見出し画像

映画のような話、ライブハウス・アクトシティ浜松より 〜マカロニえんぴつ ツアー2021にて〜

どーも!!毎度おなじみの
#Shiba的ライブレポ  でございます!!

このレポ、約7,000字記載しております。
いつもよりは、ちょっと短いレコメンドになるのですが、その分濃いものが仕上がったのかな、と思っています。よかったら、最後まで覗いてみてください!!

遅くなりましたが、noteを開いてくださり、ありがとうございます!これから始まる新たな音楽の旅に、少しだけお付き合い願えたらと思います。

⚠️今回のレポは、セトリの記載を含んだ形で展開します。その為、5月以降の公演に参戦される方でネタバレを防ぎたい方は、ここで引き返すことをオススメします⚠️

前書き

その日、天気は雨だった。
2021年の4月はそんな雨が多い印象はなかったのだが、その帳尻合わせをするかのような雨。昼過ぎから徐々に雨足は強くなっていった。

私は少し焦っていた。
それは、今日のライブに向けた予習がそこまで念入りにやれていなかったというのが大きい。

私によくある傾向として、そのライブに行く理由は、そのアーティストの曲にワクワクする何かを覚えたから、というのが大きい。この曲には、どんな色の照明が当たるのだろう。どんな感じに鳴らされるのだろう。その興味を探索するために、ライブのチケットを手にしてた。

もちろん、この日に行くライブもそれが理由なのだが、最近の曲しか知らないってのが、不安を大きくさせる要素でもあった。

「サブスクで有名どころを頭から再生するか…」
雨でなかなか家を出るタイミングを掴めないでいた私は、LINE MUSICを開いて、そのアーティスト名を検索。リストの上から順番に曲を聴くことにした。

流れ始めてから7曲目、突然スマホから音が出なくなった。「あれ、壊れた?!」スマホを覗き込むと、次の曲の再生画面が。再生のボタンを押すが、音は流れない。バグなのか? でも、次の曲は再生される。その曲だけ、再生されない。

「変なことも起こるんだな…」
そう思っていたら、バスの時間が近くなってきた。傘をさして、家を出る。電車に乗って、その会場まで動いた。

静岡県の西端の街・浜松。
音楽の都市と言われるこの街を代表するホールが、この日のライブ会場・アクトシティ浜松 大ホールだ。吹奏楽の全国大会や名門オーケストラのコンサート、ポップス・ロックのライブまで、音楽の都市を名実共に証明し続ける、歴史のあるホールだ。

私はここにおよそ6年ぶりにきた。
前は、高校時代の吹奏楽部での勉強会と銘打った全国高校吹奏楽コンクールの鑑賞だった。最初の音の鳴りを覚えてる。程よく響き渡り、その深みを味わえる。わかりやすい例えをするのなら、グラスで飲むワインとコップで飲むワインの差みたいな。地元のホールとは雲泥の差すぎて、その音に聞き惚れた時間だった。

思えば、ライブ参戦でここに来るのは今日が初だった。それ以前に、ライブ参戦で浜松に行くと事態が、約3年ぶりのことだった。アクトシティから歩いて10分ほどのところにあるLive House浜松窓枠。今までそこで多くのライブに出会った。またすぐ行けたらなぁ… とか思ったり。

ライブの思い出も多いこの街で、久々に思い出が増える。そこにワクワクしてた。

定刻17時を少しすぎて、ホールは暗転。
そのバンドは、ステージに姿を表した。

2021年、最も注目されてる音楽。
そのバンドの名前は、マカロニえんぴつだ。

人生で最も良い席から見た景色

昨年11月、メジャーデビューを果たし大きな注目を集めているロックバンド・マカロニえんぴつ。そのエモーショナルな歌声と懐かしさを帯びるサウンドで、多くの注目を得ている。

この日、アクトシティ浜松で行われた「マカロニえんぴつ マカロックツアー vol.11 〜いま会いに行くをする篇〜」は、そのメジャーデビュー1作目として発表されたEP盤『愛を知らずに魔法は使えない』を提げた全国ツアーだ。

私はこのEP盤のチケット先行でチケットを取ることができた。本当なら、名古屋と横浜も同時に応募していたのだが、取れたのは浜松のチケット1枚だけ。その倍率からも、バンドの人気を知ることとなった。

そして、ライブの日がやってきた。
前々日にチケットの発券があったのだが、その席を見てびっくりした。1階席3列目・下手側の数字は、今まで行ったライブの席番号で最も前の席だった。

初めましてのライブで、人生で最も良い席番号。
こんなこと、あるか…?

