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【劇場版 デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆】は面白くて、切なくて、優しい+追記

※この記事は映画のネタバレを含みます※


私とデジモン

この記事を書く上で、まずは私のスペックを紹介します。

・TV「デジモンアドベンチャー」無印・02リアタイしてた世代のアラサー女、テイマーズあたりでついてけなくなりました。
・当時はなんとなく流し見してたけど、02の賢ちゃんが改心してワームモンがはじまりの街で生まれ変わる話でめちゃくちゃ感動してボロ泣きし、そこからハマって無印とそれまでの話をレンタルビデオ屋で借りてきてダビングして、それこそテープが擦り切れるんじゃないかってほど見た。リアルにVHS
・光子郎が好きで、彼みたいにコンピュータに詳しい人になりたいって憧れたし、内気な光子郎に絡んでくる太一さんとの関係性が好きでした。02は賢ちゃんが好きです、ワームモンとお幸せに。
・ダイヤルアップ接続時代からインターネットをしていた人なので、『ぼくらのウォーゲーム!』の地味な低スペパソコンとかインターネットの描写がいちいちわかりみが深かった。
「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」←島根に限らず、当時はパソコンやインターネット普及してなかったよね。
・tri.はあまりにも限定的(期間とか公開劇場とか)だったので観てないし、機会を失って未だに見れてないです。レンタル課金して観たいけど、フォロワーにやめとけって言われた。


一言で言ってしまえば

前置き長くなってすみません。2/21(金)公開日に観に行ってきました。大人になってしまったので、仕事行く前の時間を使って。

ほんと、たまたま映画館のフライヤーで劇場版やるのを知って、サイトに飛んだら予告編のButter-Flyが流れるやつ観てそれだけでガチ泣きして、tri.観てないけどまぁいいや、と思いつつ普段は早起きなんて出来ないのに早起きして劇場へ。

なんやかんやで初日に2回観たんですけど、1回目はとにかく世界観とかそういうのとか懐かしくて全体的に泣いてしまったんですが、2回目は少し冷静に、「面白いんだけど、切なくて、でも考え方によっては優しい話かもしれない」と思った。


序盤の展開、胸熱すぎる

最初の中野駅の戦い、中野駅は私が偶然にも1年前行ったことのある場所なので、感慨深さを覚えて「先に聖地巡礼しちゃったよ!あの場所、見たことある!」「あの鳥のデジモンも1作目(太一とヒカリの幼少期)の映画のやつだよね?」みたいな感じで掴みはOK!感すごい。
実戦で戦うのは太一、ヤマト、ヒカリ、タケルで司令塔は光子郎ってのが既に『いつもそんな感じでこちらに来たデジモンの対処してます』ってのが伝わってくる。
光子郎が映る度にいちいちウーロン茶のペットボトルを写すあたりめちゃくちゃ好感度高い。光子郎と言えばウーロン茶。飲みすぎはよくない。

冒頭のボレロとか、エオスモン一戦目のデジタルワールドへのゲートとか、戦闘空間にぼくウォのオマージュ入ってて、進化とか、あーーこれです、これです!!!ってなる。
和田光司さんのButter-Fly含めて、序盤のバトルめちゃくちゃ好き。

選ばれし子どもたちの今

tri.見てないんで、高校生の太一たちがどうだったのかミリしらなのですが、いきなり大学生4年生になった太一とヤマト、あと大学生なら3年のはずの光子郎ぶつけられてちょっとだけ困惑した。この大学生というモラトリアムこそ『年齢的には大人だけど、まだ社会に出てなくて、子供でもおとなでもない何か』なんだよね。
ここで、将来を選びとって大人になっていく貴重な期間で、今回の映画のテーマではあるんだけど。

八神太一、お台場に実家があるのに、何故か一人暮らししてて(地方民にはちょっと理解不能)、パチンコ屋でバイトしてる。
幾度となくデジタルワールドとこちらの世界の危機を救ってきた少年も、やっぱり普通の男の子なわけで。卒論のテーマが決まらないとか、就職決められないとか、大学生4年生あるあるだよね。バイト帰りにビニ弁買ってビールを飲もうとするとか、ちょっとおっさn……大人びてすぎてないか?部屋に生活感がもう少しあればテンション上がったんだけど、部屋に人を呼んだりするから綺麗なのかな……とか色々考えてしまった。引き出しのなかのデジヴァイスとゴーグルの演出がたまらなく好き。

