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忍殺TRPGリプレイ【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】前編(全テキスト版)

 これは、つのの忍殺TRPGリプレイ「ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン」前編(01-06)のうち、あらすじやステータス表、ダイスロールやコラム書き、イラストなどを除去した小説テキスト部分のみをまとめたものです。久しぶりにやっておきます。全部まとめてもいいですが、読むのが大変なので今回は前編だけです。中編・後編も後でやります。

 文字数カウントで見たところ、前編(01-06)が1万6335字(2434+2627+2716+2625+2368+3565)、中編(07-12)が1万5122字(1905+2703+2737+2853+2214+2710)で、合計3万1457字です。おおむね2記事で1セクションぐらいの量ですね。後編もそれぐらいにはなるでしょうが、第二部最終章完結までにはまだまだかかりそうです。


01

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 キョート共和国首都、ガイオン。キョート城。

 ナンシー・リーの物理肉体は、キョート城・ザイバツ電算室の奥深くにある一室で、最高級オーガニック・マグロめいて保管されている。彼女のニューロンを傷つけないよう、細心の注意を払って。

 モータルながら並みのハッカーニンジャとも格の違う圧倒的なタイピング速度を持つ彼女は、ザイバツにとっても危険ではあるが利用価値があった。交渉ののち誓約書にハンコをつかされ、対ネオサイタマの電子戦に投入されたのだ。電子戦に比較的劣るザイバツにとって、彼女は切り札となった。

 一方で、彼女は誓約書の文言の穴をつき、ネオサイタマ側やニンジャスレイヤーに機密情報をいくつか漏らしてもいる。コトダマ空間にもキョジツテンカンホーの罪罰網が張り巡らされているものの、ナンシーは巧みにそれを迂回し、すり抜けているのだ。ゆえに洗脳も自我破壊もされていない。

 ……これは、ザイバツにしては寛大すぎる処遇と言えた。ナンシーのようなコトダマ空間認識者は、キョジツテンカンホーの秘密を看破しかねず、自我破壊してロードのジツを強化するリソースにされることが多い。ニンジャの奴隷たるべきモータル、かつニンジャスレイヤーの味方ならなおさらだ。

 それを言葉巧みに認めさせたのは、この頃キョート城にふらりと現れた神代のリアルニンジャ、ケイトー・ニンジャであった。トコロザワ・ピラーから瀕死のダークニンジャを回収し、キョートに連れてきた彼は、ザイバツとユカノたちの処遇交渉に突如加わり、極めて寛大な処置をとらせたのだ。

 フジサンでの一件からして、彼がカツ・ワンソーを現世に降臨させんと企む邪悪なニンジャであることは疑いない。ユカノもナンシーもあからさまに訝しんだが、彼に恩を売られねば、ユカノはともかくナンシーやフェイスフル、バンブーエルフは始末されかねず、やむなくこれを飲むこととなった。

 ザイバツからしても、ケイトー・ニンジャは目的の上で相容れないはず。しかし、彼のもたらした知識やニンジャ戦力は甚だ大きく、客人・顧問として迎え入れざるを得なかったのだ。かくて半年が経過し……ザイバツ・グランドマスターは9人のうち3人が欠けた。ニンジャスレイヤーの手によって。

『……そういう状況よ。準備はいいかしら?』

 コトダマ空間に浮かぶ奥ゆかしい茶室。ナンシーの論理肉体は、この場に集まったニンジャたちにこれまでの状況を説明する。エーリアス、ヤモト、ハウスバーナー、ポイズンバタフライ、ライトウォッチャーディテクティヴ、ディプロマット、アンバサダー。そしてニンジャスレイヤー

 ここはコトダマ空間内に築かれた電子拠点だ。エーリアスとポータル兄弟の協力により、罪罰監視網からも論理的に離れている。『現世では、日本国とキョート共和国の間で激しい戦いが始まったわ。ガイオンも危ないかも知れない。けど、これは好都合。混乱に乗じてユカノ=サンたちを救出して』

