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ぼくのたいせつ さんにんめ

もう2度と会うことも連絡もできない
ぼくのたいせつ3人目はKくん。
先輩たちに愛されていた可愛い19歳でした。

将来の夢は小説家で、いつかぼくのことも書いてくれるって言ってくれたことが嬉しかった。そんなKくんの言葉はいつだってぼくにワクワクとドキドキを与えてくれました。

初めてKくんの言葉に感動したのは、関わりはじめてすぐのこと。前日に話した会話すら記憶できないぼくが、"覚えていられなくて忘れていってしまうのが悲しい"って言ったら"何回もおんなじ話で盛り上がれるのも幸せじゃない?"って言ってくれました。悲しい気持ちを楽しみに変えてくれるKくんの言葉は魔法みたいでした。そしてぼくはKくんに夢中になっていきました。

お互い邦ロックが好きで、おすすめの曲を交換し合ったことも楽しかった。Kくんが好きなバンドはRADWIMPS。その中で今でも聴くとKくんを思い出してしまう曲が「トレモロ」です。

冒頭の歌詞に、"満天の空に君の声が響いてもいいような綺麗な夜"というフレーズがあるのですが、その部分を聞くとどうしても夜通し電話して朝起きたら14時間も繋がっていたあの日のこととか、友達と飲んでベロベロに酔って声が聞きたくなって掛けた電話に出てくれてすぐに帰ってきてくれたあの夜のことが浮かんできてしまいます。いつだって綺麗な夏の夜でした。

その頃ぼくの精神系の病気が悪化しました。
原因はいくつかあったけど、主に仕事のストレス。
お客さんの中に脅迫じみたことを言ってくる人がいたことが大きな理由だった気がします。
ぼくは毎日死にたくて、お医者さんでもらった薬をその日のうちに全部飲みました。呼吸が苦しくなって気持ち悪くなって、意識が遠のいていきました。

死にたいって思っていたくせに、いざそうなると少しだけまだ生きたい気持ちになって。「ママごめんなさい、助けて」って朦朧としながら電話しました。これがぼくの初めての自殺未遂でした。

そんなことをしてしまったせいで、最後に会うこともできずKくんは辞めていきました。このことを何も伝えられないまま距離ができて。もしKくんに本当のことを話せていたら、ぼくの気持ちが嘘じゃなかったこと分かってもらえたでしょうか。"本当に好きなの?"って最後に言われなかったでしょうか。

出会った頃ぼくが趣味で育てていたパキラの木。
Kくんも植物が好きで、一緒に成長を見守ってくれていました。夏だったからぐんぐん伸びて育っていく姿に2人で感動したりして。でもKくんが居なくなってからパキラは腐って枯れました。ぼくの心みたいに。悲しくて、もう伸びないパキラを捨てられずに半年くらい窓際に置いていました。それくらい好きでした。Kくんとの思い出も、Kくんのことも。

後悔ばかりが残ったKくんとの日々は弱いぼくのせいで終わりを告げました。今は素敵な誰かと幸せに暮らしているといいなと願うばかりです。ぼくに大切な時間をくれて本当にありがとう。

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