重賞回顧【優駿牝馬】【平安ステークス】

桜咲き 樫の舞台で 夢つなぐ

無き道を行け デアリングタクト

優駿牝馬

◎デアリングタクト 優勝

「松山こじ開けろ!」

オークス直線、無敗の二冠を目論んで東上してきたデアリングタクトと松山弘平は、まさに絶体絶命の窮地に陥っていた。

エルフィンS桜花賞とスムーズに直線外を回して豪脚でライバルを蹴散らせてきたデアリングタクトだったが、他陣営もそう易々と二冠を取らせてたまるかという意思だろうかスタートから徹底的にデアリングに包囲網を敷き内に閉じ込められる厳しい展開でレースは流れていった。

直線を向いても前が一向に開かない、松山Jが促し外に持ち出そうとするもリアアメリアと川田Jが意地でも開けるかとばかりに馬体を合わせて進路を完全に潰した。

前残りの高速馬場、内から力尽きたスマイルカナを番手で運んだウインマリリンが悠々捉えて先頭に躍り出る、内からもう一頭ウイン陣営からの刺客ウインマイティーが和田竜二の剛腕に応えるように伸びてくる、デアリングタクトは依然中段で進路を求めてもがいている、63年ぶりの夢は夢で終わってしまうのか。

刹那、松山弘平の右ムチが飛んだ。

外が開かないならと一瞬だけ開いた内に向かって舵を切ると無敗で桜花賞を制した鬼脚が一気に火を噴いた。

力ずくで進路をこじ開けたデアリングタクトを止めるものなどもういない、一完歩ごとに差を詰めると並ぶ間もなく前の二頭を抜き去った。

63年ぶり、1957年のミスオンワード以来の無敗の二冠牝馬の誕生である。

喝采なき栄冠、秋の淀で最後の頂へと挑む女王は今度こそ万雷の拍手で三冠最後の檜舞台に迎えられるだろう。

終始徹底したマークにあい直線まで内に閉じ込められ続けた松山Jの騎乗は決して褒められたものではないのかもしれない、もっともあんな包囲網を敷かれるような経験は初めてであったことは想像に難くない。普通の馬なら間違いなく脚を余して敗れ騎乗の是非について言及されていたであろう、それを覆したのは紛れもなくデアリングタクトの卓越した瞬発力と勝負根性だった。

歴史に名前を残すような名馬がまだ実績に乏しい騎手を育てる、世紀末覇王と呼ばれたテイエムオペラオーと和田竜二とのコンビをデアリングタクトと松山弘平に感じずにはいられなかった。

騎手主導でローテを組み有力馬は短期免許の外国人騎手に乗り替わり、それが当たり前の令和の競馬においてこんな胸を熱くさせるコンビに出会えた事を心から嬉しく思う。

人馬共に無事に夏を超え、秋の戦いでまた胸のすく末脚を見せて欲しいところだ。



ちなみに当方、馬券は外れた。

騎乗停止の息子の代打を務めた横山J、しぶとく伸びる馬を追い通して3着まで追い込んだ和田J、お見事でした。

平安ステークス

◎ロードレガリス 10着

〇スワーヴアラミス 5着

ダートは勢いより格、軽ハンデよりトップハンデ。

分かってはいたが連勝中の勢いがある2頭の誘惑に負けてしまった当方だった。

特に書くこともないのでこれで。







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