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音楽は心のワクチンだ 〜2年ぶり開催!VIVA LA ROCK 2021 初日に参戦して〜

今の日本は、何かを待ち望んで生きている人が多いように思う。典型的な例を言えば、今年の夏の東京オリパラなんかわかりやすいだろう。久々の自国開催というものは、日本にとって待ち望んでいた瞬間そのものであったはずだ(全体的に待ち望んでる母体数がどうなのかわからないけど)。

それは、音楽的なものにも言える話だ。

昨年は、多くのライブ・イベントが中止になってしまった。その振替やら対応策として、オンラインライブが多く普及した1年であった。しかし、多くの音楽好き・ライブ好きは思っていたはずだ。

「やっぱり、生で音を浴びたいんだ!!!」

どんな素晴らしい演目であっても、生で食らうあの一音には敵わない。日本人、みんな汗水垂らして働いたり、退屈で難しい授業を頑張ったりして過ごしている。そして、その先にある"唯一無二の楽しみ"として、その一音が待っている。

だから、音楽を愛する人間にとって、ライブというものは唯一無二の場所・そのものであるのだ。

そんな日本のライブシーンにおいて、欠かせない存在というものが、フェスである。ひと会場に10~20くらいのアーティストが集まり、数時間かけてステージでライブをする。それを、1日数万人の人が集まって、そのライブを楽しむ、共有する、そして一緒にライブを作り上げる。

音楽がわからない人に例えるなら、スポーツがわかりやすいかもしれない。よく野球選手が「皆さんの声援があったから、今日はホームランを打てました」とか言うが、それはその日の観客の声援が選手の背中を押して大きな結果を生んだ。いわば相乗効果の賜物である。

それは、音楽にも言える話で、音楽は芸術であるが故に、音源が完成したらそれで十分と捉えられがちだが、アーティストが観客の前でその曲を披露するライブという場で曲が形を成すというものは多い話。その観客の声援によって、CDで聴いたギターソロが音源以上にかっこよかったとか、一人一人が口ずさんでくれたことで、そのメロディーが、歌詞がとても深いものになる。そんなことが音楽にはよくあることだ。

特に、フェスというものはそんなことが多く生まれやすい。音楽が音楽以上のマジックを引き起こしてくれる。そんな場所がフェスにはある。

そんな2021年は、フェスを開催しようという動きで満ち溢れている。そんな2021年のフェスシーズンの初陣を切ろうとしていたのが、この日、さいたまスーパーアリーナで開催された「VIVA LA ROCK 2021」(通称・ビバラ)である。

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2014年の初開催以降、3~5日で毎年7万人以上動員する、関東圏内では大規模となる春フェスである。私は、2018年に一度このフェスに行ったことがあり、この日はサカナクションやスピッツを観ることができた。

そんなビバラも、昨年は中止を余儀なくされてしまった。そんなことがあったから、今年こそは開催しようと、主催者・アーティスト一同奮起して、この日に辿り着いた。それは、観に行く観客も同じ話だ。一人一人がその日のために頑張って、このフェスに辿り着いた。

何かと色んな言葉が叫ばれる時代だが、この日はとても素敵な1日だった。私にとっても、フェス参戦は2019年末に名古屋で開催された「MERRY ROCK PARADE 2019」(通称・メリロ)以来、約1年半ぶりのことだった。久々のフェスがどんなものになるのか、私は相当楽しみだった。

今から、今回観ることのできたライブを簡単ではあるがまとめていこうと思います。少し長いかな... 最後まで読んでいただけたら幸いです。

安全な開催に向けて・・・

この日は、まる1日友達と一緒にフェス参戦していました。昼飯を軽く済ませたところで、この日最初のライブへ。

さいたまスーパーアリーナ・スタジアムモードは、通常なら3万人動員できる規模なのだが、今回はチケット枚数を約1万枚に抑えて販売していたそうです。

そんなビバラだが、今回は会場内に2つの大きなステージを作り、ライブを開催していました、正面左側の「GREAT STAGE」と右側の「ULTRA STAGE」の2つがスタジアム内にはありました(別のゲートには、およそ1,000人くらいは入れる「CAVE STAGE」がありますが、この日はそこでライブは観ませんでした)。

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細かいライブの説明をする前に、まずはこの日のライブのことを少し簡単に説明したいと思います。というのも、やはりこんな時期でのライブ開催ですから、例年とは大きく違うことが多くありました。

