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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター#5-2:オペレイシヨン・ケイオス(後編)

あらすじ:扇動工作により、ネオサイタマ・キョート間の関係性は著しく悪化。ソウカイヤ・ザイバツの暗闘が激化する一方で、鷲のニンジャらは勃発したオムラ社のオナタカミ本社襲撃に参加し、恐るべきCEOが待ち受けるその心臓部へと歩みを進める。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第五話(後編)に該当するサンプルシナリオ記事です。

プレイ人数:4~5名
所要時間:16時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、4シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ1~3つずつ超えている)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

前シナリオ

はじめに

このシナリオはCP全体の物語で言うと、三幕構成のうち第一幕の終わりに訪れるターニングポイントに相当する。PCは『オペレイシヨン・ケイオス(前編)』で火蓋を切ったネオサイタマ⇔キョート間の緊張状態の悪化、あるいはバランスの崩壊に伴う混乱の尖兵として、オムラ対オナタカミの小規模な戦争へと介入してゆくことになる。

一方、その背景ではPC以外のブラックサイト勢力が明らかに状況を悪化させようとする工作活動を進めており、事態はさらに混迷を極めようとしている。

シナリオ構成としては4回(場合によっては5回)の戦闘が発生するハードな内容となっており、そのうち2回目の戦闘が終わった段階でのみ、イベントによる回復が行える。それ以外ではPCが所持しているアイテムに依存したリソース管理が必要なため、NMは事前に上記の構成についてPLに伝えておくことが望ましい。


マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


導入:カットシーン(後編)

「キョート支社が……壊滅だと……?」オムラ・インダストリ本社社屋
、108階、社長室!通話機を片手に愕然とした表情を浮かべるのは、宇宙服めいた無骨な白いパワードスーツに全身を包んだ男……モーティマー・オムラ、47歳!オムラ・インダストリの代表取締役社長その人である!

彼の優れない顔色は、手にした通話機越しのオムラ・キョート支社消滅確認の報を受けての事だ。何者かがヴァレイ・オブ・センジンの淵よりミサイルを発射し、アッパーガイオンの1区画ごとキョート支社を破壊したのである。

爆撃時、キョート支社はザイバツと密約締結に向けたダンゴウ中であったが、この無礼なインタラプトにより商談は水を差された格好だ。「そうだ!上手く偽装しておるが、これは反オムラ企業の寄り合いの仕業だ!何故現場を引いておる儂、そしてオメガがこんな事に心を砕いておるか!貴様がモーター何トヤラにうつつを抜かしておるがゆえ!死んでも!死に切れぬ!」着物姿のミイラめいた男、会長のアルベルト・オムラが苦しげにサイバネ声帯でモーティマーを叱責する。

「見よ、馬鹿め。これがもたらされし情報……オメガ!」「は」多彩めいたニンジャ、オメガが素早く小型モニタ端末を取り出し、モーティマーに示した。「ご覧めされよ」そこには回収されたミサイル残骸の解析データ、そして反オムラ企業集会の名簿記録が表示されている。

モーティマーはオメガから小型モニタ端末をひったくるようにして受け取った。「サブリ化学……ニッキキ・コープ……ヤマミ鋼材……オナタカミ?オナタカミはう、うちの下請けじゃないか!」「左様!愛想を尽かされた、そういうことだ、カハーッ!」「おのれオナタカミ……他の企業も……!」


「言ッタ、トオリ、ニ、ナッタ、ダロウ。オムラ=サン」隅に控えていた重サイバネのニンジャがここで初めて口を開いた。サイオコールを名乗るこの傭兵ニンジャはオムラと専属契約を結ぶ企業戦争コンサルタントであり、モーティマーとアルベルトの両者から一定の信用と発言権を得ている。

それはひとえに、彼がモーター思想と現実的な企業経営の両方に理解を示し、双方への架け橋役となっているからだ。彼が居なければ、ピグマリオン・コシモト兄弟との提携は反故になっていたことだろう。そして彼の諜報情報は極めて有用に……思える。

「オナタカミ、ハ、背後デ政府案件ヲ受注シ、独立ニ向ケ動キ始メテイタ。局地戦闘ノ敵対戦力、モ、奴ラノ、差シ金、ダッタノダ」

「決断セヨ、オムラ=サン」サイオコールは信用できない。だが、その真意はどこにある?オメガは無言のまま、この客将の腹の中を探ろうとした。

シナリオ冒頭では、『オペレイシヨン・ケイオス(前編)』の出来事の後、ブラックサイトの思惑通りオムラ社が攻撃をオナタカミ社によるものと誤認するシーンが描かれる。あまりにも出来すぎた状況ではあるが、オナタカミ社との軋轢や、反オムラ的な活動の証拠、そして内部の信用を得ているサイオコールからの進言と、情報が揃ってしまったがため、オムラ社は過激な方向へと走り始めてしまう(さらに言えば、オムラ社にとってオナタカミを攻撃する正当な理由を都合よく得てしまったという要素も否めない)。

一方で、アルベルト会長の側近であるオメガはサイオコールの存在を怪しんでおり、展開によっては彼をキーキャラクターとしてオムラ社がブラックサイトの敵に回る可能性もあり得る。


シーン1:砲火を浴びるマグロ・ツェッペリン

ZGTOOOM!KABOOM!KABOOM!「ア、アイエエエ!機関部の出力低下、止まりません!」激しい対空砲火を浴びるオムラ・インダストリのマグロツェッペリン。そこに君たちは居た。そしてそれは今、墜落しようとしていた。

『オペレイシヨン・ケイオス(前編)』の事件から数日後、PCはアシッドウルフ(スパイマスター)からIRCメッセージで指示を受け取り、サイオコールの指揮のもと"傭兵"としてオムラ社によるオナタカミ社の洋上要塞襲撃に加勢することになる。

シナリオ開始時点で、既にオムラは大量の鬼瓦ツェッペリンを投入。次々とロボ・ニンジャを投下しながら洋上要塞周辺の製造ドック群へ侵攻を開始している。しかし難攻不落というだけあり、オナタカミの対空砲火は凄まじく、ほとんどのツェッペリンがロボ・ニンジャを抱えたまま接近できないか墜落させられている状況だ。

オナタカミ戦力の動きについて

このシナリオにおいてオナタカミの洋上要塞はあらゆる方向からオムラの攻撃を受けているため、協力するアマクダリ・セクトのニンジャ戦力も開始時は分散している。

PCの破壊活動が進むほどに敵のニンジャ戦力は集まり始め、またオムラの増援投下も加速することで戦闘は指数関数的に激化していくことだろう。

NMはPCの人数や能力値、敵との相性を見ながら順次マップを切り替え、シーンを区切りながら戦闘を発生させる。


第一戦:洋上ドック|対空砲列

まずPCは辛うじて砲火を潜ったツェッペリンから末端の製造ドックへと投下され、サイオコールの指揮のもと本社要塞の方向へと対空砲を破壊しながら走り抜けることになる。

その役割は対空砲火の勢いを削ぎ、敵のニンジャ戦力をおびき寄せる陽動にある。彼らの侵入に呼応して、その場にはオナタカミの防衛戦力が集まり始めることだろう。

シーンクリア条件:マップ上の対空砲をすべて破壊する。また全PCがマップ右端に到達するか、敵をすべて撃破・撃退する。

吸着電磁パルスグレネード:使い捨て。PC全員に1個ずつ配布されるが、武器スロットを専有しない。「その他の行動」で隣接マスの対空砲を1機破壊することができる。

マップ情報

マップには5体のドラグーンとレクティファイア(鬼瓦フライングパンケーキ)がPOPする。以下は各種マスの特殊な処理についての細則である。

①マップの左右端は「壁」とはみなされず、「弾き飛ばし」などによる激突の対象とはならない。何らかの強制移動効果を受けた場合でも、キャラクターは単純にマップ端で移動を終了する。


②マップ上の青色のマスは海水をあらわす。これは「移動困難な地形」であり、連続側転および飛行移動時のみ侵入可能となる(つまり、通常移動で通常マスへ脱出することはできるが、その逆はできない。)。このマス上ではさらに「あらゆる判定難易度+1」のペナルティを受ける。

例外則1:NMが許可するなら、『弾き飛ばし』などの強制移動効果により、このマス上で移動を終了した「ドラグーン」は水没して『即死』する。

例外則2:「レクティファイア&鬼瓦フライングパンケーキ」はこのマスの影響を一切受けない。



③マップ上に濃いグレーのマスで表されているのは、シーンクリア条件である対空砲である。隣接しているグレーのマスがひとかたまりで対空砲1機とみなされる(マップ上には3機の対空砲が存在する)。

PCはこのマスのいずれかに隣接し、「その他の行動」として「吸着電磁パルスグレネード」を使用することで即座にこれを破壊できる。レクティファイアの「電磁錯乱弾」も同様にこれを破壊してしまうので、PCが対空砲に接近すると彼は別の攻撃手段を用いるようになる。

例外則1:NMが許可するなら、『電磁ダメージ2』以上のダメージを持つ攻撃手段であれば対空砲を破壊できる。

例外則2:NMが許可するなら、ジョルリ系のジツを収めている……と設定されているPCは、難易度UHの発動判定により、対空砲を操作してレクティファイアを砲撃させることができる(1D6ダメージ、1回のみ試行可能)。


◇NPCデータ:レクティファイア&鬼瓦フライングパンケーキ

……ゴウ!走り出したニンジャたちを、上空からの漢字サーチライトが照らし出す。鬼瓦ツェッペリン……否!鬼瓦フライングパンケーキである!

