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電子署名(捺印)の対応に悩んだときに知っておいてほしいこと


緊急事態宣言が発令され、在宅勤務の企業が増えました。

在宅勤務が出来ない仕事は色々あるとは思いますが、在宅勤務でもなんとかできるのになんとかなっていないのが契約書や請求書の捺印です。

私の職場でも「週に1回、契約書の捺印のためだけに出社」をしている人がいますが、電子捺印・電子署名というツールがありながら、なぜ感染の危険を犯してまで社員を出社させねばならないのかと些か憤りを感じています。

在宅勤務が解除された後に捺印すれば良い、という考えもありますが現在の状況ではいつ解除されるかも分からないため、印鑑を押すためだけの契約書がひたすら溜まっていき、在宅勤務が解除された後は恐らくただひたすらに印鑑を押すという業務が発生するでしょう…。

そのときは以前発表された自動押印ロボットの活躍時でしょうか。笑


そもそも今は世界的にはDocusign、日本でもCLOUDSIGNなどの電子捺印・電子署名ツールがあるのに、なぜ普及しないのでしょうか。

考えられる理由は3つあります。

1)電子捺印・電子署名を使ったことがない
2)電子捺印・電子署名が信用できない
3)電子捺印・電子署名に会社が懐疑的

なんとも日本人らしいですね。

この3つの理由について電子捺印・電子署名で解決できることを書いていきます。


1)電子捺印・電子署名を使ったことがない

知らないものが怖いというのは人間の性質なので仕方ないです。
ですが、迷ってる企業がいらっしゃったら是非一度使ってみてください。

思っている以上に簡単です。

恐らく既存のフローに則ってやれるのか?ということを心配されている方もいると思いますが、受信者から社内の人にも転送できるようになっているので稟議のプロセスも問題なく踏めるようになっています。

既存のフローのままやり方だけ置き換えれば良いと思いますので、不安でしたら電子捺印・電子署名の企業に聞いてみてください。

また、受け取った側にも費用がかかると勘違いされがちですが電子捺印・電子署名に関しては受け取り側には費用はかかりません!

費用がかかるものなら対応するのに躊躇するのも分かりますが、受け取り側に費用はかからないので特にデメリットも無いものということを理解してほしいです。

自社で導入するのは費用がかかるのでまた別としても、電子捺印・電子署名で対応したいと言われたら引き受けてみてください。

2)電子捺印・電子署名が信用できない

なにを言ってるんですか。もはや「はんこ」の方が信用できません。

現状、印鑑を押す企業が多い理由としては下記の理由からです。

法的には、当事者の印影が押印された契約書を保管しておけば、あとでトラブルになった時に、その契約を締結する真正な意思があったことを裁判所が推定してくれる効果が、法律と判例によって認められているため
抜粋:https://www.cloudsign.jp/media/20181220-denshikeiyaku-inei/

これを前提に過去、裁判所が以下のように述べています。

文書中の印影が本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、該印影は本人または代理人の意思に基づいて成立したものと推定するのが相当であり、右推定がなされる結果、当該文書は、民訴326条にいう「本人又は其ノ代理人ノ(中略)捺印アルトキ」の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなる
抜粋:https://www.cloudsign.jp/media/20181220-denshikeiyaku-inei/

要は、作成者本人が押印したかどうかがわからない場合でも、本人の印章による印影があるのなら、「本人の意思によって押印がされたのだろう」と(事実上の)推定をしてしまって良いと認めているそうです。

ここで「はんこ」の話に戻りますが、昨今は優秀な3Dプリンタなども普及してきており、印影があれば比較的簡単に「はんこ」は複製できてしまいます。

複製が簡単なのに、本人以外が「はんこ」を押してるかもしれない場合でも一旦は本人の意思で「はんこ」が押印されたと認められるって怖いですよね。

これに対し、電子捺印・電子署名は印影に代わり「電子署名(デジタル署名)」を電磁的な記録としてタイムスタンプ等とともに電子ファイルに書き込んでいます。

タイムスタンプのしくみ

抜粋:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/pdf/090611_1.pdf

タイムスタンプは電子文書に記録され、検証の際に一致していれば改ざんされていないことを証明できます。

また、このタイムスタンプに関しては国際的な標準(RFC5126)が定められています。

国際標準

抜粋:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/pdf/090611_1.pdf

このタイムスタンプの改ざんは3Dプリンタで「はんこ」を複製するよりはるかに難しく、「はんこ」よりも電子署名・電子捺印の方が信用としては高いことが分かります。


3)電子捺印・電子署名に会社が懐疑的

いくら信用があるからと言って、やはり懐疑的な方はいると思います。

しかし電子的にできるのにアナログでやっているということは、例えるならエクセルで計算してるのにエクセルは信用ならないからもう1度電卓で確認する、とやってることは一緒です。

自分が導入したくても上司が懐疑的な場合は、ぜひ電子捺印・電子署名によって得られるメリットを是非説明しましょう。

電子捺印・電子署名では社内の工数・コストを大幅に削減できます。

比較

・契約書の印刷コスト
・契約書の郵送コスト
・製本捺印のための工数 …etc

CLOUDSIGNやDocusignに関してはslackやSalesforceとも連携しており、営業活動と連動しながら使用することも可能です。


さて、ビジネスに「はんこ」は必須でしょうか。

「はんこ」自体は良い文化なので、文化として残していく必要はあると思いますが、ビジネスとして必須にする必要は無いと思います。

では既存の「はんこ」屋さんの仕事は減りますが、GMOの熊谷さんの言う通り公証人事業や代理店へビジネスを転換すると良いと考えます。

1社だけが電子捺印を導入しても相手方がNGだったら意味がないので、みんなが変わる必要があります。

今が変化に最適なときかと思いますので、電子捺印・電子署名を導入されていない企業は是非ご一考を。


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