まずは、観戦するマナーについて。今回のライブで徹底されていたことは、主に2つ。1つ目は「声は絶対に出さないこと」、2つ目は「ちゃんと距離をとって観ること」でした。

まずは、1つ目の「声は絶対に出さないこと」から。この日、観客に対しては観覧中のマスク着用が義務となっていました。そして、大声を出さない。歌うなどのことはしないで、拍手じゃジャンプなど、体をつあって楽しんでみるということを徹底していました。

そして、2つ目の「ちゃんと距離をとって観ること」について。この日は、抽選制による前方のスタンディングエリア(立ち位置指定でおよそ1,000人くらい入れたそうです)と、アリーナ後方・スタンドの座席エリアの2つに分かれていました。

特に、座席エリアに関しては、席と席の間の距離をとるということで、「座らないでください!」という張り紙が張られていました(1枚1枚、出演アーティストの手書きコメント付きで)。前方のスタンディングエリアも、ちゃんと距離を開けたうえで、立ち位置を配置していました。

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その他にも、座席の場所取りの禁止やアルコール類の持ち込み禁止、モッシュ&だいぶといった危険行為の禁止など、安全や快適に観るための工夫が徹底された中でのフェス開催となっていました。

Novelbright

そんなビバラ、私は昼飯を食べて、ULTRA STAGE側のスタンド席でひと段落ついていたら、反対のGREAT STAGEでライブが始まりました。それは、今最も話題の高音の持ち主・Novelbrightだった。

2019年、路上ライブが話題となった彼らは、2020年にメジャーデビュー。今年は、メジャーでの初アルバムがリリース・7月には念願の大阪城ホールでのライブが控えている、今勢いのあるバンドの1組だ。

私にとって、今日のライブは初めましてではなかった。2019年9月に神戸で開催されたタワレコのインストアライブを偶然目撃していたのだった。あいにく、そのあとの予定があったので、最初の1曲しか見ることができなかったのだが、三宮駅前には相当な人だかりができていたことは、今でも覚えている話だった。それ以来の、Novelbright。どんなライブをするのか、楽しみであった。

そんな彼らのライブは、メジャーデビュー曲となった「Sunny drop」で幕を開けた。序盤からボーカル・竹中雄大のハイトーンが光る印象的なメロディで、会場にいた人の心を一気につかむ。続いた「Count on me」では、竹中の口笛も冴えていた。

最初のMCで竹中は生配信を含め多くの人に見てもらえていること、そしてバンドにとってこれが通算2本目のフェスとなったことを話した。そんなMCを挟んで続いたのは、ストリーミング再生1億回を超えた話題の1曲「ツキミソウ」。切ないバラードが会場を包んだ。最新アルバムに収録された「ハミングバード」では、低温から高温まで幅広い音域をもつ竹中にしかできないメロディが会場中に響いた。

「これから後半戦ですけど、まだまだいけますか?」そんな一言で始まった「Walking with you」は、路上ライブで話題となった1曲。ギターの山田海斗・沖聡次郎、ベースのねぎが前に駆け出し、観客と盛り上がった。これからの決意を掲げる「青春旗」では、疾走感のある圭吾のドラムプレイが印象的であった。最後の「拝啓、親愛なる君へ」では、「心の中で歌って!」といい、イントロの印象的なコーラスワークでは竹中は観客にマイクを向けていた。「みんなの声が聞こえた気がしました」といい、ファンとの繋がりを確認。

約35分のライブで、相当な爪痕を残したNovelbright。今、最も勢いのあるバンドの2021年、そしてこれからライブを積み重ねたらどんな域に到達するのか? そんな期待が勝つような、ライブであった。

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・フェアリーテール
・夢花火

01, Sunny drop
02, Count on me
03, ツキミソウ
04, ハミングバード
05, Walking with you
06, 青春旗
07, 拝啓、親愛なる君へ

KANA-BOON

これから続くライブが、私にとって本命のアーティストだったので、そのアーティストのライブが続くGREAT STAGEへ移動。アリーナの後方の席に着いたタイミングで、反対のULTRA STAGEでは、KANA-BOONのライブがスタートした。

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実は、この日が私にとって初めましてだったKANA-BOON。前に行った2018年のビバラでも、2019年のメリロでも、KANA-BOONは出ていたのだが、移動時間や休憩の都合で今まで一度も観ることができずにいたバンドでした。3年の月日を経て、この日が初めましてだったのです。