プレイヤー諸氏には説明しておかなくてはなるまい。その機内では、シート上で機甲ニンジャがいかめしくアグラをかいている。オナタカミの企業ニンジャ、レクティファイアだ「掌握……掌握……」。

要塞に忍び込んだPCの前にはまずオナタカミ社の企業ニンジャ、レクティファイアが立ち塞がる。レクティファイアは大型のVTOL機、鬼瓦フライングパンケーキに搭乗しつつ、無線LAN接続により同時に5体のドラグーンを操作して襲い来る。

レクティファイアはカラテが届かない上空に陣取り、海上マスからPCに向けて執拗な妨害射撃を行いつつ、ドラグーンによる挟撃ですり潰そうとする。

「掌握……掌握……」「……ミッション限界時間ヲ配慮重点」

◆レクティファイア&鬼瓦フライングパンケーキ (種別:ニンジャ&戦闘兵器/大型1x1)
カラテ     -  体力     18
ニューロン   7  精神力    -
ワザマエ    6  脚力     12
ジツ      -  万札     20

◇装備やスキル
 スキル:『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●飛行移動』
     『●大型(2x2)』

 『オナタカミ・ヘヴィマシンガンx2』:重火器、連射6、バースト3x3、ダメージ2
 『空対地ミサイル』:重火器、連射2、爆発(カトンLv2)、弾数無制限

 『漢字サーチライト』:遠隔武器、範囲攻撃(3x3)、回避ダイスダメージ3

 『電磁錯乱弾』:
  遠隔武器、連射3、時間差、ダメージ0
   この武器の攻撃が命中した相手は、サイバネによるあらゆるボーナスを失う。
   この効果は次の鬼瓦フライングパンケーキの手番まで持続する。
 
 『●弱点:機関部連鎖爆発』:
  【体力】が一撃で3以上減らされた場合、D6を振る。
  出目6だった場合、機関部や燃料部に致命的なダメージを受けたとみなされ、即死する。

 『●飛行移動』:
  このキャラは常時上空に位置取りをしているため、『飛行移動』中のキャラを除き
  近接攻撃の攻撃対象とすることができない。


◇NPCデータ:ドラグーン

レクティファイアに指揮されているドラグーン5機は高度な連携を取っており、それぞれの個体の攻撃をまとめて回避することができない(射撃に時間差が付与されるわけではなく、単純に別々のキャラとみなされる)。

ドラグーンは可能な限り「バースト2x2」でターゲティング可能な1~2人のPC集団を(彼らがマップ右側へ走っていると想定して)2機で両サイドを固め、バルカン砲による挟撃を行ってくる。

PC全員が散らばりすぎていると射撃が特定のキャラに集中し、かといって密集しすぎているとレクティファイアの範囲攻撃にまとめて巻き込まれやすくなる……と適度な位置取りが必要となるバランス設定になっている。

「クオオオー!」「クオオオー!」「クオオオオオオー!」獣じみた咆哮が対空砲火と旋律を奏で、正面から複数の大型バイクが高速接近!悪魔じみた可変ロボニンジャ、ドラグーンだ!

レクティファイアは五機のドラグーンを無線LAN接続し、ニューロンで直接指揮するニンジャである。すなわち接近するドラグーンの脅威度は、ニンジャ指揮も合わさり実質100倍近い。

◆ドラグーン(種別:戦闘兵器/クローンヤクザ*)
カラテ     5  体力     8
ニューロン   3  精神力    -
ワザマエ    8  脚力     4
ジツ      -  万札     -
近接攻撃D:5、射撃D:8
◇装備やスキル
 スキル :『タクティカル移動射撃』、『シャープシューター』、『疾駆』、『突撃』

 『アームバルカンx2』:遠隔武器、連射4、バースト2x2、ダメージ1、小銃
 『アームパンチ』  :テック近接武器、ダメージ2

 『●移動スタイル:モーターサイクルモード』:
  一時的に脚力が2倍となり、ナナメ移動が可能となる。

 『●レクティファイアの戦術指揮』:
  この戦闘兵器は上空の機甲ニンジャにより無線LANで同時並列操作されている。
  高度なラン・アンド・ガン連携により、攻撃対象は、複数の「ドラグーン」による射撃について
  「まとめて回避」ができなくなる。(2体に十字砲火を受けた場合、2回の回避が必要)

*『クローンヤクザ生体脳』:
  このキャラは精神攻撃系のジツに対して「クローンヤクザ」とみなされる(モータルではない)。
  そのジツが【精神力】ダメージを与えるものだった場合、【体力】ダメージに読み替えられる。
  このルールはジツに対してのみ有効であり、精神攻撃系のスキルは対象外である。

◇現地調達(オプション)
NMは倒したドラグーンの残骸をそのマスに残し、破損したバルカン砲を固定武器として使用できるものとしても構わない。PCは「ドラグーンの残骸」マスに隣接することで、続く攻撃フェイズにおいて、アームバルカン(遠隔武器、連射4、ダメージ1)を使用できる。これは1度使用すると使用不可となる。

※これは上空に陣取るレクティファイアへと有効な攻撃手段を持たないPCへの救済措置となる。


イベント処理:レクティファイアの撃退

「ザザザ離脱シマス」「セクトザザザ、展開、ケジメ回避ザザザ」

レクティファイアは指揮ドラグーンが1体以下になるか、鬼瓦フライングパンケーキが重篤なダメージを負うと一時離脱を試みる。(移動によってマップの右端まで到達すると、鬼瓦フライングパンケーキはマップ上から消えてしまう。)

この場合、NMは状況によりレクティファイアを第二戦のボスとして続投させても良いし、PCが十分に対空砲を破壊しているなら、増援のモーター兵器に迎撃されているものとして再登場させなくてもよい。

「ザザザ、ピガーッ!?バカナ、コン」鬼瓦フライングパンケーキは炎と煙を噴き出しながら、夜空を斜めに落ちて行く。その過程で何度か内側から爆発した。


シーン2(第二戦):貨物エリア

『良イゾ、対空砲火ガ弱マッタ。コレデ、ソノ、セクション、ニモ、モーター兵器ノ投下ガ開始サレル、ハズダ』上空から戦局をモニタリングしているサイオコールからのIRC通信だ!『本社要塞ヘ前進セヨ。内陸部……コンテナヤード、ヲ、通リ抜ケルノダ』

君たちはサイオコールの指示に従い、オナタカミ洋上ドックのコンテナヤードを駆け抜ける。重金属酸性雨にさらされたヘリ牽引コンテナの表面には、白いシリアルコードが整然と刻み込まれていた。オナタカミ社のロボ・ニンジャ、あるいはそれらに取り付けるための武装や装甲部品が満載されているのである。

レクティファイアを撃退したPCはサイオコールの指示により、沿岸部から内陸側へと移動し、コンテナヤードを通り抜けて本社要塞へとさらに前進することになる。

この場所は出荷前の戦闘兵器や武器類が満載されたコンテナが所狭しと積み上げられた、非常に遮蔽物の多いエリアである。視界を絶妙に遮るこの場所で、PCらは再びオナタカミ社の戦闘兵器による迎撃を受ける。

シーンクリア条件:マップ上の敵をすべて撃破・撃退する。

マップ情報

マップにPOPするエネミーは、シーン1での戦闘の結果やNMの裁定によって変化する(詳細後述)。以下は各種マスの特殊な処理についての細則である。

①マップの端は「壁」とはみなされず、「弾き飛ばし」などによる激突の対象とはならない。何らかの強制移動効果を受けた場合でも、キャラクターは単純にマップ端で移動を終了する。


②マップ上の青色のマスは海水をあらわす。これは「移動困難な地形」であり、連続側転および飛行移動時のみ侵入可能となる(つまり、通常移動で通常マスへ脱出することはできるが、その逆はできない。)。このマス上ではさらに「あらゆる判定難易度+1」のペナルティを受ける。

