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人は概念だけで生きていけるのか?

人は概念だけで生きていけるのか?
この問いに、ついに答えが出ました。

まずは以下のような実験をしてみてください。

暗くした部屋の中央で、鏡のなかの自分に「お前は概念だ」とひたすら言い続けます。すると、やがて意識が混濁し、気づくと自分という存在が概念そのものになってしまうそうです。

その後は、概念だけで生きていけます。

もちろん食事をとる必要もないので、食費がかからなくなります。もはやあなたは概念なのですから、住居も衣服も不要です。ということは、労働から完全に解放されるということです。経済原理からも資本主義からも、あなたは完全に解き放たれます。

ただし、注意点がひとつ。

あなたは概念そのものになってしまうので、前述の通り食事をとる必要はなくなりますが、食事という概念は依然として必要とします。すると必然的に、食費という概念を捻出する必要も出てきます。なぜなら空腹という概念は依然として存在するからです。確かにあなたにとって実存としての住居は一切不要ですが、住居という概念まで手放してしまうと、あなたは雨風という概念に晒されてホームレスという概念に陥ってしまいます。労働からは完全に解放されますが、労働という概念から逃れることはできません。

つまり、あなたという概念は、生活という概念のなかで、上司という概念に気を遣いながら、ときどき居酒屋という概念で酒という概念を飲みながら愚痴という概念を言い合ったりする時間という概念が必要だったりもする、そんな日常という概念の中でしか生きてはいけないのです。

ていうか、概念概念うるさい。
ああ概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念概念…

とどのつまり、概念について考えるということは、こういうことなのです。以後、気をつけてください。

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