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狡猾ループ軸蟲惑魔概論第二版(2022/08/13)



はじめに

こんにちは。通称デュエルアカデミア数学科、あまり知られていない名前の方では「えくす」でございます。
私が遊戯王マスターデュエルにて使用し、形を変えながら毎シーズン最高ランクに到達している狡猾ループ軸蟲惑魔の最新構築を紹介・解説します。
私が初めてリリースした記事(https://note.com/xtraptrix/n/nf1136c059e94)と重なる内容も多いですが、《天獄の王》や新規《スモール・ワールド》(以下SW)の登場、環境の変化や私がランク戦に挑む中での構築理論の変化等、様々なリニューアルがありますので、またまた長文になりますがお付き合いいただけたらと思います。

動画は「【狡猾ループ軸】とは(動画付き)」の項にあります。今後も何か解説動画を追加していけたらと考えています。

ささやかながら、「採用理由および使い方」の項ではカード名に遊戯王カードWiki様のページリンクを貼らせていただいております(遊戯王カードWikiは誰でも編集できるページですので、リンクを踏む際は自己責任でお願いいたします)。


 緒言

蟲惑魔の強み

 最近はモンスター効果に対するメタが豊富であり、展開や除去・妨害をモンスター効果だけに依存した戦略は安定性に欠けるため、時代が一周回って罠型デッキが評価されるようになってきたといえる。そのような中、蟲惑魔というテーマの強みは、派手な展開を必要とせずに「落とし穴」の形で除去・妨害を用意できる点であろう。また、展開や妨害準備の起点となる《セラの蟲惑魔》はLINK-1であるため、着地までのハードルが低く妨害を受けづらいうえに罠耐性があり、盤面形成までの事故率・被妨害率の低さは強みの一つである。往年の汎用カードである《トリオンの蟲惑魔》は召喚時に落とし穴をサーチしつつセラに繋げることができ、実質的に一枚初動として機能する。このように、メインデッキはトリオン+落とし穴、EXデッキはセラだけで一応デッキとしての体裁をなすコンパクトがあり、落とし穴以外の通常罠および環境に合わせた誘発など、採用カードの拡張性もこのテーマの魅力である。メタへの耐性という観点では、盤面形成までに誘発を貰いづらいのは前述の通りだが、テーマ全体として墓地依存度が低く墓地メタを食らいづらい点も強みといえるだろう。

 

蟲惑魔の課題と解決策

 蟲惑魔デッキが抱える課題について、それぞれ解決策を考察する。

  1. 罠型デッキゆえの遅さおよび蟲惑魔モンスター展開起点における召喚権依存度の高さ(相手の妨害を越えるための手数の少なさ)から、後攻での脆さが顕著

  2. 「セラ+通常罠」という最低限の盤面に繋がる1枚初動はトリオンのみで、その他は蟲惑魔+通常罠という形の2枚初動であり、確率的に不利

  3. 《フレシアの蟲惑魔》以外のモンスターによる妨害がテーマ内に存在しないため罠を妨害の主軸にするという発想になるが、バック破壊に対抗しうるカードがテーマ内に存在しない

  4. 手札が増やしづらい

  5. テーマ内で用意できる「落とし穴(ホール)」が妨害として貧弱であり、かつ先攻でしか機能しないものが多い

1.を補うために、相手の先攻展開を抑止できる手札誘発の搭載は推奨される。搭載枚数の目安としては、初手5枚のうち1枚以上の手札誘発を握ることが期待できる8枚以上を理想とし、《ディメンション・アトラクター》や《増殖するG》、《原子生命態ニビル》といった単体での展開抑止・盤面干渉力が高い手札誘発を採用したい。
ただし、4.の通り手札が増えづらいという課題があり、手札誘発と相手の指名者カードの1:1交換を許すと相手の展開が通るうえ、後攻から捲る手数も手札も少ないという窮地に陥るため、安直に1:1交換を許すような手札誘発(採用率が高く《抹殺の指名者》により無効化される、手札から捨てて発動することから《墓穴の指名者》に無効化される、上手く使っても1:1交換にしかならない手札誘発)の採用は熟慮する必要があるように思う。

そのうえで、蟲惑魔に召喚権を使う前に相手に妨害を使わせることのできる、《獣王アルファ》や《ダイナレスラー・パンクラトプス》の採用も視野に入る。

2.については、《金満で謙虚な壺》《スモール・ワールド》の採用により多少の改善が見込まれる。詳しくは後述。

3.のせいでバック破壊により盤面が壊滅する可能性があるため罠だけに頼った構築は不安定であり、4.のせいで汎用カードを用いてバック破壊への対抗策を構えることもままならない。ゆえに、罠をマシマシにするなら他テーマの方が強いという始末である。この部分の解決は難しいが、《天獄の王》の採用により多少の改善が見込まれる。

最も致命的なのは5.で、落とし穴はどれも弱く、伏せて1ターン待ってからしか使えないのは罠である以上仕方ないにしても、発動タイミングが「相手の」「召喚時・特殊召喚時」に限られる(チェーン2以降の特殊召喚に対しては発動不可、電脳堺やドライトロンをはじめ着地後に処理を挟むモンスターに対しても発動不可)という受動的性能で、基本的にはアドが取れず、すでに形成された盤面の捲りに使うこともできないため、残念ながら落とし穴を入れる枚数に逆相関してデッキは弱くなると言わざるを得ない。

《狡猾な落とし穴》を除いては・・・・・!!

 落とし穴の中でも狡猾はスペックが突出しており、フリーチェーンで、アドが取れて、かつ既に形成された盤面の捲りに使うこともできる。特にフリーチェーンであるという点は大きく、落とし穴の取り回しの悪さや受動性を克服しており、セラの展開効果との相性も良好である。また、狡猾は相手のバック破壊に対してもある程度耐性があり、他の落とし穴ならなす術なく破壊されるだけである一方、狡猾ならバック破壊にチェーンして発動することで相手のモンスターを破壊できる。

 ただし、狡猾は墓地に罠が1枚でも存在すると発動できないという強烈な個性を持つため、通常のデッキ構築では使いこなすことができず、蟲惑魔デッキ使用者の中でも評価が分かれるカードではある。初動で用意できなければ完全な死に札であり、さらに通常罠で最も汎用的である《無限泡影》との相性は最悪であることから採用に至らないケースは多く、採用される場合でもほとんどはピン刺しという印象がある。また、蟲惑魔の初動を強くするための通常罠、《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》が墓地に送られた後にはもう狡猾を使うことができないのも狡猾の採用が渋られる一因であると推察される。


メインデッキにおける蟲惑魔の最適採用枚数

 結論から示すと7枚または8枚であると考える。蟲惑魔デッキが確率的に不利なのは2.で述べたところだが、残念ながら「蟲惑魔を可能な限りたくさん採用する」という電脳堺的アプローチは採用することが難しい。蟲惑魔は召喚権を要求するため手札に複数の蟲惑魔が来ると手札の有効枚数が減ること、また、セラだけ立てても妨害にならないため、「セラは立つが通常罠がない」よりも「セラは立たないが通常罠はある」の方が遥かに希望があることは蟲惑魔デッキを組む上で絶対に忘れてはならない視点である。要するに、召喚権を要求するモンスターが被らず手札の有効枚数が最大化され、なおかつセラも成立するような、初手における蟲惑魔の枚数がちょうど1枚となる確率を最大化することが肝要であるとともに、蟲惑魔を1枚も引けない事故を恐れて大量の蟲惑魔を搭載することは結果的に自分の首を絞めかねないということである。

 また、「蟲惑魔が2枚以上手札に来るととても困るが、0枚だとそれはそれで困る」というジレンマを解消するため、《金満で謙虚な壺》の採用は強く推奨される。金謙は手札の枚数を増やすことはできないが、質を劇的に高めることができ、初動の安定化に寄与する。蟲惑魔デッキは手札の量よりも質が重要となることが多い(たとえば、蟲惑魔が手札にある状態で新たに蟲惑魔をドローしても活用できない)ことに加え、蟲惑魔テーマ内で対応できる状況の幅が狭すぎるためテーマ外のカードを多数採用する必要があるため、どうしてもデッキ内のカード同士の繋がりが薄くアクセシビリティが低くなりがちという背景事情もこのカードの採用を後押ししている。蟲惑魔デッキは展開力が低く、EXデッキを多用することもないため、コストも気にならない。(一応展開力を高めた構築にすることはできるが、それは蟲惑魔デッキには不適であるという持論がある。詳しくは「構築:蟲惑魔で環境デッキに勝つために意識したこと」を参照されたい。)

 「手札の質が重要」という点で、同様に《スモール・ワールド》も非常に有力な選択肢である。(詳しくは「採用理由および使い方」の項を参照)

 さて、おそらく、蟲惑魔の採用枚数が7枚または8枚というのは普通の感覚からすればこの枚数は少なすぎると感じられるであろうが、読者に納得してもらうためにも、この最適枚数が導かれた根拠を次に示す。

  • 下表の通り、「蟲惑魔が初手5枚のうちちょうど1枚」となる確率が最大化するのは、金謙を考慮する場合は7枚採用の時、金謙を考慮しない場合(あるいは金謙に妨害を打たれた場合)は8枚採用の時である ※SWを蟲惑魔の枚数に含めても良いが、SWが妨害されて蟲惑魔にアクセスできない可能性があるほか、SWは蟲惑魔以外もサーチしたい状況が多いため、「SW1枚」は「蟲惑魔0枚から0.5枚分程度」として扱うのが無難であろう。

  • 《トリオンの蟲惑魔》および《ティオの蟲惑魔》以外のメイン蟲惑魔は明らかにパワー不足であり、通常罠へのアクセスはおろか妨害に繋がる効果すらないことから、セラのリンク素材となる以外の役割が少なく積極的に採用したいわけではない

蟲惑魔初手パターン1-4早見表
蟲惑魔採用枚数に対する各初手パターンの確率


【狡猾ループ軸】とは(動画付き)

 落とし穴の採用枚数を抑えつつも妨害数は維持し、落とし穴の中でパワーの突出した狡猾を活かすというコンセプトで誕生したのがこの【狡猾ループ軸】である。《ティオの蟲惑魔》の特殊召喚時に発動する、墓地の落とし穴をセットする効果を用いて墓地に罠を溜めることなく狡猾を拾い続ける「狡猾ループ」を主軸に据え、継続的かつ爆発的にアドバンテージを獲得することを目指す。具体的には、

  1. セラ存在下で狡猾発動 ( -1 〜 +1 ) 

  2. セラ効果でティオ特殊召喚 ( +1 )

  3. ティオ効果で墓地から狡猾セット ( +1 )

  4. セラ効果でデッキから落とし穴セット ( +1 )

という形で墓地に罠を溜めることなく、ループ1回転毎に2〜4アドを稼いでいく。他の多くの落とし穴と異なりフリーチェーンであるため、相手のターンのみならず自分のターンでもこのループを回すことが可能であり、セラの展開効果を最大限発揮することができる。