例外則1:NMが許可するなら、『弾き飛ばし』などの強制移動効果により、このマス上で移動を終了した「ドラグーン」は水没して『即死』する。

例外則2:「レクティファイア&鬼瓦フライングパンケーキ」はこのマスの影響を一切受けない。


③マップ上のマスは「高さ」の概念を持つ。白色のマスを「高さ0」として、幾つかのマスには上記の凡例の通り1~2の高さが設定されている。攻撃者の現在マスより高いマスだけが「遮蔽物」として射線を遮り、高低差のあるマス同士は非隣接状態として扱われる。高所→低所への『近接攻撃』は全て難易度が−1される。

「高さ」が指定されていないあらゆるマスは、「高さ0」の通常マスとみなされる。

例外則:
「レクティファイア&鬼瓦フライングパンケーキ」および「ハイタカ」は、これらの遮蔽物を完全に無視する(高高度から射線を通しているとみなされる)。


レクティファイア再び

第一戦でレクティファイアが生存していた場合、ここで増援のドラグーンを5機連れて再び現れる。ただし鬼瓦フライングパンケーキの破損状況は変わらず、ダメージを引き継ぐ。

ここでの展開を早めたいNMは、モーターヤブを味方として数体POPさせ、狭い通路などで足止めさせてしまう。PCがドラグーンを上手く誘導すれば、ヤブの集中砲火を浴びせて一網打尽にすることができる、という状況を用意するのだ。ただしこの場合、必然的にPCは固まって移動するため、レクティファイアによる範囲攻撃を受けるリスクが跳ね上がる点にも注意が必要だ。

「逃ガスワケニハ、イキマセンナ!」


◇NPCデータ:ハイタカ

この戦闘の背後では、コンテナの隙間を縫って大量のハイタカが迫ってきている。レクティファイアが爆発四散する、あるいは既に爆発四散している場合、彼らにアンブッシュを仕掛けるようにして、ドラグーンの代わりに大量のハイタカをPOPさせても構わない。

PCの強さにもよるが、ドラグーンがモーターヤブに抑えられている、あるいはほぼ存在しない状態なら、PCと同じだけの数を目安にPOPさせること。

◆ハイタカ  (種別:戦闘兵器、クローンヤクザ*)
カラテ    2  体力   4
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   3  脚力   6(飛行のみ)
ジツ     –  万札   2
攻撃/射撃/機先/電脳  -/4/2/4

◇装備や特記事項
 ショットガン: 銃器、連射1、ダメージ2
 小型マシンガン: 銃器、連射3、ダメージ1

『◉飛行移動』:ハイタカは常に6マスの『飛行移動』を行う。

*『クローンヤクザ生体脳』:
  ハイタカは精神攻撃系のジツに対しては「クローンヤクザ」とみなされる(モータルではない)。
  そのジツが【精神力】ダメージを与えるものだった場合、【体力】ダメージに読み替えられる(軽減不可)。
  このルールはジツに対してのみ有効であり、精神攻撃系のスキルは対象外である。


◇補給物資(オプション)

『キャバァーン!』電子音と共にモーターヤブ改善の装甲プレートが展開。パックド・スシが飛び出し、水音を立てて地面に落ちた。

このシナリオは連戦に次ぐ連戦が発生するため、PCが消耗品を準備していない場合はラスボス到達時点でかなり疲弊してしまっている可能性がある。

敢えて苦境を押し付け、準備の必要性を訴えてもいいが、心優しいNMはこの戦闘が終了した時点で増援のヤブやオムラの投下物資から「オーガニック・スシ」や「トロ粉末」などのアイテムを取得できるもとのしても構わない。ただし、これらはこのシナリオ以降に持ち越せない時限式のものである。


シーン3(第三戦):連絡通路

「クオオオー!」「クオオオオー!」奇怪な咆哮を放ち、新たに2機のドラグーンが前方より迫りくる。その背には……ニンジャ!

「「イヤーッ!!」」ひとりのニンジャはドラグーンから跳躍し鋭いトビゲリを、ひとりは右腕からブレードを展開し、すれ違いざまにアバラへと斬りつける!

コンテナヤードを切り抜けたPCは、左右を海に囲まれる連絡通路にたどり着く。彼らはここを経由して次のセクションに渡ることになる。

ここで侵入者に襲いかかるのは2機のドラグーンと、それに搭乗した2人のアマクダリ・アクシスだ。彼らは別々のPCに対してアンブッシュ(回避難易度:NORMAL、1ダメージ)を繰り出したのち、人型形態に変形したドラグーンと共にPCたちを挟撃する。このアンブッシュ処理の後、回避ダイスは最大値まで回復してから戦闘処理が始まる。

なお、このシーンにおける戦闘では『乱戦』のルールが適用される。つまり、ボス級の敵に対して敵味方問わず最大で2人までしか攻撃を行うことができなくなる。

シーンクリア条件:マップ上の敵をすべて撃破・撃退する。


マップ情報

マップにはアンブッシュの後、アルバレストおよびブラックオニキスに加え、ドラグーンが2体POPする。過去のシナリオでアクシスの2人が爆発四散していた場合、同等程度の強さ(そして戦闘スタイル)のNPCを代わりにPOPさせる。以下は各種マスの特殊な処理についての細則である。

①マップの端は「壁」とはみなされず、「弾き飛ばし」などによる激突の対象とはならない。何らかの強制移動効果を受けた場合でも、キャラクターは単純にマップ端で移動を終了する。


②マップ上の青色のマスは海水をあらわす。ただし、この戦闘では通常マスとの境に壁が存在するものとみなされ、このマスにはどうやっても侵入できない(例外的にこれを許しても構わないが、PCは敵に攻撃されない代わりに敵も攻撃できなくなるだけである)。


③マップ上のマスは「高さ」の概念を持つ。白色のマスを「高さ0」として、幾つかのマスには上記の凡例の通り1~2の高さが設定されている。攻撃者の現在マスより高いマスだけが「遮蔽物」として射線を遮り、高低差のあるマス同士は非隣接状態として扱われる。高所→低所への『近接攻撃』は全て難易度が−1される。

「高さ」が指定されていないあらゆるマスは、「高さ0」の通常マスとみなされる。


◇NPCデータ:アルバレスト

アルバレストは決して低くないワザマエの持ち主であり、不用意に距離を詰めず1~2人の敵に対して集中的にスリケン弾幕を張って攻撃する。既に交戦経験のあるPCがいるなら、アルバレストは侮蔑や挑発を繰り返しながらそのPCを集中的に狙うことだろう。

PCが距離を取った戦術を中心に戦うなら、アルバレストは『防御的スリケン投擲』による攻防を選択し、PCが近接攻撃を主軸として戦うなら『誘い込み』からのカウンターカラテを狙う。『◉スリケン乱射』は【体力】を大幅に削られて窮地に陥るまで使用しない。

「ドーモ、アルバレストです」トビゲリを放ったニンジャは必要以上に距離を詰めず、XXXの顔を見て目を細めた。「オムラ。オムラには見えんな。何が目的だ、貴様……」

◆アルバレスト(種別:ニンジャ)
カラテ     7   体力     7
ニューロン   7   精神力    7
ワザマエ    10   脚力     6
ジツ      3   万札     25
近接攻撃D:7、射撃D:14、回避D:13
◇装備やスキル
 スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
       『☆ヤギ・ニンジャクラン(射撃D+3)』、『◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック』
       『◉スリケン乱射』、『◉シャープシューター』
 装備   :『アクシス正式装束(回避D+3)』

『*スリケンボウガン・ブレーサーx2*』:
 素手、スリケン、二挺拳銃、連射+1、ダメージ1、本人の連射、時間差、マルチターゲットを使用。
 ※『スリケン乱射』と併用可能、かつ「連射+」の効果が累積される。

『◉◉タツジン:フタツイシユミテ・ドー』:
 圧倒的な手数で敵を封殺する、遠近の戦闘スタイルを兼ね合わせた失伝カラテ。
 「スリケン」種別を持つ武器を使用する場合に限り、次の効果が適用される。

 ・隣接している敵に対して射撃が可能となる。
 ・次の以下のスタイルとワザを使用できる。

  『●射撃スタイル:防御的スリケン投擲』:
    ターゲット敵1体固定。次の手番開始時まで、
    攻撃対象からのあらゆる攻撃の回避難易度が-1される。

  『●射撃スタイル:誘い込み』:
    ターゲット敵1体固定。対象は次の手番終了フェイズまで「不覚状態」となり、
    次の移動フェイズで必ず移動を試みなくてはならない。

