幾千幾万の嘘が、時間という骨組みの中で膨張して「世の中」とかいうものが出来上がっているわけです。

しかし、まあ、この「世の中」とかいうものがなかなかの曲者でございまして、足掻いても暴れても泣いても笑っても、滅多な事ではその者の望む形の明日をくれやしない。

ただ望む形の明日があれば、嘘と嘘の隙間で完璧な自分自身と、一瞬、目を合わせることが出来れば、それの他に望むものはないというのに。

懇願して切願してもだめで、愛して怒鳴って殴ってひったくろうとしてもだめなもんだから、いい加減我慢するのにも限界がきてしまったものでね。

暴動を起こすことにしたのですよ。世界中の時計の針という針を抜いてやるのです。時間という嘘を刻みそれを目の前に突きつけてくるものを全て壊してしまうのです。

望む形の明日を今日にすべく、やるのです。

人類の歴史上最大の暴動であり、革命あるでしょう。それが遂行されれば、世の中も歴史もそこに在るものたちも、全ての嘘が露見する。

表と裏がなくなって、表面も中身も無くなるのです。

なに、至極簡単なことですよ。

存在という嘘を一滴の血とともに世界中にばら撒けば良い。

ただそれだけで、革命は遂行され、時間の骨組は崩壊し、嘘と本当と一体になり、この世とあの世が地続きになる。

そいで、後に残るの煙の匂いと踏みつけられた薔薇の赤だけになるですよ。

今日の夜がいってしまう前に、

欲しくもない明日が今日になってしまう前に、やらなければならんのです。

#小説 #詩

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