華紗

小説家志望の39歳。アングラとサブカルを齧って生きています。

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最近の記事

官能小説「ナルキッソスの咲く丘に」4

青い瞳に黒く長い髪。赤く塗られた大きな唇。黒い爪。 garbageは理沙子にそっくりだった。 魂の双子がこの世に存在するのなら、それはgarbageかもしれない、と理沙子は感じた。 けれど、目の前の男は薬中なのか、ずっと手が震えている。受け答えもまともな成人男性とは思えなかった。 「わたしと寝ない?」 理沙子が単刀直入に言うと、 「ここで!?」 と驚いた顔をした。 「ここでは寝ないわ。でも、何処でもいいの」 garbageは困った顔をして笑った。 困らなくてもいいのに、と理

    • 官能小説「ナルキッソスの咲く丘に」3

      理沙子はiPhoneを手にしたまま、しばらく固まっていた。 Instagramからの通知はやはりgarbageからのDMの返信だった。けれど、その内容は不可解なもので、見知らぬバーらしきお店の写真と住所だけが載っていた。意図がつかめない、と思いながらも理沙子の胸は高鳴った。書いてある住所はいまいるホテルからタクシーで小一時間ほどの場所だった。 「悪い、この埋め合わせは絶対に」 突然、背後から抱きしめられた理沙子は小さく悲鳴をあげた。 「良いの、長田さんに迷惑かけちゃってごめん

      • 官能小説「ナルキッソスの咲く丘に」2

        真っ先に目に飛び込んできたのは、蛾だった。 理沙子はInstagramの画面から目が離せなくなった。首の真ん中に彫られた蛾のタトゥーは黒の濃淡のみで彫られており、お世辞にも美しいとは言えなかった。けれど、それは圧倒的な存在感を放っていた。 Instagramに載っていたのは首に彫られた蛾のタトゥーの写真一枚のみで、その他には何の情報もなかった。アカウント名はgarbage、直訳するとごみだった。 自分にも蛾のタトゥーが欲しい。醜悪なそのフォルムは自分の肌の美しさを際立たせて

        • 官能小説「ナルキッソスの咲く丘に」

          自分自身とセックスがしたい。 己の理想を詰め込んだ肉体を、理沙子は愛していた。けれど、マスターベーションではその願いはとうてい叶わない。ただ気持ちよくなりたいわけではないのだ。趣味嗜好を詰め込んだ世界で快楽を貪りたい。ディルドなどの玩具は理沙子の美観が許さなかった。誰か自分に瓜二つの理想の人間が現れたら、この願いを叶えられるのにと思っていた。けれど、そんな偶然がないことも理沙子はとうに思い知っていた。 理沙子は今年、三十歳になる。まだ肉体の衰えは感じない。長く伸びた黒い髪は

        官能小説「ナルキッソスの咲く丘に」4

          月刊ロリババア8月号

          みなさんお元気でしたか? お久しぶりです、月刊ロリババアのちゃんかさです。わたしは相変わらずあまり元気ではありません。もはや元気な状態を思い出せないのですがこれが加齢というものでしょうか。 さて、いきなりですが本題に入りましょう。月刊ロリババアを辞めます、と宣言して数ヶ月。わたしは怠惰なことに何も出来ずにいました。月刊ロリババアがなくなって、自身の創作に打ち込めるかと思いきや、そうでもないのです。文章を打つ熱量を失ったわけではないのですが、プロットを書くだけで精一杯、作品は完

          月刊ロリババア8月号

          宗教法人ヴァギナ

          みなさん、お元気ですか。お久しぶりです、ちゃんかさです。少しお会いしていない間にわたしは車を買いました。人生で一番大きな買い物です。借りを作るのが怖いという理由からローンは組まず現金一括払いにしました。明日、その可愛い軽自動車が納車されます。ついにわたしが車を持つことになるなんて感慨深すぎて泣いてしまいそうです。 そもそもわたしは十九で免許をとったのですが、持病の悪化によりずっと車に乗れなかったのです。それゆえ、二十年近くもペーパードライバーとして生きてきたのです。運転免許は

          宗教法人ヴァギナ

          月刊ロリババアの限界

          月刊ロリババア編集長のちゃんかさです、こんにちは。みなさんお元気にしていましたか?わたしは相変わらずうすぼんやりと過ごしています。 さて、すっかり放置されている月刊ロリババアですが今後の運営について悩んでいるのでいまの心境をありのまま綴りたいと思います。 わたしが月刊ロリババアを始めたのは数年前、まだアラサーの頃でした。当時、企画した文芸イベントの余興として立ち上げたのがきっかけです。当時は長く続ける気もなく、単発の企画もののイメージでした。ロリババアというパワーワードのおか

          月刊ロリババアの限界

          月刊ロリババア11月号

          こんにちは、お元気でしたか?月刊ロリババアのちゃんかさです。 先月、久しぶりに友達に会いました。二年ぶりでしょうか、娘を産んで初めてのことです。旦那に娘を託し、柳ヶ瀬へ向かいました。久しぶりの柳ヶ瀬は相変わらずのんびりとしていて、ほっとしました。久しぶりに見る高島屋が物珍しく思わずチョコレートなどを買いました。外食も普段は控えているのですが、この日は特別です。禁断のマスクを外して食べました。わたしの場合、肌荒れが酷いのでマスクを外すのは別の意味でも緊張感があるのですが、肌荒れ