  『●戦闘スタイル:オートマチック・ピストルカラテ』:
    タツジン:ミリタリーカラテと同様。


◇NPCデータ:ブラックオニキス

ブラックオニキスは相当に手練のニンジャであり、スターゲイザーの側近としてその実力を買われた存在である。

彼は基本的にはニンジャソードによるイアイドーの2連続攻撃を主体に戦い、「集中状態」に入れる場合のみブレードガントレットによる3連続攻撃を用いて戦う。ブラックオニキスはカラテ/ワザマエのどちらも高水準に備えたキャラクターであるため、NMはなるべく戦闘スタイルを状況に応じて切り替えて戦わせることで、彼の油断ならない実力を演出することができるだろう。

「ドーモ。ブラックオニキスです」ドラグーンから回転跳躍で飛び降りたニンジャがアイサツを繰り出した。

◆ブラックオニキス(種別:ニンジャ)
カラテ     12  体力    12
ニューロン   7   精神力   7
ワザマエ    10  脚力    7
ジツ      0   万    25
近接攻撃D:12、精密攻撃D:11、射撃D:12、回避D:12
◇装備やスキル
 スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
       『◉◉タツジン:イアイドー』、『◉ツジギリ』、『◉常人の三倍の脚力』
 サイバネ :『▶サイバネアイLv1』
 装備   :『ニンジャソード(カタナ)』

『ブレードガントレットx2』:
 特殊近接武器、内蔵型、攻撃難易度+1、連続攻撃+1、回避難易度HARD、サツバツ発生なし

『インタラプト防御』:
 隣接する味方が攻撃対象となったとき、【ワザマエ】HARDで判定。
 成功した場合、攻撃者の続く攻撃フェイズにおける攻撃対象を強制的に自身へと変更させる。
 1ターンに1回までの使用。

『●ステルスニンジャ装束』:
 シナリオ中1回まで『☆ステルス・ジツ』及び『★ステルス・アンブッシュ』を使用できる。
 このとき発動判定は不要となる。

◇ブラックオニキスの撃退

この戦闘において、窮地に陥ったブラックオニキスは「ステルス・ジツ」により離脱することを優先する。指揮官を務めるスターゲイザーは現段階では不必要なニンジャの犠牲は払うべきでないと考えており、深追いを避けるよう指示を出すのだ。

NMはブラックオニキスと入れ替わる形でシデムシとモーターヤブの増援をPOPさせ、戦力を落とさずアルバレストと決着を付けられるような状態に持ち込ませても良い。

◆試作型シデムシ(種別:戦闘兵器、大型2x2)
カラテ      8  体力     20
ニューロン    6  精神力    -
ワザマエ     12  脚力     6
ジツ       ー  万札     30
近接攻撃D:8、射撃D:12
◇装備やスキル
 スキル     :『●即死耐性』、『●轢殺攻撃2』

 ファイアウォール: ハッキング由来のダメージ1発を無効化する、使い切り
 熱線トーチ   : 近接武器、連続攻撃1、D3ダメージ、貫通1
 クローアーム  : 近接武器、連続攻撃2、2ダメージ(1+痛打1)
 ミニガンx2   : 銃器、連射12、ダメージ1、チェーンターゲット、射撃難易度:NORMAL
          (全ターゲットが互いに隣接している場合のみマルチターゲット扱いにできる)

 『●射撃スタイル:銃弾の雨2』:
  毎ターン、通常の射撃(連射12)とどちらか片方を選択する。
   視線が通っている3x3の範囲に対して自動的に1ダメージを2回与える(回避:HARD)。
   この射撃は『時間差』とみなされる。

 『●サイバー装甲』:
  機械昆虫めいた体節の黒い装甲は、大型の拳銃弾をも弾き返す。
  ジツを除く「遠隔武器」に対してのみ「ダメージ軽減1」の効果を持つ。
  
 『●多節走行モード』:
  シデムシは移動時のみ「大型1x1」の特殊サイズを持つとみなし、狭い通路などにも入り込める。
  移動フェイズが終了すると再びトグロを巻くように頭部をもたげ、2x2のサイズへと戻る。
  また移動および射撃時、マップ上の遮蔽物を無視することができる。

*『クローンヤクザ生体脳』:
  シデムシは精神攻撃系のジツに対しては「クローンヤクザ」とみなされる(モータルではない)。
  そのジツが【精神力】ダメージを与えるものだった場合、【体力】ダメージに読み替えられる(軽減不可)。
  このルールはジツに対してのみ有効であり、精神攻撃系のスキルは対象外である。


シーン4(第四戦):第一障壁前

アクシスの襲撃を退けたPCはやがて本社要塞と周辺洋上ドックを隔離する巨大な防護障壁に行く手を阻まれる。(障壁は数十メートルおきに合計3層が設置されており、これはその最も外側の障壁に位置する。)幸いにも迎撃用の自動砲塔は上空からの攻撃によって破壊されているが、これを越えて先に進むのはニンジャでも一苦労だ。

サイオコールが障壁突破のリスクを伝え、別セクションに移動して陽動作戦に移行するよう伝えようとしたとき、最後の刺客が姿をあらわす。彼らは恐るべき強敵であり、背を向けて逃げることは死に直結する。NMはPLに対して、増援が到着するまでの耐久戦であることを伝えなくてはならない。

戦闘演出のオプション:第三戦でブラックオニキスが撤退する場合、アルバレストにも順次後退させながら、第四戦に繋がるよう演出しても構わない。例えばブラックオニキスが先に撤退し、アルバレストは次々とハイタカを展開しながら後退。障壁前に辿り着いた時点でシデムシなどの前座をPOPし、撃破後に大ボスを登場させる。

シーンクリア条件:3ターン経過する。

※NMはこのクリア条件をPLに開示せず、あくまでも耐久戦であることを伝える。これにより、セーフティとして、PCが窮地に陥った場合は早々にシーンを切り上げることができる。

マップ情報

以下は各種マスの特殊な処理についての細則である。

①マップの端は「壁」とはみなされず、「弾き飛ばし」などによる激突の対象とはならない。何らかの強制移動効果を受けた場合でも、キャラクターは単純にマップ端で移動を終了する。


②マップ上の青色のマスは海水をあらわす。ただし、この戦闘では通常マスとの境に壁が存在するものとみなされ、このマスにはどうやっても侵入できない(例外的にこれを許しても構わないが、PCは敵に攻撃されない代わりに敵も攻撃できなくなるだけである)。


③マップ上のマスは「高さ」の概念を持つ。白色のマスを「高さ0」として、幾つかのマスには上記の凡例の通り1~2の高さが設定されている。攻撃者の現在マスより高いマスだけが「遮蔽物」として射線を遮り、高低差のあるマス同士は非隣接状態として扱われる。高所→低所への『近接攻撃』は全て難易度が−1される。

「高さ」が指定されていないあらゆるマスは、「高さ0」の通常マスとみなされる。


◇NPCデータ:スターゲイザー

そして「馳せ参じてみれば、これだ」ボキボキと首を鳴らしながら、新たなニンジャが通路を歩いてきた。「ドーモ。スターゲイザーです」スキンヘッド。頬下を覆う武骨な鋼のメンポ。図抜けた大柄な体躯。極めて恐ろしいニンジャだ。

彼のニンジャ装束の心臓部は渦巻く太陽の意匠が描かれたプロテクターで覆われ、そこから四肢と頚動脈に光ファイバーじみたチューブが伸びている。この異様な姿のニンジャこそ、アマクダリ・セクトの最高幹部の一人である!

