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規定投球回は今のままでいいのか?

野球は常に進化をしている。セイバーメトリクスにより常識とされていたものが見直され、栄養学やトレーニングの発達により選手の体格は大きくなった。それに伴いプレーの質もあがり、データをフル活用しての分析によって強み弱みも丸裸にされている。ルールもコリジョンルールやピッチクロック、さらにはAI球審の導入も検討されている昨今だ。

しかし、それでも野球には今もなお昔の基準が採用されてるものばかりだ。その中でも個人的に気になるのは先発投手の規定投球回である。現行の試合数を規定投球回と定めたのは1964年からだそうだ。その時代の基準を現代のプロ野球に適用するのはとても厳しいのではないかと私は思う。

すごく単純な計算をすると、週に6試合あるとして、中6日でシーズンを回るとなると、だいたい24先発をして、1試合平均6イニングを投げないと到達できないのである。下の図は2014年から2023年までの先発投手の1試合平均イニングだ

2020年はコロナ禍で試合数が例年と違うため、除外してある。これを見ると、2016年から下降して2019年からは少し盛り返してはいるものの、10年前に比べて低水準である。先発と中継ぎの分業が進み、投手の完投が減っているからだ。

規定投球回到達者も2014年が28人であったが、2023年は21人だった。2017年から激減したがこれでも盛り返した方だ。それでも12球団で6人の先発ローテがいると仮定したら少ないと思うのは私だけであろうか?1964年に定められた基準が現代のそれに合ってないと考えている。

そこで、今回は1.02でデータが公開されている2014年からのデータを使って現代にあった規定投球回を考えていきたい。10年前ですら遅れてると言わざるを得ないが、2014年から今までを現代野球と位置付けて検証したい。

まず1シーズン何試合先発すればいいのだろうか?かなり恣意的であるが、シーズンは6ヶ月あるので、1ヶ月平均2登板以上、シーズン換算で12試合以上投げてる投手をピックアップしてその中央値を算出した。

 

その平均はセパともに20先発となる。12試合以上投げてる中での中央値なので、全体で見れば上位20%くらい登板数になる。よって登板数は20先発を目安にしたい。

続いて1試合あたりどのくらいイニングを投げればいいのだろうか?先程紹介した各年の1試合あたりの平均イニング数の平均はセ・リーグが5.765、パリーグが5.782とパ・リーグの方がDHがないためか、少し値が大きい。しかしあまり差がないため、この平均の5.774をセパ両リーグの1試合平均イニングとして、先ほどの20先発を乗じた値を規定投球回とすると115.4、切り上げて116イニングとなる。

これでは逆に少なすぎる気がする。というのもこの1試合平均イニング数には数試合、中には1〜2試合しか投げてない投手も多く、平均イニングが2〜4イニングの投手も多く含まれているからだ。

そこで、2014〜2023年を母集団としてこの母集団の母分散を推定し、そこから上位30%の1試合平均イニング数を算出したい。ランダムに抽出した年度(今回は2014年のセリーグ)から40人を系統抽出法でピックした。

その結果、不偏分散は1.946、標準偏差は1.395となった。これを母標準偏差の点推定として採用し、ここから標準正規分布表を使い、上位30%の1試合平均イニングを算出できる。

今回はセ・リーグの抽出であったが、セパ共に同じ分散と仮定して問題がなさそうなので、等分散とする。ちなみに95%信頼区間における母標準偏差は1.143<σ<1.791であった。

話が少し逸れたが、算出すると、セパともに6.5イニングとなった。先発登板数20を目安にすると、130イニングとなる。

かなり拙い算出となったが、分業化が進んだ現代野球では130イニング程度を規定投球回にと定めてもいいのではないか?いずれにせよ、1964年に定められた基準の見直しをする必要があると私は強く思う。




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