シェア
特に理由はなかった。 これと言って何かあった訳でもなかった。 唯、街に数個しか無い高層ビ…
合成されたチェリー味のキャンディで 舌が赤く染まってベタついている。 少し前から、鈍色の…
雨粒が、やけに酷く音を立てて 窓硝子を何度も叩くので 重い脳を無理矢理持ち上げ 完全遮光の…
冬が世界を白く凝固させている。 灰色に分厚く塗り固められた空に、刺すように吹く風も、靴底…
その朝、窓辺に神は不在だった 神の不在によって、愛の存在が証明された 愛の存在によって、死…
彼が彼女を見ていた。 彼女は彼を見ていた。 彼は、彼の目から見た彼女が、確かにそこに在る…
音の多い場所が嫌いで、人の多い場所も、色彩の多い場所も嫌いだ。情報処理に疎い脳味噌が何もかもを処理し切れずに、雑踏に足を絡め取られるような気になって、歩行すらままならなくなる。 暗いレンズのサングラスで光を遮断し、耳を塞いだイヤホンから適当な音楽を、何もかもをかき消せるような音量で流す、そういえば以前、久方ぶりに会った友人から、前に街で声をかけたのにどうして無視をしたのかと怒られてしまったのを思い出す。 サングラスとイヤホンは大事な人の声まで掻き消してくれていたらしい。し
幼少の無邪気さを持って、道端の虫を捕まえる。 捕まえたのち、解体するバッタ、踏み潰す蟻、…
幻惑思惑で陶酔に落ちる 昨夜の夢は青い色 今日の夢は恐らく赤い 新緑の原子 結合の崩壊する事…