なんか、嬉しい気持ちと長年のファンが多い中でこんな素人がすみません…みたいな気持ちが交差する。嬉しいの方が圧倒的に勝るんだけども。

なんか… 俺死ぬのかなぁ…?笑
こんな良いことあると、その前に嫌なことたくさん起きそうで怖くなる。なけりゃいいんだが…

そんな思いでこの日はホールに向かった。

しかし、その思いは50%正解だったみたい。
それは、この日の物販列が証明してくれた。

1ミリも進まない…
歯を食いしばり、尿意を我慢して並んで買えたのは、開演5分前。急いでいつものコアラさんとの写真と、お手洗いに駆け込む。気付いたら開演の17時になっていた。数秒過ぎたタイミングで、席についた。

前すぎてよく見える… という気持ちに浸る暇もないまま、ステージは暗転。歓声を出したい思いを堪えて、ステージに目を向け始めた。

声を出せなくても…

開演 17:05  終演 18:52

The Beatles「Hey Bulldog」が登場SEとして、ホールに鳴り響き始めた。客席は手拍子をしながら、総立ちで身体を揺らしながら、バンドの4人を待つ。

マカロニえんぴつの4人に加え、サポートドラマーの高浦 “suzzy” 充孝がステージに現れた。少し歓声が聞こえた気がした。この日、アクトシティは久々に収容人数100%に近い動員でライブを開催していた。県内で、2,000人弱の動員のライブはいつ以来だろうか?そんなことを思いながら、その音が鳴る瞬間を待つ。

はっとり(Vo/Gt)がミントグリーン色をしたギターかき鳴らしながら「生きるをする」を歌い始めた。ワンフレーズ歌い終えると、他のメンバーが演奏を始め、ライブの幕が開いた。長谷川大喜(Key/Cho)のシンセサイザーが、高野賢也(Ba/Cho)のうなるベースが、田辺由明(Gt/Cho)の歪んだギターが、一気にホールを染め上げる。

その勢いのまま、バンドは「遠心」へ。
歌詞にあるような"間違いばかりの日々が愛おしい"というような、彼らにしか描けない青春の色は、どこか今の時代に重なるような言葉にも聞こえてくる。音楽のマジックだろう。心を揺さぶる。

次の曲に入る前に、はっとりは客席に向かって「歓声を出したい気持ちはわかります。今日は声を出さないで、というか出しちゃいけません!それを守れる人、手をあげてください!!」と、この日のライブのルールを話しながら、観客との距離は遠くないことを話す。そうして上げた掌とともに「眺めがいいね」でホールはライブハウスのような眺めになる。ライブがここから、勢い付いて行く。

挨拶を挟むMCをして、最新EP盤『愛を知らずに魔法は使えない』から「溶けない」を、そしてバンドの人気に火をつけた1曲「恋人ごっこ」を続けて披露。「STAY with ME」では背景のスクリーンには収録されたアルバム『LIKE』をモチーフにした映像が流れる。間奏の田辺のギターソロが光る曲であった。

続く「ボーイズ・ミーツ・ワールド」は、昨年リリースされたアルバム『hope』の収録曲。少年から大人への成長や失くしたくない思いを歌った曲は、どこかインディーズからメジャーに移籍した彼らのこの1年間のことや、今の時代の変化の中にある感情に重なるように思える。

序盤は、この1年の勢いが詰まったシーンに思えた。特に、盛り上がりのある曲も多い故に、声を出したい瞬間も客席にはあった。それでも、客席は手を振ったりジャンプして反応していた。

声は出せなくても、楽しむ。
そんな2021年のライブがそこにはあった。

マカえんの音の深み

ライブも中盤戦。
「ライブはここから長いから」とはっとりは客席に座ることを促す。ここで、初めてマカロニえんぴつをみるかアンケートが。大多数の人が初めてという浜松の夜。それに驚きながらも、ライブができる喜びを語るメンバーたち。