そんなKANA-BOONだが、昨年9月にフロントマンの谷口鮪(Vo/Gt)が休養。先月開催されたライブで活動を再開し、この日が再始動後初のフェス出演だった(4月24日に開催された大阪城ホールでのイベント出演はライブイベントという括りにさせていただきます)。

「こんにちは、そして戻ってきましたKANA-BOONです」という谷口のあいさつで始まったライブは、KANA-BOONの代表曲「ないものねだり」でスタート。療養していたこともあり、顔が少しふくよかになられた谷口だが、その声は活動前と変わらず、まっすぐで力強いものであった。

その後も、「シルエット」や「Touch of Liberty」など、彼らの人気曲やアニメ主題歌に起用され人気を高めた曲まで、幅広い選曲で会場を盛り上げた。一緒に行った友達は大のアニメ好きで、後半で披露した「スターマーカー」が起用されたアニメ「僕のヒーローアカデミア」が好きだったこともあり、この曲を聴けてとても嬉しそうな顔をしていました。

この日のMCでは、休養を挟み、久々に多くの観客の前で歌えたことへの思いや、このご時世の中でライブに来てくれたことへの感謝をずっと話していたKANA-BOON。そんな彼らが最後に披露したのは、2019年に発表したシングル曲「まっさら」。曲の最後にある"現在 過去 未来 君と繋いでいたいよ"というフレーズは、今のバンドの思いそのものではないだろうか。全7曲を披露し、バンドはステージを去っていった。

私にとって初めてのKANA-BOON、もっと早く観ときゃよかったなという気分になったけど、バンドの今がとても凛としていたこと、そして何よりもライブをしていること、バンドを続けられることの思いが強く表れているような気がした。これからの時間がいいものであるように、そんな気持ちになるライブであった。

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・バトンロード

01, ないものねだり
02, シルエット
03, Touch of Liberty 
04, 彷徨う日々とファンファーレ
05, ネリネ
06, スターマーカー
07, まっさら

Nothing’s Carved In Stone

話はうって変わるが、私は今年から社会人。
就職というものへの不安が尽きないのだが、今のところいい感じにやらせてもらっている。それは、同期の子たちとの関係がいい感じであるというのが大きいだろう。そんな同期の中の1人が、音楽好きでロックにも知識のある子であった。そんな彼に「何が好きなの?」と訊いて出てきたバンドの1組が、この後GREAT STAGEに登場するNothing's Carved In Stoneだった。

2008年、当時活動休止を発表していたELLEGARDENのギター・生方真一を中心に結成されたNCISは、ライブを中心に活動を続けている。昨年は自身初のセルフカバーアルバム『Futures』をリリースし、同作は海外でもリリースされた。

同期の子曰く「かっこいいから、マジで勧めるよ」と言っていた。そこまで勧めていて、しかもこの日に出る。観なきゃ損するだろうな。という思いで、ライブの幕は開いた。

バンドはアニメの主題歌に起用された「Spirit Inspiration」でライブの幕を開けた。この日に出演するバンドの中で、最も硬派でソリッドなロックがステージから鳴らされていた。

生方のギタープレイだけでなく、日向秀和のベース、大喜多崇規のドラムプレイ、村松拓の声のよさとか、全てがロックしていて無駄のないカッコよさというものがそこにはあった。

「次が最後の曲です」と村松が言い披露した「Out of Control」は、その同期の子がオススメしてくれた曲の中の1曲だった。(ちなみにその子はその曲と「Isolation」、「November 15th」をオススメしてくれていた)

しかし、「まだ時間あるみたいですので、もう1曲やります」ということで、最後に最新セルフカバーアルバム『Futures』に収録された「Dream in the Dark」を披露し、ステージを後にした。

この日のライブを観て、その子が好きだといった理由がなんかわかった気がした。彼の好みは、ストレイテナーやNCIS、初期のthe HIATUSとか、硬派なサウンドが好みだった。今時、ロックというものがポップ性も帯びていく中で、元あるロック性に惹かれているのは、きっと彼の中の芯みたいなものがそこにはあるのかもな、と思っていて。これ以上言うと、その子に申し訳ないから、この辺で留めておくのだが、この日のアクトを総括して個人的なベスト3に入ったライブをNCISはしていたように思うなぁ...

