【寺子屋・森岡】マラソン博士が卜部さん2冠と勘違いした理由🤣
日本選手権女子800m卜部選手が優勝し、マラソン博士が「卜部2019年に続いて2冠ですね。」と。「ん?2冠じゃないぞ?笑」と思った僕。マラソン博士が勘違いするほど、卜部選手の1500は2冠に値するレースだったのだなと。その真意を聞いてみましたがClubhouse上の会話では良く分からなかったので、改めて文字にして、答え合わせをした回答をまとめてみました。
一般的なレースの分析の仕方は、400mごとにタイムを見ます。一方、マラソン博士の分析は100m単位のラップタイムを計測してレースの分析をしています。そうすることでレースの展開が見えてくるとのこと。
日本選手権女子1500m 田中希実&卜部蘭の100mごとのラップタイム
(マラソン博士計測、単位:秒)
100m 田中 15 卜部 15
200m 田中 30 卜部 30
300m 田中 48 卜部 49
400m 田中 64 卜部 66
500m 田中 81 卜部 83
600m 田中 97 卜部 102
700m 田中 114 卜部 118
800m 田中 131 卜部 136(400mー800m:田中67、卜部70)
900m 田中 147 卜部 153
1000m 田中 163 卜部 170
1100m 田中 182 卜部 188
1200m 田中 198 卜部 203(800m-1200m:田中67、卜部64)
1300m 田中 213 卜部 219
1400m 田中 230 卜部 236
1500m 田中 248 卜部 250(1200m-1500m:田中50、卜部47)
と書いても僕には、いまいちピンと来ないので図にしてみます。
100mごとの差はどうなっていたのか?
100mごとのタイム差(秒)です。最初の400mで2秒差、バックストレートを回った500m-600mのコーナーで一気に5秒差、そこから1000mで最大7秒差がついています。しかし、そこから卜部さんが徐々に差を縮めていく。そしてラスト100mでなんと4秒も縮めていたのです。
100mごとのスピードはどうなっていたのか?
卜部さんのラスト100mでトップスピードの100m14秒で駆け抜けています。一方田中さんは1300mでトップスピードの100m15秒のラスト200が失速し、ラスト100mは2番めに遅い100m18秒でした。恐らくポイントはラスト1周の鐘がなってからの1100m-1200mで田中さんが約3秒のペースアップに卜部さんがついていったこと。田中さんはそこから更にもう一段回ギアを上げましたが、卜部さんはそこで少し落としてからのラスト100の勝負に出たのだと思われます。
また、田中さんは前半からガンガン行っているように一見見えますが、正確には「ペースが落ちていない」という感じではないでしょうか。400mー1000mを1秒差で安定したペースで走れています。一方の卜部さんは400mー1000mペースが2秒、3秒と上がったり下がったりの落差が激しく燃費が悪そうな走り方をしていました。ここは田中さんのストロングポイントですね。
レースを細かく分割して見れば必ずどこかに勝機がある。
昨年のホクレンディスタンスチャレンジから続く田中希実選手の快進撃に為す術もないように見えた卜部選手。けれど実は田中選手はラスト100が延びないという課題がある。それに対して卜部選手はラスト100が強みである。実際女子800mの卜部さんは田中さんをラスト100mで大きく離して勝ちました。
そこがバチッとハマって、遠かった田中さんの背中があと一歩のところまで再び射程圏内に入った。あまりにキレイに策がハマったもんだから、マラソン博士はうっかり「卜部さん2冠」と言ってしまったんだなぁと思いましたとさ。
オリンピックも楽しみだけど、次の田中VS卜部のプロレスも今から楽しみですねぇ。
お金もったいないのでサポートしなくて大丈夫です。笑