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【数学的解説】プラチナ1で14連勝した蟲惑魔【狡猾ループ軸】

はじめに


はじめまして。デュエルアカデミア数学科の「えくす」と申します。今回は、私が遊戯王マスターデュエル(2022年1月および2月環境)にて使用し、勝率90%以上を記録しプラチナtier1に到達した蟲惑魔デッキを紹介・解説します。

といっても、一般的な蟲惑魔デッキではなく、《狡猾な落とし穴》をループさせて何度も発動し、爆発的にアドバンテージ差を拡げるタイプのデッキになります。“墓地に罠があると動けない罠デッキ”という特異さがあり、構築もプレイングも非常に奥深い玄人好みのデッキタイプかと思いますので、本稿でその魅力の一部でも伝えることができたら幸いです。

とはいっても、初めて蟲惑魔に触れる人にとっては内容が重たいうえに24000文字を超えていて読むのが苦痛だと思われるので、(こんなことを言うのもおこがましいですが…)教科書・辞書的な使い方をしていただければ幸いです。ささやかながら、「採用理由および使い方」の項ではカード名に遊戯王カードWiki様のページリンクを貼らせていただいております(遊戯王カードWikiは誰でも編集できるページですので、リンクを踏む際は自己責任でお願いいたします)。

なお、今回ゼロからnoteを執筆したというより、自分が7年程度前から現在に渡るまで書き留めてきたメモを解説用に編纂して公開している形になりますので、本文は“である調”になっていますがご容赦ください。

自己紹介

京都大学大学院に所属する理系で、確率論や統計学についてある程度の知見があるため、それらを活用したデッキ構築を行っています。Twitter(@_XtraptriX_)をやっておりますので、是非フォローいただいて、意見交換できたらと思います。何かご質問やご相談があれば、TwitterのDMやコメント欄に送ってください。

2月度プラチナtier1到達時のデッキ構築
2月度は14連勝でプラチナtier1到達
1月度終了時点の戦績詳細(67勝7敗)

2月はXYZフェスの調整等で【狡猾ループ軸】以外を使用した試合もあったため戦績詳細の掲載無し

 

 緒言

蟲惑魔の強み

 最近はモンスター効果に対するメタが豊富であり、展開や除去・妨害をモンスター効果だけに依存した戦略は安定性に欠けるため、時代が一周回って罠型デッキが評価されるようになってきたといえる。そのような中、蟲惑魔というテーマの強みは、派手な展開を必要とせずに「落とし穴」として除去・妨害を用意できる点であろう。また、展開や妨害準備の起点となる《セラの蟲惑魔》はLINK-1であるため、着地までのハードルが低く妨害を受けづらいうえに罠耐性があり、盤面形成までの事故率・被妨害率の低さは強みの一つである。往年の汎用カードである《トリオンの蟲惑魔》は召喚時に落とし穴をサーチしつつセラに繋げることができ、実質的に一枚初動として機能する。このように、メインデッキはトリオン+落とし穴、EXデッキはセラだけで一応デッキとしての体裁をなすコンパクトがあり、落とし穴以外の汎用的な通常罠および環境に合わせた誘発に対する拡張性もこのテーマの魅力である。メタへの耐性という観点では、盤面形成までに誘発を貰いづらいのは前述の通りだが、テーマ全体として墓地依存度が低く墓地メタを食らいづらい点も環境にマッチしている。

 

蟲惑魔の課題と解決策

蟲惑魔デッキが抱える課題について「構造的な課題」と「テーマカードの課題」に分け、それぞれ解決策を考察する。

◆構造的な課題

  1. 罠型デッキゆえの遅さおよび蟲惑魔モンスター展開起点における召喚権依存度の高さ(相手の妨害を越えるための手数の少なさ)から、後攻での脆さが顕著

  2. 「セラ+通常罠」という最低限の盤面に繋がる1枚初動はトリオンのみで、その他は蟲惑魔+通常罠という形の2枚初動であり、確率的に不利

  3. セラは"妨害を増やすカード"であり"ゼロから妨害を生み出すカード"ではないため、単体では妨害に寄与しない

まず、1.を補うために、相手の先攻展開を抑止できる手札誘発の搭載は必須である。搭載枚数の目安としては、初手5枚のうち1枚以上の手札誘発を握ることが期待できる8枚以上を理想とし、《ディメンション・アトラクター》や《原子生命態ニビル》といった単体での展開抑止・盤面干渉力が高い手札誘発を採用したい。

蟲惑魔は召喚権を要求するため手札に複数の蟲惑魔が来ると手札の有効枚数が減ること、また、セラだけ立てても妨害にならないため、「セラは立つが通常罠がない」よりも「セラは立たないが通常罠はある」の方が遥かに希望があることは蟲惑魔デッキを組む上で絶対に忘れてはならない視点である。要するに、召喚権を要求するモンスターが被らず手札の有効枚数が最大化され、なおかつセラも成立するような、初手における蟲惑魔の枚数がちょうど1枚となる確率を最大化することが肝要であるとともに、蟲惑魔を1枚も引けない事故を恐れて大量の蟲惑魔を搭載することは結果的に自分の首を絞めかねないということである。

前述の課題に加え、初動が不安定な点にも課題がある。これらを解決するため、《金満で謙虚な壺》の採用は強く推奨される。というのも、金謙は最も2枚初動を安定させやすい札であるとともに、蟲惑魔を握っている時に蟲惑魔をドローしても仕方ないため、デッキトップからドローよりも選択肢の中からピックできるこのカードの方が有用となる場合が多いからである。《強欲で貪欲な壺》は2ドローであり単純に手札が増えるため、妨害数の増強や初動の確保が可能ではあるが、蟲惑魔は長期戦になることが多く、デッキリソースが重要となる場面も多いため採用については慎重に考える必要がある。

さて、メインデッキにおける蟲惑魔の最適採用枚数についての議論だが、結論から示すと7枚または8枚であると考える。おそらく、普通の感覚からすればこの枚数は少なすぎると感じられるであろうが、読者に納得してもらうためにも、この最適枚数が導かれた根拠を次に示す。

  • 下表の通り、「蟲惑魔が初手5枚のうちちょうど1枚」となる確率が最大化するのは、金謙を考慮する場合は7枚採用の時、金謙を考慮しない場合(あるいは金謙に妨害を打たれた場合)は8枚採用の時であること

  • 《トリオンの蟲惑魔》および《ティオの蟲惑魔》以外のメイン蟲惑魔は明らかにパワー不足で、通常罠へのアクセスはおろか妨害に繋がる効果すらないことから、セラのリンク素材となる以外の役割が少なく積極的に採用したいわけではない(詳しくは「採用理由および使い方」または「採用候補」の項を参照)

蟲惑魔初手パターン1-4早見表
蟲惑魔採用枚数に対する各初手パターンの確率

◆テーマカードの課題

  1. 《フレシアの蟲惑魔》以外のモンスターによる妨害がテーマ内に存在しないため罠を妨害の主軸にするという発想になるが、バック破壊に対抗しうるカードがテーマ内に存在しない

  2. 手札が増やしづらい

  3. テーマ内で用意できる「落とし穴(ホール)」が妨害として貧弱であり、かつ先攻でしか機能しないものが多い

1.のせいでバック破壊により盤面が壊滅する可能性があるため罠だけに頼った構築は不安定であり、2.のせいで汎用カードを用いてバック破壊への対抗策を構えることもままならない。ゆえに、罠をマシマシにするなら他テーマの方が強いという始末である。最も致命的なのは3.で、落とし穴はどれも弱く、伏せて1ターン待ってからしか使えないのは罠である以上仕方ないにしても、発動タイミングが「相手の」「召喚時・特殊召喚時」に限られ(チェーン2以降の特殊召喚に対しては発動不可、電脳堺やドライトロンをはじめ着地後に処理を挟むモンスターに対しても発動不可)、基本的にはアドが取れず、すでに形成された盤面の捲りに使うこともできないため、残念ながら落とし穴を入れる枚数に逆相関してデッキは弱くなると言わざるを得ない。

《狡猾な落とし穴》を除いては・・・・・!!