↑ 狡猾ループの解説動画

ティオではなくトリオンを特殊召喚すればループは一旦途切れるが、魔法罠破壊を行うこともできる。フリーチェーンであることを活かして《サイクロン》のような役割をもたせ、P召喚デッキや特定の永続系魔法罠に依存するデッキに対しても優位に立ち回ることが期待できる。

 蟲惑魔ミラーの際にしか役立たない耐性なので忘れがちではあるが、蟲惑魔モンスターは基本的に落とし穴耐性がある。すなわち、蟲惑魔を狡猾の対象にしても破壊されないため、相手のモンスターが0体でも気兼ねなく狡猾ループを回すことができる(この場合は1回転あたりアド+2)。こういった積極的展開能力およびアド獲得能力は【狡猾ループ軸】の明確かつ唯一無二の強みである。


【狡猾ループ軸】の課題と解決策

 しかし、このループの最大の弱点は、「狡猾が墓地にあると狡猾が使えないため、狡猾を発動することも墓地の狡猾を拾うこともできない」、すなわち「墓地の狡猾自身が邪魔でそれを拾うことができない」という詰み状態(以降、膠着状態を意味する”deadlock”より、この状態を”狡猾DL”と表記)に陥ると抜け出せなくなってしまう点である。これは致命的で、蟲惑魔の瞬間火力の低さから基本的には中長期戦を見据えなければならない中で、持続的なアドの獲得源と妨害の主軸を同時に失えばたちまち捲られるのは自明である。

 すなわち、狡猾DLの解消こそが【狡猾ループ軸】最大の課題であり、歪んだ構築や特殊なプレイングが要求される要因はここにある。狡猾DLの解消方法は主に次の2種考えられ、これらを搭載しない限り狡猾ループを主軸とするのは厳しい。

  1. 墓地に溜まっている罠を処理(除外やデッキバウンスする等して墓地から排除)する

  2. 墓地に溜まらない通常罠(*)でセラの効果を誘発、または罠によらない方法でティオを特殊召喚し、その効果で落とし穴を拾う

2は墓地の落とし穴を拾う手段であるのに対し、1は落とし穴を含む全ての罠を処理する手段であり、墓地に溜まらない落とし穴というものが存在しない現状とテーマ外の罠を採用しなければならない現状を鑑みれば、1の必要性は段違いに高い。

(*)トートロジー的な説明にはなるが、墓地に溜まる通常罠でセラを誘発し、ティオ効果で狡猾を拾っても、セラのトリガーに使った通常罠自体が墓地に溜まるため結局狡猾DLは解消できない。「墓地に溜まらない通常罠」とは、

(1)発動後に場に残る

  • 《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》

  • 《パラレルポート・アーマー》(2にも該当)


(2)除外、セット等により墓地から自身を処理可能

  • 《ブレイクスルー・スキル》

  • 《バージェストマ・ディノミスクス

  • 《迷い風》


(3)他カードとのコンボで自身を墓地から処理可能

  • 《堕ち影の蠢き》 (《影依の巫女エリアル》を墓地に送る)

  • 《ドラグマ・パニッシュメント》※

※パニッシュメントで墓地に送った《エルシャドール・アプカローネ》の効果でエリアルをサーチ/サルベージしてそのままエリアルを捨てることでエリアルの墓地効果が誘発し、即座にパニッシュメント自身を墓地から除外できる。アプカローネの代わりに《PSYフレームロード・Ω》でも可。

 狡猾ループを長期的に維持する(狡猾DLにならないように墓地罠処理を搭載する)視点も大事だが、ループが途切れた後の戦略を用意しておくことも重要である。ループが途切れた後は普通の蟲惑魔デッキとして戦うことになるが、蟲惑魔自体は火力が低く、構築を工夫しなければ長期戦を強いられる。ただ、狡猾ループというアドバンテージ獲得源を失った【狡猾ループ軸】に長期戦を乗り切るスタミナは基本的に無い。そのため、ワンショットキルを狙える瞬間火力を搭載し、ループが途切れる前(2-3回転程度)にライフを削りきる、あるいはループが途切れた場合でも即座にゲームエンドまで持ち込むことのできるような方向性の方が適切だと考えられる。


狡猾DL解消のキーカード3選

 狡猾ループ軸で蟲惑魔デッキを構築するにあたって、「狡猾DL解消」という最重要課題に重点を置く必要があり、「狡猾DL解消条件1,2」を可能にするギミックおよび「墓地に溜まらない通常罠(1)〜(3)」の搭載が不可欠であることは先に述べた通りである。しかし、「落とし穴」には墓地に溜まらないものなど存在せず、解消条件1は蟲惑魔テーマ単独では用意できないため、テーマ外のカードを導入せざるを得ない。しかしながら、墓地罠処理が可能なカードはOCGのカードプール全体を見ても限られており、召喚権を要求するカード、特定のテーマ専用カード、アクセシビリティの低いカード(サーチ・リクルート手段が存在せず、素引き頼み)、そもそも自身が墓地に溜まる罠カード等、噛み合いの悪い選択肢を除いていくと有力な選択肢はかなり絞られ、現実的に狡猾DL解消の核となるカードは次の3つに限られる。


《影依の巫女 エリアル》

《天底の使徒》や《ドラグマ・パニッシュメント》等によりEXデッキから《エルシャドール・アプカローネ》を墓地に送り、その墓地効果によりエリアルを墓地に送って墓地効果を誘発する。お互いの墓地から計3枚のカードを除外できるため、墓地罠処理と相手の墓地メタが同時に可能。パニッシュメント自体がドラグマテーマに属するカードであるためアクセシビリティが非常に高く、さらに通常罠であるためセラ効果のトリガーになる。ただし、手札に来た際に持て余す点や基本的に1回しか利用できない点は課題である。


《妖精伝姫-シラユキ》

繰り返し墓地罠処理が可能で、妨害やリンク素材の確保、打点増強や破壊・対象耐性の突破等複数の役割がある。エリアルと《おろかな埋葬》《影依融合》等の墓地送りサポートを共有する。 


《ブラッド・ローズ・ドラゴン》

お互いの墓地のカードを全て除外する効果により完全な墓地罠処理と相手の墓地メタを両立する。簡単にリンク召喚可能な《クロス・ローズ・ドラゴン》からアクセスでき、EXデッキに搭載するカードであるため前者2つと異なり素引き事故リスクがなく、メインデッキを圧迫することもない。ATK3200でありかつ破壊効果を無効化する効果をもつため、伏せ除去対策をしつつ前線を張ることができる。また、破壊されるとクロスローズの墓地効果で完全蘇生が可能であり、ブラッドローズ攻撃→狡猾でブラッドローズ破壊→クロスローズでブラッドローズ蘇生→ブラッドローズ再攻撃という流れで大幅にライフを奪うような使い方も可能であり、蟲惑魔で課題となる瞬間火力の改善に寄与する。

 

緒言のまとめ

◆蟲惑魔の弱点とその改善方法

  • 後攻に弱い:手札誘発と後攻用カード、《狡猾な落とし穴》を採用する

  • 手札に蟲惑魔0枚は困るが、蟲惑魔は召喚権に依存しているため、2枚以上来て召喚権が被る(手札の有効枚数が減る)のも困る:蟲惑魔の採用枚数を7-8枚にし、《金満で謙虚な壺》《スモール・ワールド》を併せて採用する

  • そもそも落とし穴が弱い:《狡猾な落とし穴》以外の落とし穴を採用しないか、ごく少数に抑える


◆狡猾ループに至った着想

  • 狡猾以外の落とし穴はあらゆる面でパワー不足であり、後攻に弱いという弱点を加速するものがほとんど(採用枚数に逆相関してデッキパワーが落ちるといえる)

  • 罠をマシマシにするなら他テーマの方が強い

→少ない枚数の罠を使いまわす狡猾ループにより他テーマと差別化しつつ、空いたデッキスロットに手札誘発を詰め込むことで後攻時の脆さを改善


◆狡猾ループとは

  • セラが存在する状態で狡猾を発動し、セラ効果で特殊召喚したティオの効果で墓地の狡猾を再セットする(一連の流れの中で墓地に罠が溜まっていないため、ここでセットした狡猾は再度発動可能)

  • ループ1回転あたり+2~4アドバンテージを稼ぎ出す

  • 狡猾はフリーチェーンであり、お互いのターンでこのループを回転させることができる

 

◆【狡猾ループ軸】の構築

  • 狡猾DLの解消が至上命題

  • 狡猾DLの解消で最重要なものは「墓地罠処理」である

  • 墓地罠処理が可能なカードは遊戯王のカードプール全体を見ても少なく、蟲惑魔テーマ内には1枚も存在しない

  • 狡猾ループの脆弱性を補うため、瞬間火力を上げる工夫が求められる



構築:蟲惑魔で環境デッキに勝つために意識したこと

環境デッキと同じことをしない(差別化)

 環境デッキというのは基本的に、強力な展開に繋がる1枚初動があり、どんどんアドバンテージを獲得しながら展開を伸ばすことができ、テーマ内に妨害を乗り越えるまたは手数を増やすためのカードがあり…というように様々な長所があるものだが、果たして蟲惑魔にそのような素質はあるだろうか。それは否である。
もし、ふわんだりぃずモンスターが通常召喚ではなく特殊召喚を軸に展開するデッキであった場合、現状より恐れられる存在たりえるだろうか。それは否である。
そう考える根拠は、特殊召喚を行わないという点で他の環境デッキと"差別化"できており、環境メタとして多くのデッキに3枚投入される《増殖するG》の影響を受けない点、またその増Gを対策するカードに枠を割かれることもない点が挙げられる。

 蟲惑魔には多くの環境デッキが有するような要素がない一方で、緒言で述べた通り、環境デッキとは少し異なる方向性で強みがある。

  • 派手な展開を必要とせずに「落とし穴」の形で除去・妨害を用意できる

  • (セラ+通常罠という最低限の)盤面形成までの事故率・被妨害率の低さ

これらの強みを活かすだけでは環境デッキはまだ遠く、ふわんだりぃずのように環境ニッチの隙間をつくような構築をしてはじめて環境デッキに多少渡り合うことができると私は考える。

そのような構築を実現するひとつの方法として、蟲惑魔デッキに採用されがちな《パラレルエクシード》や《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》といった展開札を”採用しない”ことが挙げられる。
これらのカードは展開を伸ばすことはできるが、決して自身が初動になることはない(初動安定化に寄与しない)うえ、妨害を越えるための手数にもならない。
さらに、増Gや《原始生命態ニビル》という環境デッキと同じ弱点を抱えることになるので、これは避けたい

そもそも、相剣における《白の聖女エクレシア》や電脳堺における《緊急テレポート》のように、展開助長・初動安定化・手数増強を兼ねる展開札(展開”もできる”札)と蟲惑魔の展開札(展開”しかできない”札)は本質的に立ち位置が異なることは認識すべきであると考える。