『うむ』ニンジャスレイヤーはうなずいた。対面に座るソウカイニンジャたちには、しばしば煮え湯を飲まされたが、今回は共通の敵を倒すための協力者だ。ナンシーはキョート城の3D図面を展開する。城の全体は堀に囲まれ、東西に長い楕円形をしている。西側は低く、本丸のある東側は高い。

 西側は公園化されており、一般に解放された観光地だ。屋台が立ち並び、観光客たちが記念撮影などを行う。その東側に城門があり、一段高くなった区域に通じている。ここは「ビジター(訪問者)区」と呼ばれ、ザイバツと通じた業者用の物資搬入リフトによって、外部から入ることができる。

 ビジター区の東端には強化ガラスの壁が張られている。ザイバツに属するニンジャであっても、この先へは招かれて許可がなければ入れない。本丸を含む東側区域の三方は切り立った断崖で、対ニンジャトラップも多数仕掛けられており、侵入は困難だ。では、どうするか。秘密の抜け道が存在する。

 外からビジター区へ通じる物資搬入リフトには、隠蔽されたもう一つのコントロールパネルがある。これを直結ハッキングすれば、ビジター区を通り越して直接その先へ出ることができるという。キョート・ヨロシサン製薬の施設に秘匿されていた極秘情報だ。『城には必ず抜け道がある、ってわけ』

 平安時代の哲学者にして兵法家、ミヤモト・マサシのコトワザだ。これを突き止めるために、ニンジャスレイヤーとディテクティヴは危険な冒険をすることとなったが、十分な成果だ。『で、ユカノ=サンたちはビジター区の先、「踊るモンキーの区」と呼ばれる庭園のに幽閉されているようね』

 ナンシーが3D図面に「ココラヘン」マークを表示させた。ディテクティヴは何度かここに忍び込み、ユカノと連絡をとっている。以前ヤモトが幽閉されていたのもここだ。『ニンジャスレイヤー=サンとディテクティヴ=サンは、まずここへ。エーリアス=サンたちは……UNIXを介して電算室へ出る

 電算室は本丸の城の中にあり、まさに敵の中枢だ。コトダマ空間を経由すれば、そこへいきなり出現することが可能なのだ。そして電算室のニンジャたちは、さほどカラテに長けてはいない。これでナンシーの物理肉体も救出できるし、電算室を一気に制圧すればキョート城内を混乱させられる。

ヴィジランス=サンとは前に因縁があるな。今度こそ殺ってやるぜ!』『ええ』ソウカイニンジャたちは頷く。『で、庭園の東側の城門を越えれば本丸区の中庭ね』『グランドマスター・ケイビイン=サンとその部下たちが詰めている。油断ならぬ強敵だ』『問題ない。殺す』『実際頼もしいぜ』

 ザイバツはユカノを用いて胡乱な儀式を行おうとしているらしいが、行わせるわけにはいかない。それに儀式中は多数のニンジャが城内に集まる。手練れのニンジャに囲んで殴られれば、ニンジャスレイヤーと言えど危険だ。手薄なうちにユカノを奪還し、ロード・オブ・ザイバツを討ち取るべし!

02

 キョート城の最外周、アウトサイド石畳エリアは、広く一般人に開放されている。雅な松と城壁、石畳の美しさによって、キョート観光ツアーに必ず組み込まれる重要ランドマークだ。市民や観光客が屋台の間を笑顔で行き来し、インペリアルガード職員達は江戸時代の制服でいかめしく直立する。

 だが、日没とともにここは閉鎖される。ニンジャスレイヤーとディテクティヴ、ディプロマットとアンバサダーは車両通用門へ向かう屋台車両の中に紛れ、目的の秘密通路へと向かった。城の中から出て来るニンジャたちに見つからぬよう、四人はしめやかに動き、石垣の左手のトンネルに達する。

「保全」と書かれたトンネルの奥には、ビジター区へ通じる業者用の物資搬入リフトエレベーターがある。ディテクティヴは事前情報通り、隠蔽されたコントロールパネルを見つけ出し、LAN直結してハッキングを行う。ナンシーの手助けがなければ、彼は瞬時にニューロンを灼かれているだろう。