 落とし穴の中でも狡猾はスペックが突出しており、フリーチェーンで、アドが取れて、かつ既に形成された盤面の捲りに使うこともできる。特にフリーチェーンであるという点は大きく、落とし穴の取り回しの悪さや受動性を克服しており、セラの展開効果との相性も良好である。また、狡猾は相手のバック破壊に対してもある程度耐性があり、他の落とし穴ならなす術なく破壊されるだけである一方、狡猾ならバック破壊にチェーンして発動することで相手のモンスターを破壊できたり、セラ②効果を誘発して《ティオの蟲惑魔》をリクルートし、墓地の落とし穴をセットしつつセラ③効果でデッキにから落とし穴をセットするという形でバック破壊後に2枚の落とし穴を構えることができたりする。

 ただし、狡猾は墓地に罠が1枚でも存在すると発動できないという強烈な個性を持つため、通常のデッキ構築では使いこなすことができず、蟲惑魔使用者の中でも評価が分かれるカードではある。初動で用意できなければ完全な死に札であり、さらに汎用通常罠で最もメジャーである《無限泡影》との相性は最悪であることから採用に至らないケースは多く、採用される場合でもほとんどはピン刺しという印象がある。また、蟲惑魔の初動を強くするための通常罠、《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》が墓地に送られた後にはもう狡猾を使うことができないのも狡猾の採用が渋られる一因であると推察される。


【狡猾ループ軸】の着想と強み

 落とし穴の採用枚数を抑えつつも妨害数は維持し、パワーの突出した狡猾を活かすというコンセプトで誕生したのがこの【狡猾ループ軸】である。《ティオの蟲惑魔》の特殊召喚時に発動する、墓地の落とし穴をセットする効果を用いて墓地に罠を溜めることなく狡猾を拾い続ける「狡猾ループ」を主軸に据え、継続的かつ爆発的にアドバンテージを獲得することを目指す。具体的には、

  1. セラ存在下で狡猾発動 ( -1 〜 +1 ) 

  2. セラ効果でティオ特殊召喚 ( +1 )

  3. ティオ効果で墓地から狡猾セット ( +1 )

  4. セラ効果でデッキから落とし穴セット ( +1 )

という形で墓地に罠を溜めることなく、ループ1回転毎に2〜4アドを稼いでいく。他の多くの落とし穴と異なりフリーチェーンであるため、相手のターンのみならず自分のターンでもこのループを回すことが可能であり、セラの展開効果を最大限発揮することができる。ティオではなくトリオンを特殊召喚すればループは一旦途切れるが、魔法罠破壊を行うこともできる。フリーチェーンであることを活かして《サイクロン》のような役割をもたせ、P召喚デッキや特定の永続系魔法罠に依存するデッキに対しても優位に立ち回ることが期待できる。

 蟲惑魔ミラーの際にしか役立たない耐性なので忘れがちではあるが、蟲惑魔モンスターは基本的に落とし穴耐性がある。すなわち、蟲惑魔を狡猾の対象にしても破壊されないため、相手のモンスターが0体でも気兼ねなく狡猾ループを回すことができる(この場合は1回転あたりアド+2)。こういった積極的展開能力およびアド獲得能力は【狡猾ループ軸】の明確かつ唯一無二の強みである。


【狡猾ループ軸】の課題と解決策

 しかし、このループの最大の弱点は、「狡猾が墓地にあると狡猾が使えないため、狡猾を発動することも墓地の狡猾を拾うこともできない」、すなわち「墓地の狡猾自身が邪魔でそれを拾うことができない」という詰み状態(以降、膠着状態を意味する”deadlock”より、この状態を”狡猾DL”と表記)に陥ると抜け出せなくなってしまう点である。これは致命的で、蟲惑魔の瞬間火力の低さから基本的には長期戦を見据えなければならない中で、持続的なアドの獲得源と妨害の主軸を同時に失えばたちまち捲られるのは自明である。

 すなわち、狡猾DLの解消こそが【狡猾ループ軸】最大の課題であり、歪んだ構築や特殊なプレイングが要求される要因はここにある。狡猾DLの解消方法は主に次の2種考えられ、これらを搭載しない限り狡猾ループを主軸とするのは厳しい。

  1. 墓地に溜まっている罠を処理(除外やデッキバウンスする等して墓地から排除)する

  2. 墓地に溜まらない通常罠(*)でセラの効果を誘発、または罠によらない方法でティオを特殊召喚し、その効果で落とし穴を拾う

2は墓地の落とし穴を拾う手段であるのに対し、1は落とし穴を含む全ての罠を処理する手段であり、墓地に溜まらない落とし穴というものが存在しない現状とテーマ外の罠を採用しなければならない現状を鑑みれば、1の必要性は段違いに高い。

(*)トートロジー的な説明にはなるが、墓地に溜まる通常罠でセラを誘発し、ティオ効果で狡猾を拾っても、セラのトリガーに使った通常罠が墓地に溜まるため結局狡猾DLは解消できない。「墓地に溜まらない通常罠」とは、

(1)発動後に場に残る

  • 《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》

  • 《パラレルポート・アーマー》(2にも該当)


(2)除外するなどして墓地から自身を処理可能

  • 《ブレイクスルー・スキル》

  • 《バージェストマ・ディノミスクス》


(3)他カードとのコンボで自身を墓地から処理可能

  • 《堕ち影の蠢き》 (《影依の巫女エリアル》を墓地に送る)

  • 《ドラグマ・パニッシュメント》※

※パニッシュメントで墓地に送った《エルシャドール・アプカローネ》の効果でエリアルをサーチ/サルベージしてそのままエリアルを捨てることでエリアルの墓地効果が誘発し、即座にパニッシュメント自身を墓地から除外できる。アプカローネの代わりに《PSYフレームロード・Ω》でも可。

狡猾ループを長期的に維持する(狡猾DLにならないように墓地罠処理を搭載する)視点も大事だが、ループが途切れた後の戦略を用意しておくことも重要である。ループが途切れた後は普通の蟲惑魔デッキとして戦うことになるが、蟲惑魔自体は火力が低く、構築を工夫しなければ長期戦を強いられる。ただ、狡猾ループというアドバンテージ獲得源を失った【狡猾ループ軸】に長期戦を乗り切るスタミナは基本的に無い。そのため、ワンショットキルを狙える瞬間火力を搭載し、ループが途切れる前(2-3回転程度)にライフを削りきる、あるいはループが途切れた場合でも即座にゲームエンドまで持ち込むことのできるような方向性の方が適切だと考えられる。


狡猾DL解消のキーカード3選

 狡猾ループ軸で蟲惑魔デッキを構築するにあたって、「狡猾DL解消」という最重要課題に重点を置く必要があり、「狡猾DL解消条件1,2」を可能にするギミックおよび「墓地に溜まらない通常罠(1)〜(3)」の搭載が不可欠であることは先に述べた通りである。しかし、「落とし穴」には墓地に溜まらないものなど存在せず、解消条件1は蟲惑魔テーマ単独では用意できないため、テーマ外のカードを導入せざるを得ない。しかしながら、墓地罠処理が可能なカードはOCGのカードプール全体を見ても限られており、召喚権を要求するカード、特定のテーマ専用カード、アクセシビリティの低いカード(サーチ・リクルート手段が存在せず、素引き頼み)、そもそも自身が墓地に溜まる罠カード等、噛み合いの悪い選択肢を除いていくと有力な選択肢はかなり絞られ、現実的に狡猾DL解消の核となるカードは次の3つに限られる。


