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あなたはときどき遠くでしかって

人生最大の恋、
忘れられない恋、
運命の恋。
それが結婚へとつながったら
幸せなのだろうな、と思う。

わたしにとっての運命の恋は
高校時代の同級生。
大失恋に終わり、
それはそれは盛大に引きずった。

20代、30代という
女性として華盛りといわれる時期を
とっくに「偶然、地元で再会した中学時代の同級生」と
結婚してしまった彼が
いつか、「やっぱり運命の相手は君だった」と
気づいて戻ってきてくれるんじゃないかと信じて
未練たっぷりに過ごしてしまった。
重いっ!


ほんとうにたくさんの
「あいつのことなんか忘れて前に進みなさい」という
友人たちの愛ある助言にも関わらず
ヘヴィー級の王者に成りあがった40代も目前という頃、
1枚の往復はがきが届いた。

鳥肌が立つ。
見覚えのある文字。

高校の同窓会の案内。
オモテ面、私の住所氏名は
彼の手書きの文字。


急いで、すべての事情を知っている高校の同級生に電話する。
「ねえねえ!同窓会のはがき届いた?」
「あー、届いたねー。行くー?」
「宛名、手書き?」
「えっ?」
「宛名って、手書きで書いてある?」
「ううん、裏面と同じく、印刷だよー」

心臓がバクバクして、
つつついに、このときが来たんだと思った。
彼がようやく気づいたんだ!
これは、行かなければいけない。
彼に会いに行かなければ。

同級生ミチコに、
自分のはがきは幹事である彼の手書きで
宛名が書かれていたこと、
同窓会に参加するつもりであること
を伝えると、彼女も東京から一緒に参加してくれるという。

じつは、それまでも彼の動向を
密かにFacebookで密かにチェックしていた。
「友達」にはならずに。
こっそりと…
重い!


だから、わたしは最近の彼をわたしはわかっていたはずなのに、
同窓会当日、目の前にいた夢にまで見た彼に
ちっともときめかなかった。
あっけないくらいに。

あれ…?

いつもわたしの心のなかにいた
キラキラと輝く彼はどこにもおらず、
目の前にいるのは老けた田舎のおっさんだった。


ここで、こころのなかの輝く彼は
そのまま光に包まれて成仏し
ようやくわたしはこの大失恋の呪縛から
解放されたのだった。
長かった。

あの頃の生き方をあなたは忘れないで
あなたは私の青春そのもの

忘れられないたったひとつのとくべつな恋はありますか?
(ノートや手帳の端で構いません
ひとこと書き留めておきましょう)



卒業写真
作詞:荒井由実
作曲:荒井由実

『COBALT HOUR』 1975/6/20

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