 ヌンヌンヌンヌンヌン……キャバァーン!ハッキングが成功し、奥の突き当りの壁が正方形に割れ、蛇腹シャッターめいて巻き上がっていく。現れたトンネルは、湿った土と泥と石から成る胡乱な通路だ。ヨロシサン製薬と、謎めいた高位ザイバツニンジャのコネクションによって築かれた抜け穴だ。

 ……八つの水瓶を捧げ持つタコ噴水の水がにわかに途絶え、ゴリゴリという摩擦音とともに回転を始めた。噴水がまるごと地面の下へ落ち込んでゆくと、かわりに迫り上がって来たのは謎めいた石の祠である。祠の扉が内側から開き、中から4人が降り立った。ここはビジター区の先、庭園エリアだ。

 周囲には四角く整えられた緑の生け垣。彼方には広大な庭園を見下ろす幽閉塔がある。4人は物陰に身を伏せ、耳を澄まして警戒する。接近者の気配はない。祠型エレベーターはしめやかに沈み、再びタコ噴水が迫り上がって来た。宵闇の中、4人はバラのアーチ門から外へ出て、塔へと走り出す。

 ディテクティヴは何度かここを通り、幽閉塔のユカノと対面している。だが、彼女を連れ出すことはできなかった。庭園の警備が厳重なのだ。見よ、前方の十字路に横切ろうとするオカメオメーンの精鋭クローンヤクザ4体。そしてそれを率いるのは、銅色の装束を纏った庭園警備ニンジャである。

「なんか、ゴリゴリって変な音がしたよなあ……?」銅色装束のザイバツニンジャは訝しみ、噴水の方へ近づこうとする。「どうする。身を潜めてやり過ごすか?」「殺す」ニンジャスレイヤーはスプリント速度を一切緩めず、決断的にアンブッシュをかける!一撃必殺アトモスフィア!

「チッ、じゃあ行くぜ!TAKE THIS!」BLAMBLAM!ディテクティヴは49マグナム2挺を構え、横合いからオカメヤクザ2体へ射撃!「「アバーッ!」」こめかみに直撃!脳ミソを撒き散らして即死!「え!?」「イヤーッ!」次の瞬間、ニンジャスレイヤーが回転しながら断頭チョップを放つ!

「「アババーッ!」」残るオカメヤクザが首を刎ねられ即死!「い、イヤーッ!」だが警備ニンジャはとっさに連続バック転を放ち、距離をとった!「ど、ドーモ、レプラコーンです!クセモノ!」「ドーモ、ディテクティヴです」「ニンジャスレイヤーです。ザイバツニンジャ殺すべし!」

「に、ニンジャスレイヤー=サンだと!?」レプラコーンは恐怖した。ザイバツ・グランドマスターを含むザイバツニンジャを何人も殺し回っているという狂人だ。その男が、仲間とともにキョート城へ侵入して来たのだ!まともに戦っても勝ち目はない!仲間を、上司ケイビイン=サンを呼ばねば!

「い、イヤーッ!」レプラコーンは瞬時に状況判断し、ジェット噴射機構つきのブーツで跳躍!IRC通信を試みる!「モシモシ!モシモシ!」だが通じぬ!「アイエッ、ナンデ!?」「説明はしねェが、ここで死ね」ディテクティヴは無慈悲に宣告した。ディプロマットたちはすでに物陰に潜んでいる。

「イヤーッ!」ディテクティヴは常人の三倍を超える脚力でレプラコーンに追いつく!BLALALAM!ピストルカラテ乱舞!「う、ウオオーッ!」レプラコーンは死にものぐるいで躱し、反撃のキック!SMAASH!「グワーッ!」ウカツ!ディテクティヴはキックを食らいのけぞる!だが、その時だ!

「Wasshoi!」ニンジャスレイヤーは空中で体勢を崩したレプラコーンへ必殺のトビゲリ!どくん……!レプラコーンはアドレナリンを過剰分泌させ、相手のキックの威力を利用して離脱しようと靴底を向ける!SMAAAASH!「グワ、アバババーッ!」サツバツ!ジェットブーツが耐えきれず粉砕!