《影依の巫女 エリアル》

パニッシュメントや堕ち影から墓地効果を誘発するとお互いの墓地から計3枚のカードを除外できるため、墓地罠処理と相手の墓地メタが同時に可能。パニッシュメント自体がドラグマテーマに属するカードであるためアクセシビリティが非常に高く、さらに通常罠であるためセラ効果のトリガーになる。ただし、手札に来た際に持て余す点や1回しか利用できない点は課題である。


《妖精伝姫-シラユキ》

繰り返し墓地罠処理が可能で、妨害やリンク素材の確保、打点増強や破壊・対象耐性の突破等複数の役割がある。エリアルと《おろかな埋葬》《影依融合》等の墓地送りサポートを共有する。 


《ブラッド・ローズ・ドラゴン》

お互いの墓地のカードを全て除外する効果により完全な墓地罠処理と相手の墓地メタを両立する。簡単にリンク召喚可能な《クロス・ローズ・ドラゴン》からアクセスでき、EXデッキに搭載するカードであるため前者2つと異なり素引き事故リスクがなく、メインデッキを圧迫することもない。ATK3200でありかつ破壊効果を無効化する効果をもつため、伏せ除去対策をしつつ前線を張ることができる。また、破壊されるとクロスローズの墓地効果で完全蘇生が可能であり、ブラッドローズ攻撃→狡猾でブラッドローズ破壊→クロスローズでブラッドローズ蘇生→ブラッドローズ再攻撃という流れで大幅にライフを奪うような使い方も可能であり、蟲惑魔で課題となる瞬間火力の改善に寄与する。

 

緒言のまとめ

◆狡猾ループとは

  • セラが存在する状態で狡猾を発動し、セラ効果で特殊召喚したティオの効果で墓地の狡猾を再セットする(一連の流れの中で墓地に罠が溜まっていないため、ここでセットした狡猾は再度発動可能)

  • ループ1回転あたり+2~4アドバンテージを稼ぎ出す

  • 狡猾はフリーチェーンであり、お互いのターンでこのループを回転させることができる

 

◆狡猾ループに至った着想

  • 狡猾以外の落とし穴はあらゆる面でパワー不足(採用枚数に逆相関してデッキパワーが落ちる)

  • 罠をマシマシにするなら他テーマの方が強い

→少ない枚数の罠を使いまわす狡猾ループにより差別化しつつ、空いたデッキスロットに手札誘発を詰め込むことで後攻時の脆さを改善

 

◆【狡猾ループ軸】の構築

  • 狡猾DLの解消が至上命題

  • 狡猾DLの解消で最重要なものは「墓地罠処理」である

  • 墓地罠処理が可能なカードは遊戯王のカードプール全体を見ても少なく、蟲惑魔テーマ内には1枚も存在しない

  • 狡猾ループの脆弱性を補うため、瞬間火力を上げる工夫が求められる


【狡猾ループ軸】の構築


デッキ構築再掲(説明用に並べ替え)

(画像左上から)

【 モンスター 】×23

  • トリオンの蟲惑魔 ×3

  • ティオの蟲惑魔 ×3

  • ジーナの蟲惑魔

  • アトラの蟲惑魔

  • 影依の巫女 エリアル

  • 妖精伝姫-シラユキ

  • 教導の聖女エクレシア ×3

  • 教導の騎士フルルドリス

  • 灰流うらら ×3

  • 増殖するG ×3

  • ディメンション・アトラクター ×3

  • ダイナレスラー・パンクラトプス


【 魔法 】×5

  • 金満で謙虚な壺 ×3

  • 死者蘇生

  • 天底の使徒

  • おろかな埋葬


【 罠 】×10

  • 幻影騎士団シェード・ブリガンダイン ×3

  • 狡猾な落とし穴 ×2

  • 墓穴ホール

  • バージェストマ・ディノミスクス

  • ドラグマ・パニッシュメント

  • 魔封じの芳香

  • 王宮の勅命


【 EX 】×15

  • セラの蟲惑魔 ×2

  • クラリアの蟲惑魔

  • トロイメア・フェニックス

  • クロス・ローズ・ドラゴン

  • 天霆號アーゼウス

  • クロノダイバー・リダン

  • 十二獣ライカ

  • 十二獣ドランシア

  • 十二獣ワイルドボウ

  • アロメルスの蟲惑魔

  • ブラッド・ローズ・ドラゴン

  • エルシャドール・アプカローネ

  • 灰燼竜バスタード

  • 旧神ヌトス


採用理由および使い方

【 モンスター 】

トリオンの蟲惑魔 ×3

召喚時に妨害をもらわなければセラ+狡猾が揃うため、以降の展開で妨害をもらっても最低限の布陣が整う。狡猾ループは1回転毎に最大+4アドになり、トリオン召喚時のサーチを含めて最大+5アド(強欲な壺5枚分)となるため、3枚採用しない理由がない。ティオとは異なり、特殊召喚時効果は名称ターン1のない強制効果であり、タイミングを逃すことがないうえ、相手に魔法罠がなくても強制発動する。ゆえに先攻1ターン目でもブリガンをトリガーにトリオンを特殊召喚(※)し、その特殊召喚時効果によりセラの落とし穴セット効果を誘発することができる。対罠ビートでは、ティオ、セラ、アロメルス、クラリアを総動員してトリオンの特殊召喚回数を稼ぎ、相手の罠を剥がし続けることでアドバンテージ差をつけていく。

  1. ブリガンをセット

  2. 蟲惑魔通常召喚←ここで増Gを発動されたらブリガンをチェーン発動し、ランク4へ向かう

  3. セラをリンク召喚

  4. ブリガンを発動、Lv4として特殊召喚

  5. セラ①のリクルート効果が誘発され、デッキからトリオンを特殊召喚

  6. トリオンの特殊召喚時効果が強制発動

  7. セラ②の穴セット効果が誘発され、デッキから狡猾をセット



ティオの蟲惑魔 ×3

特殊召喚時に墓地から狡猾を拾う、狡猾ループの要。特殊召喚時効果は「時の任意効果」であるため、セラのリクルート効果がチェーン2となった場合(例:墓地効果を有するモンスターを狡猾で破壊した場合)はティオの効果がタイミングを逃す点は気をつけたい。また、このカードの効果でセットした穴は次の自分のエンド時に除外される点にも気をつけたい。なお、穴を拾う効果は名称ターン1。



ジーナの蟲惑魔

自己特殊召喚効果を持つため、他の召喚権を要求する蟲惑魔と異なり、蟲惑魔どうしで重ねて握った場合や召喚権を潰された場合でも展開に寄与することができる。また、”効果で”特殊召喚されるためセラの穴セット効果を誘発することもできる。しかし罠を墓地へ送ること(アトラクター下では効果発動不可)をコストとして要求する、すなわち狡猾DLに突入することになるうえ、チェーンブロックを作る特殊召喚効果であり増Gが直撃するのであまり自己特殊召喚効果を使いたくはない。また、墓地効果は自分の魔法罠ゾーンにカードがない場合に墓地の穴をセットするというもので、アーゼウスの効果で更地にした後に狡猾や墓穴ホールを構えておくことが可能になる。なお、この墓地効果は墓地に送られたターンにも発動可能である(①の自己特殊召喚効果を発動したターンは不可能)。
ティオ+ジーナ+穴を握っていた場合、下に示す流れで墓地に罠を溜めない展開が可能。

