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おっさんは風俗嬢と食事にいきたい。【6】かわいいって何?
「客の2人に1人はヤバいやつだから」
お酒が回ってきたのか、モエカちゃんは饒舌になってきた。
おいおい、そんなに確率高いのかよと思いつつ、でもこれってある意味「普通」でいるだけで上位に入れるってことだよなと考えた。
「顔、真っ赤だね」
こちらに言いながらも、モエカちゃんも決してお酒に強くないことがわかる。彼女も顔を赤らめふわふわとしている。
本来女の子と2人で飲みに行ったときは、男が盛り上げて、もてなさなければならないものだと思っている。そこそこ会話は得意な方だ。
特に今回は風俗の子がわざわざ自分の時間を使って会ってくれているのだから楽しませなければならない。
そうやって意気込んでいたのだが、そんな気持ちがかすんでしまうほど、モエカちゃんの話は面白かった。
いろんな変わった風俗客をネタにしたエピソードトークは、愚痴っぽさが全くなくて「すべらない話」さながらに展開されていく。
お酒も入っているからか終始笑い転げた。モエカちゃんも話しながら笑っていた。
自分はトークがうまい人を尊敬している。極端な話、詐欺師や不祥事を起こした人間でさえ、トーク上手には何らかの魅力を感じるほどだ。
モエカちゃんはすごい! 心底そう思った。
気づけば3時間近く経ち、お酒は二人で20杯以上空けていた。
そろそろ帰ろうかというタイミングで、「住んでるマンションがこの近くだから家で飲みなおそうよ」と誘われた。
ただ、それはなんとなく断ってしまった。
「美人局」という言葉を覚えたばかりで少し警戒してしまったのもあるが、何よりこの幸せな気持ちのまま帰りたいと思った。
いい思い出にしておきたかった。
最後に「おれのこともネタにするつもりじゃない?」と聞くと、「そうかもね」と言ってモエカちゃんはクスっと笑った。
その時初めて、この子はもしかしたらものすごく可愛い子なんじゃないかと思った。
※【4】から【6】まで脱線してしまったので、次回、本題に戻ります。
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