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この日のセットリスト

01, Spirit Inspiration
02, Like a Shooting Star
03, Wonderer
04, Pride
05, Milestone
06, Out of Control
07, Dream in the Dark

BLUE ENCOUNT

ここから、ULTRA STAGEに出演するバンド3組にはある共通点があった。それは、ONAKAMAであるということ。2016年に開催されたライブイベントで共演したBLUE ENCOUNT(以下・ブルエン)、THE ORAL CIGARETTES(以下・オーラル)、04 Limited Sazabys(以下・フォーリミ)は、当時はまだメジャーデビューして1~2年で"若手の注目バンド"という存在だった。しかし、今ではこの3組は日本のロックシーンを担う欠かせない存在になった。3組とも音楽的な方向性は違えど、それぞれの主戦場で大きく成長し、3者3様のロックが多くの場で鳴らされるようになった。

そんな3組は、今年初めには名古屋・大阪・福岡の3会場で4年ぶりに共演・「ONAKAMA 2021」と題しライブを開催、各地で大きな熱気を生んでいた。私は、そのうちの大阪城ホールでの公演を観たのだが、3組とも熱のあるライブをしていたことが記憶に新しい。

しかし、そんな「ONAKAMA 2021」は、それぞれのバンドに所縁のある地域で開催されたので、関東圏での開催は叶わなかった。4月に開催されたブルエンの横浜アリーナ公演では、オーラルから山中拓也、フォーリミからGENと2バンドのボーカリストがサプライズ出演し、1曲共演するというシーンがあったのだが、バンドとして3組が共演するということは、関東圏では相当久々なことだった。

まさに、「ONAKAMA 2021」さいたま・VIVA LA ROCK公演。そんなULTRA STAGEが、ブルエンから始まった。

そんなブルエンのライブは、ドラマ主題歌に起用された「バッドパラドックス」から幕を開けた。ONAKAMA3組の中で、最もテレビとの縁が強いブルエンは、この曲で新たなステージに上がったといってもいいかもしれない。私も、この曲を聴いたときに一瞬ブルエンなのかと思ってしまったのだが、メリロでこの曲を聴いたときに観客の熱気には驚いてしまった。今では、彼らの代表曲のひとつである。

続く「VALCANO DANCE」は、最新アルバム『Q.E.D』に収録された1曲。フロントマン・田邊駿一のファルセットもあるこの曲は、バンドの新たなライブナンバーを予感させる1曲だった。

MCを挟んだのち、「KICKASS」、「ロストジンクス」とキラーチューンを連発。田邊が「ここにいる間は、ここで鳴っている音楽を信じてください!」と言い続いた「だいじょうぶ」や「はじまり」はこの日のブルエンのハイライトであった。特に、「はじまり」はこのビバラという場所だからこそ、そしてまたフェスというものが元通りの場所になることを願った叫びみたいなものであった。

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・NEVER ENDING STORY
・Freedom

01, バッドパラドックス
02, VALCANO DANCE
03, KICKASS
04, ロストジンクス
05, DAY × DAY
06, だいじょうぶ
07, はじまり

SHISHAMO

ここから、本格的に私のお目当てのアーティストが続きます。

まずは、GREAT STAGEのSHISHAMO。
この日を待っていました。

というのは、本当なら昨年5月に行われるはずだった全国ツアーの広島公演で、久々にSHISHAMOのワンマンを観れていたはずでしたが、それは中止ととなってしまい、今日に至っていました。そのリベンジを兼ねていた昨年末の冬フェス・RADIO CRAZYも中止になってしまったので、3度目のリベンジがこの日叶うこととなりました。

定刻を少し過ぎ、いつものSEが流れて、SHISHAMOの3人がステージに登場した。3人それぞれが定位置に着き、音を鳴らした後、宮崎朝子(Vo/Gt)が「VIVA LA ROCK!」と客席に向かって声をかけた。普段なら、歓声や手を挙げて反応する客席だが、この日が拍手や手を挙げて反応するので、いつもより静かなアリーナ内。もう一度、それを確認するように宮崎が「VIVA LA ROCK!」と声をかけ、客席に反応を確認。

フェスのルールである「声を出さないこと」や「距離をとること」を確認したのち、バンドは久々のフェス開催を祝すように「君と夏フェス」でライブをスタート。演奏を一回やり直すハプニングもあったが、1曲目のこのナンバーはとても印象的なものであった。季節は春であるが、曲の歌詞にある「忘れられない夏になるかも」という言葉が、きっとこのフェスが忘れられない思い出になるような、そんなことを思わせてくれた。

