忍殺TRPGリプレイ【マネー、ゲット・バック】01
邦題：カネよ、戻って来い（Money,get back）
ドーモ、三宅つのです。これはゴルダ=アルカトラス＝サンのソロシナリオ「身に覚えのない借金を背負ったタキを救え！」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
そのようなタキのピンチを救うため、ストリートニンジャが一肌脱ぐミッションです。成長の壁突破前のニンジャがソロで挑むことが想定されていますので、まさに彼の出番です。
◆レッドフォックス（種別：ニンジャ）
カラテ ３ 体力 ３
ニューロン ３ 精神力 ３
ワザマエ ５ 脚力 ３/Ｎ
ジツ １ 万札 １２
ＤＫＫ ０ 名声 １
攻撃/射撃/機先/電脳 ３/ ５/ ３/ ３
回避/精密/側転/発動 ５/ ５/ ５/ ４
即応ダイス：５ 緊急回避ダイス：０
◇装備や所持品
◆オーガニック・スシ：体力３回復（使い切り）
◇ジツやスキル
☆キツネ・ニンジャクラン、ジツLV１
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV１
◉知識：ストリートの礼儀
◉交渉：欺き、卑屈
○生い立ち：言いくるめ
能力値合計：１３前回の冒険で万札12を獲得しましたが、余暇がないのでそのままです（成長させてもいいですが）。名声が0だったので1にしました。単体ではやや不安ですのでコトブキやタキが協力してくれるかも知れません。タキは自分の命がかかっているので必死になるでしょう。ピザタキにはモータルサイバネ傭兵のフクト・ウサイダやストリートニンジャのチーム・スティギモロクらもたむろしていますが、別のビズで忙しいということにします。
では、始めます。
◆◆◆
ダンゴウ
ネオサイタマ、キタノ・ディストリクト。重金属酸性雨が降る薄暗い午後。薄汚れたピザ店『ピザタキ』には「本日休業な」と書かれた張り紙。それを一瞥したのち、一人の男がドアを開けて入店した。彼の名はレッドフォックス。キツネめいた頭部と尾を持つストリートニンジャである。
「よ、よく来てくれたな！」店主のタキは青い顔でレッドフォックスを迎え入れる。アルバイトのコトブキも傍らで心配そうに立っている。「やべえことに巻き込まれたって聞いたが」「そ、そうなんだ」彼がここに来たのは、タキから緊急IRC通信が届いたためである。どうもただ事ではなさそうだ。
タキはラップトップUNIXの画面を見せる。そこには悪名高い『ふわふわローン』からの電子借用書と、返済催促のメッセージが表示されていた。その金額は……「100万円！？」レッドフォックスは目をむいた。「どうしたんだよ、こんな借金するなんてよ」「それだ。オレには借りた記憶がねえ！」
タキは悲壮な表情で告げた。レッドフォックスは鼻を鳴らす。「へっ。どうせスケベなウェブサイトでも見て、変なマルウェアとか食らったンだろ」「だと思いますが」コトブキは頷いた。「だったら無視すりゃいいじゃねえか。この手の詐欺メールなんか毎日IRC空間を飛び回ってるぜ」「違う！」
タキは叫んだ。「オレは気になって、ふわふわローンへ確認したんだ。そしたら本当にオレは100万円の借金を背負ってることになっていた！利息が2割ついて120万円！返済期限は明日だ！」「おやおや」「オレにそんなカネはねえ。返済できなければ取り立て人が来て、カニキャッチ漁船送りだ！」
ニューロン判定N。3D6[364]成功。タキが嘘をついていないとわかる。
「ひでえな。まあ、ふわふわローンならそれぐらいやりそうなアトモスフィアがあるが」レッドフォックスはため息をついた。コトブキは表情を曇らせている。「私もツテを頼って、何かの間違いではと確認したのですがダメでした……」「つまり、このままだとオレは破滅だ！なんとかしてくれ！」
