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夜を描くバンドの今 〜indigo la End特集!最新アルバム『夜行秘密』& ツアー2021「夜警」静岡公演レポ〜

いきなり個人的な話で申し訳ないのだが、私はこのnoteで「#Shiba的音楽レコメンド」と題したアルバムやDVDといった作品の紹介や考察をまとめたレビューと「#Shiba的ライブレポ」と題したライブの感想をまとめたレポートを載せている。

普段は、この2つを別々にしてまとめることが多い。それは、ツアーやリリースの時期が別であるからという理由が主だ。個人的な経験として、アルバムのリリースとライブが近かったことが少なく、同時にまとめるよりもそのことひとつをじっくり書いた方がいいように思ってしまうというのが、勝手なこだわりとか思いとしてあって。故に、この2つを合同でやろうとはあまり思ってこなかった。

しかし、先日行ったSUPER BEAVERのライブとアルバムのリリースが近いことで、初めて合同特集を組んでみた。そうしたら… なんか面白い感じに仕上がった。

(もしよかったら、これも時間あるときでいいので、覗いてみて欲しい!)

前置きが長くなってしまった。

2021年2月14日(日)
こういうご時世だが、バレンタインデーということでどこか浮かれ立ってしまうこの日、私は静岡市民文化会館にいた。

indigo la End 全国ツアーを観た

昨年末、友達が「興味ある」と言っていたライブがあった。それが、indigo la Endのツアーだった。私は、その話に興味を持った。故に、「一緒に行かない?」と提案し、チケットを買って行くことにした。

こんな私だが、インディゴは数年前に一度だけライブを目の当たりにしたことがある。2018年7月に静岡・つま恋で行われたap bank fes’18に出演したときのライブを後ろから眺めたことかあった。ここで「観た」ではなく「眺めた」と書くのは、ちょうど昼飯とお手洗い休憩をしようとメインステージを離れていたときに、ステージから音が聞こえてきて、様子を覗きに行ったら彼らがライブをしていたという景色が生まれていた。ステージからじっくり観たというより、後ろからのんびり眺めてたというのが、その時の実感だった。故に、あの時はライブをしっかりと「観ていた」実感がなかったのだった。

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その時から、およそ2年7ヶ月。
初めて、indigo la Endのライブを観に行った。

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会場は、慣れ親しんだ静岡市民文化会館。
今回は、中ホールの方でライブでした。
大ホールは何度も行ってるんだけど、中ホールだと2015年12月の東京スカパラダイスオーケストラ以来だから、5年2ヶ月ぶりなのかな?キャパは大ホールより小さいけど、ステージと客席の距離が近いから、感覚としてはホールなのにライブハウスみたいな。そんな趣のある会場です。

定刻の約30分前。
会場入りして、席に向かう。
検温は平熱、接触を減らすために自らチケットをもぎり、半券を片手にホール内へ。10列目の席は、ちょうど真ん中あたり。こんな正面で観ること、そんなないだろうな… 久々の中ホールの手触りを確認しつつ、開演までの時を待つのでした。

それにしても、無言の開演前の時間は不思議な感覚を覚える。SEが流れてたかどうか覚えてないんだけど、飛沫防止のために無言の客席は慣れない景色です。客席との距離を空けてるのと同時に、1階席の16列目くらいまでしか人が入ってなかったから、普段のライブより人が少ないのはわかるんだけど、それにしても「これからライブなのか?」と思うほど、静けさの漂う開演前のホール。これが2021年のライブシーンか…なんて思ったりする。

定刻から少しすぎて、ホールは暗転。
ライブが幕を開けました。

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開演 18:06 終演 19:41

約1時間半のライブ。
この日は15:00開演の第1部と18:00開演の第2部の2回公演が行われ、私と友達は第2部の公演を観に行きました。

というか、このツアーって予定通りなら1月に何公演かやって、静岡は中盤戦という扱いになる予定だったらしいんだけど、1月の公演は緊急事態宣言の発令により中止になってしまって。その為、この日の静岡公演が実質のツアー初日となったのでした。

過去の人気曲から最新アルバム『夜行秘密』の収録曲もたくさん披露された。本編最後には、「ライブでやるのはこの日が初」といい、アルバムの1曲「晩生」をライブ初披露するシーンもあった。この日は、アンコール含めて計14曲披露し、バンドメンバーはステージを去っていった。

自分の存在意義って何?

この日は、少しだけMCをやって、そこからじっくりと曲を演奏するというスタイルが取られていた。だけど、そのMCも程よく(というかめちゃくちゃ緩く、ダラダラと?)行われていた。

昨年のM-1王者のマジカルラブリー風の自己紹介をしたり、楽屋でのエピソードを淡々と語るフロントマン・川谷絵音(Vo/Gt)やそれに応える後鳥隊長(Ba)や長田カーティス(Gt)、佐藤栄太郎(Drums)の様子。じっくりとMCを観るのは初めてだったから、演奏との温度差に驚いてしまった。
川谷が「indigo la Endのライブ初めて観る人どれだけいる?」と聞いて、客席の半分くらいがあげていたから、この温度差は多分ほとんどの人が感じていたのだろう、と思う。

そんなMCだったが、アンコール最後の曲の前のMCが印象的だったので、そのことを少し話したい。川谷は、まもなくリリースされるアルバム『夜行秘密』のことや、昨年の自粛期間中のことを話していた。