無理なものは諦める(取捨選択)

 そもそも蟲惑魔は幅広い状況に対応できるテーマではないため、無理なものは諦めて「選択と集中」を行い、トータルの勝率を重視した構築を組む戦略である。
最たる例として、《ジ・アライバル・サイバース@イグニスター》等のいわゆる完全耐性を有するモンスターの処理は初めから諦めている。多くの場合壊獣を採用することで完全耐性の突破は可能になるが、壊獣より他のカードに枠を割く方が総合的な勝率が高くなると判断した。
他には「壊獣カグヤ」デッキも相当苦手で、(これは私の技量の問題かもしれないが、)勝率は3割程度になってしまっている。
《EM五虹の魔術師》を採用することで壊獣カグヤを封殺できる可能性はあるが、壊獣カグヤ以外のデッキに対する勝率は下がると思われる。

 私は、「環境トップ以外との対面において、and条件が4つ以上並ぶレアケース」への対応は諦めてよいという持論がある。
この持論に照らし合わせて完全耐性への対応について考えると、「2022年7月現在そこまで多くない完全耐性を有するデッキにマッチングし、and先攻を取られ、and相手に完全耐性を実現できる手札が揃い、and相手が完全耐性を目指すプレイングをとり、andこちらの手札誘発が通らない(orこちらに手札誘発がない)」場合(and条件5つ)なので対応を諦めたというロジックである。


召喚権の存在を意識する(最適化)

 蟲惑魔を引かないとセラが立たない一方、召喚権を要求するモンスターが手札にたくさん来るともっと困る。
そのため、構築レベルで「蟲惑魔がちょうど1枚手札に来る」ことを目指すのはもちろん、蟲惑魔がダブついた時にコストとして活用できるカード(SWやディノミスクス等)や蟲惑魔が0枚の時に引きにカード(SWや金謙等)の採用が重要であると考える。

 また、1度しかない召喚権に依存している蟲惑魔デッキにおいて、蟲惑魔に召喚権を使う前に(召喚権を使わずに)相手の妨害を踏むことができるカードの重要性は非常に高いと考えられる。

  • 蟲惑魔モンスターの枚数は7枚か8枚に留める(緒言参照)

  • ダブついた蟲惑魔をコストにできるカード、蟲惑魔を引きにいけるカードの採用

  • 後攻時、召喚権を使って出した蟲惑魔に妨害を当てられないように、《獣王アルファ》等の召喚権を使わずに相手の妨害を消費できるカードや《ダイナレスラー・パンクラトプス》《コズミック・サイクロン》のような伏せ除去をできるカードを採用する



【狡猾ループ軸】の構築

【 モンスター 】26
トリオンの蟲惑魔 ×3
ティオの蟲惑魔 ×3
アトラの蟲惑魔
天獄の王 ×3
教導の聖女エクレシア ×3
教導の騎士フルルドリス
影依の巫女 エリアル
獣王アルファ
ダイナレスラー・パンクラトプス
ディメンション・アトラクター ×3
増殖するG ×3
PSYフレームギア・γ ×2
PSYフレーム・ドライバー


【 魔法 】6
金満で謙虚な壺 ×3
天底の使徒
スモール・ワールド ×2


【 罠 】8
狡猾な落とし穴 ×2
墓穴ホール
ドラグマ・パニッシュメント
強制脱出装置
バージェストマ・ディノミスクス
迷い風
次元障壁


【 EX 】15
セラの蟲惑魔 ×2
クラリアの蟲惑魔
クロス・ローズ・ドラゴン
ブラッド・ローズ・ドラゴン
PSYフレームロード・Ω
灰燼竜バスタード
エルシャドール・アプカローネ
旧神ヌトス
天霆號アーゼウス
アロメルスの蟲惑魔
十二獣ライカ
十二獣ドランシア
十二獣ワイルドボウ
御影志士


メインデッキの入れ替え候補(比較的自由な枠)

  • アトラの蟲惑魔:単体での役割は少ないが、不採用にすると欲しくなる不思議な蟲惑魔

  • ダイナレスラー・パンクラトプス:不採用にするとSWネットワークの繋がりが悪くなるほか、後攻時の突破力が低下する

  • 天獄の王:SWネットワーク上の繋がりは薄いうえ、被るとやや弱いので減らすことは検討できる

  • 増殖するG:外す理由を探すとすれば、相手に対策されやすいこと、アトラクターと噛み合わないことが挙げられる

  • バージェストマ・ディノミスクス/迷い風/次元障壁:この3枚はメインギミックと直接的には関係していないので、環境を鑑みて柔軟に調整できる

ただし、通常罠の枚数を8枚未満にするのはあまり推奨されない(詳しくは「事故率」の項で述べる)。




採用理由および使い方


【 モンスター 】26枚


トリオンの蟲惑魔 ×3

召喚時に妨害をもらわなければセラ+狡猾が揃うため、以降の展開で妨害をもらっても最低限の布陣が整う。狡猾ループは1回転毎に最大+4アドになり、トリオン召喚時のサーチを含めて最大+5アド(強欲な壺5枚分)となるため、3枚採用しない理由がない。ティオとは異なり、特殊召喚時効果は名称ターン1のない強制効果であり、タイミングを逃すことがないうえ、相手に魔法罠がなくても強制発動する。ゆえに、状況によらずセラの穴セット効果を誘発することができる。対罠ビートでは、ティオ、セラ、アロメルス、クラリアを総動員してトリオンの特殊召喚回数を稼ぎ、相手の罠を剥がし続けることでアドバンテージ差をつけていく。なお、トリオン+天獄が手札に揃った場合、返し自分のターンにワンショットキルできるルートが存在する。詳しくは《天獄の王》の項を参照されたい。

★細かいプレイング
蟲惑魔上級者はセラ+ブリガン展開を行う際、相手の増Gをケアするためにブリガンをセットしてから蟲惑魔を召喚することが多い(詳しくは「採用候補」項の《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》のカード紹介)。これを逆手にとり、トリオンに対する灰流やヴェーラーを回避するプレイングが存在する。

相手プレイヤーが蟲惑魔に対する理解度が高い場合、「何かしらの魔法罠をセット→トリオン召喚」というこちらのプレイに対して、相手はセットしたこちらの魔法罠がブリガンであることを疑い、トリオンに対して灰流やヴェーラーを発動しない(セラ+ブリガン展開時、セラのリクルート効果に対して使うために温存する)ことがある。

このプレイングの裏目として、相手の手札に灰流がある場合、次の相手ターンにおいてセラの効果に対して灰流を撃たれることが挙げられるが、「トリオンに灰流を撃たれて0妨害になるよりセラにうららを撃たれる方がマシ」という場合が多いので、このプレイングはぜひ覚え、積極的に活用したい。



ティオの蟲惑魔 ×3

特殊召喚時に墓地から狡猾をセットする、狡猾ループ成立の要。特殊召喚時効果は「時の任意効果」であるため、セラのリクルート効果がチェーン2となった場合(例:墓地効果を有するモンスターを狡猾で破壊した場合)はティオの効果がタイミングを逃す点は気をつけたい。また、このカードの効果でセットした穴は次の自分のエンド時に除外される点にも気をつけたい。なお、穴を拾う効果は名称ターン1。



アトラの蟲惑魔

無効化不可能な狡猾を手札から撃てるため後攻からの捲りに使いやすく、《フルール・ド・バロネス》や《ヴァレルロード・S・ドラゴン》をはじめとする無効化効果を持つ制圧モンスターを後攻初手から排除可能。落とし穴のみならず全ての通常罠を通し放題になるため、ディノミスクスやパニッシュメント等のその他の除去札も強く使うことができる。見方を変えれば、SWによるサーチやセラによるリクルート、金謙によるピック等、このカードに繋がる動きは相手の視点からは全てマストカウンターに見えるし、見えなければタダで捲ることができる可能性がある。このように、無効化を許さない捲り手段であるアトラを活かすことは蟲惑魔と他の罠テーマとの差別化に繋がる。そして、狡猾こそこの強みを最も効果的に引き出すことができるカードである。とはいえ、単体ではアドを取る効果がなく、展開も妨害もセラ効果の誘発もできない。



天獄の王 ×3

こちらの記事(https://note.com/xtraptrix/n/n6a369ae7698a)で詳述しているが、本デッキでは次のような強みが発揮される。

  • 伏せ除去対策になるため、墓地に溜まるカウンター罠が採用困難という狡猾ループ軸の構築面での課題が軽減される

  • 天獄公開中は《セラの蟲惑魔》のリクルート効果に対して相手が《灰流うらら》をチェーンすることを防ぐことができるプレイングがあり、ティオのリクルート妨害に伴う狡猾DL突入を防ぐことができる(ただしMD内のバグにより、このプレイングは7/22現在不可能になっている)

  • 手札2枚から容易に8000打点に届く;特に、強脱で天獄を手札に戻した場合、戻した天獄をそのまま特殊召喚可能であり、天獄1枚で6000打点を稼ぐことができる(その強脱自体も天獄によりセットできる)

  • 《天底の使徒》をはじめとする墓地罠処理カードへのアクセスが容易になる

  • 捲り札をサーチするSWやデスフェニの蘇生ループを止める《次元障壁》等、困難な状況を打破できるカードにアクセスできる

「公開していなくても手札から特殊召喚自体は可能」という点は常に意識して立ち回りたい。というのも、天獄の3000打点はリーサル火力として非常に優秀であり、前述の強脱とのコンボ以外にも、御影志士効果で天獄をサーチした後にセットカード(魔法でもOK)を発動して特殊召喚したり、セットしてあるSWを発動してサーチした天獄をそのまま特殊召喚したり、天獄が現れるのを期待して金謙をセットしてから発動し、手札に加えた天獄をそのまま特殊召喚したりと打点要員として活躍させられる機会が多いからだ。



教導の聖女エクレシア ×3

EXデッキから特殊召喚されたモンスターが場にいれば手札から特殊召喚可能で、本デッキではLINK-1のセラがいるためこの条件を充足しやすい。召喚・特殊召喚時効果はドラグマカードのサーチで、フルルドリスにもパニッシュメントにも繋がる。
サーチ効果の発動“後”はEXからモンスターを出せなくなるが、展開の最後に使えばこの制約は気にならない。なお、残存効果という扱いなので、灰流や《エフェクト・ヴェーラー》等で効果が無効にされた場合はEXにかかる制約も無効になる。この点を利用して、相手の盤面に見えている無効系妨害を使わせた後に他のLv4モンスターと合わせて十二獣ライカをX召喚し、ドランシア→ワイルドボウ→アーゼウスと繋いで盤面を捲るというプレイングも可能。
サーチ効果を破棄すれば単純に召喚権を消費しないリンク素材あるいはランク4のX素材として活用可能。
EXから出てきたモンスターに戦闘破壊されない効果もあり、時間稼ぎにも使いやすい。本デッキでは初手で蟲惑魔が重なりにくいような構築をしているため初手に蟲惑魔が存在しないことも多いが、その際には召喚権を使って妨害を構える。
本デッキのメインモンスターでは唯一の手札のモンスターカードを増やすことができるカードであり、フルルドリスあるいは大神祇官をサーチし、さらにSWを併用するとデッキ内の全てのモンスターがサーチ可能である。(大神祇官を採用しない場合サーチ範囲が狭まり、蟲惑魔や獣王へのアクセスが不可能になる。)



