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【映画】「おいハンサム!!」ケを愛する

##本記事は約2700文字(読了目安5分)です

ドラマと同じ日常ドタバタ系かと思いきや泣かされました、中年の私です。壮大に個人的感想&ネタバレなのでご注意遊ばせ。


幸せになってくれて、ありがとうございます

人に話すほどでもない日常あるあるを画面いっぱいに展開してくれる本作。さっそくトイレの張り紙「綺麗に使ってくれて有難う」から始まったけれど、まさかラストに繋がるとわ…木南さんと一緒に泣いた(´;ω;`)。
「先にありがとう文法」は和製英語?電車とかで聞くThank you for your cooperation.を直訳なのか。昔は無かったよね、あんな張り紙。英語の意味としては「よろしく」が強いと思うけど、そのまま「ありがとう」と訳した張り紙、それを応用する伊藤家、最高…。最後の父の「幸せになってくれてありがとうございます」には、3つの気持ちを感じた。まずは「娘達よ、幸せになれ」という父の願い。だけど「先にありがとう文法」を父は理解できていなかったので、本当に「今、幸せでありがとう」の気持ち。そして3つ目は、娘たちの幸せを純粋に願える事へのありがとう。自分以外の人間の幸せを100%願える瞬間って、それも幸せだよなぁと…。自分は若いころは、他人の幸せなんて願えなかった。今でも、まぁ子供の寝顔を見ているときはシンミリと思ったりするけど、騒いでるときとかは「こやつ幸せになれるだろうか…」と不安が勝ったりする。そんなとき、これからはこの言葉を唱えたいーー幸せになってくれて、ありがとうございます!

1番好きなのは、やきそばのお兄さん

このエピソード、今思い出しても鼻水出てしまう(´;ω;`)<ティッシュ~
大筋は、ちょっとした優しさが誰かの人生を支えている、みたいな話なんだろうけど、子供の懸命さとか子供時代の思い出とか、色んな感情が呼び覚まされて…。それにしてもMEGUMI母さん、美しすぎるせいか個人的にしっくりこない(笑)。パンフレットでMEGUMIさん自身、母は「AIみたいな人」と称していて、確かになぁと。

お母さんも人間なんだね

これは誰もが成長の過程で気付く、物凄い思い込みだよなぁと。そんなん当たり前なんだけど、確かに子供の頃、大人(特に親)が自分と同じ人間なんて感覚なかった。今の子供はどうなんだろうね。もちろん家庭によるだろうけど、気付く年齢は早いかもね。私自身も未だ子供(;^_^A……娘達よ…ちゃんと育ってくれてありがとうございます(;^_^A

習い事も消費商品になっている

飲み会で若者がバレエやバイオリンやっていたと話す中で長女は「何も習っていなかった」からの「鍋でご飯を炊く方法を母から習っていた」←いい習い事だな、の流れ。そういや昔は、そろばんとか習字とかね、生活に近い習い事だったなぁと。それに先生が厳しかった。今って大体優しい(ガチ塾は厳しそうだけど)。コンプラもあるだろうけど、何より、習い事が商売になったからかなぁと。昔が良かったってわけじゃないけど、なんとなくカッコいい習い事よりは、鍋でご飯を炊いて米を十分に味わって楽しむ方がいい趣味だなぁと思ったり。

誰かに決められた観光をこなすだけ

全く別の本でみた「土曜の情報番組を見て休暇の過ごし方を決める、まるで仕事のように暇をつぶす現代人」批判に似てるなぁと。劇中でも「消費が幸せなら、金持ちが一番幸せになる。でも違う。生産せよ」みたいな話をしていた。他にも「並ぶっていいよな、ただ待ってるだけで確実に快感が得られる」みたいな話とか、超消費社会をいかに生きる?な話が結構あったなぁと。父が観光案内の最後に「それが旅の醍醐味」と言ったのも、つまり観光(ツーリズム)は疑似体験で、旅(トラベル)は本物体験、という対置だったのかなぁと。このあたり、観光=二次創作って言ってるオタクで哲学者の東浩紀さんの考えでいけば、原作を大幅改変した本作は、旅というより観光では…。つまりカフェ巡りとか卑下していいのかなぁ、と。いや、別に卑下はしていないか。社会の言う「これが最高のエンタメだよ!」に無理してのっかる必要ない、ってことかな。

今日が人生最後の1日だと思え

映画版ゲストが異色というか、あの半グレ集団…突然のウシジマ色(笑)。さらに「今日が人生最後~」って江戸っ子というかバブルな台詞、今時観光客も爆買いしないのになんて景気のいい男、やってる事は遺憾だけど思想としては貴重(笑)。最後、父の大演説後も一人だけキョトンとして大物だなぁと。
料理研究家の土井先生がハレ(非日常)に対してケ(日常)は「一汁一菜で良い」って言ってたのを思い出した。ドラマでも「家のごはんがあるから外食のおいしさが分かる」みたいな話もしてたなぁ。私が思うに、多くの凡人は、ハレとケを交互に適度に過ごすことで健康的に生きれるのかなぁと。日本人はバブルでハレという消費行動に偏りすぎて、ケを雑にしまったってことかなぁと。おいハンを見た後って、無意識に過ぎるケが、妙に愛らしく感じたりできる。
それにしても、我が家は家族で餃子を作るとか、ある意味ハレかもなぁと。普段は時間の余裕がないので、袋の冷凍餃子をばーんと焼いたりファストフードだったり…今再び、ちゃんと育ってくれてありがとうございます(;^_^A

エンピツが1本…

異色と言えば、鉛筆の歌も突然というか…それこそ現在公開の「ルックバック」見た後ならじ~んときそうだけど、鉛筆1本で身を立ててやる!みたいな経験がないせいか、ちょっと自分は分からなかった。エーデルワイスEDにしてほしかった笑。

僕は時間をかけてだんだんと分かってくることのほうが好き

藤原竜也さん演じる原さん、結構好き。もしかして「藤」とって原さんなのかな。この方が屋上にいるとつい不穏な空気(©カイジ)を感じがちだけど、最近はITコンサルだと思っている(©スカイ、同じビルに入ってるのかな笑)。新商品すぐ買うのも分かるよ~これってでも、刺激を求めている=不倫体質って暗示なのだろうか。ドラマで言ってた↑の台詞にしてもさーもーハンサム! てっきり偽既婚者で次女とくっつく?と思いきや、幼馴染のぶーへの伏線だったのかなぁ~時間をかけて分かっていくんだろうかぁ~

結局、すごく良かった、続編ぜひ

こうして書いてみると、意外と全部は感動してなかったけど(;^_^A、その幅がちょうど良かった気もする。いろんな要素があって、見た人によって心に残るシーンが違うんだろう。きっとシーズン3もある…と祈って!

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