「相手をしてやる。俺のオペレイションそのものは順調だが、本営をこうまでファックされては、あまりうまくない」

最後にPCの前に現れるのは恐るべきカラテ強者、「スターゲイザー」である。彼は電撃的速度で懐に飛び込み、『戦闘スタイル:アイキ投げ』と『グレーター・ツジギリ』により、次々と強打を打ち込んで真正面からPCを叩き潰していく(描写上、これは強力なケリやパンチでPCを吹き飛ばしていることになる)

スターゲイザーは『ナノカラテエンジン』により無限に再生し続けるため、幾らダメージを与えても意味はなく、この時点で彼に打ち勝つ手段はない。NMは彼の強大さを演出するため、ニンジャスレイヤー本編のように、敢えてPCの攻撃を無造作に受けさせて即座に再生を始める描写を見せても良いだろう。

この戦闘の難易度をよりマイルドにする場合は、スターゲイザーから『◉鉄拳』と『◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ』のスキルを取り除く。下記に示すステータスはこの段階のPCらにとってはあまりにも強すぎるため、そのまま運用すると何名かの犠牲者が生まれる可能性が高い。

◆スターゲイザー(種別:ニンジャ)
カラテ    16   体力     35/-1
ニューロン  10   精神力    -
ワザマエ   10   脚力     8/N
ジツ     0    万札     100
近接攻撃D:20、射撃D:10、回避D:20
◇装備やスキル
 サイバネ:『ヘリオス・ヘビィアーマー(クロームハートLv3 & テッコLv4の効果を得る)』
 スキル :『●連続攻撃3』、『◉◉タツジン:アイキドー』、『◉鉄拳』
      『◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ』、『◉グレーター・ツジギリ』

『●ワザ:カタパルト・スロー | 回避時に出目【6,5】で発動』:
 本来の発動条件を無視し、2ダメージのカウンターカラテを発生させる(回避HARD)。 
 命中した場合、相手に任意の方向へ『弾き飛ばし』を与え、攻撃フェイズを強制終了させる。 
 『ジャスト防御』時は回避不能となるが、『弾き飛ばし』に対する激突回避は行える。
 ターン中1回限りの使用。

『▷▷▷▷▷▷ナノカラテエンジン』:
 ・【精神力】が「−」となり、【精神力】へのマイナス修正を全て無視し、精神攻撃の対象にならない。
 ・【体力】+5、『【精神力】+効果を【体力】+に置き換える』効果を得る。
 ・『ダメージ軽減1』を得る。手番開始時ごとに【体力】をD6自動回復する。
 ・【体力】0以下でも判定難易度+1で行動でき、手番終了時に回避ダイス1消費で欠損を回復できる。
 ・「即死」効果を2D6ダメージに変換する。

◇圧倒的カラテ強者(アトモスフィア・オプション)
スターゲイザーが出現すると次の効果が発生する。

◉アトモスフィアが強制的に1段階引き上げられる(=最初からアトモスフィア・ハードとなる)。

◉スターゲイザーとの近接カラテ押収は強制的に高解像度処理となる(=連続攻撃について、1発ずつ攻撃判定と回避判定を行わなくてはならない)

◇カラテ・ムーブメントの再現(スターゲイザーの行動フロー)
スターゲイザーはニンジャスレイヤー本編での大立ち回りを再現するため、このシナリオにおいて次のように動く。

・まずは最も近くの、あるいは最も厄介な相手に接近しカラテ(アイキ投げ)を繰り出す。命中した場合は「弾き飛ばし」により壁などへの叩きつけを狙う。

・攻撃が命中した場合、「グレーター・ツジギリ」により次の相手を同じように狙う。命中しなかった場合は、再びカラテを同じ相手に叩き込む。

・強大なアーチ級憑依者や先の攻撃を躱した厄介だと判断できる相手には「弾き飛ばし」を適用しないか、「グレーター・ツジギリ」が届く範囲まで「弾き飛ばし」を行い、他のPCがスターゲイザーに強力な1撃を加えてヘイトを取るまで追撃を加え続ける。

さらなるニンジャ増援

スターゲイザーとの戦闘には第三戦で生き残ったブラックオニキスやアルバレストのどちらかが参戦する(ブラックオニキスはアルバレストより先に撤退していた場合、ここでは再登場しない)。ただし、基本的には強大なスターゲイザーとの戦いにPLを集中させるべきであり、なるべく他のニンジャは戦闘に直接参戦させないことが好ましい。

いずれの場合でも2ターン目の開始時には、PCの背後からオムラのモーター兵器が増援として、同時に、ツラナイテタオスを持ったドラゴンベインが敵としてマップ上にPOPする。スターゲイザーは彼にモーター兵器の殲滅を任せ、モーター兵器も遅い来る彼を優先的に狙うだろう(すなわち2勢力の増援は実際戦闘には参加せず、舞台背景として機能する)。

一方で、オムラの増援が破壊しつくされた時、彼がこちらの戦闘に参戦してくるという意味ではPLに対する恐ろしいプレッシャーとしても機能するだろう。

より具体的にドラゴンベインを脅威として描きたい場合、モーター・ヤブ改善を6体POPさせ、そのうちの1体を即死させる形で彼を空から登場させる。その後、彼は毎ターン2体のモーター・ヤブ改善を自動的に破壊してゆく。彼を足留めしておける時間の猶予は3ターンしかない……!

◇NPCデータ:ドラゴンベイン(ツラナイテタオス装備)

◆ドラゴンベイン (種別:ニンジャ)
カラテ    15  体力   27
ニューロン  7   精神力  13
ワザマエ   8   脚力   6/H
ジツ     5   万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  15/8/7/7
回避/精密/側転/発動  15/8/8/12

◇装備や特記事項
 **業物の西洋鎧甲冑一式** (【体力】+12、【脚力】-2、反映済み)

 『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉常人の3倍の脚力』、
 『◉不屈の精神』、『◉忠誠心:アマクダリ』x3、『◉マーク・オブ・アマクダリ』
 『◉トライアングル・リープ』、『◉回転弾き飛ばし』

**ツラナイテタオス**: 以下のルールを持つ特殊な「超大型武器」とみなす
  『攻撃難易度:U-HARD』、『ダメージ3』、『痛打+1』、『連続側転難易度:HARD』
  『●戦闘スタイル:回転斬撃』、『●戦闘スタイル:串刺し』

『●戦闘スタイル:串刺し』:
  このスタイル選択時は、敵1体のみしか攻撃できない。
  『リーチ+1』、『装甲貫通1』、『拘束攻撃(脱出:U-HARD)』を得る。
  隣接している敵を『拘束』することに成功した場合、その敵を強制的に1マス後退させてもよい。

『★★モズ・ダイブ』:2ターン連続使用不可
 【精神力】を1消費し、移動の代わりに使用(ジツ発動:HARD)。
 視界が通る任意のマスへと移動し、隣接する敵1体へダメージD3(装甲貫通2,回避HARD)を与える。
 このときドラゴンベインはさらに『特殊近接ステップ』で移動した後、通常の攻撃を行える。


◇NPCデータ:モーターヤブ改善

ガッシ!ガッシ!ガッシ!ガッシ!逆関節歩行音が接近してくる。「ドーモ!モーターヤブ改善は賢く強い」  //  「ヤブ!改善!」  //  うち一機のジェットパックから猛烈な黒煙が噴き出し、二秒後に爆発した。KABOOOM!この飛行システムはいまだ試作段階なのだ。

◆モーターヤブ改善 (種別:戦闘兵器)
カラテ     6   体力    10
ニューロン   3   精神力    ー
ワザマエ    6   脚力     3(6)
ジツ      ー   万札     5
近接攻撃D:6、射撃D:6
◇装備やスキル
 オムラ・ガトリングガン:遠隔武器、連射3、ダメージ2、範囲攻撃2x2、重火器
 オムラ・ガトリングガン:遠隔武器、連射3、ダメージ2、範囲攻撃2x2、重火器
 ショック・サスマタ:近接武器、ダメージ2

 「戦闘兵器」:
  このルールを持つキャラに「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しない。

 「試作型ジェットパックユニット」:
  移動フェイズの開始時に『飛行移動』を宣言することができる。
  この飛行システムはいまだ試作段階であり、宣言時にD6を降り1が出た場合破損してしまう。


シーン5:乱入者・脱出のチャンス

スターゲイザーは更なる打撃を繰り出しかけ、一瞬止めた。彼は状況判断した。そして舌打ちした。「イヤーッ!」スターゲイザーは身を沈め、跳躍する。背後へ!

BOOM!BOOM!BOOM!BOOM!「アバババーッ!!」キャブーム!コンマゼロ秒後、突如として上空から圧倒的火力の殲滅攻撃!砲弾がシデムシの胴体を削り取り、ミサイルがハイタカを次々と撃ち落とす。

そして殲滅攻撃の主が、洋上ドックに着地した。「ドーモ。ネブカドネザルです」 陽炎に霞む巨大なシルエット……恐るべき背部アーマーを装着した鋼鉄ニンジャがアイサツした。

「あなた方のアイサツは省略します」チチチチ、脳内UNIXにアラート音が響き、セクションに居る者たち全てをセンサーがロックしてゆく。ネブカドネザルは両肩のキャノン砲と両腕アーマーのミサイルランチャーの照準を補正した。「とりあえず重点対象を除く者達を全滅させます。当然ながら降伏は認めない」

スターゲイザーとの戦闘を3ターン凌ぎ切ると、あちこちで工場を破壊して回っていたネブカドネザルが敵性ニンジャの排除にエントリーする(実際はPCが敵を陽動している間に施設砲撃をしていたほうが遥かに効果的だったのだが、モーティマーはニンジャを沢山殺すことで父親に実力を誇示しようと考えた)。

演出としては、一度大量のハイタカやシデムシをスターゲイザーの増援としてPOPさせ、PLを焦らせてからネブカドネザルの殲滅攻撃により排除させる。

これによりスターゲイザーとドラゴンベインはネブカドネザルの破壊的殲滅攻撃に抑え込まれ、PCに敵対するのは他のニンジャやオナタカミ兵器群のみとなるだろう。ドラゴンベイン以外のニンジャが生き残っている場合、ドラゴンベインにはモーター兵器をぶつけ、残るアクシスとの撤退戦を発生させる、としても良い。

いずれにしても、このネブカドネザルの乱入は撤退のチャンスとなる。

「イヤーッ!」ドラゴンベインが跳んだ!

