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忍殺TRPGリプレイ【トゥルース・フォールズ・オン・ユー】03

 前回のあらすじ:キョート共和国、アンダーガイオン。その第八階層に探偵事務所を構えるタカギ・ガンドーは、ザイバツ・シャドーギルドに敵対するニンジャスレイヤーの行動を密かに支援していた。だが彼は十年前に逮捕した因縁の相手、怪盗スズキ・キヨシことガンスリンガーに誘き出される!

???

「ヘェーヘェーヘェー……ブラーヴォ!……ブラーヴォ!」

 ガンドーは無言で少女の椅子を部屋の隅へと運んだ。そして恐ろしいほど静かに、暗黒武道ピストルカラテを構える。彼が構え終わるのを待っていたかのように、相手はアイサツした。「ドーモォ、タカギ・ガンドー=サン。俺はガンスリンガー……いや、スズキ・キヨシです!」

「やっぱりテメエか。ドーモ、タカギ・ガンドーです」彼はアイサツを返した。相手は、復讐心に狂った凶悪ニンジャ。こちらは手負いの非ニンジャ。殺せるか。あるいは、説得するか。ニンジャスレイヤーがいれば。「ヘェーヘェーヘェー……興味深い戦いを見せてもらった……」ニンジャは嗤った。

「何故興味深いかと言うとォ……俺に憑依したニンジャソウルに関係があるのさ……ヘェーヘェーヘェー……」スズキ・キヨシもまた、二挺のリボルバーを抜き……おお!ナムアミダブツ!その構えはまさか!?……暗黒武道ピストルカラテ!?「そいつは何の冗談だ」ガンドーは笑いながら脂汗を垂らす。

???

 ガンドーはピストルカラテを構えたまま、一定の間合いを保ってスズキ・キヨシと同心円状に横歩きする。ニンジャと常人の力の差は歴然。この戦いは自殺行為以外の何物でもないと、ニューロンが警告していた。「ヒィーヘェーヘェー……俺は冗談は嫌いだ。特にアンダーの奴らの冗談は……」

 スズキ・キヨシが笑い、それから突然、怒声を張り上げる!「俺は常にシリアスだった!それを!貴様らのせいで!台無しだ!」ナムアミダブツ……彼は狂っていた。カチグミの御曹司が刑務所に十年もブチ込まれ、親からも見捨てられていたのだ。無理もない。同情はできる。だが、容赦はできぬ。

 何とかして、脱出の糸口を掴まねばならない。よほどのサンシタならともかく、このニンジャと真正面からやりあって勝てるわけがない。突進してくるダンプカーに突っ込むようなものだ。……会話で敵の注意を逸らせれば、あるいは。「何が望みだ?」ガンドーは横歩きを続けながら問うた。

 敵の視線、銃口、指先の筋肉の震え、全てに注意を払いながら。「俺の命か?それだけじゃあるまい?こんな大掛かりなことをしたからには」「ヘェーヘェーヘェー……知恵比べか、探偵=サン?俺の知能指数は凄いぞ。ゼンモンドー20段だ」刺激してはまずい。何がトリガーになるかわからない。

交渉判定、ニューロンかワザマエで難易度UH。電脳値8、探偵服で+1、「知識:犯罪」「交渉:共感」で+2。11D6[23454422666]成功。即応+3。

シキベ殺しの真犯人探しか?」ガンドーは構えを解かず、そう告げた。あの時、ガンドーの助手「シキベ・タカコ」を撃ったのは彼だとされた。倒れたシキベの傍らに、彼の拳銃が落ちていたからだ。ガイオン市警と裁判所はそう結論づけ、スズキ・キヨシ、本名コケシ・ソイチを刑務所送りとした。

 ガンドーにスズキ・キヨシの逮捕を依頼したのは、ソイチの父でコケシ社CEOのコケシ・サイコウだ。刑務所に送るまではせずとも、道楽息子の怪盗ごっこを止めたかったのだろう。だが殺人の現行犯となれば話は別だ。父は息子を見捨て、減刑処分を求めなかった。実際インガオホーではある。

 だが、本当にそうだったのか。ソイチの手から拳銃を叩き落としたのは、空中で彼に掴みかかったガンドーだ。シキベは屋上に身を伏せており、流れ弾が命中した様子はなかった。罪罰罪罰罪……ガンドーは推理を深めるが、いつものように頭にモヤがかかったようになり、集中力が薄れていく。

「真犯人。ヘェーヒィーヒィー……良くわかってる探偵=サン。流石は俺のライバルだ。知能指数高いよ……」スズキ・キヨシの表情は目まぐるしく変わる。「あのメガネ女を殺したのは、俺じゃない。本人が言うんだから間違いない。お前もわかってたんだな」「あ、ああ」「じゃあ、誰だと思う?」

再び交渉判定、難易度UH。11D6[64311524115]成功。緊急回避+1。

 ガンドーのニューロンは最適解を探す。コケシ・サイコウがシキベを口封じする、はずはない。ならばガンドーも殺し、謝礼を支払ったりもしないはずだ。そのカネはシキベのために消えた。「……調査中だ。協力する気はねえか?あんたの高い知能指数で、疑いを晴らすんだ」「ヘェーヘェー!」

 スズキ・キヨシは涎を垂らして嗤った。「あいにく、俺には真犯人がわかってるんだ」「……それは?」ガンドーは少し安堵した。ひょっとしたら、うまくいくかも知れない。彼がアンダーガイオンの人間を何十人も虫けらのように殺し、少女を痛めつけた罪はあるとしてもだ。……だが!