  1. 穴をコストにジーナ特殊召喚

  2. セラリンク召喚

  3. ティオ召喚、効果発動

  4. ジーナ特殊召喚

  5. セラ効果で穴セット

  6. ティオ+ジーナでクラリアリンク召喚

  7. エンドフェイス時クラリア効果でティオ特殊召喚

  8. ティオ特殊召喚時効果で墓地の穴セット



アトラの蟲惑魔

無効化されない狡猾を手札から撃てるため後攻からの捲りに使いやすく、《崇光なる宣告者》や《ドラゴンメイド・シュトラール》、《ヴァレルロード・S・ドラゴン》をはじめとする無効化効果を持つ制圧モンスターを後攻初手から排除可能。落とし穴のみならず全ての通常罠を通し放題になるため、ディノミスクスやパニッシュメント等のその他の除去札も強く使うことができる。見方を変えれば、セラによるリクルートや金謙によるピック等、このカードに繋がる動きは、相手の視点からは全てマストカウンターに見えるし、見えなければタダで捲ることができる可能性がある。このように、無効化を許さない捲り手段であるアトラを活かすことは蟲惑魔と他の罠テーマとの差別化に繋がる。そして、狡猾こそこの強みを最も効果的に引き出すことができるカードである。とはいえ、単体ではアドを取る効果がなく、展開も妨害もセラ効果の誘発もできない。



影依の巫女 エリアル

基本的な使い方はアプカローネからサーチしてそのまま墓地に捨て、墓地効果を発動するという形。お互いの墓地から計3枚のカードを除外する墓地効果を持つため、相手の墓地リソースの削減はもちろん、自分の狡猾DL解消にも寄与する。ただし手札に引いている場合は前述のアプカローネルートによる墓地効果の発動ができないため、次の2ルートに切り替えて墓地効果の発動を狙う。

  • エリアルを素材としてリダンをX召喚し、リダンの“効果”により墓地に送る(リダンのX素材を墓地に送る処理は、コストではなく効果という扱い)

  • ディノミスクスによって手札のエリアルを”効果で”捨てる



妖精伝姫シラユキ

1枚で繰り返し墓地罠処理ができる点で、全カードプール中で最も墓地罠処理に秀でているカードの1枚。さらに、フリーチェーンで支払い可能な除外コストにより勅命の解除やアトラクターの発動条件の充足、除去対象になった罠を墓地に溜めない動き等様々可能である。また、蟲惑魔に召喚権を使う前に妨害を踏むことができる点やランク4のX素材となる点、貴重な盤外から妨害となる点等、本デッキと噛み合う点は非常に多い。月の書効果によりフリーチェーンでの妨害や破壊耐性の無効化をもこなし、特に苦手な《エルシャドール・ミドラーシュ》や《FNo.0 未来龍皇ホープ》、《超雷龍-サンダー・ドラゴン》等、破壊耐性と制圧効果を同時に消すことができる点は非常に心強い。
アタッカーとしても優秀なATK1850を有し、シラユキ攻撃→狡猾でシラユキを破壊→(セラ効果で蟲惑魔リクルート→)シラユキ蘇生→シラユキ再攻撃という形で追撃が可能。
《墓穴の指名者》に狙われがちなカードではあるが、逆に言えば墓穴をこのカードに集めることができる。さらには墓穴の対象になった他のカードをシラユキのコストとして除外することで、そのカードの効果を無効化させずに通すこともできる。



教導の聖女エクレシア ×3

EXデッキから特殊召喚されたモンスターが場にいれば手札から特殊召喚可能で、本デッキではLINK-1のセラがいるためこの条件を充足しやすい。召喚・特殊召喚時効果はドラグマカードのサーチで、フルルドリス(捲り・キル・妨害を全てこなす)にもパニッシュメント(セラ効果を誘発可能な通常罠であり、墓地に溜まらない)にも繋がる。サーチ効果の発動“後”はEXからモンスターを出せなくなるが、展開の最後に使えばこの制約は気にならない。なお、残存効果という扱いなので、うららや《エフェクト・ヴェーラー》等で効果が無効にされた場合はEXにかかる制約も無効になる。サーチ効果を破棄すれば単純に召喚権を消費しないリンク素材あるいはランク4のX素材として活用可能。EXから出てきたモンスターに戦闘破壊されない効果もあり、時間稼ぎにも使いやすい。本デッキでは初手で蟲惑魔が重なりにくいような構築をしているため初手に蟲惑魔が存在しないことも多いが、その際には召喚権を使って妨害を構える。


教導の騎士フルルドリス

エクレシアの効果でサーチ可能な手札誘発。対象をとらない無効化効果は、対象をとる効果に偏りがちな本デッキでは大変重宝し、後手からの捲りとしても先手で構える妨害としても優秀。それに加えて実質3000打点を有することから、本デッキが苦手とする《エルシャドール・ミドラーシュ》や《超雷龍サンダー・ドラゴン》の処理が可能になったり、狡猾ループが途切れる前に勝負を決めやすくなったりする。なお、セラ(800)+アロメルス(2200)+エクレシア(1500+500)+フルルドリス(2500+500)の総攻撃力は8000となるため、狡猾で場を空けてこれらで攻撃すればゲームが終わる。



灰流うらら ×3

刺さらない相手がいない。先攻でも後攻でも強い。



増殖するG ×3

最強の展開抑止力を有する手札誘発。昆虫族でありクラリアのリンク素材になれるため、ダブついた場合や中盤以降に引いた場合も活用法はある。金謙で増Gをピックすると(時にはピックしなくても)、相手にその存在を意識させることができるため、自分が展開する、あるいはセラ効果でリクルートする際のうららを抑制できる。「先攻では役に立たないカード」と言われがちだが、こと本デッキにおいてその主張は成り立たない。


ディメンション・アトラクター ×3

展開系から低速デッキまで幅広く刺さる(エルドリッチ、ドライトロン、鉄獣戦線、プランキッズ、閃刀姫、幻影騎士団等のデッキは墓地リソースあるいは墓地効果を重要視するため、アトラクターを発動されたら動くことが非常に難しい)ことに加え、墓地依存度が高いデッキは何もできなくなるため発動すればそのままターンを渡してくることさえある。本デッキは墓地依存度が低いどころか、墓地にカードが無い方が動きやすいデッキなので、相手の妨害と自分の補助を両立しており、本デッキの強さを陰で支えるカードであるといえる。この効果の適用下(本文における「アトラクター下」)では、ブリガンが墓地に溜まらないためブリガンをリンク素材にできたり、リダン等のXモンスター効果でブリガンを外しやすくなったり、狡猾DLを気にせずに罠を使っていくことができたりする。一方、フレシアやジーナ、増G等、コストとしてカードを墓地に送る必要があるカードはお互いに使用不可になり、天底やパニッシュメントは効果処理ができなくなる。また、アロメルスの蘇生効果の対象の確保やティオによる穴拾いが難しくなる、発動したうららが墓地に送られなくなるため墓穴の指名者による無効化を受けなくなる等、アトラクター下ではプレイングが大きく変わる。特に、相手エンド時までにこのカードを発動しておくことで、次の自分のターンにおいて相手は増Gを発動することができなくなる点は大きい。
「自分の墓地にカードが存在しない」という発動条件により、本来1ターン目以外では使うことができないカードだが、本デッキでは1ターン目以外でもブラッドローズによって墓地にカードが存在しない状況を作り出すことができる。なお、アトラクターの性質上、他の誘発を使うより前にアトラクターを使う必要があるため、増Gでアトラクターをドローしても発動できない。



ダイナレスラー・パンクラトプス

後攻初手において、蟲惑魔が召喚無効や着地狩りを受けないように盤面を整える先鋒。劣勢時やお互いにリソースを消耗しきった終盤においても無類の強さを誇る。効果発動時に自身をリリースして場を離れるため、《スキルドレイン》でさえ突破可能。
素の《黄金卿エルドリッチ》や《エルシャドール・ミドラーシュ》を上回るATK2600を有するため、リリースせずに前線を張らせても強く、相手ターンにも妨害として働く万能カード。