ライブは、昨年リリースのアルバム『SHISHAMO 6』や配信でリリースされた新曲が大半を占めるセットリストとなった。好きな人にときめく思いを歌った「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」や大切なものよりも自分のことを大切にしてほしいと歌う「君の大事にしてるもの」、故意に対してうまくいかない気持ちを綴った「ひっちゃかめっちゃか」と、近年の曲を中盤戦では一気に演奏した。

この日のMCでは、第1回の開催から毎年お世話になっていたビバラへの思いや、フェスが無事開催されたことへの思いを口にしていたSHISHAMOの3人。ただ、いつも通りの和やかな空気感は、SHISHAMOらしい一コマであったはずだ。

そんなライブは後半戦。バンドのアンセムとなった「明日も」を演奏したのちに、最後にプレイしたのは昨年5月にリリースしたナンバー「明日はない」。曲の歌詞にある「そんな今日を愛せなきゃ 明日はない」という言葉には、今のSHISHAMOの思いやこの日のライブに対しての観客への問いかけだとか、そしてビバラへの思いのすべてが詰まっているように思えた。

最初から最後まで、SHISHAMOのロックが詰まった。そんな6曲を演奏し、3人はステージを後にした。

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・好き好き!
・真夜中、リビング、電気を消して。

01, 君と夏フェス
02, 君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!
03, 君の大事にしてるもの
04, ひっちゃかめっちゃか
05, 明日も
06, 明日はない

THE ORAL CIGARETTES

ULTRA STAGE改め、ONAKAMA STAGEが続く後半戦のVIVA LA ROCK。続いては、THE ORAL CIGARETTESの登場。

全体の感想をまず、一言でまとめるとするのなら、ONAKAMAが続くことを一番意識していたのがオーラルだったような印象を覚えました。それは、バンドがステージに上がってから最初に行う恒例の4本打ちにあった。

「ONAKAMA揃ってるねぇ?ONAKAMAの中で2番手っていうのは納得いかんけど、フォーリミが声が出ないくらいのライブやりに来ました!」と山中拓也(Vo/Gt)が客席に告げ、1曲目の「Dream In Drive」を披露。

ここから、一気にオーラルの攻撃は加速。「狂乱 Hey Kids!!」でジャンプで会場が揺れ、「カンタンナコト」でヘドバンの波が会場中に生まれる。そのあとも、「BLACK MEMORY」で声は出せないが身体で会場中の合唱が巻き起こり、「容姿端麗な嘘」で一気にフロアと化す。

声は出せないといった制約があるものの、全てをひっくるめていつも通りの観客と作り出すライブをしたオーラル。そんな最後に、山中は客席に向かってこう話した。

「誰かに愛されてください。誰かに憎まれてください。一人ぼっちにならんとってください。生き続けてください、生きてまた会いましょう」

この時代の中で、何かをするということに対する思いや周りの声というものに不安を覚えてしまうことも多い。オーラルこそ、そういう気持ちを曲にし続けたから、最後にバンドの思いをしっかりと告げ「接触」を披露し、ライブを締めくくった。「ロックバンド、ロックバンド THE ORAL CIGARETTESでした!」そう叫び、バンドはステージを降りて行った。

この日観たアクトの中で、一番フェスというものに、そして観客との距離というものを意識して、そしてそれを身体で感じ体現していたライブは、オーラルが一番強かったのかな、と思う。事実、闘争心だとか今までの歩みがそれを成したのかもしれない。大阪城ホール以来、5か月ぶりのオーラルのライブはそんなものを感じるライブでした。

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この日のセットリスト

01, Drive In Dream
02, 狂乱 Hey Kids!!
03, カンタンナコト
04, Naked
05, BLACK MEMORY 
06, 容姿端麗な嘘
07, 接触

sumika

ここからの2バンドは、私と友達がお目当てとしていたバンドでした。その中の大本命が、続いてGREAT STAGEに登場するsumikaでした!

