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郊外にある大きなパラボラアンテナが、毎日、何かを受信する。 その度に、大きな曲線を描く、…
さようならを完璧に作り上げるためだけに、関係性を継続していた。 今の今までが、最良の、最…
近頃、遂に気がおかしくなったのか 白昼夢を見るようになった。 つい先刻は、自室の戸を開け…
子うさぎがその小さな爪の中で歯車を飼うように、僕はケロイドの中で黄金虫を飼っている。 …
音の多い場所が嫌いで、人の多い場所も、色彩の多い場所も嫌いだ。情報処理に疎い脳味噌が何も…
割れた爪で文字を打つ。 爪に傷が生じていたのは、かなり前から気付いていたものの、直す道具…
雨晒しの脳髄に少しずつ赤錆が湧いている。 どうにかせねば、と思いながら、雨を防ぐ傘は生憎持ち合わせていない上、雨宿りの出来る屋根を見つけることも出来そうにない。 無論、生温く垂れ流される雨を止ませる事など不可能にも程がある。 アスファルトと湿度の匂いから、雨が降ることは想定何となく察しは付いていた。しかしながら、傘を持つ習慣のない私は、どうにかなるだろうと高を括って家を出た。そうして、案の定このザマである。 あの日、ぼんやりとした頭で雨の臭気を鼻腔に溜めて出た家は、もは
ゆらゆらと空気が揺れるのを、唯見ている。 降る予定だった雨は今日一日一滴も降らずに、空気…
ある雨の日に、養殖の青い観賞魚を買った。 2日前の昼間、不意に思い立って、17時15分の電車…