BOOM!BOOM!キャノン砲が放たれる。一発はドラゴンベインの驚異的跳躍速度を捉えきれない。もう一発は彼の脇腹を僅かにかすめた。「イヤーッ!」そのままドラゴンベインは、背部アーマーによって二倍以上の体長を持った敵の肩へ、蹴りを叩き込む!

「イヤーッ!」ネブカドネザルが腕部ミサイルを発射!尾を引いて飛来するミサイル群!「イヤーッ!」スターゲイザーはシデムシの残骸を無造作に蹴り上げる。KABOOOM!ミサイル群を巻き込み、無効化!

「イヤーッ!」「グワーッ!」次の瞬間、ネブカドネザルのジェット加速パンチがドラゴンベインを捉える!白金のニンジャは身体をくの字に曲げて吹き飛んだ。


撤退命令

そして、ノイズと共に皺がれた老人の声が無線で届いた。

『ドーモ、ワシはアルベルト・オムラだ。そのニンジャはネブカドネザル、プラントへの制圧砲撃をうまくやっていたにも関わらず、バカ息子がキンボシ欲しさにそちらへ突撃させおった!』

『目を付けていたしていたカラビツの製造プラントはほぼ壊滅状態だが……本社までもは落とせんだろう。そして、それはワシの望むところではない』

そこにサイオコールの声が差し込まれる『ザザッ……シカラバ、ネブカドネザル=サン、ト、入レ替ワリ、破壊工作ヲ続行。ソノママ撤収セヨ。オムラ=サン、モ、ソロソロ戦力ヲ引キ揚ゲル。深追イハ、無用』

先述の通り、ネブカドネザルの乱入はPCがスターゲイザーから逃れる最後のチャンスである。NMは時間進行やPLの疲労度合いを見て、PCはスターゲイザーとネブカドネザルによるテックの頂上決戦を背景に、自動的にこの現場からの離脱に成功したものとしても構わない(シナリオクリア)

もしくは、PLが望むならば、ネブカドネザルと共闘して大量のオナタカミ兵器を蹴散らしながら脱出ポイントへと逃走する、派手で軽快な戦闘シーンを挿入しても構わない(後述)。この場合、ドラゴンベインとスターゲイザーは彼らを深追いせず、障壁周辺のモーター兵器の排除と敵戦力の後退を最優先事項として戦力を動かし始める。


第五戦:撤退戦(オプション)

NMは描写オプションとして、PCが脱出地点まで撤退する過程を、描写の解像度が低いイベント戦闘として演出しても良い。ここでは次々と投下されるモーターヤブ改善がオナタカミの工場を破壊する傍らを、迎撃に現れるドラグーンやハイタカを破壊しながら駆け抜けることになる。

この特殊な戦闘シーンでは次のルールを適用する。

◉すべてのPCは1ターンにつき、2回の行動手番を得る。つまり1回目の「手番終了フェイズ」の後、再び「手番開始フェイズ」が始まる。

◉移動可能なマスが増加するような『移動スタイル』は使用不可となる。

◉全キャラクターが『移動スタイル:ツジギリ』を使用しているかのように行動することができる(つまり 移動→近接攻撃→移動 と移動可能マスの範囲内で繰り返すことができる)。当然ながら、遠隔攻撃は対象外である。

◉遠隔攻撃は2ダメージを、近接攻撃は1ダメージを与えた時点で「戦闘兵器」を「即死」させる。ただし倒した敵から万札のドロップは一切発生しない。

マップ情報

このシーンでは主に定期的にPOPする「ドラグーン」とPCを追跡する「スターゲイザー」という2体の敵が相手となる。初期サイズでは恐らく踏破に6ターンほど要する設定となっているため、NMはPCの脚力に応じてマップサイズを調整することが望ましい。

以下はこのシーンにおける追加ルールと、各種マスの特殊な処理についての細則である。

◉1ターンが経過したとき、マップ上にはスターゲイザーネブカドネザルがPOPする。スターゲイザーは「初期配置エリア」のいずれかに出現するが、ネブカドネザルはNMの自由に配置して構わない。

◉スターゲイザーおよびネブカドネザルは「撤退戦(オプション)」におけるあらゆるルールの適用対象外となる。

◉ネブカドネザルは常時飛行状態とみなされ、あらゆる遮蔽物を無視して移動し、射線を通すことができる。

◉PLはネブカドネザルの手番において、次の選択肢から任意の行動をとらせることができる。

 1:任意の武器を使用してドラグーンを攻撃する。判定はNMが行う。同じ武器を2ターン連続で使用することはできない。

 2:スターゲイザーを攻撃して足留めする。NMはD3+1をロールし、出目に等しい値だけスターゲイザーの【脚力】をこのターンの間だけ減少させる。

 3:ドラグーンのPOP地点を攻撃して破壊する。NMは2D6+1をロールし、出目に等しい数だけ「ドラグーンPOP地点」を削除する。どのマスを削除するかはPLが任意で選択できる。



①マップの端は「壁」とはみなされず、「弾き飛ばし」などによる激突の対象とはならない。何らかの強制移動効果を受けた場合でも、キャラクターは単純にマップ端で移動を終了する。



②マップ上の青色のマスはドラグーンのPOP地点をあらわす。毎ターン開始時、このマスに隣接する上下左右マスを埋めるようにしてドラグーンがPOPする。つまり、1ターン目には32体のドラグーンがマップ上にPOPすることになる。

このマスはネブカドネザルの砲撃により破壊することでしか無力化できない。


③マップ上の薄緑色のマスは脱出地点をあらわす。到達したPCはマップから除外され、すべてのPCがこのマスに到達することで脱出が成功……シナリオクリアとみなされる。


◇NPCデータ:ネブカドネザル

「とりあえず重点対象を除く者達を全滅させます。当然ながら降伏は認めない」

◆ネブカドネザル(種別:ニンジャ/重サイバネ/戦闘兵器/大型2x2)
カラテ     7   体力     22/-2
ニューロン   13   精神力    -
ワザマエ    8   脚力     5
ジツ      0   万札     100
近接攻撃D:13、射撃D:17、回避D:20
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●ニンジャ第六感』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉重サイバネ化』、『◉◉戦闘兵器化』、『◉◉忠誠心:オムラ』
      『◉タクティカル移動射撃』、『◉空中制動』、『◉トリガーハッピー』

 サイバネ:『▶︎▶︎▶︎▶︎テッコLv4』、『▶︎ヒキャクLv1』、『▶︎▶︎▶︎サイバネアイLv3』
      『▷高性能赤外線ターゲッター』、『▷全方位監視アイ』
      『▶︎▶︎▶︎▶︎生体LAN端子Lv4』、『▶▶▶▶クロームハートLv4』

『▷▷▷▷/▷/▷/▷**ネブカドネザル・フレーム**』:
 ・『●移動:飛行移動(12マス)』の移動スタイルを得る。
 ・『ダメージ軽減2』と『轢殺攻撃2』を得る。
 ・武器所持ペナルティを全て無視する。
 ・大型(2x2)となる。

 『シリンダ式モーターアーム』:特殊近接武器、ダメージ3、攻撃難易度:HARD、弾き飛ばし
 『赤熱モーターブレードx2』:連続攻撃+1を持つ「内蔵型赤熱チェーンブレード」とみなす。
 『胸部内蔵型ショットガン』:「内蔵型ショットガン」とみなす。

 『腕部内蔵型オムラ・ガトリングガンx2』:
  内蔵型、重火器、連射7、ダメージ1、●バースト5x5、●銃弾の雨2

 『内蔵型ミサイルポッドx2』:
  内蔵型、小銃、ランチャー、連射2、爆発(カトンLv2)
   もしくは
  内蔵型、小銃、ランチャー、連射6、1ダメージ、マルチターゲット

 『アンタイニンジャ・アサルトキャノンx2』:
  内蔵型、重火器、射撃難易度:U-HARD、連射2、ダメージD6+1、装甲貫通2、時間差、回避HARD

  ※対象までの射線上に遮蔽物が存在する場合、それを破壊してマップ上から取り除く。

 『●電磁バリア展開』:
  手番開始フェイズに即応ダイス1を支払い、ネブカドネザルの周囲に電磁バリアを展開する。
  電磁バリアは次の手番開始フェイズまで持続し、展開中は次の効果を得る。
  
