note.com/y_hub_you/n/n21f9db617821

時間も空間も越えてくるBase Ball Bear、改めて、結成19周年、おめでとうございます!
これからも末永く、ついていきます。