忍殺TRPGリプレイ【イート・キル・オール】01
ドーモ、三宅つのです。これはネヤ=サンのシナリオ案「フォールス・ウインター#6:オペレイシヨン・スターゲイト」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
PCたちが「鷲のニンジャ」として、巨大な陰謀に巻き込まれていくキャンペイグンの第六話となります。上掲の記事はそのストーリーに関する重大なネタバレを含むため、読む場合はご注意ください。
つの次元では三人のPCたちがこのキャンペイグンに挑んでいますが、今回は様子が違います。以前単発シナリオとして作成されたものを、つのはすでにプレイしてしまっているのです。ダイダロスはドロイドボディですが健在で、フジキドとナンシーはキョートにおり、スコルピオンは爆発四散しました。従って、つの次元ではこの時系列においてはもう起こりえません。
ならば飛ばして次のシナリオをやってもいいのですが、なんかもったいないので再構成し、別の形でプレイしてみます。では始めます。
◆◆◆
序
謎のニンジャ・アシッドウルフの指令を受けて行動する三人の若き「鷲のニンジャ」たちは、しばしネオサイタマに潜伏し、偵察と情報収集にあたることとなった。大手柄を立てているためオムラやオナタカミ、ソウカイヤにもその名が知れ渡り、何度かスカウトを受けたが断らざるを得ない。
ネオサイタマ某所、高層ビルの一室。ウシミツ・アワー。
「……つまり、そいつらはソウカイヤのヌケニンってわけだな」ミリタリー装束を纏った女ニンジャ、クレイニアムが報告を受ける。彼女は湾岸警備隊出身で、ソウカイ・シンジケートに派遣され、スカウト部門と連携してニュービーニンジャのトレーニングに当たっている。鬼教官として名高い。
「ハイ」彼女の直属の部下、メイントリガーがオジギする。「デッドリーパー、もとのニンジャネームはデッドリーフィンガー。アースハンドはロングコブラ。サイバーメイヘムはキリングシューター。一応覚えちゃいるが」クレイニアムは眉根を寄せる。どうしようもないサンシタのクズたちだった。
「爆発四散したように見せかけられ、誘拐され、洗脳され、上等なテッコと目的を与えられ、誰かの手駒として動かされている……そんなところか?」クレイニアムは推測する。今のところはソウカイヤやオムラに敵対的ではないにせよ、対オナタカミ戦争の火蓋を切らせたかも知れない組織。危険だ。
「この報告は上へあげておく。ご苦労だった」「ハイ」二人は手短なダンゴウを終え、立ち上がる。多忙なのだ。「見つけたら、捕まえてインタビューしねえとな。何を企んでいるのかをよォ」クレイニアムはドクロめいたガスマスク状のメンポから苛立った声を漏らした。「再研修してやるぜ」
彼女はネオサイタマ各地に密かに設置された、ソウカイヤの秘密トレーニング施設を任されている。外様で新参者ながら実力は確かで、オンセン療養中のソニックブーム、キョート遠征から戻らぬハウスバーナーとポイズンバタフライに代わり、シックスゲイツの「六人」に選ばれるのではとの噂も。
◆クレイニアム(種別:ニンジャ)
カラテ 12 体力 18
ニューロン 8 精神力 8
ワザマエ 7 脚力 6/N
ジツ 5 万札 50
攻撃/射撃/機先/電脳 12/10/ 7/ 8
回避/精密/側転/発動 13/ 7/ 6/13
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:1
◇装備や所持品
◆近代的ヘヴィニンジャ装束一式:体力+4、射撃+3、緊急回避+1
側転・イニシアチブ-1、脚力ダメージ軽減1
◆オーガニック・トロスシ、ZBRタバコ
◇ジツやスキル
☆カトン・ジツLV3
★カトン・パンチ
★◉特殊カトン・ジツ:攻撃時に精神力消費し戦闘スタイル選択
捨て身の強打:精神力1消費、エンハンス不可、攻撃対象を中心に爆発3×3
連続攻撃可・時間差可だが、爆発には術者も巻き込まれる
収束カトン・パンチ:精神力3消費、エンハンス不可、シナリオ中1回まで使用可
最後の近接攻撃対象を中心に「グレーター・カトン・ジツ」発動
発生するカトンは術者や味方を巻き込み、術者は回避不可(ダメージD3)
◉◉タツジン:ボックスカラテ 連続攻撃+1、近接攻撃の出目6成功時に痛打+1
●戦闘スタイル:精密ジャブ連打
ワザマエで攻撃、連続攻撃+2、標的1体固定、ダメージ1固定、敵の迎撃不能
●戦闘スタイル:ボックスカラテ連打 集中&精神力1&回避2を消費し発動