教導の騎士フルルドリス

エクレシアの効果でサーチ可能な手札誘発。対象をとらない無効化効果は、対象をとる効果に偏りがちな本デッキでは大変重宝し、後手からの捲りとしても先手で構える妨害としても優秀。それに加えて実質3000打点を有することから、本デッキが苦手とする《エルシャドール・ミドラーシュ》や《超雷龍サンダー・ドラゴン》の処理が可能になったり、狡猾ループが途切れる前に勝負を決めやすくなったりする。なお、セラ(800)+アロメルス(2200)+エクレシア(1500+500)+フルルドリス(2500+500)の総攻撃力は8000となるため、狡猾で場を空けてこれらで攻撃すればゲームが終わる。



影依の巫女 エリアル

基本的な使い方はアプカローネからサーチしてそのまま墓地に捨て、墓地効果を発動するという形。お互いの墓地から計3枚のカードを除外する墓地効果を持つため、相手の墓地リソースの削減はもちろん、自分の狡猾DL解消にも寄与する。ただし手札に引いている場合は前述のアプカローネルートによる墓地効果の発動ができないため、ディノミスクスの効果処理によって捨て、墓地効果の発動を狙う。



獣王アルファ

対象を取らない手札バウンス効果という質の高い除去効果を内蔵したを持つ特殊召喚モンスターであり、盤面の捲りや破壊・対象耐性の突破に役立つ。これにより、突破が困難な《超雷龍ーサンダー・ドラゴン》や《エルシャドール・ミドラーシュ》の突破が容易になる。しかも打点が3000と高く、《流離のグリフォンライダー》や《フルール・ド・バロネス》等の制圧モンスターも獣王単体で処理可能。特殊召喚効果にはターン1が無いため、起動効果を使用して自身が手札に戻った後、条件を満たしていればもう一度特殊召喚でき、かつダイレクトアタック以外の攻撃なら可能。手札に戻した後はSWのコストとするのも良い。ステータス面での噛み合いが強く、SWのネットワークの中核をなす。



ダイナレスラー・パンクラトプス

後攻初手において、蟲惑魔が召喚無効や着地狩りを受けないように盤面を整える先鋒。お互いにリソースを消耗しきった終盤においても無類の強さを誇る。効果発動時に自身をリリースして場を離れるため、《スキルドレイン》でさえ突破可能であり、SWからサーチできる《サイクロン》的な役割でも活用できる。
攻撃表示の《黄金卿エルドリッチ》や《エルシャドール・ミドラーシュ》、守備表示の《フルール・ド・バロネス》を上回るATK2600を有するため前線を張らせても強く、破壊効果に加え戦闘によっても相手の妨害をクリアできる。



ディメンション・アトラクター ×3

展開系から低速デッキまで幅広く刺さり(エルドリッチ、ドライトロン、鉄獣戦線、プランキッズ、閃刀姫、幻影騎士団等のデッキは墓地リソースあるいは墓地効果を重要視するため、アトラクターを発動されたら動くことが非常に難しい)、墓地依存度が高いデッキは何もできなくなるため発動すればそのままターンを渡してくることさえある。本デッキは墓地依存度が低いどころか、墓地にカードが無い方が動きやすいデッキなので、相手の妨害と自分の補助を両立しており、本デッキの強さを陰で支えるカードであるといえる。
一方、このカードの適用下では増G等、コストとしてカードを墓地に送る必要があるカードはお互いに使用不可になり、天底やパニッシュメントは効果処理ができなくなる。この点を逆に利用し、相手エンド時までにこのカードを発動しておくことで、次の自分のターンにおいて相手は増Gや《エフェクト・ヴェーラー》等の"墓地に送って発動する"系の手札誘発を発動することができなくなる



増殖するG ×3

最強の展開抑止力を有する手札誘発。いわゆる環境デッキはこのカードを無効化するカードを大量に投入しており、特にあらゆるデッキに投入される《灰流うらら》により無効化される場面は非常に多い。ただし、灰流を使わせること自体にも価値があり、セラに対しても撃たれる灰流を消費させることになる。
昆虫族でありクラリアのリンク素材になれるため、ダブついた場合や中盤以降に引いた場合も活用法はある。金謙で増Gをピックすると(場合によってはピックしなくても「増Gは既に手札にあるのか?」と)、相手にその存在を意識させることができるため、自分が展開する、あるいはセラ効果でリクルートする際の灰流を抑制できる。「先攻では役に立たないカード」と言われがちだが、こと本デッキにおいてその主張は成り立たない。


PSYフレームギア・γ+PSYフレーム・ドライバー

無効+破壊という手札誘発の中で最強の妨害力により、相手の最終盤面を脆弱にして捲りのハードルを下げたり、後攻時の捲りの手数にしたりできる。
先攻でも、壺やSWに対してチェーンされた灰流や増G(※SWから灰流や朱光をサーチされる前に増Gを撃つプレイがある)、アトラクターに対してチェーンされた増G(※アトラクター適用後は増Gが使えないため、相手はアトラクターにチェーンするしかない)に対してγを発動し、自分の動きを通すことが可能。特殊召喚後はレベル8シンクロに繋がるため、墓地罠処理能力を有する点で本デッキと相性の良い《PSYフレームロード・Ω》を出すこともできる。
上述の利点がある一方で、モンスターがいると効果発動できない・2枚目のγはほぼ腐る、全く活用方法のないドライバーの採用を強要されるというピーキーさを抱えているが、本デッキではSWによって他のカードに変換することを可能にし、ピーキーさをマイルドにしている。
ちなみに、狡猾でドライバーを破壊すれば1試合で2回γを使うことができる。



【 魔法 】6枚


金満で謙虚な壺 ×3

召喚権被りを避けるために本デッキは蟲惑魔の採用枚数を抑えている関係上、初手に蟲惑魔が1枚もない状況がわりと発生するが、そういった場面では特に有用。逆に、蟲惑魔を握っている時に蟲惑魔を引いても仕方ないため、無差別ドローよりも選択肢の中からピックできるこのカードの方が有用となる場合が多い。
サーチ不可能な1枚採用のカード(獣王、パンクラ等)のカードですら先攻時は17.6%、後攻時は21.0%でアクセス可能(金謙不採用時はそれぞれ12.5%、15%)となるため、様々なカードを”薄く広く”採用し、幅広い相手に対応できるように構築している。
なお、通常罠およびそれに繋がるカード(トリオンやエクレシア、天底、SW)を合計15枚以上採用すれば(本デッキは17枚)それらのカードが初手に存在しない確率が5%未満になる。(※)
コスト候補:十二獣3種、ローズドラゴンセット、Ω、灰燼竜、クラリア

※統計学的に、自然科学の分野では「5%未満の確率の事象は偶然では起こらないといえる」という一定の基準がある。ただし、相手の妨害によって通常罠にアクセスできない状況も当然起こり得る。



天底の使徒

ヌトスで盤面除去、アプカローネで墓地罠処理&墓地リソース削減、灰燼竜でさらにリソースを構える等状況に合わせた効果発動したうえで、エクレシアをサーチし、そのエクレシアの効果で各種ドラグマカードをサーチ可能であり、1枚で獲得できるアドバンテージの量が尋常ではない。
特に、本デッキにおいては天獄からアクセスできる墓地罠処理カードとして優秀である。天獄+エクレシア+フルルドリスでゲームエンドに近いダメージをたたき出しつつ墓地罠処理を行い、狡猾による"詰め"の段階に移行することができる。



スモール・ワールド ×2

初動でありながらサーチ手段が乏しいトリオン、魔法罠破壊を防ぐために欲しい天獄、捲りに寄与するアトラや獣王、パンクラなど、状況に応じた様々なカードをサーチできる。発動可能性を失ったγやアトラクターといったピーキーな手札誘発、召喚権を要求するためダブついても活用しづらい蟲惑魔、ドライバーやエリアルといった完全なノイズ等を他の有用カードに変換でき、結果的に有効な手札の枚数を増やすことに繋がる。
本稿では便宜上「コスト」と表記しているが、SWの効果で手札からモンスターを除外するのは「効果処理」であり、仮にSWに対して灰流等による無効化を食らったとしても1:1交換で済む。そのため、相手の1妨害を踏むためのカードとしても優秀。

たとえば、トリオン3枚、トリオン以外のSWでトリオンに繋がるモンスター23枚、金謙3枚、SW2枚採用時、先攻時62.4%、後攻時69.8%でトリオンを初手に引き込むことができる。SW無しだと先攻時44.3%、後攻時51.0%であり、20%近く確率が増加することになる。

ステータスが1つだけ共通している繋がりを示した図。 SWを発動し、あるモンスター(A)を変換する場合、Aから2画で到達できるモンスターをサーチ可能。



【 罠 】8枚


狡猾な落とし穴 ×2

妨害から捲りまで役割が広く、先攻および後攻、自分ターンおよび相手ターンどのような場面でも強い唯一の落とし穴。単体性能は最強といえる落とし穴であり、フリーチェーンゆえセラのポテンシャルを最も強く引き出すことのできるカードでもある。対象を取る破壊効果であり、これらに耐性があるモンスターが出てくる直前のタイミングを見極めてその素材を破壊したい。蟲惑魔(X素材のない蟲惑魔Xを除く)は穴耐性を持っているため、狡猾で蟲惑魔2体を対象にとる空撃ち的な使い方をすることも多い。むしろ毎ターン発動しないとティオの制約上、盤面の狡猾が減ってしまう。
狡猾DL下では全ての狡猾が腐るため、3枚採用はややピーキー。しかし1枚採用ではその1枚が除外されると再利用不可(ループが途切れる)となるため、一旦狡猾が墓地に落ちるとティオで拾うか何らかの手段でデッキに戻す以外の狡猾DL解消法がなく、運用が非常に窮屈になる。中庸な選択として2枚採用にしているが、素引きも強いため3枚採用も選択肢。
2022年7月現在、勇者ギミックの《流離のグリフォンライダー》が大流行しているが、グリフォンは無効化効果の処理時に自身をデッキに戻せない場合効果が処理されないため、無効化効果にチェーンしてグリフォンを破壊すれば無効化効果を不発にできる。



墓穴ホール

このカードは「ホール」だが、実質的に「落とし穴」と同一のカテゴリとして扱うことができるため当然アクセシビリティが良く、手札誘発を含む盤外のモンスター効果を無効化できる。バーン効果で2000ライフを削ることができればワンショットの要求値が劇的に低下し、現代のデッキに多いライフポイントを軽視しているタイプ相手にはキルカードにもなり得る。また、このカードを使い回してバーンし続ける戦術をとることも考えられ、特に対エルドリッチ戦では墓穴ループ軸として戦う方が強い。実は名称ターン1がついておらず、複数枚採用も視野に入る。