「サヨナラ!」KABOOOM!レプラコーンはジェットブーツごと爆発四散!ナムアミダブツ!だが彼の断末魔と爆発音は、49マグナムの銃声とともに庭園に響き渡る!「「「クセモノダー!」」」「「「クセモノダー!」」」駆けつけるオカメヤクザ、そして警備ニンジャ!「相手にするな。行くぞ!」

 カランカランカランカラン……庭園に張り巡らされたナリコが鳴らされ、あちこちから竹製のジョルリ・オートマトンが立ち上がった。手に手にカタナやタケヤリを持ちファランクスめいた陣形を組み、狭い通路に立ちふさがる!「「イヤーッ!」」KRASH!2人はトビゲリで破壊!ナムアミダブツ!

「「イヤーッ!」」2人は生け垣から放たれた3本のクナイ・ダートを回避!アンブッシュだ!生け垣がモコモコと不自然に膨らみ、不気味なニンジャが姿を現した。「やりおる。ドーモ、モルディスライムです」

 そしてさらにもう一人のニンジャが立ちはだかる!顔はハニワめいた無表情なフルメンポに覆われ、得物は長大なノダチ・ケン・カタナ!「ドーモ、ペインキラーです。よくもこの庭園に足を踏み入れおったな」

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」「ディテクティヴです」アイサツされれば返さねばならない。「忌々しい。通信の断絶などと小細工を」ペインキラーが吐き捨て、得物を構えた。「だが、そもそもワシらが上に救援要請する必要があるという思い込み……それ自体が過信よ。ワシらで十分だ」

「その通りじゃ」モルディスライムが笑った。「ぬかせ」とニンジャスレイヤー。ペインキラーは両腕を高く差し上げて刃を下向ける独特の構えを取る。「殺してしんぜよう」「……」ニンジャスレイヤーは睨み返した。その目に殺意の火が灯った。油断ならぬ強敵。立ちはだかるならば殺すのみ!

03

「イヤーッ!」BLALALAM!ディテクティヴは比較的弱そうなモルディスライムへ飛びかかり、ピストルカラテ乱舞!SMASH!「グゥワーッ!」マグナム弾と反動カラテが命中し、大きく体勢を崩す!「過信はどっちだ!ハッハー!」「オノレ!イヤーッ!」モルディスライムはドトン・ジツを発動!

 モコモコモコモコ……モグラめいて庭園の生け垣に潜り込み、高速で移動しながらチョップを放つ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは見切って回避!SMASH!「グワーッ!」ディテクティヴは背後に回り込まれ、チョップを食らう!ウカツ!「過信はそっちじゃと言うておろう!」アブナイ!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはディテクティヴを助けるべくモルディスライムへ飛びかかる!どくん……モルディスライムはアドレナリンを過剰分泌させ、この猛攻を……「イヤーッ!」瞬時に生け垣に飛び込み回避!ワザマエ!「ヌウッ!」「この庭園の警備をあずかる我らをナメるでない!」

「キイヤアーッ!」ノロイめいた絶叫を放ち、ペインキラーがカタナを振り抜く!狙うはディテクティヴの首!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがかばう!キィィン!チョップで刀身を逸し迎撃!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ペインキラーはバック転回避!タツジン!「やりおるわ……!」

「イヤーッ!」BLAMN!ディテクティヴはモルディスライムへピストルカラテ正拳突き!マグナムピストルで殴ったところへ銃弾を叩き込む殺人技だ!「イヤーッ!」モルディスライムはブリッジ回避し、バック転しながらクナイを投擲!「イヤーッ!」ディテクティヴは紙一重で弾き落とす!

 ニンジャスレイヤーは状況判断する。このままモルディスライムを追えばディテクティヴが危険!ペインキラーを殺す!「イヤーッ!」心臓めがけて必殺の貫手!どくん……!ペインキラーは死の危険を察知し、アドレナリンを過剰分泌して、これを……「キエーッ!」紙一重でブリッジ回避!

