発掘された

 学生がおわるまでギリギリ書店のアルバイトにしがみついていた。居心地が良かったわけじゃないけど、単純に飲食のアルバイト向いてなかったし他にしてみたいバイトがなかった、社割が使えるって理由で某都市部のクソでかの求人があったのでノリと成り行きで応募したらちゃっかり採用されてかれこれ大学四年のうちほぼそこでバイトしてた。よくやらかしてたので碌でもねえバイト学生だっただろうが愛嬌でなんとかやりくりしていた感はある。もちろん苦手な人もいたし、やんわりこの人に嫌われてるんだろうな察しって人もいたし、いまだにまだ映画や本の話題を突然LINEで振ってくれる人もいる。私の数少ない社会経験のひとつで、むしろ今の仕事に比べればおかしなくらい人に触れ合う場ではあった。
 今日たまたまネッ友のツイートにはなるのだが、その頃にどうやら客で来ていたネッ友のフォロワーが書店でフランスの作家の本を買ったら話題を振られたことがあるという話を聞かされた。エッ、それ絶対わたしじゃね?わたしは珍しくびびった、というか発掘されたみたいで恥ずかしくなった。ぱっかーんアンモナイト。在庫の範囲は広いという某大手書店だったのでTSUTAYAなどで映像化原作の小説を買うような程度の付き合いでは到底もったいない、ましてや超マイナーな仏文のわけのわからん小説を購うことができるという店だったので、そういう作品に行き着いてそういうものばかり楽しむ人間になってしまったものだから、同じものを手に取るものが自分がバイトしている店に現れるとなると口が出てしまうのだろ…とはいえ反省してます……
 しかし心当たりが多過ぎてどんな人だったか覚えてません…
 素敵なお客さんにはよく出会った覚えがあります、古川日出男の作品を探しにきた人が私の顔を覚えていて、新刊がちょうど出てて紹介したらあっさり買ってくださったとか、某批評家のお母様がその著作を買いに来たりとか、一緒に本を探した人と見つけた時とか、在庫を他店から取り寄せるのに必死になったりとかしてたからかな…
 基本的にバイト代で出てきた金をバイト先の本屋でまた本を買うという金金サイクルを立ち上げていたのほんと本の奴隷みたいだった……

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