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透明

あの日光る星に憧れて、おれはバンドを始めました。
おれには何も無くて、色で例えるなら無色透明な人生だなあと思います。
好きなことはあって、好きな人もいて、好きな音楽があって、でも本気で打ち込んだことなんて今まで何ひとつもなかったんです。

正直、始めてから半年経ってそれまではバンドにも全力にはなっていなかったなと思いました。
周りの人に甘えて、逃げ道があって、好いてくれる人に甘えて、自分の歳に甘えて、自分に甘えて。
でも、それじゃ大切なものをどんどん失っていくんだって失ってから分かりました。
バンドメンバーの脱退、信頼喪失、好いてくれる人を自ら手放して。

後悔しかないです。

でもおれは人よりも何倍も阿呆で、馬鹿で、承認欲求が高いんで。
全部全部おれが変わるためにあったんだろうと今は考えています。
バンドは好きだからやろー、ってだけじゃなくて、これしかないからやるしかないという風に捉えてます。

大きな箱でパンパンの動員数で最高にかっこいいライブをしているバンドマンに憧れて。
でも、まだまだ届かないそれはまるで星のようで。
それくらいが丁度いい、だっておれはバンドを始める前からずっと星になりたいって言ってたからさ。

この世の全部はおれのためにある。
ならさ、ちゃんとこの世のことを見ないとね。
手放した人、たくさんの後悔、涙、全部愛しておれは絶対に星になる。

例え変われなかったとしても、何度手を伸ばして届かなかったとしても、透明なままだったとしても。
悔いないよう、生きていくんだ。
不透明になれなくとも。

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