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Figmaが株式公開買い付けを準備

クラウドベースのデザイン・プラットフォームであるFigmaは、125億ドルでの株式公開買い付けを準備しています。この評価額は、規制上の懸念により中止されたアドビによる買収計画(200億ドル)から大幅に引き下げられたものです。

アドビとFigmaの取引の背景

アドビは2022年9月、Figmaを200億ドルで買収する意向を発表。この買収は、Figmaのコラボレーティブ・デザイン・ツールをアドビのクリエイティブ・ソフトウェア群に統合するための戦略的な動きと見られていました。

しかし、この買収は、欧州連合(EU)と英国の規制当局による厳しい監視に直面し、潜在的な独占禁止法上の問題や、デザイン・ソフトウェア市場における競争への影響について懸念が高まりました。最終的に、Adobe と Figma は、必要な規制当局の承認を受ける明確な道がないことを理由に、2023年12月に取引を終了することで相互に合意しました。

Figma の現在の評価額と公開買付け

アドビとの取引の破綻を受けて、Figma は、補償目的で社内評価額を100億ドルに調整し、現在、125億ドルの評価額で公開買付けを進めています。この公開買付けでは、現従業員および元従業員を含む投資家が株式を売却することができます。この公開買付けには、フィデリティ、セコイア、クライナー・パーキンスを含む25以上の既存および新規の投資家が参加しています。

従業員と企業戦略への影響

買収の失敗を受けて、Figma は、従業員の株式パッケージを再編成する措置を講じました。アドビとの取引が保留されていた期間に入社した従業員は、評価額の下落を補うため、追加株式を受け取ることになります。さらに、Figma は、3 か月分の給与を支給し、従業員が既得の株式を保持できる、自発的な退職プログラムを提供しました。

業績と将来の展望

挫折にもかかわらず、Figma は財務的に好調を維持しています。2023 年には、年間経常収益が 6 億ドルを超え、前年比で 40% 以上成長する見込みです。この好調な財務実績により、Figma は、最も業績の良い後期未公開ハイテク企業の1つとして位置づけられ、将来の新規株式公開 (IPO) に道を開く可能性があります。

アドビよりFigmaが有利な証拠

Adobeは多額の費用を払ってでも最大のライバルとなるFigmaを買収に動きましたが、それも失敗に終わりクリエイティブの世界で危機を迎えているかもしれません。

市場シェアと顧客ベース

Figmaは、共同デザインおよびプロトタイピング市場において、Adobeを大きくリードしています。2024年現在、Figmaの市場シェアは40.32%で、これに対してAdobe XDは14.42%です。この優位性は顧客数にも反映されており、Figmaの顧客数は31,722であるのに対し、Adobe XDの顧客数は11,343です。

成長率

Figma の成長の軌跡は注目に値します。同社の収益は、2017年の70万ドルから2023年には6億1,500万ドルに拡大し、年間平均成長率(CAGR)は約45%に達しました。この急成長は、Figma の市場への浸透と普及が進んでいることを示しています。

業績

Figma の財務実績は、その市場の強さを裏付けています。同社は、2022年の4億2,500万ドルから、2023年末までに6億1,500万ドルの年間経常収益(ARR)を達成しました。この前年比 45% の成長率は、Figma の強固なビジネスモデルと、顧客を惹きつけ、維持する能力を浮き彫りにしています。

競争環境

Figma の競争力は、ユーザー普及率と市場シェアにおいて Adobe XD を上回っていることからも明らかです。Figmaのユーザーフレンドリーなインターフェイス、リアルタイムのコラボレーション機能、そしてクロスプラットフォームでのアクセシビリティは、デザイナーに好まれています。対照的に、Adobe XDは苦戦を強いられており、AdobeはXDを「メンテナンスモード」に移行し、新機能の開発を中止しました。

顧客分布

Figma の顧客ベースは多様で、さまざまな企業規模や地域で採用されています。Figma の顧客の大半は中小企業で、従業員数が 20 ~ 49 人の企業が 7,972 社、100 ~ 249 人の企業が 4,992 社あります。地域的には、Figma は、米国 (48.87%)、インド (12.30%)、および英国 (9.67%) で強い存在感を示しています。

結論

証拠は、共同デザインおよびプロトタイピング市場において、Figma が Adobe より有利であることを明確に示しています。Figma の実質的な市場シェア、目覚しい成長率、強力な財務実績、戦略的な動きは、そのリーダーとしての地位を裏付けています。Figmaの革新的で市場の需要に適応する能力は、デザイナーの間で好まれるツールとしての地位を確固たるものにし、Adobe XDとの距離をさらに縮めています。

要約すると、125億ドルの評価額でのFigmaの公開買付けは、アドビによる200億ドルの買収の終了後の重要な調整を意味します。同社は、従業員の報酬を再編成し、合併後の状況をナビゲートしながら成長軌道を維持することに注力しています。

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