【 魔法 】

金満で謙虚な壺 ×3

召喚権被りを避けるために本デッキは蟲惑魔の採用枚数を抑えている関係上、初手に蟲惑魔が1枚もない状況がわりと発生するが、そういった場面では特に有用。逆に、蟲惑魔を握っている時に蟲惑魔を引いても仕方ないため、無差別ドローよりも選択肢の中からピックできるこのカードの方が有用となる場合が多い。
サーチ不可能な1枚採用のカード(パンクラ、勅命等)のカードですら先攻時は17.6%、後攻時は21.0%でアクセス可能(金謙不採用時はそれぞれ12.5%、15%であり、いずれも5%以上アクセス可能性が高まる)となるため、特に罠カードを”薄く広く”採用し、幅広い相手に対応できるように構築している。
なお、通常罠およびそれに繋がるカード(トリオンやエクレシア、天底)を合計15枚以上採用すれば通常罠が初手に存在しない確率が5%未満になる(自然科学の分野では、統計学的に5%以上の確率は無視できないとされる)。ただ、ブリガンは単独では妨害とならない(セラ+ブリガン展開で妨害を用意する)ため、ここでいう通常罠に含めるかは微妙な問題ではある。
※コスト候補:クラリア、フェニックス、十二獣3種、灰燼竜



死者蘇生

蟲惑魔召喚時に破壊効果を撃たれるとセラがリンク召喚できず、かつその後の展開にもかなり繋がりにくくなるため致命傷になりうるが、このカードを使うことでそこから立て直しを図ることができる。また、セラやアロメルスに頼らずにティオを特殊召喚する手段にもなる。セラというLINK-1を抱えるため先攻初手でも墓地にモンスターを用意しやすく、腐りにくい。展開札としても優秀で、トリオン通常召喚からセラをリンク召喚し、死者蘇生でトリオンを墓地から特殊召喚(特殊召喚時効果が強制発動)すれば、トリオンによるサーチとセラによる穴セット効果によって穴2枚を構えることができる。稀に相手の増Gを奪ってクラリアの素材にする。



天底の使徒

ヌトスで盤面除去、アプカローネで墓地罠処理&墓地リソース削減、灰燼竜でさらに展開を伸ばす等、強力な効果を場面によって使い分けながらドラグマモンスターのサーチが可能。特に、罠に頼らない方法で墓地罠処理ができる点は優秀。



おろかな埋葬

シラユキやエリアルを落とすためのカードであり、罠ではない墓地罠処理カードである。稀にジーナを落として狡猾DLを解消したり、ティオ通常召喚時効果の蘇生対象を用意したりするために使用することもある。このカードの短いテキストに込められた強さは多くの遊戯王プレイヤーが認識しているため、うららを持っていればこのカードに撃ってくるだろうと推測でき、逆に撃ってこない場合はうららを持っていないだろうと推測(俗に言う「うららチェック」)できる。


【 罠 】

幻影騎士団シェード・ブリガンダイン ×3

遊戯王OCGの広いカードプールを探しても、初ターンで相手に依らず安定して発動できる通常罠カードはこのカードだけであるといえる。セラのリクルート効果およびその後の罠セット効果の誘発(+2アド)を初動で可能にするこのカードの存在は大きい。リダンのX素材としても重宝し、非対象デッキバウンス+フリーチェーンエスケープ持ちのモンスターをセラ+ブリガン初動で構えることができる。また、発動後は墓地に溜まらない(場に残る)通常罠であるという点も重要で、このカードでセラを誘発しティオの効果で墓地の穴を拾った場合、墓地の罠が単純に1枚減る。
初手で蟲惑魔と一緒に手札に来た場合、蟲惑魔を召喚するより前にこのカードを伏せておくと良い場合が多い。というのも、蟲惑魔召喚時に相手が増Gを撃ってきた場合、さらにこのカードをチェーンすれば、相手のドロー1枚を1枚に抑えつつランク4が立てられるからである。相手が蟲惑魔有識者の場合、ブリガンをセットした状態でトリオンを召喚すると、相手はセラ+ブリガン展開を警戒してトリオンに対してうららを撃ってこないことがある。それを逆手にとって、ブリガン以外の魔法罠をセットした状態でトリオンを召喚し、トリオン効果を通しにいくプレイングも可能。単なる展開札に収まらない魅力がこのカードにはある。



狡猾な落とし穴 ×2

妨害から捲りまで役割が広く、先攻および後攻、自分ターンおよび相手ターンどのような場面でも強い唯一の落とし穴。単体性能は最強といえる落とし穴であり、フリーチェーンゆえセラのポテンシャルを最も強く引き出すことのできるカードでもある。対象を取る破壊効果であり、これらに耐性があるモンスターが出てくる直前のタイミングを見極めてその素材を破壊したい。蟲惑魔(X素材のない蟲惑魔Xを除く)は穴耐性を持っているため、狡猾で蟲惑魔2体を対象にとる空撃ち的な使い方をすることも多い。むしろ毎ターン発動しないとティオの制約上、盤面の狡猾が減ってしまう。
狡猾DL下では全ての狡猾が腐るため、3枚採用はややピーキー。しかし1枚採用ではその1枚が除外されると再利用不可(ループが途切れる)となるため、一旦狡猾が墓地に落ちるとティオで拾うか何らかの手段でデッキに戻す以外の狡猾DL解消法がなく、運用が非常に窮屈になる。中庸な選択として2枚採用にしているが、素引きも強いため3枚採用も選択肢。



墓穴ホール

このカードは「ホール」だが、実質的に「落とし穴」と同一のカテゴリとして扱うことができるため当然アクセシビリティが良く、手札誘発を含む盤外のモンスター効果を無効化できる。バーン効果で2000ライフを削ることができればワンショットの要求値が劇的に低下し、現代のデッキに多いライフポイントを軽視しているタイプ相手にはキルカードにもなり得る。また、このカードを使い回してバーンし続ける戦術をとることも考えられ、特に対エルドリッチ戦では墓穴ループ軸として戦う方が強い。実は名称ターン1がついておらず、複数枚採用も視野に入る。



バージェストマ・ディノミスクス

本デッキでは不足しがちな破壊以外の除去が可能であり、表側カードならなんでも除外できるため、《スキルドレイン》等の永続系カードも除去できる。セラを対象にとって発動してセラのリクルート効果を誘発させることも可能であり、フリーチェーンである強みが活きやすい。また、罠の発動にチェーンして自身を墓地から特殊召喚できるため墓地に溜まりにくい点や、手札に来てしまったエリアルを“効果で”捨てることができる点も嬉しい。



ドラグマ・パニッシュメント

エクレシアやそれに繋がる天底等の存在から、アクセシビリティの高い通常罠。対象をとる破壊効果である点や次ターン終了時までEXが使用不可になる点は微妙。ただ、EXから墓地へ送るモンスターをアプカローネにすることで「墓地罠処理もできる、墓地に溜まらないフリーチェーンの通常罠」という狡猾ループ軸では最も必要とされる要素を持ったカードになる。また、ヌトスを落としてちなみに、セラの存在下でこのカードを使った場合、セラ効果をチェーン1、墓地に送られた自分のEXモンスターの効果をチェーン2とすればセラ効果に対してうららを撃たせないプレイングが可能。



魔封じの芳香

後述する勅命とほぼ同様の理由で強いが、勅命とは対照的にこのカードは基本的にアド損を生むカードである。勅命にはない強みとして、手数が多いため苦手なペンデュラムデッキに対して「スケールを張らせない」という強力なメタが可能である点、相手の魔法カードのセットを誘導し、トリオンの特殊召喚時効果でそれを破壊できる点が挙げられる。デッキに3枚採用されたカードは後攻時に2枚以上引く確率が5%を超えるので、同じような役割の勅命+魔封じは2枚以内に抑えた(自然科学の分野では、統計学的に5%以上の確率は無視できないとされる)。



