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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第292回 マリーエンバートの悲歌(ゲーテ)

Was sol lich nun vom Wiedersehen hoffen,
Von dieses Tages noch gesch lossner Blüte ?
Das Paradies, die Hölle steht dir offen;
(私は再会にどんな希望を持てるのか、今はまだ花咲かないその日に?
楽園か地獄かが私の前に開けている)
 
 1823年、ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749~1832)が74歳で書いた「マリーエンバートの悲歌(Elegie von Marienbad)」の冒頭。このときゲーテは、19歳のウルリーケに恋し、旧知の大公を通して求婚していた。マリーエンバートはウルリーケが住んでいた町の名。その十数年前にゲーテが愛したウルリーケの母は、娘への求婚を婉曲に断った。
 この詩を書き上げたゲーテは、吟味して選んだ紙に3日間かけて清書し、家族にも秘密にして隠した。 それから数カ月後に親友のエッカーマンに見せた。
 シュテファン・ツヴァイクは「マリーエンバートの悲歌」について、<ドイツの詩文学は、これほど力強い詩作品となったときほど偉大な時をそれ以来経験していない>と評価している。


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