SDGsの精神で見るレジ袋有料化議論
※ド素人の作文なので間違っている部分もあると思います。
SDGsは、「広範な社会的課題が相互に絡み合っているために、さまざまなステークホルダーが統合的に解決することで嬉しいことがあるのではないか」というもの。
この「ステークホルダーが統合的に解決する」という考え方は、さまざまな事柄について応用することができる。
たとえば、レジ袋の有料化は複数のSDG(4・11・12・13・17)に関連し、これを解決しようというものでもあることは、SDGsと直接的に関係する事柄としてある。
応用分野としては、レジ袋有料化の背景、推進派・慎重派という部分について言える。ここでは、レジ袋有料化という政策について、SDGの観点から評価するのではなく、SDGsの特徴「複数の事柄が相互に関係しあっている」という視点から、レジ袋有料化を発端とする事柄について簡単に整理してみたい。
結論
長々と書くので先に結論を示すと、推進派と慎重派での一種の対立構造を少し深堀すると、「レジ袋有料化」の政策自体に原因の大部分があるのではなく、「消費行動」や「少し極端な主張」に原因があり、環境・経営・消費者などの広範な課題が相互に関係し、さまざまなステークホルダー(国・消費者・企業)が統合的に取り組む必要があるという結論に行きつくのではないか。
推進派と慎重派のボタンの掛け違い?
レジ袋有料化の推進派としては、「そのレジ袋が本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけ」というものが主軸にある。他方、慎重派としては「廃プラスチックに占めるレジ袋の割合は毎年2%程度であってプラ問題の解決には至らない」というものがある。この点について、推進派はこの主張を認めた上で「そのレジ袋が本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけ」としての有料化を主張している。
レジ袋よりも過剰包装が不味い論
過剰包装の方が問題であるという指摘もあるが、これは先般、ブルボンから見解が示されたとおりである。おおむね主張は認められており、企業努力が続けられている。食品のしっけ防止や、輸送・陳列・消費者の保管に耐えられる形状保持という観点から必要なものと考えられている。この背景には、もちろん企業の好意という面もあるかもしれないが、消費者からの苦情を防ぐという目的もあるのかもしれない。
海洋生物への影響
しばしば海洋生物に対する悪影響(誤飲や生態系など)をクローズアップしすぎる傾向にもある。これによって起こるのは「私は海に捨てるような不届きものではありません」という主張である。いわゆるナイフは危ないから販売しないという筋にはならないのと同じで、プラごみを捨てる人間がいるからと言ってレジ袋を供給停止or販売禁止するという策には至らない。この点、推進派の主張に少し工夫が必要なのかもしれない。
少しレジ袋を離れてしまうが、海洋生物への影響として見過ごせないのは、(企業努力によって改善されているのかもしれないが)歯磨き粉などのマイクロプラスチックの流出。そういう意味では、むしろ目に見えやすく手の付けやすいレジ袋の施策から入っているのかもしれない。
ゴミ袋への転用
ゴミ袋としての役割も備えるレジ袋は有用であるという指摘もあり、これは今般のレジ袋有料化の趣旨からしても何ら否定されたものではないと考えて差し支えないだろう。「そのレジ袋が本当に必要か」が問題であるから、「ゴミ袋の用に供するために必要である」という明確な理由があるならば現段階では問題ない。
エコバッグの方が悪いかも問題
エコバッグの素材の方がレジ袋の素材よりも環境に悪いという主張もある。たしかに中にはよろしくないものはあるかもしれないが、布製のエコバッグによって解決するため、問題ない。
レジオペレーションの増加問題
「レジ袋は必要ですか?」というレジのオペレーションが増えるという指摘もある。フローは、「プラスチック問題の発生→レジ袋有料化の決定→ある苦情の予見→経営者によるオペレーションの追加」だろう。一見、レジ袋有料化が直ちにオペレーションの増加を招いているようにも見えるが、「ある苦情の予見」という点に問題がある。