ドラグマ・パニッシュメント

エクレシアやそれに繋がる天底等の存在から、アクセシビリティの高い通常罠。対象をとる破壊効果である点や次ターン終了時までEXが使用不可になる点は微妙。ただ、EXから墓地へ送るモンスターをアプカローネにすることで「墓地罠処理もできる、墓地に溜まらないフリーチェーンの通常罠」という狡猾ループ軸では最も必要とされる要素を持ったカードになる。また、ヌトスを落とすことで《スキルドレイン》はじめ永続系の突破に使うこともできる。
ちなみに、セラの存在下でこのカードを使った場合、セラ効果をチェーン1、墓地に送られた自分のEXモンスターの効果をチェーン2とすればセラ効果に対して灰流を撃たせないプレイングが可能。



強制脱出装置

フリチェバウンスの通常罠。破壊以外の除去が可能という点でも噛み合っているが、セラを対象にとってセラのリクルート効果を誘発したり、蟲惑魔を戻して召喚時効果を再利用したりといった使い方もできる。特に、自場の天獄をバウンスした場合、手札に戻った天獄の特殊召喚効果(場合の任意効果)を使用することができるため、3000打点で実質2回攻撃させることも可能。



バージェストマ・ディノミスクス

本デッキでは不足しがちな破壊以外の除去が可能であり、表側カードならなんでも除外できるため、《スキルドレイン》等の永続系カードも除去できる。セラを対象にとって発動してセラのリクルート効果を誘発させることも可能であり、フリーチェーンである強みが活きやすい。また、罠の発動にチェーンして自身を墓地から特殊召喚できるため墓地に溜まりにくい点や、手札に来てしまったエリアルを“効果で”捨てることができる点も優秀。



迷い風

墓地に溜まりづらいフリーチェーンの通常罠。《ブレイクスルー・スキル》と類似点が多く、採用は好みが分かれるところ。次に両者を比較した際の利点と欠点を整理した。

特に、「迷い風は自分のモンスターにも撃てる」という点が優秀であり、「セラ+ブレスル」盤面時に魔法罠除去を受けると何もできないのに対し、「セラ+迷い風」盤面時は迷い風をセラに対して発動することでセラのリクルート効果を誘発し、盤面をリカバリーできる。
また、効果無効が永続であるため、相手の置物による制圧を許さないほか、相手の破壊耐性を消し、墓地を整えてから狡猾で処理するという時間的猶予がある。



次元障壁

そのターン中永続的に特定召喚法を封じるという拘束力の高さを有しながら、手札誘発では防げず、万能妨害でカウンターするしかないという無効化の受けづらさが非常に魅力的である。また、発動条件のないフリチェ通常罠であり、相手から魔法罠除去によって拘束力を失うということもなく、セラ効果の誘発にも使いやすい。ゲームを遅延し、その間に盤面を整えたりアド差を広げたりでき、本デッキと噛み合った効果と言える。
マスターデュエル7月環境で多い相剣、十二獣等に対してはターンスキップ級の足止め能力を発揮する。また、《D-HERO デストロイフェニックスガイ》の融合召喚およびスタンバイフェイズ時の蘇生を防ぐことができる点も優秀で、デスフェニが墓地にいる時に天獄効果で次元障壁をセットし、次ターンのドローフェイズ終了時に発動して融合モンスターの特殊召喚を封じることで蘇生ループを止めることができる。
後手からの捲り性能はそこまで高くはないが、《エルシャドール・ミドラーシュ》や《超雷龍サンダー・ドラゴン》といった置物モンスターの効果を無効化することはできる。




【 EX 】


セラの蟲惑魔 ×2

妨害および展開の要。このカードを維持しながら、狡猾ループを回して往復ターンで継続的にアドを稼いでいくのが目標。《黄金郷のコンキスタドール》や《神の通告》、《無限泡影》を初めとするあらゆる罠による除去や妨害を受けない(ただし召喚無効は受ける)ため、ステータスのわりに維持しやすい。
セラの成立後エクレシアを特殊召喚し効果を発動した時、相手は泡影(通常罠)を発動しエクレシア効果を無効化できるが、それをしてしまうとセラの②効果、続いて③効果が誘発されるため、エクレシアに対する泡影を強烈に抑制できる。

このカードに対して灰流を撃たれるのは致命傷になる可能性があり、後続が絶たれるうえ狡猾DLに突入するのでかなり苦しくなる。
そのため、構築単位で灰流の対策をしておく必要があり、金謙やSWは「相手の灰流を消費させるカード」としての役割も込みで採用している。

自分のターンに狡猾ループを回す場合、それがメインフェイズだとセラがヴェーラーを食らい、罠耐性を失ったセラが狡猾に破壊された挙げ句リクルートもできず、狡猾ループも途切れるという最悪の事態になりかねないので気をつけたい。(1敗)



クラリアの蟲惑魔

発動した穴を再セットするルール介入効果により、セラ+クラリア盤面を作れば1ターンに2枚の穴を使ってもなお墓地に罠が溜まらなくなる。エンド時の蘇生効果は、トリオンを蘇生して相手の魔法罠を剥がす、ティオを蘇生して狡猾DLを解消する、フレシアを蘇生して耐性付与する等の役割が考えられ、罠に頼らず(⇒墓地に罠を溜めることなく)この効果を継続的に使うことができる点は強力。クラリアは盤面の罠を増やせないため初動での仕事は少ないが、2ターン目以降から徐々に仕事がなくなってくるセラとは対照的に、維持すればするだけアドバンテージに繋がる。狡猾ループを維持することや再起動することに長けた縁の下の力持ちであり、デュエルが長引いた際のリソース合戦には滅法強くなる。



クロス・ローズ・ドラゴン

ローズドラゴンをS召喚するフリーチェーン効果により、ブラッドローズによる墓地罠処理と相手の墓地メタが可能。この効果は相手ターンにも発動可能であり、相手が特定のカードを墓地に落とした直後に墓地を更地にすることができる。コストには植物族のリリースを要求するが、セラやティオが該当するため簡単に供給可能。S召喚効果に《墓穴の指名者》を撃たれると結果的に1:3交換を許す形となり、アドバンテージ面や墓地罠処理の面で非常に厳しくなるので、慎重なプレイングを心がけたい。
自分の場のモンスターが効果で破壊された場合、墓地の自身を除外することでローズドラゴンを蘇生可能。本デッキでは狡猾によって自分のモンスターの能動的な破壊が可能であり、

  1. ブラッドローズ攻撃

  2. 狡猾でブラッドローズ破壊

  3. 墓地のクロスローズ効果でブラッドローズ蘇生

  4. ブラッドローズ再攻撃

という流れで6400ものライフポイントを削ることができるテクニカルなコンボがあり、急いでライフ詰めにいく場面ではこれを頻用する。ティオのATKが1700、トリオンが1600であることから、6400打点にこれらが加わればワンショットが成立する。ただし、ブラッドローズ効果で墓地を全て除外した場合、当然クロスローズも除外されるためこのコンボは不可能。



ブラッド・ローズ・ドラゴン

S召喚された“場合”にお互いの墓地のカード全てを除外する効果を持ち、狡猾DL解消能力も妨害能力も申し分ない。墓地を積極的に活用する中低速以下のデッキに対してこの効果が通れば相手はほぼ再起不能になる。さらには、相手が発動した「カードを破壊する効果の発動」を自身のリリースによって無効化でき、伏せ除去対策やモンスター破壊対策も同時に可能。完璧な墓地罠処理能力、アクセシビリティの高さ、伏せを守ることのできる破壊無効効果、狡猾により連撃が可能な3200打点という性能すべてが本デッキに求められているものであり、本デッキはこのカードを世界一上手く使うことのできるデッキであるとすら思える。



PSYフレームロード・Ω

γ+ドライバーから出すレベル8シンクロ。相手の手札の一時除外効果は相手の攻めの手数を減らしたり、相手がサーチしたカードを利用不可にできたりする点で強力。また、相手からの除去対象や狡猾の破壊対象として選択された場合にもフリーチェーンで自己エスケープができるため、場持ちの良さと狡猾効果の破壊対象としての選びやすさに優れている。さらに、墓地に送られた後は墓地効果で狡猾DLの解消や相手の墓地メタに寄与する点で、最後まで優秀。
攻撃力は2800であり、EXデッキに入っている墓地効果持ちモンスターとしては最高攻撃力を有する。2501以上2800以下のモンスター(《相剣大師-赤霄》や《電脳堺狐-仙々》等)をパニッシュで破壊したい時に活躍する。
このカードが真価を発揮するのは《教導の大神祇官》採用型である。大神祇官の効果でΩとアプカローネを落として相手の墓地リソースを刈り取った後、Ω効果で自身とアプカローネをEXデッキに戻すことで毎ターンこの動きを繰り返すことができ、長期戦に強くなる。



灰燼竜バスタード

墓地効果要員。天底を先攻初手で使う場合はこのカードを落とすことが多く、天底でエクレシアサーチ→エクレシア効果でパニッシュメントサーチ→墓地の灰燼竜効果でフルルドリスサーチという形で2妨害を用意できる。



エルシャドール・アプカローネ

墓地効果要員。効果でエリアルをサーチ/サルベージしてそのまま捨てることで、エリアルの墓地効果によりお互いの墓地のカードを計3枚まで除外する。なお、エリアルを素引きしている場合は墓地効果で墓地のアプカローネ自身をEXデッキに戻すことになるが、その場合手札を捨てる処理が発生しないため手札のエリアルの墓地効果を使用することができない。



旧神ヌトス

墓地効果要員。対象をとる破壊効果自体は本デッキでは飽和しているが、破壊対象は魔法罠でもよく、相手の《スキルドレイン》等の永続系妨害を剥がすことができる点が心強い。



天霆號アーゼウス

フリーチェーン全体墓地送りという暴力的な捲り・制圧性能を誇るパワーカード。ボードアドバンテージを取りやすくハンドアドや墓地アドが稼ぎづらい本デッキにとって、ボードを無に帰すこのカードは相性が良いとは言えないが、ボードが優勢ならそもそもこのカードを使わないため大した問題ではない。リダンが生き残りやすい(相手の除去を躱して自分のターンに帰ってくる)ためこのカードを出しやすい。また、ジーナの墓地効果により、このカードの効果で更地にした後から罠を供給できる。



アロメルスの蟲惑魔

ティオを蘇生することで狡猾DL解消ができたり、トリオンでバック破壊を行ったり、総打点を上げたりと役割が多い。細かい所では、セラは場のモンスターと同名のモンスターはリクルートできないため、一時的にその制約を解除するためにトリオンとティオをアロメルスの下にX素材として格納しておく役割もある。《応戦するG》も蘇生対象であり、サーチ効果を狙う場面もあると思われるため、同カードを採用する場合は狙いたい。
2200という蟲惑魔最高の攻撃力を有しつつ罠の効果を受けないため、比較的安全にX召喚し攻撃を通すことができ、アーゼウスの下敷き適性が高い。なお、X素材は2体「以上」なので、3体でX召喚し4素材アーゼウスにしたり、蘇生効果使用後も2素材アーゼウスにしたりといった選択肢もある。