石田ヤマト、モテ要素しかない。バンドマンになりたくて、一匹狼する厨二病キャラ(偏見)は卒業したのね。
学校サボって冬の海に行って盲目の少女のためにギターを掻き鳴らし、ガブモンが寒ブリ食べてるドラマCDの石田ヤマトはもういないのね。
大学生のヤマトは大型バイクに乗る、理系男子。冒頭のピンチのときに登場して美味しいとこ奪ってくの、ズルくない?かっこよすぎだろ。
あと、秘書の井村が怪しいと尾行したり、スマホが監視されてると気づいてプリペイド携帯用意するとか、行動がかっこよすぎる。捜査担当。
……いや、それでもモテ要素詰め込みすぎだろ。

泉光子郎、会社の社長してるってことだけど、大学生にありがちな資本金1円みたいな会社じゃなくて、普通に都内にオフィス構えてる。従業員めっちゃいる。規模がやばい。
あの観覧車どこかわからないけど、お台場周辺だよね?普通に社長してるじゃん、さすが。
夏なのにクールビズスタイルじゃなくて、ネクタイとあと、名札着用なのめちゃくちゃポイント高い。光子郎はんのそういうとこめっちゃ好き……(ため息)
冒頭で太一が使ってた試作品のVRゴーグルはともかく、スマホとデジヴァイスが一体化してるモノを作ったのも光子郎じゃん……太一がスマホの電源落とす時IZUMIって書いてあった……光子郎はんは本当に頭がええなぁ……。

ヒカリとタケルも19歳で、あのタケルがヤマトを「兄さん」呼びしてる……!!みんな大人になってる……!!(混乱)

太一がヤマト呼び出して、阿佐ヶ谷のホルモン屋でビール飲みながら愚痴るところとか、本当に大人だなぁって思ってしまった。
しかも、この2人だけほかの子どもたちと違って、明確に進路が決まってないんですよね。

02のキャラクターたちはギャグ要素強め。
ラーメン屋志望の大輔がニューヨークでラーメン食べるのに付き合わされる高校生の伊織は少し可哀想な気がした。賢ちゃんは大輔と同年だし多分仲良いんだろうな。
みんな、ナチュラルにデジモンたちとラーメンシェアして食べてるの可愛い。

デジモンたちは変わらない

今回の新キャラ、メノアさんが語る新事実『大人になると、デジモンとのパートナー関係は解消して、デジモンは消えてしまう』という要素。デジモンと過ごすことのできる残り時間が、デジヴァイスに可視化されるという……。

「デジモンたちは変わらない」
というのと、
「子どもたちは成長して変化していくいく」
というのが、声優のキャスティングとのダブルミーニングで胸が苦しくなる。
tri.からデジモンたちの声優さんは基本的にそのままで、子どもたちはキャスト変更してるんですよね……まぁ、声変わりや中の人事情もあるけど、それにしても、しんどい。
本当にデジモンたちは変わらない。
02の子どもたちとデジモンはそれなりによく喋るんだけど、それに比べて、太一とアグモン、ヤマトとガブモンの日常会話がなんとなく少なく感じてしまった。
なんというか、デジモンたちは本当に精神年齢も子どものままだけど、子どもたちは大人になっていて、会話も噛み合わなくなってるような感じ。
太一やヤマトの行動(「大学行くから」とか「用事がある」とかで食事一緒が一緒に出来ない)がアグモンたちにはイマイチ理解出来てなくて「行っちゃった……」って寂しそうに言うところとか。
メノアにパートナー解消の事実聞かされて「そんなの嫌だよー!」って素直に言っちゃうパタモンとか。
太一が一人暮らしの部屋にアグモンを招いた時、隠してたえっちぃビデオ見つかって、「これは大人の……」って言いかけて、ハッとする太一と、全然わかってない風のアグモンとか。
パンフ見る限り一人暮らし4年目の設定なのに、今まで部屋にアグモン入れたことがないっていうの驚きで。
大人になるにつれて、あらゆる意味でデジモンに見せたくない・見られたくない姿が増えて、共存しつつ生活とは切り離してたんだろうなぁ。
中野の戦いのあとも、ヤマトはタケルにガブモン託していなくなっちゃうし。
焼肉屋でヤマトと太一が話してる時も「俺たちには俺たちの生活がある」みたいな感じで。大学にはデジモン連れて行けないよな、みたいな認識で。
ヤマトは大学の友達に言われて『選ばれし子どもたち』という特別視される立場すら恥ずかしいと思ってる感じがあったよね。
タケルとヒカリと4匹がファミレスにいる所も、騒ぎすぎて店員さんに怒られたりして、本当にデジモンが『子供のまま変わっていない』感じがした。