消費者がレジ袋が必要にもかかわらず会計時に申し出ないことによるトラブルや、お客がレジオペレーション終了後にレジ袋購入を申し出られることによる二重のレジオペレーションを防ぐためのものと考えられる。この構図は、ポイントカードお持ちですか問題と同じである。要は、消費者の振る舞いが結果として店舗経営上の追加的なオペレーションに発展している。あるいは、店舗経営における丁寧な接客の常識と化していることも考えられる。
前は「レジ袋いりません」カードがレジに設置されていたこともあった。有料化された現在では、「いる人がカードを入れなかったことによってレジ袋を購入できないリスク」よりも、「いらない人がカードを入れなかったことによってレジ袋を購入してしまうリスク」の方が大きい。このため、仮にカードを導入するなら、「レジ袋いりません」よりも「レジ袋いります」カードを導入する方がいいかもしれない。
感染症対策として欧米では無料配布再開
エコバッグが不衛生でエコバッグを介した感染がおそれられている。これは、ひとえにエコバッグを清潔に保たない消費者の課題である。だからといって、個人の問題と片付けるのは公衆衛生上の課題であるから現下では芳しくない。
今般の有料化は法律改正によるものではないので、国会が原因で有料化を延期するいとまがなかったとかではない。今般の有料化は省令の改正によるものであり、所轄庁が決められる命令であるから国会の審査・承認は不要である(たしかそのはず)。
そういう意味では、消費者の問題であるとはいえ、感染リスクが考えられる以上は、店舗でのリスクも踏まえ、少し有料化の時期をズラすという手もあったのかもしれない。
企業によるエコバッグ・マイボトルの景品無料配布
以前から動きはあったが、有料化を機に増えつつあるのかもしれない。一見良いことに見えるかもしれないが、無償ではなく、安価で購入できるようにするなど、エコ製品に対して金銭を一定程度支払う構図が望ましいかもしれない。なぜなら、いくつもエコバッグやマイボトルを持つ必要はなく、むしろ必要以上に持つことが環境にはよろしくないから、必要以上に所有してしまう環境は避けたい。仮に1つのみだったとしても、数年単位で使用しなければ、これも意味はないので、考えて使う必要がある。
紙袋も有料化
これは今般のレジ袋有料化の趣旨からすれば「資源の有効利用」や「本当に必要か」という問いにおいて有効かもしれない。ただ、「プラスチック問題を考えるキッカケ」という点においては、あまり施策の意味は分からない。
サイズによる価格変動も、対価という感覚よりもモノに対して使われている資源量に着目した従量制と考えれば腑に落ちる。ただ、紙袋の大きさによる価格変動では、今般のプラスチック問題を考える上で必要かは不明である。
有料でないレジ袋
「え、無料配布続けるレジ袋あるよ」という声もあるかもしれない。これは、プラ3要件(勝手にそう呼んでる)のいずれかに当てはまるものであるため、有料化しなくて良い。このほか、特定の事業者やプラ以外の素材の場合も同様である。これが今般の有料化でいえば「そのレジ袋が本当に必要であるかを考える」という趣旨からして、「そのレジ袋」の範囲が限定されていると言える。
また、政策上の付け加えをするならば、レジ袋代金は商品価格と分離表示しなければならず、レジ袋を選択しなかった消費者に対し、エコポイントや値引きなどの会計上の優遇をするのみでは、有料化の対象となるレジ袋の有料化には当たらないし、設定価格は自由だが1円未満(0.5円など)は有料販売とならない。
制度の趣旨や小売りの実態などに照らして、一律ではなく、個別に例外を設けているのだろうとは思う。
ゴミ袋の供給量が増える論
争いようのない事実。レジ袋の供給量の減少に伴うゴミ袋の供給量の増分が与えるプラスチック問題への影響は良く分からないが充分に検討する必要があるかもしれないし、ごみ袋の材質についても引き続き改善が必要となりそう。
まとめ
レジ袋有料化が政策として是か非かは別として、政策に関連して推進派・慎重派などからさまざまな主張が出てきた。それ自体はプラスチック問題に関する社会的な議論が一定程度生まれたため良かったと考えられる。
ただ、プラスチック問題の原因=当事者は、消費者・企業・国であり、問題の分野は環境にとどまらず、経営・消費者などにも及ぶ。
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