ここで、メンバー紹介に入った。
下手側にいたベース・高野賢也は、多くのアニメを観ていることをはっとりから紹介される。「浜松が舞台のアニメってあるんですか」という質問に、『苺ましまろ』や『干物娘!うまるちゃんR』、『ガヴリールドロップアウト』を紹介。アニメの知識の多い高野、ご当地ネタが飛び出すのでした。

続く隣のキーボード・長谷川大喜は、メンバー1の大食い。「今日は浜松餃子、そして鰻を食べてきました!」と話す彼に対し、「ツアーファイナルまでの成長にお楽しみを」といじるはっとり。どうか、健やかに…笑

サポートドラマーの高浦 “suzzy” 充孝は、マカえんの大学の後輩。そして、この5人の中で最もお酒を嗜むそうで、打ち上げが進みメンバーが帰ろうとすると「もう帰るんですかぁ」と煽り、お酒を呑ませ続けるというはっとり談。舐められまいと飲み続けた結果、バンドはお酒に少し強くなったのだそうです 笑

上手側にいるギター・田辺由明は、最近サウナに凝っており、そこで熱風を送る熱波師の検定を受け、合格したというサウナ好き。そんな彼にはっとりは「熱波師検定Bの風を体感したい」と話し、田辺ははっとりのマイクの前へ。手元のタオルから靡く風の音=熱波師検定Bの風の音、そして生まれる客席のくすくすとした声。新しい笑い… そのものでした。

そして、ボーカルギターのはっとりは「自分の紹介はいいとして… ロックスターです。はっとりです」と自らの紹介を終える。

続くMCでは「今の季節にぴったりの曲をやります」と話し、バンドは2017年にリリースされたアルバムの『CHOSYOKU』の収録曲「春の嵐」をパフォーマンス。ここから、バンドは聴かせるアンサンブルが印象的な曲を続ける。

続く『mother』では、印象的なギターのイントロ、エモーションなメロディ、2番から変わるリズム感など、マカロニえんぴつらしいポップが鳴り響く。今年2月に配信された「メレンゲ」では、冬の幻想的な景色が広がる音がホールを包み込み、「零色」では歌詞にあるように今の瞬間を肯定するような力強いナンバー。この4曲だけで、バンドの奥深さというものが見えてくる。

えぐさとその音の深みに酔いしれる。
そんな空気がホールには漂っていました。
、、、いい、こういうの好きなの…
うっとりしちゃう感覚でした…

この4曲を終え、はっとりは客席に「まだ盛り上がれますか?」と問い、客席は再び総立ちに。ここから、ライブは後半戦。より盛り上がるパートに突入します!

ライブハウス・アクトシティ浜松

「皆さんはさっき話したように声は出せません。ですが、手拍子や体を揺らすことは出来ます!そんな皆さんに与えられた手拍子で、パーカッションで次の曲協力してもらえませんか?」というはっとりの問いかけに、今までよりも強い拍手で応える客席。ここで長谷川大喜作曲のピアノのイントロが軽快な「ルート16」をパフォーマンス。音楽の街・浜松のリズミカルな客席の手拍子が(我ながら言い過ぎか?笑)、この曲をよりポップに楽しませる。それ以前に、曲が素敵なんだよね。EP盤の中でも好きな曲のひとつです。

続く「ノンシュガー」キャッチーながらもクセになる1曲に、代表曲のひとつ「ブルーベリー・ナイツ」はイントロのキーボードとギター、そして韻を踏んだ歌詞が気持ちいいナンバー。そして、ディスコっぽくもあり極彩色なポップが印象的な「カーペット夜想曲」と後半戦を一気に畳み掛けてくる。その熱は、演奏のたびに、曲が続くたびに熱くなっていく。メンバーの顔に滴る汗が、観客に籠る熱気がそれを映し出していた。

その様子に対して、はっとりは「もうここはライブハウスみたいですね」と一言。続き、はっとりはバンドと浜松に対する思いを話し始めた。

「今日、ここにこんなに人が来てくれてることが、未だに信じられないです。ここからすぐ近くのライブハウスが満員になって喜んだのが、すぐ最近の話で。地元の川崎のライブハウスが埋まらないのに、浜松が完売になったということが、自分たちにとってどれだけ嬉しいことだったのか。そのときのおよそ何倍もの人たちがここに来てくれたことが嬉しく思うのです」