御影志士

天獄のサーチが可能なランク4。サーチした天獄はセット状態の魔法罠の発動により即座に特殊召喚可能であるため、ランク4でありながら簡単に5300打点を出力できる。
構築上先攻でこのカードを立てることは難しいが、中盤以降も天獄は強力であり、このカードを安易に金謙のコストにすることは避けたい。
また、サーチした天獄をSWにより他のモンスターに変換する、特にアトラクターを介してエクレシアをサーチし、特殊召喚して攻めの手数を増やす動きは覚えておきたい。



十二獣ライカ

Lv4×2体でX召喚可能。アーゼウスの下敷きとなる、各種十二獣Xモンスターの下敷きとなる。



十二獣ドランシア

ライカに重ねるXモンスター。フリーチェーンで表側カード破壊が可能だが、ステータスの貧弱さから先攻初手で出すのは得策でなく、主に後手捲りの役割である。効果使用後は基本的にワイルドボウを重ねる。ちなみに、表側カード破壊効果にチェーンして狡猾でこのカードを破壊すると、相手の《スキルドレイン》を突破可能。マスターデュエルの環境が進めば禁止カードとなる可能性がある。



十二獣ワイルドボウ

ドランシアまたはライカに重ねるXモンスター。ダイレクトアタッカーであり相手の盤面に依らず攻撃を行うことが可能。攻撃後はアーゼウスを重ねることで4-5素材のアーゼウスとなり盤面捲りが可能。




相手の妨害を考慮した事故率

注意:
結論は「これくらいが最適だと思ったから罠8枚採用にした」というもので、その結論に至るまでに用いたフェルミ推定や確率計算は全て茶番である。

ここでいう「事故」とは、「先攻初手で罠を1枚も用意できない状況」であると定義する。そして、事故率の目標値は、自然科学で通例とされるひとつの統計学的基準である、「5%未満」と定めたい。

いったん相手からの妨害を無視して、まずは”理論的な事故率”を求める。
初手で罠を1枚も用意できないのは、次の(1)(2)(3)(4)(5)が全て同時に発生した時である。

  1. 罠が0枚

  2. トリオン、エクレシアが0枚

  3. 天底(エクレシアにアクセス可)が0枚

  4. SW(エクレシア・トリオンにアクセス可)が0枚か、1枚以上あってもコストとなるモンスターが0枚

  5. 金謙が0枚か、1枚以上あって発動した場合でも(1)(2)(3)(4)いずれも改善しない

そして、上で紹介した構築においてこの確率を計算すると2.39%となり、相手の妨害を考慮しない”理論的な事故率”は目標とする基準を達成している。


ただ、”理論的な事故率”はあくまで机上の空論なので、今度は相手の妨害を考慮した”実際的な事故率”を求めたい。
ただし、自分の行動が妨害されるか否かは相手の構築やプレイングに依存するため完全な計算は不可能であり、いくつかの仮定をおきながら”実際的な事故率”をフェルミ推定することとした。

  • (仮定1)相手のデッキは40枚であり、採用されている手札誘発で「効果を無効にする」という効果をもつものは《灰流うらら》3枚、《無限泡影》3枚とする。

  • (仮定2)相手は発動できる場面では必ず手札誘発を発動し、灰流と泡影どちらも使用できる場合は泡影から使用することとする。(たとえば、トリオン+エクレシアが手札にある時、トリオン召喚時効果には泡影、その後のエクレシアの特殊召喚時効果には灰流を撃たれるとする)

  • (仮定3)セラが自分のフィールドにいるとき、相手は泡影を発動しないものとする。 ※仮に発動した場合、セラ効果で蟲惑魔のリクルートと穴のセットができるため、泡影の発動如何を問わず罠は用意できる。

  • (仮定4)金謙の発動によって、トリオン、エクレシア、天底、SW、罠のうちいずれにもアクセスできないということはないものとする。 ※実際は1.1%程度発生するが、これを考慮すると計算が非常に煩雑になる

  • (仮定5)手札にモンスターがおらず、SWが発動できないことはないものとする。 ※実際はSWを引いた中で3.0%程度のパターンはモンスターが手札に存在しないパターンになるが、”モンスターが存在しないなら罠は存在する(事故ではない)”すなわち、”手札が全て魔法になることはない(万が一なったとしてもそれは金謙や天底を含む)”といえる水準なので、この3.0%は無視する。

  • (仮定6)魔法カードに対して撃たれる灰流は、手札にγがあれば防げるものとする

トリオンは召喚権を要するため、また、エクレシアは名称ターン1があるため、いずれも1ターンに1回しか効果を発動できない。すなわち、相手から泡影を撃たれる回数は最大2回であるといえる。
また、トリオンとエクレシアの効果を先攻の同一ターンに使うとしたら、トリオンからセラをリンク召喚し、エクレシアを特殊召喚するしかない。つまり、エクレシア効果発動時は必ずセラがフィールドに存在することになる。
すると、仮定3よりエクレシア効果に泡影を撃たれることはないといえるため、1ターン中に撃たれる泡影の枚数は最大1枚であるといえる。(★)

ここで、灰流は名称ターン1があること、(★)より泡影は1枚しか発動されないことから、先攻1ターン目に相手から受ける妨害は灰流+泡影の最大2回であると仮定できる。

以上を整理すると、

  • 罠を引けたら事故回避

  • トリオン、エクレシア、金謙、天底、SWの効果が一度でも通れば事故回避

  • 相手から受ける妨害は灰流+泡影の最大2回(0妨害である確率が42.3%、灰流or泡影の1妨害は42.3%、灰流+泡影の2妨害は9.8%)

  • 魔法に対する灰流はγで防げる


自分の手札における、相手に妨害を使わせながら罠にアクセスするカードの数(”手数”や”誘発貫通力”といわれるもの)を「誘発耐性」として、その数ごとに背反にパターン分けし、パターン別の確率とあわせて下表にそれを示した。

罠8枚構築(掲載した構築)における確率計算表

大雑把な推定にはなるが、計算上90.12%でしか先攻初手に罠を用意できない(事故率9.9%)ことがわかった。
目標値には達していないが、私の構築力ではこれ以上罠に枠を割くことができなかった。
勝率9割を目指すうえで、最低限かつ最適な水準がこの辺りなってくるものであると現在は愚考している。


なお、この推定方法において事故率5%未満を達成するためには、罠11枚が必要となる(下表)。

罠11枚構築における確率計算表
罠11枚構築サンプル

では、確率にこだわる者としてデュエルアカデミア数学科は事故率の低い罠11枚構築を使うのかというと、否である。
それについて、主に次のような理由が挙げられる。

  • SWの採用によってモンスターの数も重要になった

  • モンスターを削ってまで採用したいほど強力(かつ墓地に溜まりにくい)な通常罠は現在のカードプールでは少ない

  • そもそも罠が多いとデッキが動かしづらい

  • 事故率5%改善のために許容できる構築の歪みの範疇を越えている(体感)

ここまで散々数字遊びをしておいて、計算結果は特に関係なしに「これが最適だと思うから」という理由で罠8枚構築を採用するという歯切れの悪い結論に至ったこと、読者に対して非常に申し訳なく思う。



採用に至らなかった採用候補カード


リセの蟲惑魔

地属性・Lv4・植物族・1200/1600というステータスの噛み合いが凄まじく、SW相関図上ではエクレシア、エリアル、増G、獣王はもちろん、アトラクターや《壊粉壊獣ガダーラ》とも繋がる。
ただし、効果の発動条件が「墓地に狡猾 & デッキに墓穴」または「墓地に墓穴 & デッキに狡猾」という状況になるが、本デッキでは案外厳しい。というのも、セラが存在する状況で落とし穴を発動すると一瞬でデッキから穴が枯渇してしまうからだ。


ジーナの蟲惑魔

自己特殊召喚効果を持つため、他の召喚権を要求する蟲惑魔と異なり、蟲惑魔どうしで重ねて握った場合や召喚権を潰された場合でも展開に寄与することができる。また、”効果で”特殊召喚されるためセラの穴セット効果を誘発することもできる。しかし罠を墓地へ送ること(アトラクター下では効果発動不可)をコストとして要求する、すなわち狡猾DLに突入することになるうえ、チェーンブロックを作る特殊召喚効果であり増Gが直撃するのであまり自己特殊召喚効果を使いたくはない。また、墓地効果は自分の魔法罠ゾーンにカードがない場合に墓地の穴をセットするというもので、アーゼウスの効果で更地にした後に狡猾や墓穴ホールを構えておくことが可能になる。なお、この墓地効果は墓地に送られたターンにも発動可能である(①の自己特殊召喚効果を発動したターンは不可能)。
ティオ+ジーナ+穴を握っていた場合、下に示す流れで墓地に罠を溜めない展開が可能。

  1. 穴をコストにジーナ特殊召喚

  2. セラリンク召喚

  3. ティオ召喚、効果発動

  4. ジーナ特殊召喚

  5. セラ効果で穴セット

  6. ティオ+ジーナでクラリアリンク召喚

  7. エンドフェイス時クラリア効果でティオ特殊召喚

  8. ティオ特殊召喚時効果で墓地の穴セット


ランカの蟲惑魔

蟲惑魔をサーチする効果により、後続の確保を可能にする。蟲惑魔自体はジーナ以外召喚権を要求するため活用できるのは次のターン以降になり若干タイムラグがあるが、ティオをサーチしておけば次のターンにランク4をX召喚してそこからアーゼウスを立てたり、ブラッドローズワンショットに向かったりできる。(ブラッドローズワンショットに関する参考記事:https://note.com/xtraptrix/n/n54e67a80d991)

このタイムラグはSWとの併用である程度解消でき、ここでサーチした蟲惑魔をエクレシアに変換して妨害を追加したり、天獄に変換して盤面を磐石にしたりと、数少ない手札を増やせる蟲惑魔カードとしてのランカの強みがSWによって発揮される。

なお、ランカはLv4の攻撃力が1500という2点でエクレシアと共通しており、SWの相関図においてエクレシアと繋がっていない。


教導の大神祇官

ドラグマモンスターでありエクレシアや灰燼竜からのアクセスが可能。
EXデッキからお互いに2枚のカードを墓地に送る効果を持ち、《エルシャドール・アプカローネ》や《PSYフレームロード・Ω》といった墓地罠処理兼墓地メタ要員の墓地効果を発動させることができる。罠に依存しない墓地罠処理が有用なのは言うまでもない。
特に、上の2体を墓地へ送った場合、Ωの効果で自身とアプカをEXに戻せるため、毎ターン「相手の墓地3枚除外&EXデッキ2枚破壊」が可能であり、相手のリソースを大幅に削ることができる。そのため、中盤以降や狡猾DL突入後のリソース勝負という狡猾ループ軸が苦手とする部分を補うことができる。相手の墓地効果は墓穴ホールで無効化できる点も心強い。
序盤は特殊召喚条件が整わず、事故要因である点は懸念材料だが、SWによりその使いづらさを軽減できる。