「ヒィーヒィー……お前だよ!探偵=サン!お前の不注意が、助手を殺したんだ!」敵の両手が動く!反射的に、ガンドーは49マグナムの引金を引いた!一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ(一騎打ち):スズキ・キヨシ/SK(10)→タカギ・ガンドー/TG(7)→SK(5)→TG(4)

SKは移動せず回避集中。TGは接近して「射撃反動回し蹴り」発動!射撃難易度Hで[11461][2312]1発成功。SKは「銃弾の見切り」で回避E、回避集中によりK![55]時間差がないためまとめて回避!続く回し蹴りは回避N→Eで[126]回避!残り回避ダイス8!

 BLAM!ガンドーは駆け寄りながら49口径弾を発射!「イヤーッ!」スズキ・キヨシはブリッジ回避!BLAM!真上に向けてピストルを射撃し、銃弾を撃ち抜いて弾き飛ばす!タツジン!「ウオーッ!」ガンドーは続けて左の49マグナムを「イヤーッ!」BLAM!銃弾は天井に向けて発射された!

 何が起きた!?スズキ・キヨシは瞬時にブリッジ姿勢から身を起こしつつ右手の甲でガンドーの左手を弾いたのだ!「ウオーッ!」ガンドーは姿勢を崩しながら強引に回し蹴り!「ウォーホー!」スズキ・キヨシは紙一重でこれを躱す!いかなニンジャとて当たればただでは済まないが、当たらない!

SKは移動も攻撃もせず回避集中継続。TGは「射撃反動回し蹴り」発動、[5221][6142]2発1成功。SKは[15][366634]回避!

「イヤーッ!」BLAMBLAM!ガンドーは必死にピストルカラテを繰り出す!「イヤーッ!」スズキ・キヨシは難なく躱し、銃口をガンドーの頭や首筋に押し付けて脅す!「ヒッ」「無駄だ。俺はニンジャになった。お前は違う」ナムサン……この狂人は、ガンドーとの力の差を楽しんでいるのだ!

 六連装リボルバーの残弾は残り四発ずつ。ガンドーは状況判断した。ニンジャであろうと、銃弾やカラテが命中すれば倒せる。余裕をかますスズキ・キヨシに、コケシ・ソイチに、一矢報いねば!殺されていったアンダーガイオンの住民たちのために、気絶している囚われの少女を救出するために!

2-3ターン目

SKは回避集中。
TGは[52463][2233]1発成功。SKは[64][325]回避!残弾3!
TGは[14422][3523]2発成功、SKは[56][454212]回避!残弾2!
TGは[23546][5243]2発成功、SKは[55][4333]回避!残弾1!
TGは即応ダイス5をつぎ込み[3243111][536133]1発成功、
SKは[52][53454]回避!TGの残弾0!

「イヤーッ!」BLAMBLAM!「イヤーッ!」回避!「イヤーッ!」BLAMBLAM!「イヤーッ!」回避!「イヤーッ!」BLAMBLAM!「イヤーッ!」回避!惜しみなく射撃するガンドーに対し、スズキ・キヨシは一発も撃っていない!銃弾も回し蹴りも、かすりもしない!なんたるタツジン!

 彼のニンジャ感覚は、ガンドーの射撃タイミングを完全に読み、機先を制して躱すことができる。銃弾が発射された後でも『視て躱せる』。これがニンジャの能力だ。まして彼に憑依したニンジャソウルは、かつて欧州でピストルカラテを生みだしたテッポウ・ニンジャクランのアーチ級ニンジャだ!

「畜生が!イイイヤァアアアーーッ!」BLAM!ガンドーは怒りを込め、敵の顔面めがけて最後の銃弾を射撃!だがスズキ・キヨシは両手の38口径拳銃を初めて構え、手首を内側に曲げると、顔面に迫る49口径弾めがけて左右から撃った!BLAMN!三つの銃弾の螺旋回転がぶつかり合い空中消滅!

 スゴイスギル!「ウォーヒヒー!」涎を垂らすスズキ・キヨシ!続く回し蹴りもブリッジ回避!「マジかよ」ガンドーは我が目を疑いつつ、薬莢を排出する。全弾撃ち尽くし「今度は俺の番だな!イヤーッ!」スズキ・キヨシが黒いロングコートを翻して襲いかかる!ガンドーはブッダを呪った。

4ターン目

大気にカラテが満ちる!ハードモード突入!

