見出し画像

MISS WORLD

MISS WORLD

2001年09月07日発売

01. MISS WORLD
02. 1965
03. ウィノナライダー アンドロイド
04. ステート オブ グレース

※車輪の下についてはREQUIEM〜項で※

3rdのMISS WORLD
アートの曲は全て好きなのだが、この1枚に入った曲はその中でもかなり好きな方に入る。
前作MEAN STREETに続いて緩急のあるバンドサウンドが生かされていてカッコいいのだが、たった5ヶ月後にリリースされたこの作品でメロディアスさに更に磨きがかかったように思う。


01. MISS WORLD

シンプルで静かな始まりながらもエモーショナルな歌詞と歌い方、特に【♪生きていけるはずがない】の叫ぶような歌声がその後の盛り上がりへの予感を掻き立てる。
サビなんかもう本当にキャッチーで歌いたくなるメロディーだし、間奏も激アツ。特に間奏終盤の【♪yeah〜】のシャウトからその後のサビの盛り上がりまでのドラマチックな流れはもう堪らない。何故これがオリコン1位じゃない?
ライブ版に慣れてると少しゆっくり感じるが、それでも疾走感は凄い。

02. 1965

01MISS WORLDで大いに広がった感じから、少しトーンダウンする。アートのこういったミドルテンポの曲も素晴らしくて大好物である。
中でもこの1965は何だかノスタルジックでロマンチックな雰囲気があり非常に良いのだ。
2度目以降の【♪名前を付けて欲しい〜】からのコーラスもシンプルだがサビを引き立てていて、甘く気だるげな雰囲気を加わっていてよい。

03. ウィノナライダー アンドロイド

もう何てったって、ウィノナライダー。FIONA APPLE GIRL以来のもろ人名。笑
こちらも特徴的なイントロから後の盛り上がりの予感があり一気に引き込まれる。(こういった印象的なリフが、終盤1番盛り上がるところでも流れているような曲が好きだ)
【♪軽薄であばずれだyeah〜】の激し目シャウトもMISS WORLDのそれと同じように、これまでの悲痛な感じのするどこか弱々しい叫びとは違っている。
何かを発散するような、突き抜けるような振り絞るような強い叫びで、この時のバンドの勢いのようなものが表れているように思う。
この曲もかなりメロディアスでポップで、一般ウケしてもおかしくないと思うのだが…
特にウィノナは出てこないのだが、繰り返し"灯り"に怯え恐れ慄くような歌詞が続く。SONIC DEAD KIDSのレビューで触れたような太陽への憧れと畏怖と通じるものを感じる。

04. ステート オブ グレース

またここでスッとミドルテンポで静かに始まるが、少しずつ音数が増えて展開していくように盛り上がっていく。
サビで劇的に広がり、コーラスも効果的に加わってエモさを増していき、最後の【♪メロディ〜】のシャウトで突き抜けていく爽快感。
歌詞も何とも詩的で美しく、イノセントで切なく優しげで、かなり好きな歌詞である。
【♪子供達が宇宙を裂いて手術台で口づけをした】なんて、ロートレアモンの『手術台の上のミシンと蝙蝠傘のように美しい』のように美しい。


結局全て好きすぎて全曲レビューしてしまった。
激し目の曲と落ち着いた曲が交互になっているが、どの曲も短くテンポよく進むこともあり、04のステートオブグレースから01のMISS WORLDに戻ってもそのまま何となく繋がって繰り返し聴くことができてしまう。

前作MEAN STREETで既にアートスクールとしてある程度の形を成したように感じた。
そして今作からは全体を通して進化というか、よりロック感や進む勢い、強さを感じるのである。
私自身同時期にまとめてこの辺りの作品を手に入れたが、特に強く惹かれたのは今作で、この激しさや疾走感と同居する切なさとロマンチックさ。思いの外メロディアスでポップな曲調に心奪われたのだった。

また当時村上春樹を愛読しだした頃だったが、タイトルのMISS WORLDや歌詞の【♪でも何か似てるって〜】のくだりでは何となく村上春樹の作品にあるようなミステリアスな"彼女"を思わせるし、1965の【♪ピンボールが壊れた〜】では氏の1973年のピンボールを連想し喜んだものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?