  ・展開時、使用者に隣接していたキャラは『電磁ダメージ2』を受ける。
  ・ネブカドネザルは『ダメージ軽減+1』かつ『★カラテバリア』の効果を得る。
   ただし発生するダメージは『電磁ダメージ1』となる。
  ・近接攻撃および「爆発」種別を持つ武器、2ダメージ以上の武器では射撃ができなくなる。
  ・回避判定が不可となる。ただし即座にバリアを解除する代わりに回避判定を行うことはできる。


結末

洋上ドックが、炎上している。

オナタカミ本社要塞はほぼ無傷。しかし周辺の製造プラントは大打撃を受け、第一障壁も決戦ニンジャの手により破壊された。この損失の補填には、途方も無い時間を要するだろう。

破壊者は青白い光と共に飛び去った。その光は撤退するオムラの航空戦力の影に飲み込まれた。

この日、ネオサイタマのパワーバランスがゆがんだ。ケイオスが始まったのだ。コントローラーが求めた、ケイオスが。

すべてのプレイヤーが脱出地点に到着した時点で、このシナリオは完了となる。敵はそれ以上彼らを追っては来ない。


◇報酬(PC1人あたり, 後編分)

基本報酬:余暇5日

※撃破したキャラクターの所持万札は除く。
 調整したい場合、所持万札のドロップを無しにして想定獲得分を基本報酬に加算する。
 *今回の場合、おおよそ30万札/人を想定する。
オムラ社からのオファー(特別報酬):
 シンボルマーク2個までの任意のサイバネ1つと手術
  or 
 合計【万札】20までの任意のアイテム(消耗品、装備品など)
◇名声
 ・+1(他シナリオで成果が振るわず、十分な数字でない場合は+して調整する)


◇追加の余暇オプション:個人的な調査

この段階まで到達したPCはかなりの戦果を上げ、アシッドウルフの信用も得ているため、物語の幕間ではネオサイタマにおける偵察任務を与えられ、これまでより行動の自由が効く可能性が高い。

それに伴い、これまでのシナリオで登場したキーワードや手掛かりを個人的に調査し、ネオサイタマの情報を得ることができるようになる。すべてのプレイヤーはこのシナリオ以降、諸経費として【万札】2を消費することで、余暇全体を通して1つだけ「個人的な調査」を行うことができる(余暇日数は消費しない)。

PLは調査したい内容やキーワードを示し、NMはそれに応じて、次のシナリオ開始時までに幾つかの設定を開示すること。次に示すのは、この段階で調査できる可能性のあるトピックスとそれに対する調査結果である。

メイライ社のサイバーヘルメット:君はアシッドウルフあるいは機械技術に精通する者に、物好きにも回収したメイライ兵のヘルメットの分析を依頼した。

メイライの兵士達はクローンヤクザではないが、クローンのように状況や個体差の影響を受けず、高度に統率された極めて画一的な戦力として任務に従事する。そしてこの頑丈な"殻"は、奴らの戦闘能力を担保する秘密のひとつであると思われる。 メイライの兵士は死ぬほど任務に忠実……いや、死んでも忠実と言うべきだろう。彼らのヘルメットの内側では、電子的に"希釈"されたメガデモが常時サブリミナル映像として繰り返し再生されていた。それが恐怖や怒りといった精神的な動揺を不要なノイズとして洗浄し、純粋な愛社精神だけを残し、ただその意識を達成すべき任務の存在へと再帰させる。 故に重金属弾の嵐に飛び込むことも、怒り狂うニンジャへ正面から立ち向かうことも、奴らは躊躇わない。その蛮勇を支える柱が偽物であるとも気づかずに。

アクセルカタナのフロッピーディスク:フロッピーディスクに収められていたのは、墜落した航空戦艦のシステムチェックデータ、そしてこの機体がやってきた秘密軍事基地に関連するデータであった。

システムチェックの結果、一部動力系に深刻なダメージを負っているものの、この機体の損傷率はそれほど大きくない。十全に修理すれば、あるいは再び稼働させることも叶うかもしれない。 フロッピーの情報によると、この航空戦艦は現在磁気嵐荒野に位置する古い軍事基地からやってきたと推測される。この座標は極めて厳重に秘匿されており、何らかの重要な場所であることが伺える。

"クレイニアム"と呼ばれるニンジャ:「クレイニアム」はソウカイヤに所属する女性の中堅ニンジャである。ヒュージシュリケンとアースクエイクの欠員を埋めるため、最近シックスゲイツ入りを果たした。

スカウト部門と連携し、トコロザワ・ピラーを始めとする数カ所のトレーニンググラウンドでニュービーを、また見込みのある者を部下として重点教育を行っている。軍隊仕込みのダーティー・ボックスカラテをヌルいニュービーを鼻面に叩き込みのしてしまうことから、鬼教官として訓練生たちに恐れられている。 その得物はリボルバーとダガーナイフが一体化した独特な形状のナックルダスター。またグレネードランチャーなどの派手な火器も好んで用いる。何らかのジツの使い手と推測される。

クレイニアムはニンジャ第六感…あるいはカンが鋭く、その調査には困難をきたした。さらに時間を費やして慎重な調査を行えば、行動パターンなど追加の情報が開示される可能性がある。

"クレイニアム"に関する追加調査: 君は初期調査によりもたらされた情報を元に、この新たなるソウカイシックスゲイツの一員の身辺調査を行った。彼女を端的に評価するならば"鋭敏なニンジャ第六感を持つ、粗暴で、熟達した軍事教官"である。

君はクレイニアムと、ザイバツのアデプト階位と目されるニンジャのイクサを観測することに成功した。クレイニアムは暗闇から飛び出したアンブッシュ者の下顎をカウンターカラテで吹き飛ばすと、爆炎を乗せた凄まじい連撃で相手の防御を無理やりこじ開け、間もなく壁のシミへと変えた。 そのカラテ打撃は繰り出されると同時に拳の先へ小爆発を生み出した。ときに爆炎は膨れ上がり、両者の姿を煙に覆い隠した。強力な特殊カトン・ジツの使い手であると推察される。

またこの遭遇を切っ掛けに、クレイニアムが特定の曜日に限っては、家紋タクシーを使わず、護衛クローンヤクザも引き連れず、特定のルートを歩いて回る行動ルーティンを持つことが判明した。大抵の場合はその過程で決まったソバ屋の屋台、スシ屋に入る。

"ガイドポスト"のIRC端末: 君は「オペレイシヨン・クロスボウ」で暗殺されたソウカイニンジャの端末からサルベージした、シンジケートの訓練施設に関する情報を元に偵察を行った。

データは限定的なものであり正確な数は不明なものの、ソウカイヤは現在複数のトレーニング施設を運用しており……それらは少なくとも、長期間使い込まれた施設ではなかった。これから推察できるのは、ソウカイヤが最近になってニンジャのトレーニング環境の拡充、あるいは質の向上に力を入れ始めたのであろうということだ。 既に報告されているとおり、こうした訓練施設を統括運用しているのはシックスゲイツのクレイニアムである。

鼻から下を覆う、ガスマスクに喰らいついたドクロメンポが姿を見せると、ニュービーニンジャたちは背筋を伸ばし、不自然なほど熱心に訓練に打ち込み始める。 こうした訓練施設の教官は、主にクレイニアム直属の部下と推察されるニンジャが務めている。

君がイクサを捕捉することができたそのひとり"メイントリガー"はワイヤーウィップとアサルトライフルを得物とする、これといった特徴のないニンジャであった。 しかし注意深く観察するとそれが巧妙な見せかけであることが分かる。極めて繊細なデン・ジツの使い手である彼は、密かに電磁力でワイヤーの挙動を制御し、ライフル弾を加速させている。これを見抜けずワン・インチ距離に踏み込んだウカツ者は不意を突かれ、爆発四散の運命を辿るという仕組みだ。

訓練施設のキャパシティが許す限り、ソウカイヤのニュービーはこうした油断ならぬニンジャ教官から高度なミリタリー訓練を受けている。ネオサイタマを支配し、最も潤沢なニンジャ戦力を袍するソウカイヤの地位が揺らぐことはないだろう。少なくとも、今のところは。

メイライ社について:「メイライは極めて特異な立ち位置を綱渡りしている」これは情報収集を始めた君が抱いた最初の印象である。傭兵ビジネスを展開し、なんらかのシャナイヒ級技術開発を行っているこの暗黒メガコーポは、少なくとも展開している市場を考慮すれば通常ヨロシサン製薬やオムラ・インダストリといった最大手の競合とみなされる。しかし彼らはターゲットを僅かにずらし、購買層の差別化を行うことでこの問題へ巧みに対処している。