私にとっては2021年最初のsumika、昨年末の広島でのイベント以来のライブでしたが、一緒に行った友達は2019年末のメリロ以来、約1年半ぶりのsumikaのライブ。その友達は、相当この日を待ち望んでいて、ライブ前の"本気のリハーサル"から立って待つくらい。そして、この日の動きはすべてsumikaをしっかり観ることにこだわって動いていたほど。私と友達、互いにこの瞬間を待ち望んでいました。

定刻に暗転、いつも通りにSEの「ピカソからの宅急便」が流れると、会場中から手拍子が鳴り始め、バンドの登場にワクワク。sumikaの4人に加え、サポートベーシストの井嶋啓介を迎え、この日のライブは開催されました。

そんなライブの1曲目は「祝祭」。最新アルバム『AMUSIC』のリード曲であり、観客の前で初披露となった1曲。それはまるで、このご時世の中でライブに来てくれたことや無事にフェスの開催にこぎつけたことへの祝祭が込められているような力強い1曲だった。

続く「Lovers」や「Flower」は、sumikaのライブの定番曲。イントロが鳴っただけでワクワクしちゃうんです。特に普段ならサビの掛け声のある「Lovers」で片岡健太(Vo/Gt)が「あなたの声で!」と言ってサビに入るのだが、今回は声が出せない分「あなたの腕で!」といい手をあげたり、「Flower」で「たまアリの!(Flower)」と観客とのレスポンスのある曲でマイクを向けたりと、序盤戦からいつものsumikaのライブ。そして、観客との繋がりを意識した、そんなライブとなっていました。

ここで最初のMC「正直、俺たちが一番楽し... 楽しませてもらってます」と序盤から噛んでしまう片岡に対して、「思いは伝わってるよ」とフォローする小川貴之(Key/Cho)。思えば、今年初めて観客の前でライブをするsumika。序盤からぐっとくるものがありました。

「さいたまに一撃見舞う」と歌い、ライブの熱を一気に押し上げた「ふっかつのじゅもん」に続き、「ライブでまだやってないきょくをやります」と言い始まった最新アルバムの収録曲「惰星のマーチ」、ジャジーでポップな曲は、小川のキーボードや荒井智之のドラムプレイが冴えわたる1曲。まさかの初披露曲、驚きで音に身を任せることしかできませんでした。

昨年の配信ライブでのアレンジで始まる「Summer Vacation」は、序盤の片岡・小川・黒田準之助(Gt/Cho)の3人によるコーラスワークが光り、「願い」では雪が降るようなロマンティックな空気が会場を包み込んだ。

最後の曲の前に、片岡はこの日のライブに向けての思いや来てくれた人たちや来なかった人たちへの思いを話した。

「ここに来ないという選択をした人も正解です。そして、来てくれたあなたのことを守りたい。そんな思いでステージに立ってます」

その言葉から最後に披露したのは、最新アルバムのリード曲「Lamp」。歌詞にあるような「ここからがいいだろう」「ヨーイドン 未来だよ」という言葉には、これからの希望が詰まっているワンシーンだった。

私にとって5か月ぶり、友達にとって約1年半ぶりのsumikaとなった約40分はそんなライブであった。私は、ここで一回燃え尽きてしまいました。存分に楽しかったし、もうこれで満足かなぁ、って。友達はまだまだ余力があったみたいだけど、ライブが終わってからしばらくはその余韻を噛み締めるように互いに無言でした。多分、一番幸せだった時間がここだったのかもなぁ...

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・カルチャーショッカー
・MAGIC

01, 祝祭
02, Lovers
03, Flower
04, ふっかつのじゅもん
05, 惰星のマーチ
06, Summer Vacation
07, 願い
08, Lamp

04 Limited Sazabys

先ほどのsumikaで余力を失っていた私は、人生で初めてフォーリミを座りで観るという決断をしました。横のULTRA STAGEでリハをやっていたフォーリミの4人。GEN(Vo/Ba)が始めにSHISHAMOの「明日も」を口ずさんだ時には驚いたけどね 笑

そんなULTRA STAGEの最後、そしてONAKAMA ビバラ編の最後を務めたのは04 Limited Sazabys。この日全体のステージの中で、最も多くの曲数だったのはフォーリミのライブでした。しかしながら、体力ゼロで撃沈していた私。ここからは微かな記憶を頼りにレポしていきます...