王宮の勅命

本デッキは狡猾の存在から、モンスターの召喚時に除去を撃つ”着地狩り”が得意である。相手からすれば、「手数を増やして物量で妨害を越える」もしくは「伏せ除去をする」といった対処を迫られるが、そういった役割を担うカードの多くは魔法カードであり、このカード1枚でその全てを無効化できる。相手の魔法発動にチェーンしたこのカードの発動が通れば、少なくとも1:1交換が成立し、さらに相手の手札の魔法カードが全て腐るため、自分が損する状況がほとんど生じない。このカードの発動に対し相手はさらに速攻魔法をチェーンしてこのカードの除去を狙ってくることもあるが、こちらの伏せカードに対する除去を躱すことができた時点で仕事としては十分である。このカード自体が除去を受けづらい以上、墓地に溜まる可能性が比較的低いため、罠でありながら積極的に採用できる。相手がこのカードの突破を狙って《シャドール・ドラゴン》や《黄金卿エルドリッチ》の効果を使ってきた場合でも墓穴ホールでカウンターでき、このカードを守っているだけで勝てることさえある。


【 EX 】

セラの蟲惑魔 ×2

妨害および展開の要。このカードを維持しながら、狡猾ループを回して往復ターンで継続的にアドを稼いでいくのが目標。《黄金郷のコンキスタドール》や《神の通告》、《無限泡影》を初めとするあらゆる罠による除去や妨害を受けないため、ステータスのわりに維持しやすい。自分のターンに狡猾ループを回す場合、メインフェイズだとセラがヴェーラーを食らい、罠耐性を失ったセラが狡猾に破壊された挙げ句リクルートもできず、狡猾ループも途切れるという最悪の事態になりかねないので気をつけたい。(1敗)



クラリアの蟲惑魔

発動した穴を再セットするルール介入効果により、セラ+クラリア盤面を作れば1ターンに2枚の穴を使ってもなお墓地に罠が溜まらなくなる。エンド時の蘇生効果は、トリオンを蘇生して相手の魔法罠を剥がす、ティオを蘇生して狡猾DLを解消する、フレシアを蘇生して耐性付与する等の役割が考えられ、罠に頼らず(⇒墓地に罠を溜めることなく)この効果を継続的に使うことができる点は強力。クラリアは盤面の罠を増やせないため初動での仕事は少ないが、2ターン目以降から徐々に仕事がなくなってくるセラとは対照的に、維持すればするだけアドバンテージに繋がる。狡猾ループを維持することや再起動することに長けた縁の下の力持ちであり、中長期のリソース合戦には滅法強くなる。



トロイメア・フェニックス

魔法罠破壊役。アロメルスでトリオン蘇生後、アロメルスとトリオンでこのカードをリンク召喚すれば計2枚の魔法罠を破壊可能。破壊効果にチェーンして狡猾でこのカードを破壊すれば《スキルドレイン》を突破可能。セラと相互リンクできるため手札交換効果もなかなか有用で、手札に来てしまったシラユキを捨てることもできる。



クロス・ローズ・ドラゴン

ローズドラゴンをS召喚するフリーチェーン効果により、ブラッドローズによる墓地罠処理と相手の墓地メタが可能。コストには植物族のリリースを要求するが、セラやティオが該当するため簡単に供給可能。クロスローズのS召喚効果に《墓穴の指名者》を撃たれると1:3交換を許す形となり、アドバンテージ面や墓地罠処理の面で非常に厳しくなるので、慎重なプレイングを心がけたい。
自分の場のモンスターが効果で破壊された場合、墓地の自身を除外することでローズドラゴンを蘇生可能。本デッキでは狡猾によって自分のモンスターの能動的な破壊が可能であり、

  1. ブラッドローズ攻撃

  2. 狡猾でブラッドローズ破壊

  3. 墓地のクロスローズ効果でブラッドローズ蘇生

  4. ブラッドローズ再攻撃

という流れで6400ものライフポイントを削ることができるテクニカルなコンボがあり、急いでライフ詰めにいく場面ではこれを頻用する。ティオのATKが1700、トリオンが1600であることから、6400打点にこれらが加わればワンショットが成立する。ただし、ブラッドローズ効果で墓地を全て除外した場合、当然クロスローズも除外されるためこのコンボは不可能。



天霆號アーゼウス

フリーチェーン全体墓地送りという暴力的な捲り・制圧性能を誇るパワーカード。ボードアドバンテージを取りやすくハンドアドや墓地アドが稼ぎづらい本デッキにとって、ボードを無に帰すこのカードは相性が良いとは言えないが、ボードが優勢ならそもそもこのカードを使わないため大した問題ではない。リダンが生き残りやすい(相手の除去を躱して自分のターンに帰ってくる)ためこのカードを出しやすい。また、ジーナの墓地効果により、このカードの効果で更地にした後から罠を供給できる。



クロノダイバー・リダン

セラの存在下でブリガンを使えば簡単にモンスター+罠でX素材が揃う。特に、罠を素材として抱えている場合のフリーチェーンデッキバウンスは強力で、蟲惑魔の苦手な対象耐性/破壊耐性持ちのいずれにも対応可能。さらにはフリーチェーン自己エスケープ持ちで、相手からすれば除去しづらいモンスターである。また、相手ターンを乗り切って帰ってきたリダンは素材1枚で自分のバトルフェイズを迎えるため、メイン2で2素材アーゼウスになることができる。
相手のデッキトップを素材化する効果は、相手のデッキを見極めて妨害の撃ち所を最適化させられるとともに、相手のキーカードを素材として吸収できれば相手の戦略を瓦解させられる可能性を秘める。ただし、自己エスケープ効果もデッキバウンス効果も使った後はX素材のブリガンが墓地に溜まるため若干扱いが難しい。特に、《ライトニング・ストーム》を撃たれた際に自己エスケープ効果を使わされないよう、先攻では守備表示で立てておくことを推奨したい。



十二獣ライカ

Lv4×2体でX召喚可能。各種十二獣Xモンスターの下敷きとなる。



十二獣ドランシア

ライカに重ねるXモンスター。フリーチェーンで表側カード破壊が可能だが、ステータスの貧弱さから先攻初手で出すのは稀であり、主に後手捲りの役割である。効果使用後は基本的にワイルドボウを重ねる。ちなみに、表側カード破壊効果にチェーンして狡猾でこのカードを破壊すると、相手の《スキルドレイン》を突破可能。マスターデュエルの環境が進めば禁止カードとなる可能性がある。



十二獣ワイルドボウ

ドランシアまたはライカに重ねるXモンスター。ダイレクトアタッカーであり相手の盤面に依らず攻撃を行うことが可能で、攻撃後はアーゼウスを重ねることで4-5素材のアーゼウスとなり盤面捲りが可能。



アロメルスの蟲惑魔

ティオを蘇生することで狡猾DL解消ができたり、トリオンでバック破壊を行ったり、総打点を上げたりと役割が多い。細かい所では、セラは場のモンスターと同名のモンスターはリクルートできないため、一時的にその制約を解除するためにトリオンとティオをアロメルスの下にX素材として格納しておく役割もある。《応戦するG》も蘇生対象であり、サーチ効果を狙う場面もあると思われるため、同カードを採用する場合は狙いたい。
2200という蟲惑魔最高の攻撃力を有しつつ罠の効果を受けないため、比較的安全に展開し攻撃を通すことができ、アーゼウスの下敷き適性が高い。なお、X素材は2体「以上」なので、3体でX召喚し4素材アーゼウスにする選択肢もある。



