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【連続小説】#22 生焼けと炭化の間で

片想いとは非常に残酷だ。
でも大人になるとそのほろ苦さが懐かしかったりもする。
それを思い出す行為はかさぶたを剥がす行為に似ているのかもしれない。

ずっと好きだったなおこちゃんは席が近く班が同じだったため毎日とても緊張して過ごしていた。

ある時クレーンゲームで取ったという僕が好きな漫画のTシャツをクラスに持ってきた。
「1500円で買わない?」
すごく嬉しかった。
いいのか???なおこちゃんが触ったTシャツを買う機会があるなんていいのか?
「もしあれだったら気になる子に一回着てもらってとかでもいいよw」
おいおい、君だよあなただよお前だよあなた様だよ!!!!!!!
言えないよそんなこと。

僕は黙ってそのままで良いと購入した。

この話を昨晩ふと思い出したのだが

ただのカモじゃねーかよ!!!!!!!
おい!!!!!お前は今まで気付かなかったのかよ!!!

はい、思い出さない方が良いこともあるよね。
冷静になって物事見ないほうが良いときもあるよね。

やっぱりかさぶたは取らないほうが良い。


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