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伊豆半島を堪能する歩き旅7泊8日〜6日目〜

~オートキャンプ場で迎える朝~

前夜は美味しそうな肉の匂いに包まれて、僕たちはパンをかじった。
自販機で手に入るジュースで乾杯をした。
足るを知る、そうそう足るを知るってやつだ。
そういうことにしておいてほしい。お願いカッコつけさせて。

キャンプ場の様子はこんな感じ。
周囲は大きなテントだらけ。

と、まぁ気持ち的にはひもじい思いでもなく、
疲れていたので、さっさと寝たかったってやつだった。
何日かかけて歩いていると寝ることが楽しみになる。

少し残った食料を朝ごはんとして頬張るT氏

さて、この日も海岸沿いを歩いて行く。
とりあえず泊まれそうな堂ヶ島まで向かう。
行程は…ざっくばらん。決め過ぎるとストレスになる。
この旅はあくまで「放浪」がメインテーマ。

テキトーくらいがちょうどいい


そろそろお風呂も入りたい…。
二人は「温泉あるかなぁ」と話しながら撤収を始める。
周囲のキャンパーさんは朝ごはんを作っている。
「あ、もしよかったら一緒にどうですか?」

……
………
なんて声かけられないかなぁって妄想話をして楽しむ。
自分に都合の良すぎる妄想をするのは楽しい。

ささっと撤収を終えて、キャンプ場受付前を通る。
すると前の日に受付をしてくれたお兄さんがいた。
「ゆっくり休めましたか?」
と声をかけてくれる。
嬉しい。

QOL爆上がり中だ


第一目標ポイントはセブンイレブン!
15分ほど歩いて朝食を取る。
おにぎりが食べたいなぁ

と、おにぎりとお~いお茶を買って食べた。


……
たしかT氏はどん兵衛のうどんを食べていた。
朝から胃袋が元気だなぁと見ていた。

雲が少なく、突き抜けるような快晴。
暑くなりそうだなぁ。

~黄金崎のお話~

歩かないと前に進まない。
当たり前だ。あたり前田のクラっ…
いくつかトンネルを通過していく。

途中、クリスタルウェイブというガラス細工が道端に設置されているのを見かけた。


歩き旅でなければ見過ごしてしまいそうだ。
このあたりはガラス細工が盛んみたい。どうやら珪石鉱山があるようだった。最盛期には国内の板ガラス約90%が伊豆の珪石で作られていたとか。

西伊豆自然歩道に従うと、黄金崎クリスタルパークの方面に向かう。
それとなしに従って向かってみることにした寄り道スポット。
雰囲気のあるトンネル前でお地蔵様と、カップルのハイカーを遠くから見かける。あの雰囲気は連泊して歩いていそうな雰囲気だった。道中初めてのハイカーを見かけて少しテンションが上がるが、すれ違うことなくカップルのハイカーは先に進んでしまっていた。

寄り道スポットに立ち寄ると、綺麗な浜と海が見える。
西伊豆はどこも海が綺麗だ。透き通っていて、空の青が写って真っ青な海が広がる。

陸側にはちょっとした山があり、そこには石切場の由来が案内されていた。
その石切場で切り出されたものは駿府城の築城石として利用されていたそうだ。

その他にも史跡が残り、「夫婦椿」を見かける。
昔、金銀銅が採掘されている土地で、九州から採掘指導者として働きに来た男と、宇久須に住む漁師の娘の間に恋が芽生え、「夫婦石」とした石を目安にして逢引の場として使っていたようだった。
しかし、娘の父は反対。それはもう猛反対。
「こんな男に娘はやらぬ!!!!」ってテンションだったらしい。
泣く泣くこのカップルは別れることとなるのだが、せめて…と記念に夫婦石の近くに椿を植えた。その椿を「夫婦椿」と名付け、以後その地を訪れるカップルに縁結びの椿と親しまれていったそうな…。

とこんな案内看板をおじさん二人で読み込んだ僕たちは
「儚い物語ですね…。……彼女欲しいなぁ…」と思わず本音が漏れてしまっていたとさ…。
めでたしめでたし。

……僕たちの旅中、漁師の娘と出会うイベントは発生しませんでした…。

気を取り直して、先へ進む。
黄金崎のあたりは岩肌が綺麗だった。
三島由紀夫が「平滑な一枚の黄金の板のやうに見える」と獣の戯れで描写した景色。
夕陽も素晴らしいようで、僕はいつか彼女ができたら一緒に来たいなぁと思った。強く。

彼女欲しいなぁの気持ちが溢れてきてしまいそうだが、気を取り直して先に進む。
のどかな町中を歩いて行く。
トンネルをいくつか通過し、港を通る。
少しタバコ休憩。


《これぞ田舎町》といったような風景が続く。
とてものどかで、時間もゆっくり流れているような感覚になる。
途中には軍手が散乱していた。港近くで作業しているお母さんたちのものかな?