          月刊ロリババア11月号

          月刊ロリババア10月号

          もう、間に合わない。 絶対、間に合わない。 悪い予感が現実になってきました。 そうです、今月もロリババアが現れなかったのです。正直、最近は少し手ごたえがあったので、誰か現れるやろ的な余裕をかましておりました。しかし、現実は厳しかった。 でも、流石にまた今月号もロリババア現れなかったので原稿落とします〜ではみっともないので頑張ります。編集長ちゃんかさのワンマンショーになりますがどうか温かく見守ってください。 独身の頃、わたしは結婚したくて仕方がなかったのですが、身の丈にあった

          月刊ロリババア10月号

          月刊ロリババア9月号

          お久しぶりです、お元気でしたか?月刊ロリババア編集長ちゃんかさです。先月はついにロリババア候補が現れず拗ねたちゃんかさは1ヶ月お休みするという暴挙にでてしまいました。続けるって難しいのだなぁと実感しました。月刊ロリババアがないからといって暇をしているわけではないのですが、編集作業がないのは何処か寂しく焦りもありました。これからは毎月コンスタントにロリババアが現れてくれることを祈るばかりです。 先月からずっとちゃんかさはアパートの不具合に悩まされているのですが、いまだ工事が終わ

          月刊ロリババア9月号

          月刊ロリババア7月号

          こんにちは、月刊ロリババア編集長のちゃんかさです!みなさま、元気にしていらっしゃいましたか?わたしは久しぶりにママ友と子連れランチに行ってきました。とはいえ、何処かのコース料理を食べたわけではなく、ただ単に地元のショッピングモールのフードコートで銀タコを食べただけなのですが。子連れランチほどハードルの高いランチはありませんね。フードコートでお食事椅子に暴れる子どもを縛り付け、離乳食を食べさせ、なおかつ自分の食事を買い、食べる。難易度が高すぎてクラクラしました。わたしが食事して

          月刊ロリババア7月号

          月刊ロリババア六月号

          こんにちは、お元気でしたか?月刊ロリババア編集長のちゃんかさです。先月号は反響が大きく、感想を伝えてくださる方もいらっしゃって、ちゃんかさ大歓喜!こういうことがあると、また次も頑張ろうと思います。是非、みんなも感想を送ってみよう! 先日、新しいファンデーションを購入しました。ずっと2年前に薬局で買った千円そこそこのファンデーションを愛用していたのですが、これがそもそもの肌荒れの原因では?と気づいたので…(今更感)新しいファンデーションは思い切って数千円の肌に優しそうなものを購

          月刊ロリババア六月号

          月刊ロリババア5月号

          こんにちは、紳士淑女の皆様。月刊ロリババアのちゃんかさです。お元気でしたか?わたくしは娘が一歳になりました。記念に家族写真を撮ったのですが、あまりに深いほうれい線にゾッとしたりもしました。ところが、後日数年ぶりにプリクラを撮ったらすべてが消されていてそれはそれで恐ろしかったです。プリクラならば六十代女性でも二十歳って嘘がつけそうですね。 さて、今月号はロリババア界隈のカリスマ、女子大小路の女帝rouge様がロングインタビューに答えてくださいました!しっかり読んでくれよな!

          月刊ロリババア5月号

          月刊ロリババア4月号

          こんばんは、またお会いしましたね。月刊ロリババアの華紗ちゃんです。お元気でしたか? 今月号は更に人生を深掘りするテーマ、「ぼくたちの失敗」でお届けします! まずはわたしの失敗からお話ししましょう。自分語りが苦手な方はフィクションとして読んでくださいね。 わたしはごくありふれた子どもでした。成績は中の上くらい、通知表も体育以外は4と5が並ぶような生徒でした。いじめや嫌がらせにあったりもしましたが、持ち前の負けん気でいじめた相手に机を投げたりしたりとなんとか持ち堪えていました。

          月刊ロリババア4月号

          月刊ロリジジイ3月号

          はじめまして、そしてまたお会いしましたね。月刊ロリババアの華紗ちゃんです。突然ですが、皆様は美しい男はお好きですか?わたしは俄然、大好物です。今月号はそんな同志たちが胸キュンな企画です。題して、月刊ロリジジイ! そう、再開からはや二ヶ月、番外編の月刊ロリジジイを作ってしまいました。番外編を作るのは早すぎやしないか?と心の声も聞こえましたが無視です。需要があれば、即実行!それが月刊ロリババアのスタンスです。言い訳めいてきましたね、前置きはこのへんで終わります。 最近、推しの高

          月刊ロリジジイ3月号

          月刊ロリババア2月号

          こんばんは、またお会いしましたね。月刊ロリババアの編集長、華紗ちゃんです。 先月、久しぶりの復刊を果たした月刊ロリババアですが、びっくりするほど反応が薄く、危うく戦意喪失しかけましたがわたしは続けます。なんと言っても諦めの悪い女です。そもそも、諦めのいい性格ならば若さに固執せず年相応にババアになるわけですから長所のひとつといえるかもしれませんね。今年も常に自己肯定するスタイルでいきます、ついてこいよな! さて、ロリババアについて念のため言っておきますが、ロリィタのババアでは

          月刊ロリババア2月号