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ISMS認証の世界の登録件数は?

よくISMSの特徴として、国際規格を基礎にしたものなので世界的に有効的という点が挙げられますが、実際には世界的にどの程度活用されているのでしょうか。

ということで今回は、ISOが公表している認証登録数に関するデータを元に、世界各国でのISMS認証の活用状況について考えてみます。



「The ISO Survey」について

ISOは毎年マネジメントシステム規格に関する調査を行なっており、その結果として有効な認証について国ごとに報告された数のデータをまとめ、公表しています。

ちなみにこれらの認証はIAF(国際認定フォーラム)に属する認定機関によって認定された認証機関が発行するものを対象としてカウントしています。
(日本のISMSであれば、ISMS-ACに認定されている認証機関が発行する証明書のみ対象)

この記事を書いている時点では、2021年末のデータまでしか公表されていないため、この記事も2021年末時点の数値です。

全世界での認証登録件数

2021年末時点でのISMS(ISO/IEC27001:2013)認証登録件数は、58,687件とのことです。
ちなみにISOによって集計されているその他の認証登録すると比べると以下の通りで、ISMSは品質、環境、労働安全衛生に次いでISO規格系認証の中で4番目に多いです。

  1. QMS(ISO9001:2015):1,077,884件

  2. EMS(ISO14001:2015):420,433件

  3. OHSMS(ISO45001:2018):294,420件

ISMSも4番目なのでISO規格の中では知られた方と言えるのかもしれませんが、こう見ると上位3つとISMSには結構なひらきがあります。

世界各国における認証登録数

続いて認証登録件数の各国の内訳について整理します。
上位10カ国は以下の通りのようです。

  1. 中国:18,446件

  2. 日本:6,587件

  3. イギリス:5,256件

  4. インド:2,775件

  5. イタリア:1,924件

  6. アメリカ:1,742件

  7. ドイツ:1,673件

  8. オランダ:1,508件

  9. 台湾:1,129件

  10. イスラエル:1,056件

ちなみに11位のルーマニアは1000件を下回っており、2021年現在時点では上位10カ国=1,000件以上の登録数がある状態であったようです。

ちなみに10年程度前は中国の登録数はここまで多かったわけではなく、この10年ほどで一気に登録数を増やして日本を抜いて世界一の登録数になっています。

世界各国で一定登録は行われていますが、1位の中国、ISMSの基礎となった規格を持っていたイギリス、そして日本、この3カ国がシェアがまた一つ違う感じがありますね。
この数字を見ているとこの3カ国においては特にISMSの存在が伝わりやすい・注目されていると言えるかもしれません。

一方で、イギリスを除く欧米諸国では、ISMS自体は通じるものの、「ISMS認証を取得しているか」はビジネス上などでもそこまで重視されないのかもしれません。
ただ、じゃあISMS認証の取得を目指す必要はないのかと言われるとそういうことでもなく、もちろん情報セキュリティのレベルを上げるための仕組み構築・運用のために活用し、その証跡の一つとして第三者認証としてのISMS認証を取得するというのは意味がない活動ではないのではないでしょうか。

余談

ちなみにですが、ISOが公表しているデータでは193の国と地域が記載されており、そのうち147の国と地域では一件以上のISMS認証の登録は行われているようなので、世界的にもある程度意味の伝わるものと言えるのかもしれませんね。

おわりに

今回はISOが公表するISMS認証の取得状況に関するデータを整理しました。

目に見えるデータ的な話にはなってしまいますが、ISMS認証は中国、日本、イギリスなど特定の国で特別活用されているように見えます。
一方で認証制度自体は世界各国で動いており、大きな国では一定の登録数もあるのでISMSそのものは世界的に一定知られている、伝えることのできるものであると言えるのではないでしょうか。


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