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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第407回 ドアは開けるな(ブレヒト)

Öffne, oh, öffne die Tür nicht
Sondern
Verwisch die Spuren!
(開けるな、おい、ドアは開けるな。それよりもまず、痕跡を消せ!)
 
 ドイツの作家、ベルトルト・ブレヒト(Berthold Brecht, 1898~1956)の「都市生活者用読本」と題する詩の一部。1930年に発表した『試み』第2集に収録される。
 ブレヒトは早くから詩や戯曲を書いていたが、1922年に上演した『夜うつ太鼓』が大評判となる。これは、ローザ・ルクセンブルクらが虐殺された1919年のスパルタクス団事件に題材をとった。1928年には代表作『三文オペラ』が空前のロングランとなった。
 ブレヒトは1920年代半ばからマルクス主義に傾倒していった。そして1933年、ナチス政権下で国会議事堂放火事件が起きた翌日、妻と長男を連れてプラハに逃れる。それからウィーン、チューリッヒを経由し、デンマークに亡命し、そこで5年間滞在した。その間、連作劇『第三帝国の恐怖と悲惨』で、恐怖に怯えて暮らす市民の日常を描いた。
 


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