見出し画像

七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第415回 人生は歩く影にすぎない(シェークスピア)

Out, out, brief candle !
Life’s but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
And then is heard no more:
(消えろ、消えろ、束の間の灯。人生は歩く影に過ぎない。ただ一時、舞台の上でばたばたと立ち回り、やがて見向きもされなくなる惨めな俳優だ)
 
 シェークスピア(William Shakespeare, 1564~1616)の『マクベス』終幕における主人公の台詞。敵の大軍に包囲され居城に立て籠もるマクベスは、<バーナムの森が動かないかぎり、戦に負けることはない>という妖巫の託宣を頼りに防戦に努める。だが、この台詞の直後に、<森が動いた>との報告を受け、絶句する。
 実在のスコットランド王マクベス(在位1040~1057)をモデルとする『マクベス』は1606年に完成し、同年デンマーク王がロンドンを訪れた際、宮中で上演された。
 1603年にスコットランド王ジェームズ6世がイングランド王を継承し、ジェームズ1世となった。ジェームズ1世のスチュアート朝は、マクベスに暗殺された廉潔の武将バンクオーを祖としている。ジェームズの即位から間もなく『マクベス』が書かれた背景には、新王室への政治的配慮があったと考えられる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?