「死ねーッ!」ペインキラーは長大なノダチ・ケン・カタナを荒々しく振り回す!2人まとめて叩き切る、恐るべき回転斬撃だ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは体勢を崩しているディテクティヴをかばう!SMASH!刀身に鉄拳を叩きつけて弾き落とした!カラテ相殺によりノダチ破壊ならず!

「クタバレーッ!」BLALALAM!ディテクティヴはモルディスライムを追ってピストルカラテ!「イヤーッ!」モルディスライムはバック転回避し、クナイを投擲!「グワーッ!」命中!「弱敵めが!過信は禁物よ!」モルディスライムは目を細める。だが、その時だ!「イイイヤァアアアーーッ!」

 ニンジャスレイヤーがトビゲリを放つ!モルディスライムは生け垣へ隠れようとするが、躱しきれず一撃を食らう!SMAASH!「グワーッ!」痛烈!だが辛うじて生存!「キイアーッ!」ペインキラーはディテクティヴめがけジゲン・ドー突進!「イヤーッ!」側転回避!「手こずらせおる!」

「ウオオオーッ!」BLALALAM!ディテクティヴは必死にモルディスライムへピストルカラテを放つ!だが当たらぬ!「イヤーッ!」生け垣の中からクナイ!「グワーッ!」命中!「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはモルディスライムへ再びトビゲリ!SMAASH!「オボアババーッ!」

 ゴウランガ!生け垣が膨張し、不気味なニンジャが血反吐を吐いて倒れ伏す!「ザイバツ・シャドーギルド、バンザイ……!サヨナラ!」KABOOOM!爆発四散!「オノレ!キエーッ!」ペインキラーはディテクティヴへ斬りかかる!「い、イヤーッ!」紙一重で見切って回避!これで2対1だ!

「頼むぜ!イヤーッ!」BLALALAM!ディテクティヴは防御をニンジャスレイヤーに任せ、捨て身のピストルカラテ乱舞!SMAASH!「グワーッ!」命中!ペインキラーはのけぞる!「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはペインキラーへ回転踵落とし!SMAASH!「アババーッ!」痛烈!

「アバッ……オノレ!」ペインキラーのフルメンポが割れ、ギラギラと狂った眼光を輝かせる目が露わとなる。「キィエアアアーーーッ!」モンキーめいたシャウトを放ち、凄まじい回転斬撃!ニンジャスレイヤーは負傷したディテクティヴを背後にかばい全力で防御!「グワーッ!」命中!痛烈!

「イイイヤァアアアーーッ!」BLALALAM!ディテクティヴは必死でピストルカラテを叩き込む!SMAASH!「グワ……アバーッ!」ナムサン!ついにペインキラーは血反吐を吐いて仰向けに倒れた!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはすかさずカイシャク!SMAASH!「サヨナラ!」KABOOOOOM!

 ペインキラーは爆発四散した。

「フーッ……」ディテクティヴは荒い息を吐き、体に突き刺さったクナイを抜いた。毒はあろうが、彼の頑強な肉体とニンジャ耐久力でどうにかする。「スシを食べておけ」「あ、ああ。足手まといになっちまったかな」「否」ニンジャスレイヤーとディテクティヴは物陰に隠れ、スシを補給した。

 本丸エリアからの増援は……ない。外界の喧騒を逆位相の音波で打ち消すシステムにより、庭園での騒動は本丸エリアには届かない。監視カメラのたぐいはナンシーがハッキングし、電算室もエーリアスたちに制圧されているはずだ。しかしアナログ的手段によってケイビインには伝わるかも知れぬ。

「こっちだ」アンバサダーが生け垣の中から現れ、短距離ポータルを開く。ニンジャスレイヤーたちが警備の目を引き付けている間に、ディプロマットは幽閉塔まで到達していた。ニンジャスレイヤーはうなずき、ディテクティヴとともにポータルへ飛び込む!0101010101010101010101010101……

 キョート城敷地内に建つ幽閉塔の一室。オーガニック・タタミが敷き詰められ、虜囚のリラクゼーション効果を高める。床の間、チャブ、掛け軸……特殊バンブー製の小窓を除けば、最高級旅館を思わせる広々とした作りだ。廊下には警備ニンジャが詰めている。……カランカランカラン……!