彼らが供給する「傭兵部隊」は高度な武装に身を包み、自ら思考し、戦術的に行動する。こうした特性は単なる戦闘能力のみならず、ラグジュアリー的な価値を生み出している。闇カネモチはしばしば自らのパワを誇示するため、クローンヤクザではなく黒い装甲に身を包んだ精鋭部隊を雇い入れる。施設の恒常的な警備には安価で大量投入できるクローンヤクザを、催しやパフォーマンスとして警護を引き連れるなら遥かに役立つメイライトルーパーを。この価値モデルの創造こそ彼らの問題対処法のひとつである。

そしてメイライ社は自社技術を決して外部へ流通させない。競合となる大手暗黒メガコーポから量産テックを買付け、独自技術を搭載し、ただ傭兵部隊に組み込まれた危険な兵装として送り出す。彼らは競合先のクライアントの立ち位置を手に入れると同時に、得体のしれない神秘性を強調することで、外部からの干渉を拒絶している。

なおこの暗黒メガコーポが供給する傭兵たちは、その装備特徴から主に3つの名称で知られている。機動力のある軽装の「トルーパー」、高度な指揮能力を持つ「オペレーター」、そして精鋭の「ニルヤ部隊」である。

湾岸警備隊について: 君は磁気嵐の荒野でアマクダリ・セクトと同調行動を取っていた湾岸警備隊について、その動向の偵察調査を行った。

結論から述べるならば、現在彼らは「内部的な混乱状態」にある。 沿岸部の駐屯地では現在、独断専行の隊律違反を犯しそのまま失踪した部隊について、内部的な調査が進められている。その背景を辿った君は、磁気嵐の荒野で遭遇した一件のみならず、散発的に特定の部隊が隊律違反の独自行動を取っているらしき状況を知った。

この一件から推察するに、アマクダリ・セクトは湾岸警備隊という組織そのものと背後で完全に手を結んでいるというわけではないらしい。 湾岸警備隊は規律の乱れた内部状況に加え、その状況に不満を持った人材の流出に悩まされている。そして流出した人材の大半は、高待遇と噂されるメイライ社へと吸収されているのが現状だ。

ソウカイ・シンジケートについて: セキバハラでの一件から、ネオサイタマにおけるザイバツ・シャドーギルドの潜伏部隊とソウカイ・シンジケートの抗争は激化しつつある。つい先日にはアベノ・スゴイハルカスがソウカイヤ戦力によって完全包囲されるほどの大規模戦闘が発生した。

シンジケートはこの状況に対処するため、ニンジャ戦力をネオサイタマの各地へと派遣しており、誰かが何処かで不審な行動を起こせばクローンヤクザだけではなくニンジャがすぐに現れるような即応体制が敷かれている。これは裏を返せばニンジャ戦力が分散しているとも捉えることができるだろう。

実際、トコロザワ・ピラーなど特定の重要拠点を除き、その防衛戦力は概して平時より低下している。 もっともそれは綿密に張り巡らされた蜘蛛の巣であり、各所に配置されたニンジャ戦力の大小はそれほど重要ではない。今やネオサイタマで事を起こすには、彼らの警備網の裏をかくか、電撃的に目標を達成する必要がある。

シャッタード・ランド: 電子戦争の爪痕を深く残し、様々な違法ビジネスが蔓延する荒れ果てた古い工業地帯……アシッドウルフが君を送り込んだ場所のことである。君を驚かせたのは、既に彼がこの辺境の地にまで諜報網を広げており、一定以上の成果を上げていたことだ。 彼は如何なる手段を使ってか、ここに跋扈する非合法組織の幾つかをスパイとして抱き込んでおり、どうやら随分と以前からザイバツやメイライについて調査を行わせていたようだ。

故に調査とは名ばかりで、君の任務は情報の吸い上げが目的であった。 スパイの調査によると、メイライ社は99マイルズベイ周辺において熱心なスカウト活動……あるいは"慈善的な業務斡旋"活動を行っている。 酷薄な再開発で土地を奪い、行き場を失った人々を最低限の衣食住が保証される過酷な労働環境へ送り込む『カンオケ』は、重工系暗黒メガコーポの多くが実行する無慈悲な施策である。

しかしながらメイライ社はそうした人々のみならず、シャッタード・ランドなどの荒廃地帯やスラム街から、到底まともな職にはつけないだろうという人間までもを自社に雇い入れ、職業訓練、すなわちミリタリー教育を施したうえでトルーパーとして採用しているのだ。 これは対外的にもアピールされている公知の事実であり、メイライ・トルーパーはその無機質な外見とは裏腹にクリーンなイメージで塗り固められている。それを雇い入れる闇カネモチたちは不屈のミリタリー部隊が身を守っているというパワをアピールすると同時に、慈善的な社会貢献を行っているという自尊心を満たすこともできるのである。 もっとも、そのどこまでが真実なのかは分からない。 少なくとも、99マイルズベイから雇われた者は、誰ひとりとして戻っていないからだ。


補足コメント

前編でも述べた通り、「オペレイシヨン・ケイオス」はCIAの「MHケイオス作戦」をモチーフとしたシナリオですが、「後編」については殆どモチーフに関連性を持たず、あくまでも「前編」で起こった出来事がネオサイタマに何を引き起こしたのか?にフォーカスを当てたシンプルな内容となっています。

元々「オペレイシヨン・ケイオス」は、「フォールス・ウインター」シリーズの構成を考える中で閃いた幾つかの象徴的なシーンを、重要なターニングポイントと絡めて演出することを目的としたある種のイベントシナリオとして作成されました。そういった意味では、作者(兼NM)がやりたかったシーンを詰め込んだシナリオという立ち位置になるわけです。

ASATS(アンチ・サテライト・スリケン)とサイオコール:ASATSは「フォールス・ウインター」の初期プロット段階から存在しており、初登場のタイミングを伺いながら、キャンペーンに進行に伴い少しづつ設定の変更が行われていました。

当初サイオコールは(ガントレット亡き後の)シャーテックのセンセイという設定で、ICBS思想を発展(あるいは飛躍)させるASATSを生み出し、重サイバネ手術によって誰でも利用可能・継承可能な技術としてミームを紡いでいこうとする存在とされていました。それに伴い、ASATSも軍事衛星やデブリを地上から吹き飛ばせる超長距離・超範囲攻撃兵器という設定が用意されていました。

しかしながら、超強力な兵器……というだけではやや捻りが足りず、サイオコール当人についてもブラックサイトに協力する理由付けも弱いという課題が残っていました。そのため、「オペレイシヨン・ペーパークリップ」のアルトゥール・ルドルフ博士が開発に携わるサターンVロケットや、ニンジャスレイヤー世界のCIAが保有する「月面のスリケン」などの要素と紐づける形で、到達できなかった月(≒A.R.G.O.S.)を目指すNASAの宇宙飛行士という過去と、月を目指すための道具というアイデンティティが付与された背景があります。

スターゲイザーVSネブカドネザル:「フォールス・ウインター」シリーズでは、3大ニンジャ組織がしのぎを削るAoS(エイジ・オブ・ソウカイヤ)の世界観設定を活かす形で、独自の独立した時間軸ではなく、ニンジャスレイヤー・トリロジーのエピソードや出来事をミックスして、おおよそ原作の時間軸に沿った形でバックグラウンド・ストーリーが展開されるような構成となっています。

伴って「ニンジャスレイヤー第1部・2部・3部のストーリーがごちゃ混ぜになり、更にそこへ過去の亡霊であるCIA残党が現れたらどうなるのか?」という着想のもと物語を組み立てていったわけですが、そうなるとやはり原作では実現しなかったユニークな対戦カードを用意したくなるものです。

元々ボスキャラクターとしてスターゲイザーが登場することが決まっていたこともあり、ネブカドネザルの乱入は(テックがキーとなる物語構成の延長として)対極に存在するテックの化け物同士の対戦を演出したい……という思いつきから急遽追加されたものでした。

当然ながら、原作では明確に敵役のキャラクターと共闘できる!という高揚感で、イベント要素の強いこのシナリオを飽きずに楽しんでもらいたかった……という意図もそこには含まれます。

結果的に、ここまでのシナリオと比較しても、ランダム要素やプレイヤーが展開に関与できるポイントが少ない一本道型の内容に仕上がってしまいましたが、次々と違う展開・戦闘セッティングが繰り広げられるという構成によって、全体的にはプレイし応えのあるシナリオになったと思っています。


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