だけど、アグモンとガブモンは「成長していく太一たちを見るのが嬉しい」って言うんですよ。
変わらない視点からずっと子どもたちを見ているデジモンの健気さが愛おしい。
パートナーデジモンたちは、いつも子どもたちを全肯定して、励ましてくれる。

メノアとそのパートナーデジモンと罪

話が進むとメノアのこともわかっていくんだけど、会話から察するに、メノアは多分太一と同い年。9歳でモルフォモンに出会って、14歳でパートナーデジモンとお別れしてるんですよね。
14歳の頃の太一たちって、中学2年生で02のお話の最中で。システム上戦うことは出来なかったけど、パートナーデジモンと一緒にD-3型のデジヴァイスを使う後輩たちを支援していた頃のはず(めちゃくちゃうろ覚え)
パートナー解消の『大人になった』の定義が、「自分の人生の可能性の中から、一つを選びとって選択すること」だったら、モルフォモンが消えちゃうのは仕方ないことなんだろうけど、14歳って中身はまだ多感な子供じゃないですか。
それなのに、自分の存在を全肯定してくれるパートナーデジモンがいきなり消えちゃったら、トラウマすぎて、倫理観とか考え方がおかしくなってしまうのも仕方ないと思うんです……。

だからメノアは、選ばれし子どもたちを子供たちのまま、デジタルワールドに隔離することにした。
太一とヤマトが行ったホルモン屋で倒れた女性も、ガヤに混ざって「大人になりたくない」って言ってるんですよね。
パートナーと別れることや大人になることを拒否したとき、その人はエオスモンの力で意識不明になってしまう。
ミミとか丈、タケルやヒカリは意図的に狙われてるのだけども……。
あと、光子郎も推理でメノアに行き着いて彼女の罪を暴いて……これミステリ映画だったら、完全にアウトな展開なんですけど、タダではやられないってところがまた光子郎カッコイイよ……。
ところで、FBI捜査官だったあの秘書さんは、正体を明かしてヤマトと話してる時になんで拳銃を見せてたのか……物騒すぎるやろ……。


最後の戦いと最後の進化

自分とパートナーデジモンとの時間を削ってまで、メノアとエオスモンの暴走を止めようとする太一とヤマト、アグモンとガブモン。
太一とヤマトはメノアの言葉に一瞬戦う意思が削がれそうになるんだけど、「変わらない」デジモンたちの言葉のおかげで、戦うことを選択する。

メノアの「なんでパートナーとの時間を削ってまで」というセリフに対して、太一の「誰かがやらなきゃいけない」……本当にそうなんですよね。

ヒカリのホイッスルで正気に戻った無印メンバーの子供たちが戦いに参加するんだけど、その中に空の姿がなくて。
1回目観たときははなんで?って思ってたんだけど、2回目観たら、この戦いの時には既に空のデジヴァイスはひび割れて石みたいになってるんですよね。
戦わないことを選びとって、将来家を継ぐことに注力して「ピヨモンがいればそれでいい」と願った空は、8人の中で誰よりも早くピヨモンとの別れが来ているわけで。
現実って残酷すぎませんか?


喪失とButter-Flyの伏線

エオスモン戦のあと、残り一つになってしまったカウントリングの時間をそれぞれの1人と1匹で過ごす太一とヤマト。

メロン味のかき氷を買ってこようとする太一をみたアグモンの「太一、大人になったねぇ」
(かき氷ネタの出処が思い出せない……!)