 奥ゆかしくナリコが鳴った。非常事態、庭園への侵入者を知らせるブザーだ。「敵です」警備ニンジャ・シャドウウィーヴはフートンで眠る護衛対象に声をかけたが、返事はない。寝ているのだろう。

 これはいつもの警備訓練か、あるいは……!「イヤーッ!」KRAASH!小窓が外から蹴破られた!「何ッ!?」シャドウウィーヴは室内を振り返る。そこに立っていたのは、赤黒い装束を纏ったニンジャ!鋼鉄のメンポには見る者の恐怖を煽る字体で「忍」「殺」と刻まれている!

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです……!」

04

「ど、ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。シャドウウィーヴです」彼はアイサツを返した。「なぜここに!」「ドラゴン・ユカノを返してもらいに来た。そして、ザイバツ・シャドーギルドを滅ぼすために」ニンジャスレイヤーは決断的に宣言した。その目はザイバツへの憎悪と復讐心に燃えている!

「さ、させるものか!」シャドウウィーヴはカラテを構えた。しかし両者の間には特殊バンブー製の竹格子がある。こちらから室内へ入るわけには……だが、その時!「キエーッ!」フートンに横たわっていた護衛対象が、突如跳ね起きた!そのバストは……平坦である!「バンブー・コソク・ジツ!」

 多数のバンブー地下茎が竹格子から伸び、ニンジャスレイヤーへ襲いかかった!「イヤーッ!」ナラク・ニンジャの警告を受け、一瞬早く側転回避!「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。バンブーエルフです」

「……ドーモ、バンブーエルフ=サン。ニンジャスレイヤーです」彼はアイサツを返した。「ユカノやフェイスフル=サンはどうした」「知らないね。クセモノだよ、シャドウウィーヴ=サン」バンブーエルフは無感情な声で告げた。竹格子は解け、彼女の周囲を這いずり回っている。「アッハイ」

「洗脳状態か。……ならば、眠っていてもらおう!」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツの構えをとった。彼女をミネウチで眠らせ、本丸エリアに突入してユカノとフェイスフルを探索、救出すべし!

「バンブー・コソク・ジツ!」「シャドウピン・ジツ!」BASHSHSHSHSH!バンブー地下茎と闇のクナイがニンジャスレイヤーを襲う!「イヤーッ!」見切って回避!ともにジツ頼みでカラテは貧弱だが、食らえば拘束されて厄介だ!ここは……ザイバツニンジャ・シャドウウィーヴをまず殺すべし!

 その時!「イイイヤァアアアーーッ!」ディテクティヴが窓から飛び出しシャドウウィーヴへアンブッシュ!「何ッ!?」BLALALAM!ピストルカラテ乱舞だ!SMAASH!「グゥワーッ!」銃弾が一発命中!シャドウウィーヴは不意を打たれて苦痛に悶え、大きく体勢を崩す!絶好のチャンスだ!

「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーは怒りを燃やしてシャドウウィーヴへ飛びかかる!どくん……!シャドウウィーヴは死を察知し、アドレナリンを過剰分泌させた。彼に宿るニンジャソウルが震え、影が伸び上がる!「イイイ……イヤーッ!」紙一重で影に潜み回避!アブナイ!

「おっと、アイサツしたがいいよな。ドーモ、ディテクティヴです」「バンブーエルフです」「シャドウウィーヴです」3人はアイサツを交わした。

「じゃあ、そっちからね。バンブー・コソク・ジツ!」「シャドウピン・ジツ!」BASHSHSHSHSH!ディテクティヴめがけて地下茎とクナイが殺到!「グワーッ!」ウカツ!紙一重で地下茎を躱したものの、シャドウピンが影に命中した!たちまちディテクティヴの動きが鈍くなり、動けなくなる!