浜松での思い出は、バンドにとっての大きな思い出や記憶の一部分だったのだ。インディーズからメジャーへの成長をしたバンドにとっての思いは、その次の言葉にもあった。

「どれだけ会場が大きくなって、みんながバンドのこと『遠くに行ってしまった』と言ったとしても、イヤホンを挿せば耳元からすぐ近くにいくので。その声があれば、俺たちが行ってライブをするから。それだったら、この熱気があれば、どれだけ距離が遠くてもライブハウスですから」

数百人のライブハウスから、2千人のホール。
アクトシティ浜松は、ホールやライブハウスとかキャパの問題を飛び越えて、客席とバンドの心の距離はゼロなんだということを示し上げていた。その思いでバンドが鳴らした本編のラストの曲。その曲名をはっとりが叫んだとき、私は思わず天を仰いでしまった。

人間って、感動を飛び越えたものに出会うと、立ち尽くすとか涙が出るとかじゃなくて、もう笑うしかない。天を仰ぎながら、その瞬間を噛み締めるしかない。それは、この日が、そしてその瞬間での全てが、まるでうまく出来た映画のようだったから。

「ミスター・ブルースカイ」
この日の朝、唯一スマホから鳴らせなかった音に、私はこの瞬間初めて出会うことができた。

別れがありながらも、進んでいく曲。
本編のラストがその曲だということは、このライブ自体がまるでひとつの映画のようなものの証明でもあった。浜松でのバンドの物語、こんな観客としての自分の物語、それが共鳴するととんでもないものになるんだと。音楽ってすごいんだよな… ライブってすごいんだよな… そんなことを、この曲が終わり、ステージを後にしたメンバーの姿を見て思うのでした。

ステージが再び暗転しても、客席からはアンコールを求める拍手が鳴り止まなかった。その声に応えるように、メンバーは再びステージに戻ってきた。

ツアーのTシャツに着替えたメンバーは、その流れでツアーの物販紹介に。最新グッズを中心に紹介される中、その最後に取り上げられたのは、先日リリースされたばかりの最新シングル「はしりがき」。映画「クレヨンしんちゃん」に起用された最新曲を、映画のようなこのライブの最後に、はっとりのいうような「映画のエンドロール」みたいに披露され、2時間ほどのライブは無事終演した。

人生で初めてのマカロニえんぴつのライブ。
あまりにも… 素敵なライブそのものだった。

この日、別の席に高校時代の友達がいた。その子は、彼らの歌を長いこと聞いていて、この日初めて観れたことにずっと涙きていた。彼女にも彼女なりの人生があって、それに共鳴してその気持ちになったのだと。

きっと、一人ひとりそうだったんだろうな。
この日、アクトシティ浜松では、歓声を出さないという感染対策のもと、収容人数の100%に近い動員でライブが開催されていた。県内で、ここまでの規模のライブは相当久々だったと思う。

日本のライブシーンの新たな一歩として、
一人ひとりの人生の大事な1ページとして、
そしてマカロニえんぴつの大きな未来が、
このライブにはあったように思えます。

今の時点で断言できるのは、この日のライブはこれから先忘れることのできない大きな景色だったということ。

ライブハウス・アクトシティ浜松での夜は、
そんな映画のような素敵なライブだったのです。

この日のライブのセットリスト

マカロニえんぴつ マカロックツアー vol.11
〜いま会いに行くをする篇〜
2021.04.29 アクトシティ浜松 大ホール

01, 生きるをする
02, 遠心
03, 眺めがいいね
04, 溶けない
05, 恋人ごっこ
06, STAY with ME
07, ボーイズ・ミーツ・ワールド
08, 春の嵐
09, mother
10, メレンゲ
11, 零色
12, ルート16
13, ノンシュガー
14, ブルーベリー・ナイツ
15, カーペット夜想曲
16, ミスター・ブルースカイ

((アンコール))
17, はしりがき

((写真の一部は、マカロニえんぴつ 公式Twitter(@macarock0616)より抜粋))

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

noteを最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

もし読んでいて「面白いな」とか思ってもらえたら、TwitterやらInstagramやらなんかで記事の拡散なんかしてくれたら嬉しいな、なんて思います。よかったら、noteのいいね&フォローよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?