綺麗な海。海草があるので魚も住みやすそう
停留所脇を通る

船が停留している脇を通る。
住宅もあり、水遊びしているご家族と挨拶をする。
挨拶はいい。
僕は気づいた。
挨拶にデメリットなど一つもないことを。
それからというものの、わりかし元気よく誰にでも挨拶するようにしている。

ちょっとした山を越え、海と富士山を眺める。
山の中では、アロエが自生(?)している。たぶん自生。結構大量。


山を超えると、また漁師町へと降りた。

~野菜炒めと温泉~


T氏は美味い店を見つけるシックス・センス的なものに優れている。
一緒にメシを食べに行ってこれまで外れたことがない。
ここまで的中率100%だ。
名前でピンときていた「さかなや食堂」に向かう。

店構えが完璧だ。
期待度がググっと高まる。絶対に美味い。食う前から美味い。

丁寧な物腰の奥さんが出迎えてくれる。地元の人の予約なんかもあり、店内はいっぱいだ。
奥には元気で気さくな店主がいた。
定食に迷っていた。生姜焼き定食、焼きそば、とんかつ定食その他諸々…。
と、「野菜炒め」定食と書いていない「野菜炒め」のメニューが気になった。
試しに「野菜炒め」って、定食にできますか?
と聞いてみると、できるとのこと。よし!!これだ!!!

ドーン!


野菜たっぷり、絡められたひき肉。漬物と味噌汁。
大盛りのごはん!
最高だ。
ビジュアルからして最高。
これを機に、後日仲間内で「野菜炒め」ブームが数日間あったくらいだ。
本当に美味いので、ぜひ伊豆を旅して「さかなや食堂」で「野菜炒めを定食にしてください。」とコールしてほしい。

満腹になった二人はタバコを吸ってからまた歩き始める。
しっかしT氏、1年前まではタバコを吸っていなかったのだが、すっかりヘビースモーカー。

歩いて行くと、大きな造船所跡のようなところを通る。
廃墟感が非日常感を感じさせてくれる。

また一つ山を超えると、海岸へと出た。
キャンプができそうだ…。
と思っていると、すでに地元の人達が先客となっていた。
もう泊まれるところはなさそうだ…。

泊まるところがないと思いつつも観光は楽しみたいぼく


先の海岸はここから約8km
泊まれるかどうかは行ってみないとわからない。
時間は15時30分ごろ…。
とりあえず…歩こう…と進むと

《温泉》

一目で釘付けになってしまった。
いや…進もう…としていたところ
T氏「いや、温泉入りましょう。こういうのは入ったほうがいいんです。絶対。必ず、絶対。」
いつもは割りと穏やかなタイプのT氏だと感じているが、このときは強めの主張であった。

硫黄の香りが強めの温泉。
3日ぶり?のお風呂はめちゃくちゃ気持ちいいいい。
身も心も軽やかになった2人。
宿はない。
とりあえず先程の海岸に戻ってみるも、先客達は日帰りではなさそうだ。
海外の人たちがたくさん集まってパーリィしている。

とても綺麗なロケーション。このときはもうまともなキャンプはほぼ諦めて開き直っていた。
服が汚い。そろそろコインランドリーに行きたいなぁ

先へ歩くこととした。

~やっと見つけた宿泊地~

多少のアテはあったが、ここがだめなら民宿でも探すか…と2時間弱ほど歩いた。
こんなとき、天は味方してくれるものだ。
無事キャンプできそうな海岸へと着いた。

しかしどうしたものか…「恋人の聖地」らしい。
伊豆の人たちは恋しすぎだろ……


とりあえず居た堪れない。近くにコンビニがあるので、夕食を買いに行った。

海岸に戻り、夕陽を見ていると続々と人が集まってくる。
落ちていく太陽を見に来ているようだ。

カップルが…多い…。

唇をギュッと噛み締めながら太陽が落ちるまでやり過ごして、

太陽が落ちていく


上の写真を撮っている後ろ姿を撮られていた…


僕たちはそれぞれ寝床を作った。

あぁ…コンビニで買ったハイボールが染みる。
なぜだか気持ちが荒んでいるのはきっとアルコールのせいかな…
などと心の中の寸劇ありつつ眠りについた。

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