久しぶりにハーモニカを吹いたヤマトに対してガブモンの「ヤマトはずっと俺の大事なパートナーだよ」

そして、「明日はどうする?」って話をしたとき二匹の蝶が空を舞って。大事なパートナーは消えていて。
この物語自体がButter-Flyの歌詞が伏線になっていると理解せざるを得なくて。

切ない。 

今まで当たり前のように一緒にいた存在が消えてしまうなんて、小学生の頃から一緒に過ごしてきた存在がきえてしまうなんて、どう考えてもつらい。

エンドロールの少し先の将来を描いたカット、02の子どもたちはデジモンと過ごしてるけど、無印の子どもたちはデジモンがいないんですよね。

でも、太一は卒論のテーマ決めてデジモンと人間が共存する未来を考えることを選びとっているし、ヤマトは宇宙飛行士の方向を見つけてる。

ラストのセリフ「待ってろよ!絶対会いに行くからな!」が、02のラストで描かれたように大人になってもパートナーデジモンと過ごすことのできる未来に向けての言葉なのか、4月から始まる新作へ向けての言葉なのか、分からないけど。

ゲンナイさんも「パートナー関係の解消を止めることは出来ない」といいつつ、なんとなく含みのある言い方にしてましたし。

02のラストを正史とするなら、またパートナーデジモンに出会えるはずなんだし、そもそもそもそも何度も出会いと別れを繰り返している彼らなので。
きっとまた会えるはず。

……「モルフォ蝶」で検索かけたら、メノアがモルフォモンに着けてその後自分で身につけていた髪飾りのモチーフ出てきて鳥肌立ちました。


長くなりましたが、デジモン絆を見て思ったことをざっくりなんとなく吐き出してみました。

誤字脱字表記ゆれがあまりチェックできてなくてすみません。

また感想書きたくなったら追記します。


追記

誤字修正と、「デジモンたちは変わらない」を加筆しました。

3回目みてきたので、思ったことを追加で、なんかまとまりなくつらつらと書いておきます。

感想を喋る相手がいないので、他の人の感想をみていたところ、「空についての前日譚」があるというのを知りまして。

https://youtu.be/w0a171vPXI8

なんでこれを本編に入れないの!?私の空に対して感じた違和感の答え、ここに全部あるじゃん!!この話、めちゃくちゃ重要なのに、尺の関係で入れることができなかったんでしょうけど……どうにかならんかったのかな……。


メノアは悪いことをした世間的に犯罪者なのに、エオスモンにとどめを刺す時、ヤマトと太一は「宿命は変えられないが、運命は変えられる」って言うんですよ。優しいと思います。
この時点で、2人はもうアグモン・ガブモンと別れる心の準備ができたんだろうな。
14歳でメノアが直面したパートナーデジモンと別れる「半身を喪うような痛み」は、選ばれし子どもたちにしか分からないことで。
オーロラの奇跡で生まれてしまったエオスモンは、モルフォモンの生まれ変わりだった、という演出があって。
ゲンナイさんの話でも「パートナーデジモンは姿を消す」って言ってるけど、削除とか、データが消えるとは言っていない。消えた・消える予定のデジモンたちも「(子どもたちの)そばにいる」って言ってる。
さらにゲンナイさんは「人間は寿命について、殊更話し合ったりしないだろう」って言ってるから、子どもたちが大人になってパートナーデジモンが消えるというのは、ある意味寿命のようなものなんだろうけど……それはつらいんだけど……、02のワームモンのように、死んでしまってもパートナーへの愛情や記憶を持ったまま持って生まれ変わることもあるわけで。
色々分からないし、02の最終話の設定がなくても、将来は明るい、ハッピーエンド作品だったと思いたい部分はある。
太一とヤマトには奇跡は起こらなかったし、宿命には逆らえなかったけど、彼らはアグモンとガブモンと再会する運命を諦めてないので。

エンドロールの太一の卒論が「デジモンとの共存について」で、概要全部読めてないけど「かつては自分にもパートナーデジモンがいた」書いてあってちょっと胸が痛くなってしまった。


なんか、見る度に見え方が変わってしまうんだけど、公式が繰り返し見ることを推奨してるような入場特典の付け方してるから、無印、02を振り返りつつ、やばい噂しか聞かないtri.を観つつ、もう少し劇場に通いたいなぁと思います。

大きな画面で動いて喋る彼らが見れるのは、映画の公開してるわずか数ヶ月の期間だけなので(下手したら特典が1周する3週で終わる劇場もありそう)、もう少し懐かしさと新しさに浸ってもいいかなぁ?


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