壊粉壊獣ガダーラ

破壊耐性や対象耐性、制圧効果のいずれも解決することができることでおなじみの壊獣シリーズ。このカード特有の強みは、風属性であり鉄獣戦線デッキがコントロールする《烈風の結界像》の制約をすり抜けられること、昆虫族でありSWによるアクセシビリティが高く、またサーチの中継地点として優秀であることが挙げられる。
《ジ・アライバル・サイバース@イグニスター》等の効果を受けない(いわゆる完全耐性)高打点モンスターの突破が可能になる。


妖精伝姫シラユキ

1枚で繰り返し墓地罠処理ができる点で、全カードプール中で最も墓地罠処理に秀でているカードの1枚。さらに、フリーチェーンで支払い可能な除外コストにより勅命の解除やアトラクターの発動条件の充足、除去対象になった罠を墓地に溜めない動き等様々可能である。また、蟲惑魔に召喚権を使う前に妨害を踏むことができる点やランク4のX素材となる点、貴重な盤外から妨害となる点等、本デッキと噛み合う点は非常に多い。月の書効果によりフリーチェーンでの妨害や破壊耐性の無効化をもこなし、特に苦手な《エルシャドール・ミドラーシュ》や《FNo.0 未来龍皇ホープ》、《超雷龍-サンダー・ドラゴン》等、破壊耐性と制圧効果を同時に消すことができる点は非常に心強い。
アタッカーとしても優秀なATK1850を有し、シラユキ攻撃→狡猾でシラユキを破壊→(セラ効果で蟲惑魔リクルート→)シラユキ蘇生→シラユキ再攻撃という形で追撃が可能。
《墓穴の指名者》に狙われがちなカードではあるが、逆に言えば墓穴をこのカードに集めることができる。さらには墓穴の対象になった他のカードをシラユキのコストとして除外することで、そのカードの効果を無効化させずに通すこともできる。


パラレルエクシード

セラのリンク召喚時にLv4×2体を特殊召喚する手段となる。そこからアロメルスをX召喚し効果を発動することでセラの罠セット効果を誘発できるため、展開を伸ばしつつ妨害を構えることができる。変わった所では、灰流や増Gを召喚し、《転生炎獣アルミラージ》のリンク召喚をトリガーにこのカードを展開すれば破壊耐性フレシアを立てることができる。展開札としては、罠として墓地に溜まらないという点でのみブリガンに勝る。ただし、主に次のような弱点があり、採用は好みが分かれる。

  • あらゆる誘発を受けるため、展開札として不安定(特に、本デッキでは本来そこまで重くないはずの増Gを重く食らう)

  • 展開をセラの成立に依存するため、このカード自体は事故回避に繋がらない(強い状況をさらに強くする類のカードである)ことに加え、事故要因とすらなりうる

  • 蟲惑魔+パラレルという形の初手が理想だが、その形からパラレルを他の罠に置き換えても(蟲惑魔+罠という形でも)十分強いため採用の必要性がやや弱い


人攻智能ME-PSY-YA

P効果はお互いのモンスター以外のカードが墓地へ送られることなく除外されるというもの。これにより、狡猾DLを防ぎつつ相手の魔法罠の墓地利用を防ぐ。元々セラになれる点から本デッキと相性の良い《フォーマッド・スキッパー》の効果でサーチすることができるという点が肝要で、《パラレルエクシード》と合わせてサーチ範囲を広げることができる。


灰流うらら

刺さらない相手がおらず、増Gを無効化できる(蟲惑魔デッキにおいてこの恩恵は小さいが…)ため後攻のみならず先攻でも強い。ただし、基本的に1:1交換以上は期待できないうえ、刺さらない相手がいないというだけで、相手のプランを崩壊させたり相手を拘束し続けたりできるほどのパワーはないため、他のハイパワーな誘発や通常罠を優先的に採用するのも全然アリ。


屋敷わらし

地属性の手札誘発であり、SWネットワークを強固にできる。手札誘発としての性能(妨害・拘束力)は高くないとされることが多いが、相手の《墓穴の指名者》を無効化できることから、他の手札誘発を通すために役立てることができる。


応戦するG

「特殊召喚する効果を含む魔法カード」をトリガーとして誘発的に手札から特殊召喚可能なLv4地昆虫。特殊召喚後は場にいる限り墓地へ送られるカードが除外されるので、相手の墓地利用プランを破綻させつつ、狡猾DL回避にも繋がる。このカードが場から墓地へ送られた場合、増Gやランカを始めとするATK1500以下の昆虫をサーチできる。また、アロメルスで蘇生すれば繰り返しサーチ効果を発動可能。ランク4のX素材やクラリアのリンク素材としても使うことができる。
《アラメシアの儀》や《フュージョン・デステニー》が流行している状況ならば腐ることも少ない。



フレシアの蟲惑魔

デッキから落とし穴の効果を適用でき、妨害を厚くしたり、相手の手札誘発を墓穴ホールで牽制したり、後攻初手で狡猾を適用して盤面を捲ったりといった役割があり、相手の《原始生命態ニビル》の発動条件を満たす以前にこのカードを立てておくことがニビルケアになる。とはいえ、デッキが回っている場合は1~3ターン目にはデッキ内の穴がなくなるため中盤以降は基本的に仕事がないうえ、序盤はリダンの方が有用な場合が多い。なお、落とし穴の効果を「適用」するだけで、実際に「発動」されるのはフレシアの効果であり、セラのリクルート効果を誘発できない(⇒狡猾DL突入が確定)。また、罠耐性のある自身をも破壊する(フレシアの効果で他の蟲惑魔は破壊耐性を持っている)ことができ、相手の《影依融合》のデッキ融合を回避するような使い方も可能。自身以外の蟲惑魔全体に戦闘および効果破壊・対象耐性を付与する効果も優秀で、これはクラリアにより蘇生された場合でも適用される。後手で蟲惑魔+ブリガンを握っていた場合、次の1-9の流れで相手モンスター2体を破壊して盤面を捲った後にアーゼウスで蓋をする動きが可能。

  1. ブリガンをセット

  2. 蟲惑魔通常召喚

  3. セラリンク召喚

  4. ブリガン発動

  5. セラのリクルート効果が誘発し、ジーナ特殊召喚

  6. ジーナ+ブリガンでフレシアX召喚

  7. フレシア効果でX素材のジーナをコストに狡猾適用、相手のモンスター2体破壊

  8. ジーナ墓地効果発動、フレシア効果発動時に墓地に送った狡猾セット

  9. セラの穴セット効果が誘発し、デッキから墓穴セット

  10. フレシアで戦闘を行った後、アーゼウスを重ねることも可能

フレシア不採用は疑問を抱かれそうではあるため、きちんと理由を述べておきたい。フレシア採用時に50戦して、使ったのは1回であった。使わない理由の1つに金謙のコストで飛ばしてしまうからというのもあるが、フレシアである必然性の低さによるところも大きい。「フレシアがあれば勝ってた」「フレシアがいたから負けなかった」というゲームは、フレシアをEXから外した後から行った100戦以上を含めても1戦として無い。デッキ構築時点で落とし穴の種類と枚数を絞っていれば、当然デッキ内の落とし穴に対するアクセシビリティが高くなると同時にデッキ内の落とし穴がすぐに枯渇するため、デッキから落とし穴効果を適用できるというフレシアの強みが活きなくなる。
1ターン目に出せれば有用というのは間違いないが、本デッキにおいて、1ターン目からランク4が成立するのはブリガンが絡む展開以外無いといえる(ティオ+おろ埋やジーナ、サーチ効果不使用のエクレシアを絡めたランク4成立も可能だが、1ターン目には行わない)。
ブリガンが絡む前提であれば、先攻ならリダンの方が有用だし、後攻ならXが成立すれば多くはアーゼウスまで到達できるため、攻撃力の低いフレシアは優先されにくい。


ヴァレルソード・ドラゴン

高打点の破壊耐性持ちを処理するために使用。このカードの2回攻撃とアロメルス(ATK2200)の攻撃で合計打点が8200となる。故に、蟲惑魔モンスターを5体並べるとアロメルスの蘇生効果を絡めつつワンショット達成となる。


コズミック・サイクロン

本デッキは展開の起点を通常召喚に依存する以上、後手からの攻めにおいて相手の妨害を手数で越えることは多くの場合不可能であるため、展開前に相手の妨害を剥がすこのカードは重要。破壊ではなく除外であるため墓地効果や再利用を防ぐことができ、特に対エルドリッチや対閃刀姫のような墓地の魔法罠が重要となる相手に刺さる。

本デッキ特有の使い方として、「罠を墓地に溜めないために自分の罠を除外する」というものがある。次に示すオシャレプレイングは稀に実践するため、覚えておきたい。

  • 自身が発動した罠を対象にチェーンしてコズサイを発動し、その罠を除外することで墓地に罠を溜めない

  • 相手のバック破壊にチェーンしてコズサイを発動し、自分の罠を除外することで墓地に罠を溜めない

  • ブリガン発動時に増Gをチェーンされた場合、コズサイでブリガンを除外することで相手のドローを防ぐ(この場合墓地にブリガンは溜まらず、通常罠が発動したという履歴だけが残るため、相手のドローを許容すればセラのリクルート効果も問題なく発動する)


強欲で貪欲な壺

サーチ依存度が低く、なおかつ手札が増えづらい本デッキにとってはありがたいドローソースである。さらに、灰流を誘導する役割もある。ただし、発動時のコストでデッキ内のティオや狡猾が全て除外されてしまえばデッキコンセプトが崩壊する。デッキ内のティオの枚数はループ回数に直結するため、全除外とまではいかなくとも、1枚でも減れば戦略が変わってくる。

初手5枚に蟲惑魔を引けなかったと仮定すると、デッキ(初手5枚を除く35枚)内に8枚存在する蟲惑魔を2ドローで引くことができる確率は41.0%(なお、ブリガン等の3枚存在するカードに関しては16.6%)であり、リターンが10枚裏側除外というコストに見合っているかは微妙なライン。本デッキには金謙やアトラクターといった強貪で引いても活用できないカードも多く搭載され、さらに強貪自身もそういったカードに該当するため、2ドローとはいえその内訳は微妙になりがち。