「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーは怒りを燃やし、シャドウウィーヴへトビゲリ!「い、」SMAASH!「グワ、アバーッ!」痛烈な一撃!シャドウウィーヴは血反吐を吐き、もはや瀕死だ!このままでは死ぬ!「クソッタレ!」ディテクティヴも拘束から脱出!完全に絶体絶命!

「「イイイヤァアアアーーッ!」」バンブーエルフとシャドウウィーヴはニンジャスレイヤーめがけジツを放つ!「イヤーッ!」見切って回避!「クタバレーッ!」BLALALAM!ディテクティヴがピストルカラテ乱舞を放つ!SMASH!「アバーッ!」痛烈!シャドウウィーヴはタタミにくずおれる!

 だが……彼は自らの肉体がタタミに投じる影に倒れ込み、そのまま影の中へ身を沈めた。彼に憑依したニンジャソウル、神話にも語られるアーチ級ニンジャ「ハデス・ニンジャ」のしわざだ。ニンジャスレイヤーは内なるナラク・ニンジャの悔しげな舌打ちを聴いた。キンボシ・オオキイだったのだ。

 残るはバンブーエルフのみ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは飛びかかってアテミ・チョップを放つ!SMASH!「ンアアーッ!」命中!彼女のカラテは弱い!「うう……罪罰罪罰罪罰……」バンブーエルフの瞳が回転する!

「イイイヤァアアアーーッ!」バンブーエルフは部屋中にバンブー地下茎を張り巡らせ、ニンジャスレイヤーを拘束せんとす!「イヤーッ!」マイめいた動きで回避!「いつぞやのケージマウス=サンじみた状態か。じゃあピストルカラテは封印だな」ディテクティヴは状況判断し、掴みかかる!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」バンブーエルフはディテクティヴのカラテを見切って回避!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが飛びかかる!SMASH!命中!「ンアアーッ……ムン」バンブーエルフはたまらず昏倒!戦闘不能!

「フーッ……」ディテクティヴは汗を拭う。ともにカラテは弱かったが、危険なジツの使い手たちだった。他に援軍があれば、ニンジャスレイヤーはともかく自分は危なかっただろう。だが倒した。「ホテル並みだな。冷蔵庫に上等なスシがあるぜ。もらっとこう」ディテクティヴは室内を漁った。

「この娘はどうする?ここへ寝かせとくのか?」「そうするしかあるまい」と、ディテクティヴの懐で何かが蠢いた。「ン?こりゃ、マガタマか?」庭園でのイクサでジョルリ・オートマトンたちを破壊した際、何かが彼の懐に飛び込んでいたのだ。それはひとりでにバンブーエルフに吸い寄せられた。

「……ンアーッ!?」彼女は目を覚ました。緑色のマガタマは彼女の胸元に転がり込み、吸収されたようだ。「アイエッ……ここは」「気がついたか」洗脳は解けている。2人は事情を簡単に説明した。「私も戦えるよ」「ならぬ。死ぬぞ。ここに隠れているか、城の外へ脱出せよ」「……了解」

 バンブーエルフはうなだれた。ここは敵のただ中、カラテに乏しい自分が下手に行動すれば足手まといだ。幸いここには竹林もあり、フーリンカザンとはいえる。「ユカノ=サンとフェイスフル=サンは、たぶん本丸エリアにいると思う。助けてあげて」「無論だ」「俺たちに任せておきな!」

 ディテクティヴはタフに笑った。負傷したぶんはここのスシでチャラだ。次は、グランドマスター・ケイビインを倒さねばならない。自分はともかくニンジャスレイヤーなら可能だろう。ポータル兄弟もいる。電算室を制圧したであろうエーリアスたちも。キョート城を攻め落とすには十分だ!