序盤から「fiction」で熱気を高めたフォーリミは、序盤の定番ソング「monolith」をプレイし、バンドの貫録を見せつけた。続くMCでは、イベント主催者の一人の鹿野淳さんの手紙の文字の下手さに言及したのち、このフェスの開催に置ぎつけたことへの嬉しさを語っていた。

近年の楽曲ともいえる「Alien」や「Utopia」をしたのち、早くもライブは後半戦へ。「まだまだ体力有り余ってるんですが行けますか?」というGENの問いかけに、腕をあげたり拍手をして反応する客席(ちなみにこの時、私は椅子に座ってうなだれてました 笑)

そんな一言から始まった後半戦は、怒涛のキラーチューン祭り。「My HERO」で始まり、「kitchen」、「swim」とノンストップのお祭り騒ぎ。「時間も18時を回ったのでこの曲を」といい、「midnight cruising」、「この瞬間が永遠に 永遠に続きますように」という言葉と共に「hello」をパフォーマンスし、ライブは終盤戦に突入した。

ここで最後のMCが。フロントマン・GENは、この日のライブが都内で緊急時代宣言が出ているさなかの開催であったことに触れたのち、このようなことを話していた。

「このビバラロックを開催するという選択をしてくれたのなら、それを正解にしたいと思いました。誰かにとってライブが不要不急であっても、ここにいる人たちにとってはそれが生きがいであって。コロナが流行ってから気づいたのは、体の健康にはもちろん気を付けなければいけないけど、音楽は心のワクチンになるんだということ。そんな大切な場所がなくなりそうなら守りたい、だから協力してほしいです」

この日観たどのアクトでも、フェスの開催にこぎつけたことだとか、ここまで来てくれた決断を尊重したいという話は多かったが、このライブの対する意義だとか、不要不急という言葉に対する意見を持った発言というのは、きっとフォーリミが一番強かったのではないかなと思った。思えば、今年の初めに「ONAKAMA 2021」を開催するにあたっても、似たような風当たりや空気感が蔓延していた。

その逆境から、未来を切り開いていく。そんな言葉が、この日のフォーリミにはあったように思えた。「また再開できることを願って」と話し、ライブは「Terminal」に突入。「自分自身に生まれ変われ」と話し最後に歌った「Squall」でONAKAMA ビバラ編改めULTRA STAGE初日のライブは完走。「時間ぴったし」と告げ、持ち時間全てを使い果たし、フォーリミはステージを後にした。

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この日のセットリスト

((リハーサル))
・明日も (SHISHAMOカバー)
・knife
・nem...

01, fiction
02, monolith
03, Alien
04, Utopia
05, My HERO
06, kitchen 
07, swim
08, midnight cruising 
09, hello
10, Terminal
11, Squall

King Gnu

時刻は19:10。
GREAT STAGEの大トリを残すのみとなった。

この日のヘッドライナーは、King Gnu。2019年の大躍進から、一気に日本の音楽シーンのトップランナーになった彼ら。思えば、私が初めて行った2018年のビバラでCAVE STAGEに出演していた彼ら。翌年にはメジャーデビューしてすぐにGREAT STAGEに出演し、大きな注目を得た。2年ぶりのビバラは、ヘッドライナーでの出演。
満を持しての登場だ。

どうやら、この日のビバラが2021年最初のライブだそう。それだからか、待ち望む観客の熱は始まる前から凄かった。「これから、とんでもないことが起こるぞ...」そんな気持ちで震え始めていた(ちなみに、このタイミングで私の体力は回復し、立ちながら観ることができました)。

登場のアナウンスが鳴るとともに、チェロを主としたSEが流れ始める。大量のスモークに覆われるステージは、彼らの登場を今か今かを待ち受けていた。そして、King Gnuの4人が登場。各メンバーが定位置に着いたところで、常田大希(Vo/Gt)が「飛行艇」の歪んだギターリフを鳴らし始めた。ステージを覆いつくすくらいのスモークと神々しいようなライティングは、このバンドの次元の違いを示してくるかのようだった。

「なるほど、だから彼らはここまで来たんだ」

彼らの凄さは、その一音を食らえばすぐにわかることだった。どの楽器も分厚いずっしりとした音をしていて、そこから突き抜けていく井口理(Vo)の突き抜けたハイトーン。彼らのロックは、もはや芸術の域にあった。

CMソングにも起用された「千両役者」を披露したのち、井口が客席に向けて「みなさん、楽しいねえ! 今日まで我慢して、やっと、楽しめるんじゃないか?」と問いかける。それを彼らは音で体現していた。続く「Vinyl」や「Sorrows」では、新井和輝(Ba)と勢喜遊(Dr)のアンサンブルが派手に曲を盛り上げていた。どの音もたまらなくカッコよくて、たまらなく素敵なものだった。