王家の神殿

  • 初動から狡猾ループを回し始める

  • 通常罠を初動で使ってセラ効果を誘発する

  • 墓穴ホールを初動から構えて手札誘発を牽制する

  • 後攻初手から狡猾を使って捲る

  • ジーナやフレシアの効果発動後等、罠が墓地にある状況でもブリガンを即時発動可能

  • セラやティオ、クラリア効果でセットした穴を即時発動可能にすることで妨害数を増やす

主にこのような活用が期待でき、効果自体は本デッキとの噛み合いがかなり良いのだが、単体では仕事がないうえにダブると弱いため複数採用は厳しい。


死者蘇生

蟲惑魔召喚時に破壊効果を撃たれるとセラがリンク召喚できず、かつその後の展開にもかなり繋がりにくくなるため致命傷になりうるが、このカードを使うことでそこから立て直しを図ることができる。また、セラやアロメルスに頼らずにティオを特殊召喚する手段にもなる。セラというLINK-1を抱えるため先攻初手でも墓地にモンスターを用意しやすく、腐りにくい。展開札としても優秀で、トリオン通常召喚からセラをリンク召喚し、死者蘇生でトリオンを墓地から特殊召喚(特殊召喚時効果が強制発動)すれば、トリオンによるサーチとセラによる穴セット効果によって穴2枚を構えることができる。稀に相手の増Gを奪ってクラリアの素材にする。


おろかな埋葬

シラユキやエリアルを落とすためのカードであり、罠ではない墓地罠処理カードである。稀にジーナを落として狡猾DLを解消したり、ティオ通常召喚時効果の蘇生対象を用意したりするために使用することもある。このカードの短いテキストに込められた強さは多くの遊戯王プレイヤーが認識しているため、灰流を持っていればこのカードに撃ってくるだろうと推測でき、逆に撃ってこない場合は灰流を持っていないだろうと推測(通称”うららチェック”)できる。


幻影騎士団シェード・ブリガンダイン

遊戯王OCGの広いカードプールを探しても、初ターンで相手に依らず安定して発動できる通常罠カードはこのカードだけであるといえる。セラのリクルート効果およびその後の罠セット効果の誘発(+2アド)を初動で可能にするこのカードの存在は大きい。リダンのX素材としても重宝し、非対象デッキバウンス+フリーチェーンエスケープ持ちのモンスターをセラ+ブリガン初動で構えることができる。また、発動後は墓地に溜まらない(場に残る)通常罠であるという点も重要で、このカードでセラを誘発しティオの効果で墓地の穴を拾った場合、墓地の罠が単純に1枚減る。
初手で蟲惑魔と一緒に手札に来た場合、蟲惑魔を召喚するより前にこのカードを伏せておくと良い場合が多い。というのも、蟲惑魔召喚時に相手が増Gを撃ってきた場合、さらにこのカードをチェーンすれば、相手のドロー1枚を1枚に抑えつつランク4が立てられるからである。相手が蟲惑魔有識者の場合、ブリガンをセットした状態でトリオンを召喚すると、相手はセラ+ブリガン展開を警戒してトリオンに対して灰流を撃ってこないことがある。それを逆手にとって、ブリガン以外の魔法罠をセットした状態でトリオンを召喚し、トリオン効果を通しにいくプレイングも可能。単なる展開札に収まらない魅力がこのカードにはある。


絶縁の落とし穴

狡猾以外で唯一自分のターンに能動的に発動可能な実戦レベルの落とし穴。リンク状態のモンスターと蟲惑魔を破壊範囲に含まない《激流葬》のような役割を期待でき、効果はそれなりに強力。それでいて墓地に罠があっても使用可能なので、テーマとしての動きの安定感を高める効果にも期待できる。ただし、やはり腐っても召喚反応系という点が足を引っ張って使いづらさがあるうえ、リンク召喚を行わないデッキに対してはそもそも妨害として機能しない。


底なし落とし穴

表示形式の変更できない裏守備モンスターは処理手段が限られるため、相手の場を圧迫し続けることが期待できる(場を圧迫し続けて何に繋がるかはわからない)。すでに形成された盤面に対しては無力である点、リンクモンスターに撃つことができない点、フリーチェーンではない点、撃ててもアドバンテージを取れない点、自分としても相手の裏守備モンスターの処理に苦労する点が気になる。


天龍雪獄

種族統一デッキ(幻影騎士団やドライトロン等)や主要モンスターが極端に少ないデッキ(エルドリッチ、閃刀姫等)に対し、墓地メタ+対象にとらない除外という破格の性能を発揮する。それ以外のデッキに対しても、相手が自身の墓地のモンスターを対象にとって何らかの効果を発動した際に天龍をチェーンして対象にとったモンスターを奪えば、その効果を不発にできる場合がある。対エルドリッチが重いと想定するなら採用圏内だが、《御前試合》《群雄割拠》を発動されたり、天龍の対象にとった《黄金卿エルドリッチ》がエルドリクシルカードによって墓地からエスケープされたりすると不発になる場合があるため、メタとして不安定。特に後者のパターンは頻繁に発生し、上位のプレイヤーは《墓穴の指名者》をケアして墓地からエルドリッチをエスケープさせる手段を抱えていることが多い。


ブレイクスルー・スキル

相手モンスターを対象にとってその効果を無効化するフリーチェーンの通常罠。破壊耐性や制圧効果を消し、安全に狡猾で処理できるようになる。注目すべきはその墓地効果で、自身を除外することで再度無効化効果を発動可能である。この効果は「カードの発動」を伴わないため、《崇高なる宣告者》等のカードの発動にチェーンする形の無効化効果持ちモンスターはその効果をチェーンすることができず、相手からすると極めて防ぎづらい。このカード自体が墓地に溜まりにくいうえ、展開前に相手モンスター1体を無力化でき、捲りの起点として使いやすい。墓地効果は自ターンのみ発動可能で、墓地へ送られたターンや相手モンスターがいない場合は発動不可と小回りが効かない面もある。


仁王立ち

ほぼ墓地に溜まらないフリーチェーンの通常罠。
①効果は守備倍増効果で、蟲惑魔の守備力が2000を超えるため簡単には戦闘破壊されなくなるほか、エクレシアが守備力3000かつEXから出たモンスターとの戦闘で破壊されないという要塞になる。なお、①効果は相手のモンスターを対象に発動することもできる。ただし、守備力を持たないセラに対して①は発動できないため、セラ単騎の場合においてセラのリクルート効果発動のトリガーにはならない。
②の墓地効果は攻撃誘導で、この手の効果にしては珍しく墓地に送られたターンにも発動可能。この効果の強力な点は「②効果適用後、対象のモンスターがフィールドを離れた場合、相手は直接攻撃を含め一切の攻撃が行えなくなる」という点である。これはつまりセラの横に添えたモンスター(セラ効果でリクルートした蟲惑魔や自身の効果で特殊召喚したエクレシア等)に②効果を適用すれば、セラは戦闘破壊されることがなくなるうえ、直接攻撃でライフを失う恐れもなくなる。②効果の性質上、相手のモンスター除去にチェーンして除去対象のモンスターに②効果を適用すれば、相手はそのターン一切の攻撃が不可能になる。


スターライト・ロード

自分のカードを複数除去(全体除去)から守りつつ、さらに破壊を防ぐ効果をもつ2500打点の《スターダスト・ドラゴン》を特殊召喚する通常罠。本デッキは蟲惑魔の中でも伏せは少ない部類だが、それでも致命傷となる全体除去(特に、《ライトニング・ストーム》は実質配布カードであり使用率が高い)を防げる点は魅力的。ここまで守りの面について記載したが、自分の狡猾を無効化しながらスタダを特殊召喚する能動的な攻め手としても有用であり、攻防一体なカードといえる。個人的な感想だが、スタダとブラッドローズがEXに共存する光景はアツい。


魔封じの芳香

後述する勅命とほぼ同様の理由で強いが、勅命とは対照的にこのカードは基本的にアド損を生むカードである。勅命にはない強みとして、手数が多いため苦手なペンデュラムデッキに対して「スケールを張らせない」という強力なメタが可能である点、相手の魔法カードのセットを誘導し、トリオンの特殊召喚時効果でそれを破壊できる点が挙げられる。デッキに3枚採用されたカードは後攻時に2枚以上引く確率が5%を超えるので、同じような役割の勅命+魔封じは2枚以内に抑えた(自然科学の分野では、統計学的に5%以上の確率は無視できないとされる)。


王宮の勅命

本デッキは狡猾の存在から、モンスターの召喚時に除去を撃つ”着地狩り”が得意である。相手からすれば、「手数を増やして物量で妨害を越える」もしくは「伏せ除去をする」といった対処を迫られるが、そういった役割を担うカードの多くは魔法カードであり、このカード1枚でその全てを無効化できる。相手の魔法発動にチェーンしたこのカードの発動が通れば、少なくとも1:1交換が成立し、さらに相手の手札の魔法カードが全て腐るため、自分が損する状況がほとんど生じない。このカードの発動に対し相手はさらに速攻魔法をチェーンしてこのカードの除去を狙ってくることもあるが、こちらの伏せカードに対する除去を躱すことができた時点で仕事としては十分である。このカード自体が除去を受けづらい以上、墓地に溜まる可能性が比較的低いため、罠でありながら積極的に採用できる。相手がこのカードの突破を狙って《シャドール・ドラゴン》や《黄金卿エルドリッチ》の効果を使ってきた場合でも墓穴ホールでカウンターでき、このカードを守っているだけで勝てることさえある。


リターナブル瓶

墓地の罠を2枚まとめて継続的に処理可能な永続罠。墓地の罠だけでリソース供給が可能となるため、泥仕合に強くなる。対エルドリッチや対閃刀姫ではこのカードがあるだけでかなり粘りやすくなる。アトラと組み合わせると、手札に回収した狡猾を即時発動可能。


マクロコスモス

先攻番長するためのカード。相手の墓地利用を封じつつ、狡猾DLを回避できる。エルドリッチは自身を墓地に送るコストが支払えずに破壊効果を使用できなかったり、ドライトロンは《宣告者の神巫》の効果でヌトスを墓地に送れずに破壊効果を使用できなかったりと、このカードに対する解答が少ない,
あるいは存在しないデッキも多い。
ただ、狡猾が墓地にいかないためループせず、妨害数は減りがち。



さいごに

いかがだったでしょうか。本稿を通じて、狡猾ループ軸蟲惑魔の魅力がほんの少しでも伝われば幸いです。
ご不明点や内容の間違い等ありましたら、何なりとお申し付けください。


下の有料区間には次の内容が含まれます。

  • 〔1〕墓地罠処理が可能なカード

  • 〔2〕↑のカードにアクセスできるカード(一部)

  • 〔3〕墓地に溜まりにくい通常罠カード(一部)

有用なカードからそうでもないカードまで、狡猾ループ軸蟲惑魔デッキを組むヒントが含まれているはずです。

〔1〕のカードはかなり網羅的に列挙していますが、もし漏れがありましたらお知らせいただきたく存じます。
また、〔2〕や〔3〕についても、有用なカードがありましたらお教えいただけますと嬉しいです。

多くの人にとっては役に立たない情報かと思いますが、応援の気持ちでご購入いただけましたらとても喜びますし、活動のモチベーションになります。


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