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【荒野パロ】あゝ一億のカネは減る

「ふわぁ……久々の太陽光、気持ちいーですねえ」
『うむっ、しっかり充電しておけいっ』

ビルの屋上。さんさんと降り注ぐ太陽光を背中に受け、セーラー服を着た黒髪の美少女が気持ちよさそうに寝そべっている。額にはバンダナ。両手で油断なく構えるのは、九九式狙撃銃。

「夜になったらどーしましょうねえ。博士」
『太陽電池パネル自体が汚損せねば、夜間も活動可能だわい。こないだので分かっとろうが』
「こないだって、三十年近く前ですよお。よく覚えてますねえ」

少女が会話しているのは、彼女の胸に搭載されたモニタの中の老人。正確には、彼女の電子頭脳にコピーされたプログラム人格だ。
『よいか、これは大チャンス。この機能テストだかなんだかで優勝すれば、今度こそ憎き陸軍中野予備校の連中に報復を……』
「まだこだわってるんですかぁ。私、もうあんまり戦いたくはないんですけど……」
『戦闘兵器が何をぬかすか。おまえはわしの復讐のためにのみ存在するのだっ。とっとと見敵必殺せい!』
「はーい」

彼女の名は鈴木密絵。否、旧帝國陸軍スズキ式特機兵一號。狂気の天才科学者・鈴木博士が開発した決戦兵器。人呼んで「旧帝(きゅーてい)スズキ」である!

【???/午後12時03分】
【鈴木密絵/旧帝スズキ@陸軍中野予備校】
[状態]:健康
[装備]:九九式狙撃銃
[道具]:スマートフォン
[思考・行動]
基本方針:見敵必殺。
1:日のあるうちになるべく大勢殺す。
2:充電をしっかりする。
【人物紹介】
漫画『陸軍中野予備校』第6巻最終話に登場する戦闘用アンドロイド(ロボット/特機兵)。第二次世界大戦末期、大日本帝国陸軍兵器開発顧問の天才科学者・鈴木博士によって開発された全自動機兵の試作機。自律行動が取れ、人間と寸分違わぬ姿のロボット。機銃掃射でも爆撃でも傷一つつかず、太陽電池式のため燃料の心配もない超兵器。しかし「5体も作りゃー連合艦隊が艦載機つきで買える」ほど莫大なコストが掛かっており、上層部から開発中止を宣告されてしまう。鈴木博士は復讐のため、試作機を女学生型に改造して上層部の暗殺を狙い、自らの人格をプログラム化して彼女の電子頭脳にコピーすると死亡。直後、特機兵は借金取りの手に渡り進駐軍に売り飛ばされたが、46年後に博物館から脱走した。外見は黒髪長髪で額にバンダナを巻いた少女。バンダナの下には日の丸の旗。胸にスピーカー付きモニタがあり、博士の姿が投影される。戦闘力は相当に高いと思われるが、背中の太陽電池パネルが汚損されると眠くなってしまう。毛髪や衣服で多少隠されていても大丈夫。

昭和も平成も遠くなった。おれは安永航一郎作品が割とすきだ(最近は追ってないが)。オイランドロイドかウキヨめいた超兵器で、ナラクめいた(逆恨みの)復讐鬼と化した博士に取り憑かれているが、ギャグまんがの産物なので本人はのほほんとしている。そしてこの戦場も始まる前に終わったので博物館へ戻されるか、誰かが動かすまでそのままだろう。過去の遺物だ。

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