タキは涙を流してカウンターに突っ伏した。「要するに、オレの個人情報を誰かが盗んで成りすまし、勝手にカネを借りやがったんだ。そこまでは推理できるが、それ以上は……焦りと怒りで手が震えて調べられねえ」「仕方ねえな。世話にはなってるし、なんとかするよ」「アリガトゴザイマス！」
調査
ワザマエならHARD、ニューロン/ハッキングならU-HARDで判定。ここはワザマエだ。5D6[61565]成功。出目66により重要な情報を獲得。
ピザタキを出たレッドフォックスは、いつものようにストリートを歩き回り、地道に足で情報を稼ぐ。IRCでは獲られない情報も、こうした手段で獲られる場合がある。……やがて、おおよその情報が集まってきた。彼はピザタキへ戻り、タキにそれを告げる。「タダイマ。だいたいわかったぜ」
彼が集めた情報によると、タキだけでなく、複数の一般市民やストリートニンジャが同様に身の覚えのない負債を抱えさせられているという。踏み倒そうとしてカニキャッチ漁船に乗せられたり、取り立て人に殺されて内臓を売られた者もいる。そしてこれは、ハッカーのしわざである可能性が高い。
タキはトロ粉末を吸引して気を持ち直すと、コトブキのツテでソウカイヤの集金部門および電脳部門に掛け合った。ふわふわローンはソウカイヤの表の顔たるネコソギ・ファンドに所属しており、必要以上に悪い噂が流されれば営業妨害だ。すなわち、ソウカイヤのメンツに関わる。「……よし」
タキは凄惨な表情で頷いた。「さすがソウカイヤだ。ハッカー野郎のアジトがわかったってよ」「すげえな」「ただ、今は忙しいからそっちで処理しろってよ。一応返済期限は伸ばしてくれたが、仕方ねえ」「俺がそこへ行って、とっ捕まえて来いってか」「報酬は出す。頼む」「アイアイ」
相手は他人の個人情報を盗み出し、カネを借りさせて破滅させているクソ野郎だ。遠慮はいらない。しかし……「俺だけで行くのか？」「ニンジャだろ。ヤバかったらオレが支援する」タキは目を据わらせている。「私も行きます！ここがなくなれば困りますし」コトブキも挙手した。「頼んだぜ」
◆コトブキ（種別：戦闘兵器/ウキヨ）
カラテ ４＞５ 体力 ６＞７
ニューロン ４＞５ 精神力 ４＞５
ワザマエ ５ 脚力 ３
ジツ － 万札 ２６＞１０
攻撃/射撃/機先/電脳 ５/ ５/ ６/ ７
回避/精密/側転/発動 ５/ ５/ －/ －
即応ダイス：５ 緊急回避ダイス：０
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子LV１：ニューロン判定＋２、イニシアチブ＋１
◉重サイバネ化：体力＋２、脆弱性：電磁（１）
○生い立ち：ウキヨ
◉知識：オイランドロイド、旧世紀ビデオ、カンフー、調理 など
◇カルマ：善
能力値合計：１３＞１５前回の冒険で万札22、余暇2日を獲得しました。カラテを鍛錬し[53]＝8＞4＝成功、ニューロンを鍛錬し[66]＝12＞4＝成功。残り万札10。
潜入
ソウカイヤによれば、ハッカーの物理IPはカスガ・ストリートの廃倉庫群のどこかにある。どこにアジトがあるかまでは判然としない。「地道に調べている余裕はありませんね」「相手がニンジャなら、ニンジャソウルの気配を探ればいい。そうでないなら、ハッキングだな」「ハイ！」
ニューロン/ハッキング判定、難易度H。レッドフォックス/RFは3D6[342]失敗！精神力1を失う（残り2）。コトブキ/KBは7D6[3324525]成功！
……レッドフォックスは集中状態に入り、何らかのアトモスフィアを探り出そうとする。だが判然としない。あまり時間をかけてはいられないが……コトブキは近くのLAN端子に直結し、廃倉庫街のUNIX網に接続して、タキと協力して敵のアジトを探り出す。「……ありました！」「でかした！」
やはり餅は餅屋、ハッカーにはハッカーということか。レッドフォックスは少ししょんぼりしたが、敵のアジトは発見した。後はカチコミをかけてブチのめすだけだ！「……あそこに誰かいますね」コトブキがアジト方向を指さした。ニンジャ視力で観察すると、二人組のクローンヤクザがいる。