ブラッド・ローズ・ドラゴン

S召喚された“場合”にお互いの墓地のカード全てを除外する効果を持ち、狡猾DL解消能力も妨害能力も申し分ない。墓地を積極的に活用する中低速以下のデッキに対してこの効果が通れば相手はほぼ再起不能になる。さらには、相手が発動した「カードを破壊する効果の発動」を自身のリリースによって無効化でき、伏せ除去対策やモンスター破壊対策も同時に可能。完璧な墓地罠処理能力、アクセシビリティの高さ、伏せを守ることのできる破壊無効効果、狡猾により連撃が可能な3200打点という性能すべてが本デッキに求められているものであり、本デッキはこのカードを世界一上手く使うことのできるデッキであるとすら思える。



エルシャドール・アプカローネ

墓地効果要員。効果でエリアルをサーチ/サルベージしてそのまま捨てることで、エリアルの墓地効果によりお互いの墓地のカードを計3枚まで除外する。なお、エリアルを素引きしている場合は墓地効果で墓地のアプカローネ自身をEXデッキに戻すことになるが、その場合手札を捨てる処理が発生しないため手札のエリアルの墓地効果を使用することができない。



灰燼竜バスタード

墓地効果要員。天底を先攻初手で使う場合はこのカードを落とすことが多く、天底でエクレシアサーチ→エクレシア効果でパニッシュメントサーチ→墓地の灰燼竜効果でフルルドリスサーチという形で2妨害を用意できる。



旧神ヌトス

墓地効果要員。対象をとる破壊効果自体は飽和しているが、破壊対象は魔法罠でもよく、相手の《スキルドレイン》等の永続系妨害を剥がすことができる点が心強い。


先攻時の各種展開成功確率(事故率)

先攻時において、0妨害となるパターンを「事故」と表現するなら本デッキの事故率は3.81%と非常に低い水準である。なお、パターンが複雑なため図示していないが、2妨害以上となる確率は86.78%である。

先攻時の各種展開成功確率


採用候補


フレシアの蟲惑魔

デッキから落とし穴の効果を適用でき、妨害を厚くしたり、相手の手札誘発を墓穴ホールで牽制したり、後攻初手で狡猾を適用して盤面を捲ったりといった役割があり、相手の《原始生命態ニビル》の発動条件を満たす以前にこのカードを立てておくことがニビルケアになる。とはいえ、デッキが回っている場合は1~3ターン目にはデッキ内の穴がなくなるため中盤以降は基本的に仕事がないうえ、序盤はリダンの方が有用な場合が多い。なお、落とし穴の効果を「適用」するだけで、実際に「発動」されるのはフレシアの効果であり、セラのリクルート効果を誘発できない(⇒狡猾DL突入が確定)。また、罠耐性のある自身をも破壊する(フレシアの効果で他の蟲惑魔は破壊耐性を持っている)ことができ、相手の《影依融合》のデッキ融合を回避するような使い方も可能。自身以外の蟲惑魔全体に戦闘および効果破壊・対象耐性を付与する効果も優秀で、これはクラリアにより蘇生された場合でも適用される。後手で蟲惑魔+ブリガンを握っていた場合、次の1-9の流れで相手モンスター2体を破壊して盤面を捲った後にアーゼウスで蓋をする動きが可能。

  1. ブリガンをセット

  2. 蟲惑魔通常召喚

  3. セラリンク召喚

  4. ブリガン発動

  5. セラのリクルート効果が誘発し、ジーナ特殊召喚

  6. ジーナ+ブリガンでフレシアX召喚

  7. フレシア効果でX素材のジーナをコストに狡猾適用、相手のモンスター2体破壊

  8. ジーナ墓地効果発動、フレシア効果発動時に墓地に送った狡猾セット

  9. セラの穴セット効果が誘発し、デッキから墓穴セット

  10. フレシアで戦闘を行った後、アーゼウスを重ねることも可能

フレシア不採用は疑問を抱かれそうではあるため、きちんと理由を述べておきたい。フレシア採用時に50戦して、使ったのは1回であった。使わない理由の1つに金謙のコストで飛ばしてしまうからというのもあるが、フレシアである必然性の低さによるところも大きい。「フレシアがあれば勝ってた」「フレシアがいたから負けなかった」というゲームは、フレシアをEXから外した後から行った100戦以上を含めても1戦として無い。デッキ構築時点で落とし穴の種類と枚数を絞っていれば、当然デッキ内の落とし穴に対するアクセシビリティが高くなると同時にデッキ内の落とし穴がすぐに枯渇するため、デッキから落とし穴効果を適用できるというフレシアの強みが活きなくなる。
1ターン目に出せれば有用というのは間違いないが、本デッキにおいて、1ターン目からランク4が成立するのはブリガンが絡む展開以外無いといえる(ティオ+おろ埋やジーナ、サーチ効果不使用のエクレシアを絡めたランク4成立も可能だが、1ターン目には行わない)。
ブリガンが絡む前提であれば、先攻ならリダンの方が有用だし、後攻ならXが成立すれば多くはアーゼウスまで到達できるため、攻撃力の低いフレシアは優先されにくい。


ランカの蟲惑魔

セラ効果によるリクルートでデッキ内の蟲惑魔濃度がどんどん低くなるためターンを経るごとに蟲惑魔をドローしづらくなるが、このカードの効果で手札に蟲惑魔を抱えておくことで次の攻め手になる。とはいえ、サーチした蟲惑魔(ジーナ以外)を使えるのは召喚権の都合上次ターン以降である。ランカ単体では妨害につながらない点もマイナス。セットカードをバウンスする効果は、ティオでセットした穴がエンド時に除外される制約をリセットすることができたり、伏せを除去から守ったり、手札に戻した穴をアトラ効果で即座に発動したりすることができ、フリーチェーンという点が便利。相手が初心者だとこのカードにうららを撃ってくれるが、上位帯はそう甘くなかった。


応戦するG

「特殊召喚する効果を含む魔法カード」をトリガーとして誘発的に手札から特殊召喚可能なLv4地昆虫。特殊召喚後は場にいる限り墓地へ送られるカードが除外されるので、相手の墓地利用プランを破綻させつつ、狡猾DL回避にも繋がる。このカードが場から墓地へ送られた場合、増Gやランカを始めとするATK1500以下の昆虫をサーチできる。また、アロメルスで蘇生すれば繰り返しサーチ効果を発動可能。ランク4のX素材やクラリアのリンク素材としても使うことができる。マスターデュエル(2022年1月および2月環境)だと環境に刺さっていない感覚がある。


パラレルエクシード

セラのリンク召喚時にLv4×2体を特殊召喚する手段となる。そこからアロメルスをX召喚し効果を発動することでセラの罠セット効果を誘発できるため、展開を伸ばしつつ妨害を構えることができる。変わった所では、うららや増Gを召喚し、《転生炎獣アルミラージ》のリンク召喚をトリガーにこのカードを展開すれば破壊耐性フレシアを立てることができる。展開札としては、罠として墓地に溜まらないという点でのみブリガンに勝る。ただし、主に次のような弱点があり、採用は好みが分かれる。

  • あらゆる誘発を受けるため、展開札として不安定(特に、本デッキでは本来そこまで重くないはずの増Gを重く食らう)

  • 展開をセラの成立に依存するため、このカード自体は事故回避に繋がらない(強い状況をさらに強くする類のカードである)ことに加え、事故要因とすらなりうる

  • 蟲惑魔+パラレルという形の初手が理想だが、その形からパラレルを他の罠に置き換えても(蟲惑魔+罠という形でも)十分強いため採用の必要性がやや弱い


人攻智能ME-PSY-YA

P効果はお互いのモンスター以外のカードが墓地へ送られることなく除外されるというもの。リダンの素材やリンク召喚の素材となったブリガンも墓地に溜まらなくなる。これにより、狡猾DLを防ぎつつ相手の魔法罠の墓地利用を防ぐ。元々セラになれる点から本デッキと相性の良い《フォーマッド・スキッパー》の効果でサーチすることができるという点が肝要で、《パラレルエクシード》と合わせてサーチ範囲を広げることができる。


