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遠くに届ける手紙

作詞家のなかにし礼さんが亡くなったというニュースが流れた。

そのニュースの中でなかにしさんが生前語っていた言葉が印象的だった。

うろ覚えではあるのだけど、「作詞は遠くにいる人にめがけて届くように書いている」という言葉だ。

遠くにいる人に届けたい言葉。

それは物理的な距離もそうだし、精神的な距離とか、時間的・世代的な乖離も含まれているのかもしれない。

プロの作詞家は、遠くの誰かに言葉を投げれば多くの人の心を動かすのだ。

それに対して、私なんて家族にすら上手く気持ちを表現できないし、何一つ伝わらない。

でも、誰かに何かが届くといいなと思ってこうやって時々noteを書いている。

自己満足でしかないのだけど。

投げた言葉は否定され、伸ばした手は振り払われる。
だって所詮全ては自己満足でやったこと。
自分がそうしたいからやったことだ。

でも、私は遠くから投げられて、偶然私の手元に流れ着いた言葉たちがとてもとても嬉しかった。

瓶に詰めて海に放たれた手紙のようなメッセージ。

イラストで表現する方もいらっしゃれば、メッセージを送り合うことで届けてくれた方もいらっしゃる。

私には、人の心にとどくメッセージを表現する力がない。

だったら、何ができるか。

時間をかけて、ひとつずつ、積み重ねていくしかできない。

そういう大切なことにやっと気がつけた気がする。

結局は何も届かないままかもしれない。自己満足で終わるかもしれない。

だけど、それでもいいと、全てを受け入れる。ある意味何も期待しない。

ただ、ひたすら、一滴ずつ注ぐだけ。

それでいいんだと、ようやく気がついた。


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