SKは「射撃反動回し蹴り」発動!射撃ダイス15で連射3、射撃難易度H。[32255][16514][44122]2成功2発、時間差。
TGは回避ダイス7、緊急回避ダイス3。射撃はまとめて回避できず回避H、続く回し蹴りは回避UHで、アドレナリンブーストも連続側転もできない![34][35][53]2発命中!弾き飛ばしを受け壁に激突!3ダメージを受け残り体力4!

 BLAMBLAMBLAM!スズキ・キヨシは両手の38口径マグナムを時間差で三連射!「グワーッ!」ガンドーは紙一重で銃弾を躱すが、躱しきれない!さらにスズキ・キヨシの射撃反動回し蹴りが迫る!ガンドーをも超えるワザマエのピストルカラテだ!SMAASH!「グワーッ!」命中!壁に激突!

TGは…銃弾を再装填し射撃反動回し蹴り![65135][1161]2発成功!SKは回避EとUHで[43][56]難なく回避!
SKは射撃反動回し蹴り[45613][44144][14531]2発成功。TGは緊急回避3を消費し[1][5][42]2発命中!弾き飛ばしを受け壁に激突!3ダメージを受け残り体力1!

「うおおーッ!」ガンドーは手慣れた動きで銃弾を再装填!ピストルカラテで応戦する!BLAMBLAM!当たれば38口径弾よりダメージは重い!「ウォーヒヒー!」スズキ・キヨシは難なく回転回避しつつピストルカラテで迎撃!BLAMBLAMBLAM!SMASH!「グワーッ!」命中!またも壁に激突!

「ゴボーッ……!」ガンドーは胃液と血液を吐いた。だが彼の頑強な肉体はギリギリで耐える!(シキベ=サン)ガンドーは祈った。眼の前のクソッタレがシキベを撃ったのか、違うのか。どちらにせよ、今倒さねばならない!「ウオオオーーーッ!」駆け戻りながらピストルカラテ!BLAMBLAM!

TGは…SKへ「射撃反動回し蹴り」発動![45126][4264]2発成功!SKは回避ダイス9、回避E・UH![624][225234]回し蹴り命中!2ダメージを受け残り体力5!ゴウランガ!「黒い復讐心」発動、戦闘終了まで攻撃+4、回避-4!

「ヒヒーッ!」スズキ・キヨシは難なくブリッジ回避で銃弾を躱す!だがガンドーはそれを読み、回し蹴りを低く放っていた!「え」SMAAASH!「グワーッ!」命中!スズキ・キヨシはくの字になって吹っ飛び、反対側の壁に激突!「ナメんじゃねえ!」ガンドーはふらつきながらも笑った!

「クソが……!貴様のせいで、俺は!」スズキ・キヨシはゆらりと立ち上がり、ハーフハンニャ・オメーンの奥でギラギラと目を輝かせる。黒い復讐心が燃え上がり、構えから油断が消え去った!「やはり貴様を乗り越えねば、俺は先へ進めない……!止まった時計を動き出させなくては……!」狂気!

5ターン目

SKは駆け戻って「射撃反動回し蹴り」発動[21515][22116][24162]3発成功。TGは[6][5][5][2266]全て回避!ゴウランガ!
TGは「射撃反動回し蹴り」発動[61153][3333]1発成功。SKは回避ダイス9、回避E・UH![445][256634]回避!ともに回避ダイス0!
SKは通常攻撃し7D6[6156566]6成功&ナムアミダブツ[6]即死、手加減したとして昏倒。

「「イイイ……」」両者は同じピストルカラテの構えをとり……「「イイイヤァアアアーーッ!」」激突!BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!ガンドーはZBRタブレットを噛み砕き、ニューロンを加速させて攻撃を避け、反撃を繰り出す!まるでニンジャだ!だが……スズキ・キヨシは紙一重で躱す!

「イヤーッ!」スズキ・キヨシは拳銃でガンドーの胸骨を思い切り殴りつける!もはや銃弾はないが、速く重い一撃!SMAASH!「グワ……アバーッ!」胸骨が砕けた!ガンドーはのけぞり、仰向けに倒れ、意識を失う。両手には銃弾のない49マグナムを握りしめたまま。「……ハァ、ハァ、ハァ」

戦闘終了

 スズキ・キヨシは息を荒げ、血を拭う。完璧な勝利とはいかなかったが、勝ちは勝ちだ。流石に自分のライバルだけはある男だった。敬意を払おう。そして、死んで貰わなくては!彼は生き残りのクローンヤクザにIRC通信を行い、ガンドーと少女をヤクザリムジンへ運ばせた。その行き先は……。

【続く】

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