ヴァレルソード・ドラゴン

高打点の破壊耐性持ちを処理するために使用。このカードの2回攻撃とアロメルス(ATK2200)の攻撃で合計打点が8200となる。故に、蟲惑魔モンスターを5体並べるとアロメルスの蘇生効果を絡めつつワンショット達成となる。


コズミック・サイクロン

本デッキは展開の起点を通常召喚に依存する以上、後手からの攻めにおいて相手の妨害を手数で越えることは多くの場合不可能であるため、展開前に相手の妨害を剥がすこのカードは重要。破壊ではなく除外であるため墓地効果や再利用を防ぐことができ、特に対エルドリッチや対閃刀姫のような墓地の魔法罠が重要となる相手に刺さる。

本デッキ特有の使い方として、「罠を墓地に溜めないために自分の罠を除外する」というものがある。次に示すオシャレプレイングは稀に実践するため、覚えておきたい。

  • 自身が発動した罠を対象にチェーンしてコズサイを発動し、その罠を除外することで墓地に罠を溜めない

  • 相手のバック破壊にチェーンしてコズサイを発動し、自分の罠を除外することで墓地に罠を溜めない

  • ブリガン発動時に増Gをチェーンされた場合、コズサイでブリガンを除外することで相手のドローを防ぐ(この場合墓地にブリガンは溜まらず、通常罠が発動したという履歴だけが残るため、相手のドローを許容すればセラのリクルート効果も問題なく発動する)


強欲で貪欲な壺

サーチ依存度が低く、なおかつ手札が増えづらい本デッキにとってはありがたいドローソースである。さらに、うららを誘導する役割もある。ただし、発動時のコストでデッキ内のティオや狡猾が全て除外されてしまえばデッキコンセプトが崩壊する。デッキ内のティオの枚数はループ回数に直結するため、全除外とまではいかなくとも、1枚でも減れば戦略が変わってくる。

初手5枚に蟲惑魔を引けなかったと仮定すると、デッキ(初手5枚を除く35枚)内に8枚存在する蟲惑魔を2ドローで引くことができる確率は41.0%(なお、ブリガン等の3枚存在するカードに関しては16.6%)であり、リターンが10枚裏側除外というコストに見合っているかは微妙なライン。本デッキには金謙やアトラクターといった強貪で引いても活用できないカードも多く搭載され、さらに強貪自身もそういったカードに該当するため、2ドローとはいえその内訳は微妙になりがち。


王家の神殿

  • 初動から狡猾ループを回し始める

  • 通常罠を初動で使ってセラ効果を誘発する

  • 墓穴ホールを初動から構えて手札誘発を牽制する

  • 後攻初手から狡猾を使って捲る

  • ジーナやフレシアの効果発動後等、罠が墓地にある状況でもブリガンを即時発動可能

  • セラやティオ、クラリア効果でセットした穴を即時発動可能にすることで妨害数を増やす

主にこのような活用が期待でき、効果自体は本デッキとの噛み合いがかなり良いのだが、単体では仕事がないうえにダブると弱いため複数採用は厳しい。


絶縁の落とし穴

狡猾以外で唯一自分のターンに能動的に発動可能な落とし穴。リンク状態のモンスターと蟲惑魔を破壊範囲に含まない《激流葬》のような役割を期待でき、効果はそれなりに強力。それでいて墓地に罠があっても使用可能なので、テーマとしての動きの安定感を高める効果にも期待できる。ただし、やはり腐っても召喚反応系という点が足を引っ張って使いづらさがあるうえ、リンク召喚を行わないデッキに対してはそもそも妨害として機能しない。


底なし落とし穴

表示形式の変更できない裏守備モンスターは処理手段が限られるため、相手の場を圧迫し続けることが期待できる(場を圧迫し続けて何に繋がるかはわからない)。すでに形成された盤面に対しては無力である点、リンクモンスターに撃つことができない点、フリーチェーンではない点、撃ててもアドバンテージを取れない点、自分としても相手の裏守備モンスターの処理に苦労する点が気になる。


天龍雪獄

種族統一デッキ(幻影騎士団やドライトロン等)や主要モンスターが極端に少ないデッキ(エルドリッチ、閃刀姫等)に対し、墓地メタ+対象にとらない除外という破格の性能を発揮する。それ以外のデッキに対しても、相手が自身の墓地のモンスターを対象にとって何らかの効果を発動した際に天龍をチェーンして対象にとったモンスターを奪えば、その効果を不発にできる場合がある。対エルドリッチが重いと想定するなら採用圏内だが、《御前試合》《群雄割拠》を発動されたり、天龍の対象にとった《黄金卿エルドリッチ》がエルドリクシルカードによって墓地からエスケープされたりすると不発になる場合があるため、メタとして不安定。特に後者のパターンは頻繁に発生し、上位のプレイヤーは《墓穴の指名者》をケアして墓地からエルドリッチをエスケープさせる手段を抱えていることが多い。


ブレイクスルー・スキル

相手モンスターを対象にとってその効果を無効化するフリーチェーンの通常罠。破壊耐性や制圧効果を消し、安全に狡猾で処理できるようになる。注目すべきはその墓地効果で、自身を除外することで再度無効化効果を発動可能である。この効果は「カードの発動」を伴わないため、《崇高なる宣告者》等のカードの発動にチェーンする形の無効化効果持ちモンスターはその効果をチェーンすることができず、相手からすると極めて防ぎづらい。このカード自体が墓地に溜まりにくいうえ、展開前に相手モンスター1体を無力化でき、捲りの起点として使いやすい。墓地効果は自ターンのみ発動可能で、墓地へ送られたターンや相手モンスターがいない場合は発動不可と小回りが効かない面もある。


スターライト・ロード

自分のカードを複数除去(全体除去)から守りつつ、さらに破壊を防ぐ効果をもつ2500打点の《スターダスト・ドラゴン》を特殊召喚する通常罠。本デッキは蟲惑魔の中でも伏せは少ない部類だが、それでも致命傷となる全体除去(特に、《ライトニング・ストーム》は実質配布カードであり使用率が高い)を防げる点は魅力的。ここまで守りの面について記載したが、自分の狡猾を無効化しながらスタダを特殊召喚する能動的な攻め手としても有用であり、攻防一体なカードといえる。個人的な感想だが、スタダとブラッドローズがEXに共存する光景はアツい。


リターナブル瓶

墓地の罠を2枚まとめて継続的に処理可能な永続罠。墓地の罠だけでリソース供給が可能となるため、泥仕合に強くなる。対エルドリッチや対閃刀姫ではこのカードがあるだけでかなり粘りやすくなる。アトラと組み合わせると、手札に回収した狡猾を即時発動可能。


マクロコスモス

先攻番長するためのカード。相手の墓地利用を封じつつ、狡猾DLを回避できる。エルドリッチは自身を墓地に送るコストが支払えずに破壊効果を使用できなかったり、ドライトロンは《宣告者の神巫》の効果でヌトスを墓地に送れずに破壊効果を使用できなかったりと、このカードに対する解答が少ない,
あるいは存在しないデッキも多い。
ただ、狡猾が墓地にいかないためループせず、妨害数は減りがち。



さいごに

いかがだったでしょうか。本稿を通じて、蟲惑魔の魅力がほんの少しでも伝われば幸いです。
個人的にはまだまだ伝えきれなかった部分も多いので、要望があればTwitter等の媒体で発信していくことができたらと存じます。

また、もし遊戯王の確率について深く知りたいと思っていただけたなら、有料版の記事<https://note.com/xtraptrix/n/n0796d17a3ed0>のご購入も検討していただけたら幸いです。

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