連続攻撃+2、標的1体固定、殺伐発生せず
精神力2消費すると連続攻撃+3されるが、戦闘終了まで連続攻撃+n使用不可
●ワザ:ハートブレイカー 出目666で発動
痛打+1、回避H 連続攻撃が残っていれば敵は回避不能(殺伐なし)
◉特殊近接ステップ
◉緊急ブリッジ回避
◉頑強なる肉体:体力+2
◉防具習熟:四部位全てに防具を装備した場合に回避+1
頭・胴・腕・脚にシナリオ中最初に受けた殺伐の付属効果を無視
●ワザ:パリィガード 回避判定に出目6を含んで迎撃成功した場合、
迎撃ダメージの代わりに敵を崩れ状態とする(回避UH)
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット
能力値合計:37
ソウカイヤもオムラも湾岸警備隊も、ザイバツ、キョート共和国、オナタカミとの折衝で混乱が続いている。特にソウカイヤのニンジャ戦力はネオサイタマ各地へ分散配置され、網の目のようにと言えば聞こえはいいが、ところどころに綻びも視える。それを補うのが忍材を集めるスカウト部門だ。
しかし部門筆頭のソニックブームに頼りすぎるところがあり、彼はカロウシ寸前で療養生活に入ってしまった。クレイニアムの仕事もますます増えるというわけだ。「ゲイトキーパー=サンもソニックブーム=サンも、ヤクザ気質だからなァ。もっと湾岸警備隊式でビシバシやりゃあいいんだよ」
クレイニアムはぶつくさ言いながら身支度をし、ブリーフィングルームを出て、メイントリガーとともにエレベーターに乗り込む。操作パネルに掌を乗せると、指紋や静脈パターンなどが瞬時に読み取られ、デジタル掲示板に「忍」の文字を光らせた。それは急速に下へ、地下へと向かう……。
???
ポーン!『トレーニングフロア、ドスエ』ガゴンプシュー!堅牢なドアが内側から開き、クレイニアムとメイントリガーの眼前に武骨なトレーニング施設が広がる。サボってだべっていたニュービーたちは瞬時に鍛錬を再開した。「そこと、そこ。サボってたな。後で特訓だ」「「ヨロコンデー!」」
「たく、ちょっと目を離すとこれだ。監視カメラついてンのによォ」「教官役が不足しています。対オナタカミやザイバツ、対キョート、仮本部始めネオサイタマ各地の監視……手が足りません」「手練れニンジャは一日にして成らず、か」クレイニアムは手近で鍛錬していたニンジャの尻を叩く。
「アリガトゴザイマス!」「俺も!オネガイシマス!」「うるせえぞ、マゾヒストども!」ニュービーニンジャたちは背筋を伸ばし、不自然なほど熱心に訓練に打ち込み始める。彼らの自我は研修済みなのだ。クレイニアムとメイントリガーは、しばしニュービーたちの鍛錬を見張り、組み手を行う。
「……よーし、今日はこれまで。後は任せた。アタシは汗を流して、メシ食って来るよ」「「「ハイ!」」」メイントリガーとニュービーたちは一斉にオジギ。彼女は上の階にある大浴場で汗を流してリフレッシュしたのち、清涼飲料水を飲みながら外へ出る。護衛ヤクザも連れずに、ただ一人で。
???
家紋タクシーも使わず、ふらふらと通りに出たクレイニアムは、歩き慣れた道を通って屋台のひとつへ向かう。「いつもの」「アイヨ」屋台の主人は手慣れた手つきでソバを茹で、ドンブリに盛り付けて汁をかけ、スシをトッピングする。ネオサイタマのソウルフード「スシ・ソバ」である。
この店は彼女のお気に入りだ。喧騒の中、ゼンめいた心地でズルズルとソバをすすり、スシを食べてカラテを補給する。このルーチンが彼女には合っているのだ。湾岸警備隊で規律を叩き込まれたクレイニアムは、そのような行動を自然ととる。「……マッタ。これを食べてからにしてくれないかい」
クレイニアムは油断なく、低い声で告げた。「え?」店主が振り向く。「アンタじゃない。アタシをつけてる奴にさ」斜め後ろ、路地の暗闇の中にニンジャが潜んでいる。アンブッシュをかけようとしたのだろう。狙われる理由は十分ある。「ドーモ、クレイニアムです!」堂々とアイサツ!
だがアイサツ前のアンブッシュは一度だけ許される。そして、気配は一つだけではない。ひい、ふう……四つ。いずれもサンシタだが、油断できる数ではない。「「「「……イヤーッ!」」」」暗殺者たちは一斉に飛び出す!その装束には菱形のザイバツ紋!「ソバが伸びる前に片付けてやるよ!」
戦闘開始
【続く】
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