彼らは同じ場所を巡回し、定期的にタンを吐き、チャカガンを懐から出してクリアリングしている。あれを倒さねば先へ進めないようだ。「準備はいいか」「OKです」一触即発アトモスフィア！
戦闘開始
イニシアチブ：コトブキ/KB（6）→レッドフォックス/RF（3）→クローンヤクザ/CY×2（1）
KBは駆け寄ってカラテ[41151]2成功、1体を倒す。RFはスリケン[56433]成功。CY全滅。
「ハイヤーッ！」コトブキは義憤に駆られ、物陰から飛び出す！巡回ヤクザへカンフー・トビゲリ！SMASH！「アバーッ！」一撃で昏倒！ツヨイ！「イヤーッ！」レッドフォックスは物陰から立ち上がりスリケン投擲！「アバーッ！」眉間に突き刺さり昏倒！ナムアミダブツ！「「シューッ……！」」
戦闘終了
二人はザンシンし、倒れた巡回ヤクザたちを物陰へ引きずり込む。これもハッカーが邪悪な手段で得たカネで購入したのだろう。許すまじ！
……二人はしめやかに廃倉庫の奥へ忍び込んだ。そこには清潔な事務所があり、高級オフィス家具や最新型UNIXが置かれている。これもまた、ハッカーが邪悪な手段で得たカネによるものだ。その部屋の真ん中には快適そうなハッカー寝椅子があり、LAN直結しているサラリマンスーツの男がいた。
彼はサイバーサングラスをかぶり、顔には……メンポをしている。おお、ナムアミダブツ。問題のハッカーはニンジャだったのだ！
スココココ……スココココ……UNIX音が静かに鳴る中、彼は無防備に眠っている。カスガ・ストリートはお世辞にも治安が良いとは言えないが、この廃倉庫群は好き好んでヤクザやアウトローが訪れる場所でもなく、比較的静かだ。ゆえに警備はあのクローンヤクザだけで十分だと思っていたのだろう。
「チャンスだな。LANケーブルを引っこ抜いて、ニューロンを焼いてやる」「ハイ」二人はしめやかにハッカーニンジャへ近づく。……その時！『侵入者感知！ネギトロ重点モード、ドスエ！』合成電子マイコ音声が鳴り響き、床から二台のセントリーガンがせり上がった！ナムアミダブツ！
「フーッ……敵か。面倒な」ハッカーニンジャは寝椅子から身を起こし、アイサツした。「ドーモ、インポースです」
インポース（種別：ニンジャ）
カラテ ３ 体力 ３
ニューロン ５ 精神力 ５
ワザマエ ４ 脚力 ２/Ｎ
ジツ ０ 万札 １０
攻撃/射撃/機先/電脳 ３/ ４/ ７/ ９
回避/精密/側転/発動 ５/ ４/ ４/ －
即応ダイス：５ 緊急回避ダイス：０
◇装備や所持品
▶▶生体LAN端子LV２：ニューロン判定＋４、イニシアチブ＋２
◆LAN直結型セントリーガン論理射撃：ダメージ１、連射２、時間差・マルチターゲット
◇ジツやスキル
◉kill-9：ハッキング判定Hに成功するとハッキング可能標的にダメージ２（回避N）
能力値合計：１２元シナリオのデータを整理するとこうなります。「頑強な肉体」をオミットしますが回避は通常とします。「インポース（impose）」とは「押し付ける」「負わせる」といった意味の英単語で、やってることそのままです。コトブキがいるので有利ですが、kill-9を食らえば危険ですね。
「ドーモ、レッドフォックスです」「コトブキです！悪逆非道の振る舞い、私が許しませんよ！」コトブキは芝居がかったアイサツを行う。「フン、サンシタニンジャにオイランドロイドか。どうやってここを嗅ぎつけたか知らんが、貴様の個人情報も抜き取って1000万円の借金を背負わせてやる！」
インポースはハッカー特有のタイピング・カラテの構え、すなわちホームポジションのポーズをとった。レッドフォックスとコトブキもそれぞれカラテを構える。一触即発アトモスフィア！
戦闘開始
【続く】
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