見出し画像

窓際のラストボーイ

夏になるとこの日の長さに取り残されてしまいそうで不安になる。夜は僕を残して音もなく太陽を食う。僕は永遠にこの黄昏に取り残される。カラスがいつまでも鳴いている。君は泣いている。その交差点でいつまでも泣いている。猛スピードの車が君の影を隠す。絶望的に電柱の影が濃くなる。今晩の食材がはみ出したレジ袋を持つ手に汗が滲む。杖をついた老夫妻。赤黒く、そして茶色い肌は戦火の熱をまだ描いている。

こうなるはずではなかった。

夜、なぜ僕を置いていった。
集団にそぐわなかった。人流はまた逆へと進む。僕はその中を泳いでいる。または浮いている。いつまでもたどり着けない夜を諦めて、今はまだ待っている。いつか夜が迎えにくるのを。

時間は流れる。人もそれに流される。僕はそれに乗る。人は流れた先に夜を掴むが、僕はいつまでも待っている。

午前三時にまだ照りつける太陽は僕にしか見えない。できることは一つだって当たりゃしない。インクの滲んだ手稿、テレビゲームのハッカーに反抗、マイナーペンタトニックノート。もういいよ。
また僕の1日はすり抜けて行った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?