続いたバラード曲こそ、King Gnuの名前を広く日本中に知らしめた「白日」だった。あぁ、本物だ... そんな気持ちになる。井口の高音に常田のローの効いた声の掛け合わせは、この曲の癖になるポイントだ。この時点でライブは後半戦へ。しかし、そんな時間の概念なんて感じさせないほど、ライブは一気に盛り上がりを高めていく。

常田が拡声器を持ち、客席を挑発しながら歌う「Slamberland」では、新井の口に拡声器を押し込みながら叫んだり、「三文小説」では常田の鳴らすピアノの音と井口のファルセット、新井のシンセベース、勢喜の広がりの持つドラムが、曲の神々しさを物語っていた。ロックからの振り幅の広さ。それに驚きの声も出せず、ただただ目に焼き付けることで精いっぱいだった。

井口がタンバリンを持ち「まだまだ飛べるかい?行くぞ?」と煽ったのち、「Flash!!」でフロアが一気にダンスフロアに化す。曲終わりに井口と常田がステージ正面で向き合い、最後の1曲「Teenager Forever」を披露。エモーショナルで突き抜けてかっこいい。そんな姿を見せ、バンドが演奏を終了。歪んだギターの音が鳴りやませることはなく、4人はステージを降りて行ったのだった。

ライブ終演後、イベントの主催者である鹿野さんがステージに登壇し、最後の「Teenager Forever」がアンコールの扱いで、これにて初日の全ライブが終了したことを告げた。その後、会場はブロックごとの規制退場となり、大きな密や混雑が生じることなく、VIVA LA ROCK 2021初日が無事幕を下ろしたのでした。

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この日のセットリスト

01, 飛行艇
02, 千両役者
03, Vinyl
04, Sorrows
05, 白日
06, Slamberland
07, Prayer X
08, 三文小説
09, Flash!!
10, Teenager Forever

((ここまでで利用したアーティストの写真は、VIVA LA ROCKのクイックレポートや各アーティストのオフィシャルSNSから引用しました))

この日を振り返って...

久々のフェス参戦を終えて思ったのは、やっぱり私はフェスに慣れていないんだなぁ、ということで。このビバラの数日前にとあるワンマンを観に行っていたのですが、2-3時間くらいの演目を観る体力に慣れてしまっていたので、8時間くらいかけて9組を巡るというのは、これはこれでフェスというものの体力をつけなければきついんだなということを思い知らされました 笑

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正直に言えば、この日のライブで多くのバンドが「不要不急が叫ばれる中でライブに来てくれたことへの感謝」を述べていたのだが、私もこのフェスに関して、行くか否かについて、1週間くらい前まで悩んでいました。こういう時期の関東というのは、やはりリスクが付き物な気がしていて。だから、行くのなら万全の対策と動きで考えなければいけないな、と思っていました。事実、飲食に関しても必要最小限や黙食を心掛けたうえで、友達含め周りの人との距離に関して、安全を徹底するという形で、参戦していました。

というか、今日のフェスってライブが終わって家に戻るまででおしまい、と言えないのが難しい話なんですよね。ここからずっと体調管理を徹底して、何一つウイルスに感染していないということや、大規模感染が生じていないということを、観客・アーティスト・主催者全員で証明しなければならない。そこが、このビバラの大きな今の課題であって。

そういう意味では、まだ私にとってのビバラは終演していないのです。今日も、家で体温チェックをして、体調不良がないか確認しながら、GWの最終日を過ごしています。このフェス自体、今日含めて5日間開催されているので、行かれた方全員がまだ終演に辿り着いていない。身体の健康の照明をして、フェスが安全であったということを示す。そして、それを夏や冬につなげていく。そうして、このビバラは成功したと言い切れるんだと思っています。

「言い切れるんだと思う」じゃなくて「言い切る」ためにこれからを過ごす。今は、そんな思いで過ごしています。

まぁ、多くのことはこの辺にしておく。

きっと、私はこの日に参戦したことをプラスマイナス含めて多くの人に言われるんだと思います。
しかし、それでも私はこの日行けてよかったと断言できます。なぜなら、私にとっての必要なものがそこにはあったから。この日のライブでの一言を借りるのなら、「音楽は心のワクチン」だから。

きっと、それを求めているから、私にとってライブは「必要最小限」なんだろうな、と思う。

それを再確認した。
そんなGW初日の話でした!

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ありがとうございました!

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