「自粛期間、家にずっといたために、自分が何者かわからなくなってしまった。そして、いなくなってもいいんじゃないかなと思って。でも、今日ここで久々に人前で演奏することができて、自分の存在意義を確認できたような気がします」

そのように話し、先行配信されていた楽曲「夜の恋は」を披露し、バンドはステージを降りていった。

この日のセットリスト

indigo la End ONEMAN TOUR 2020-2021「夜警」
2021.02.14 静岡市民文化会館 中ホール

01, 夜風とハヤブサ
02, 想いきり
03, さよならベル
04, 夜漁り
05, 藍色好きさ
06, 秋雨の降り方がいじらしい
07, 左恋
08, チューリップ
09, 夜行虫
10, フラれてみたんだよ
11, 夏夜のマジック
12, 晩生

((アンコール))
13, 通り恋
14, 夜の恋は

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最新アルバム『夜行秘密』の話

そんなindigo la Endは、静岡公演の3日後となる2021年2月17日に、最新アルバム『夜行秘密』をリリースした。

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このアルバムについても、静岡でのライブ中のMCで触れていた。そのときに、川谷はこんなことを話していた。

「久々に”夜”をタイトルに付けたアルバムで。インディゴといえば”夜”みたいなイメージを持ってもらうことが多いのですが、一時期はそれから離れてみようという思いがあって曲作りをしてました。ですが、このアルバムでは久しぶりに”夜”を全面的に押し出してみようと思い、『夜行秘密』というタイトルをつけて(アルバムを)作りました」

この言葉にあるように、曲の中には”夜”に関した描写が多くみられる。夜行、夜風、晩生... 夜というものにまつわるワードから心理描写など、詩世界では夜を軸とした世界が映し出されている。

全体的に、ストーリー性が見えること、特に恋愛に関する描写... 女性目線での歌詞の描き方は、川谷絵音のソングライティングの巧みさが光る傑作となっている。「フラれてみたんだよ」や「華にブルー」にあるような心理描写や感情の移り変わりは、indigo la Endというバンドの色そのものといってもいいかもしれない。

このアルバムで特筆すべきは、アルバム全体のアンサンブルではないだろうか。近年再注目を集める、シティーポップを彷彿させるような「夜の恋は」や歪んだギターが印象的な「晩生」など、バンドのアンサンブルを存分に楽しめることにこのアルバムの良さがあるのではないだろうか。アンサンブルの軸には、川谷の歌があるのはもちろんのことだが、長田のギター、後鳥のベース、佐藤のドラムやサポートメンバーの音など、全体的なアンサンブルがぎっちりと、そして曲ごとに違う表情でうなっている。インディゴというバンドの音の深みが存分に出た1枚といっていいだろう。

先日公開されたインタビューでも、「このアルバムでは”バンド”にこだわって曲や音を鳴らした」という趣旨の発言が見られている。インディゴが唯一無二で、独自の音を切り開いている理由が、このアルバムには垣間見ることができる。

私自身、先日の静岡公演でしっかりとインディゴを観るのが初めてだったことと、この『夜行秘密』が初めて買ったインディゴのアルバムだった。なんか、新参者がまとめたみたいな文章になってしまったが、このアルバムはとても聴き応えがあって、面白い1枚だなと思って。最近買うCDは、1,2回聞けばなんか満足してしまうようなものも多くて、買って聴いたっきりで満足しちゃうことが多いのだが、このアルバムに関しては、何十回か繰り返して聴かないと読めない部分や聴き取れない細かいグルーヴ感があるような印象を覚えた。故に、買ってまもなく1週間という時間が経ちそうなのだが、1日最低1回はこのアルバムを聴いている。こんなこと、ここ数年なかったような気がする。それだけ、このアルバムは面白いのです。

普段、「#Shiba的音楽レコメンド」って、1つの作品に関して、およそ1万字以上とじっくりと書いてしまう癖があるのですが、それは1,2回聴いていると、大筋が見えてしまい、感じたことを咀嚼してまとめるみたいなことでこんな文字数になってしまうのだが、このアルバムに関しては、こんなに文字を書くことに無理を覚えてしまった。それは、何度も聴いていると、それを文字化することが野暮ったいことに思えてしまうからだ。バンドのグルーヴって、何行も紹介文を書いたところで、1回イヤホンなんかで聴くことに敵わないのだ。故に、あえて書かないことで、アンサンブルやグルーヴ感を感じてもらいたい。下にURL貼っておくから、読んだ人みんな聴いてくれよ!みたいなスタンスで、この特集を締め括ろうと思う。

にしても、未知数な音楽はまだまだ多いな、なんて思う。

ここ数年間、色んなライブやCDを買って、何かと聴いているつもりでいたんだけど、知らないことの方がまだまだ多いということを、新しい音楽に出会う旅に気付いてしまう。私は、生涯音楽という場所においては勉強不足なのだ。理論をどれだけ学んでも、果てが存在しない世界なのだから。

そんな音楽に出会ったという話。

2021年2月時点の、私のドキュメントとして、indigo la End特集を締め括りたいと思う。拙かった、、、かもな?

P.S. 後書きとして。先日、2021年2月20日、私は都内に居た。友達に会って、渋谷のCDショップを散策していたのだが、久々によったTOWER RECORD渋谷店のCAFEで、コラボコーナーが展開されていた。タワレココラボのカフェって、首都圏でしかやっていないイメージがあったから、これを見たときにワクワクした自分がいた。そこで、「夜行虫」をイメージしたブルーのドリンクを買った。写真も撮った。そんな思い出を最後に載せて、今日はおしまいにします。

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