"推し"という概念と言葉


子供の頃に好きなグループの話になると「———なら誰が好き?」と訊ねられることが必ずありました。
その度に(なんでグループそのものではなく特定の誰かを好きだと決めつけてくるんだろう?)と疑問でした。
大人になった今、そんな疑問を抱いていた理由が最近ようやく解りました。

それは、子供の頃に好きになったグループがMAXとSPEEDとモーニング娘。だったことが関係しています。
MAXSPEEDは四人が歌い踊る姿をテレビ越しに観てメンバー全員をカッコイイと思い、モーニング娘。はASAYANで観ていてグループが好きになり、そもそも誰が好きという特定のメンバーへの情が湧いていませんでした。
今で言うところの箱推しです。
メンバー全員をカッコイイと思いグループが好きという箱推しでしたので「———なら誰が好き?」に対して疑問を抱くことは不思議ではありませんでした。

メンバー全員をカッコイイと思いグループが好きという箱推しでしたので誰が好きかという今で言う推しメンが判るのもMAXSPEEDモーニング娘。の三組を好きになり少し経った頃でした。
MAXならMinaさんSPEEDならHITOEさんモーニング娘。なら矢口真里さんが今でいう推しメンです。
誰が好きという推しメンは決まってもグループが好き箱推し寄りではありました。
MAXSPEEDからモーニング娘。というと少し色が異なるような気もしますが、当時のモーニング娘。というより当時のハロー!プロジェクトに所属するメンバーは全員がギラギラした雰囲気があり、そこに惹かれたのだと思います。

「———なら誰が好き?」と訊ねられることに疑問を抱いていた理由が解った今。
子供の頃にMAXSPEEDモーニング娘。に抱いていた思いを二丁目の魁カミングアウトに抱いているということに最近になり気がつきました。
グループの存在はLadybeardことビアちゃん(当時はLADYBABYのメンバー)ベッド・インが好きで二組と出るイベントが被ることがあり二丁目の魁カミングアウトへ改名前の二丁ハロとして活動している時に知りました。
メンバーが全員ゲイのゲイアイドルという触れ込みで僕自身も性的少数者なので気になり(こういうグループって短命だよなー、でも頑張ってほしいなー!)なんて当時は思っているだけでした。
そんな思いを何年も抱いたままベッド・インのおギグ(※ LIVE)へ足を運ぶ内に知り合いが増えていき、その中でも特にプロレスが好きな声も体も大きなオジサンと仲良くなりました。
その方から「今の二丁ハロはいいぞ!」執拗に熱く魅力を語られ続け、そんなに言うなら……と現在も新宿二丁目のAiSOTOPE LOUNGEにて定期的に開催されているドリンク代500円のみでLIVEが観られるFREE GAY LIVEへ行き、がらりと印象が変わりました。
久しぶりに観た二丁ハロは、パフォーマンスの質もメンバーの雰囲気も出逢った当初に観た荒削りにも感じられたLIVEとは異なり、子供の頃にMAXSPEEDモーニング娘。を観た時のような高揚感が湧いてきて、一瞬にして惹きつけられました。
メンバー全員をカッコイイと思いグループが好きになりました。
その時は一緒に観ていた執拗に熱く魅力を語り続けてくれたオジサンに「すごい!」「よかった!」なんて語彙まで子供の頃に戻り感想を伝えていた気がします。
思わず子供の頃に戻ってしまうくらい衝撃を受けた再会で二丁ハロ(二丁目の魁カミングアウト)というグループが好き箱推しになり、何度か足を運ぶ内にプロデューサーで作詞家で振付師でリーダーでメンバーと肩書きがてんこ盛りなミキティー本物さん推しメンになりました。

このようにMAXSPEEDモーニング娘。を好きになった時と同じ流れなので、僕にとって二丁目の魁カミングアウトMAXSPEEDモーニング娘。のような存在なのです。

しかし、グループの存在を知った時はメンバー(ミキティー本物さん・ぺいにゃむにゃむさん)の勢いが怖くてチェキ会には参加できませんでした。
当時のことを二人は「あの頃は必死だった」と言うので、それを僕は感じ取っていて怖かったのかもしれません。
当時は怖いと思っていましたが、あの頃の必死さや経験を積み重ね真摯に活動を続けてきたからこそ、改めて出逢った時に好きになったのだと思います。
今では、チェキも撮れるようになり本現場になりました。



魅力を執拗に熱く語り続け仲良くしてくれていた方がコロナ禍に亡くなったという報せが届いた時は寂しかったです。
冗談まじりに悪態をつき合うような仲でした。
死にたがりな僕ではありますが、とても意地の悪い人間なので、また悪態をつき合えるように少しでも長く生きて、いつか会えた時に「残念でしたね!あなたが観られなかった期間の二丁魁もよかったですよ!!!」と今度は僕が執拗に熱く語り続けようと思っています。

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