05

 幽閉塔から飛び降りた2人はディプロマットとアンバサダーに誘導され、蔦の絡まる石壁沿いに駆け抜ける。ここは庭園の東の端だ。見上げるほど高い石垣には対ニンジャ用ナリコ・トラップが張り巡らされ、本丸エリアに入るには長い石段の上に聳え立つ巨大な正門……城門を抜けるしかない。

 以前に傭兵ニンジャ・ジャッジメントに変装してスパイ潜入を試みたディテクティヴも、この先は全くの未知だ。ザイバツの標榜する「格差社会」の通り、本丸エリアには基本的にザイバツ直属のニンジャしか入れない。庭園エリアは本丸からすれば下界であり、外界からの喧騒は届かないのだ。

「こりゃ内側からカンヌキがかけられてるぜ。コントロールパネルもねェ。どうする?」「破壊する」「おう」「待て。ポータルで穴を空ける」ディプロマットとアンバサダーが進み出て集中し、ジツを発動した。……ガオン!分厚い木材と鉄に人間大の穴が穿たれる。ポータル・ジツの応用だ。

 4人は穴を潜り抜け、本丸エリアにエントリーした。中庭の地面には白砂が敷かれ、渦巻き模様が無数に描かれ、球状に剪定された松が迷路めいて視界を遮る。松の彼方、東の闇にキョート城本丸天守閣が禍々しく聳え立つ。途方もない威圧感。実際、肉体にもニューロンにも圧力を感じる。

 錯覚か、あるいはロードのジツの影響か。……否!4人は門を振り返り、左右に聳え立つ青銅製の戦闘的ブッダ像を見た。身の丈はおよそ6メートル。それは動き出した!ズシン!ズシン!ズシン!青銅製の巨人は足を踏み鳴らし、無言で怒りに満ちた目を向け、巨大な拳でカラテを構えた。

 片方は口を開き、もう一方は口を閉じている。鎖骨の上に穿たれた丸い穴の奥には暗紫色の火が燃えている。これはニンジャではなく、ニンジャの特殊なジツによって操られているカラテゴーレムだ。

「ドーモ、初めましてニンジャスレイヤー=サン」上空から声。それはゴーレムたちの頭上にアグラ姿勢で浮かぶニンジャから発せられた。暗青紫色の装束を着たニンジャの両眼は、ゴーレムの体内の火と同じ色に光り輝き、上向けた掌の上にも同じ色の炎が燃えている。見るからにただ者ではない。

 その腕は4本。周囲には複数の武具が寄り添うように浮かんでいる。カタナ、サイ、斧、ジュッテ、メイス、円盾。「よくもこの神聖な白砂を踏み荒らしに参ったことよ、下郎。そしてその太鼓持ちめいたヨタモノどもめが。我はザイバツ・シャドーギルド、グランドマスター……ケイビインです!」

「ドーモ、ケイビイン=サン。ニンジャスレイヤーです」「ディテクティヴです」「……ディプロマットです」「アンバサダーです」「愚かなヌケニンどもも一緒か」ケイビインは超自然の光を放つ瞳で、4人の侵入者を睨み下ろす。「貴様らごときビョウキ鼠にこの砂を踏ませたるは我が恥辱なり」

「くだらん」ニンジャスレイヤーが言い捨てた。「たかが古城。たかが砂。たかがニンジャの寄り合い所帯よ。ゴロツキ風情が笑わせるな。恥じ入ってセプクでもするがいい!」「貴様のシツレイは、我がカラテと命で雪ぐ!」ケイビインはジゴクめいて宣言した。一撃必殺アトモスフィア!

「イヤーッ!」先に動いたのはケイビイン!4本の腕のうち2本で背負った2本のニンジャソードを抜き、暗紫色の光でエンハンスした!空中から急降下し、狙うはニンジャスレイヤーだ!SLASHSH!「グワーッ!」命中!さらにケイビインは複数の武具を周囲に浮遊させて防壁とする!攻防一体!

「「「イヤーッ!」」」ディプロマット、アンバサダー、ディテクティヴはカラテゴーレムへ集中攻撃!SMASH!BLAM!SMASH!凄まじい連打が叩き込まれるが、カラテゴーレムはびくともしない!ニンジャスレイヤーは……腰のヌンチャクを抜き放ち、カラテゴーレムへ飛びかかる!

「イイイヤァアアアーーッ!」SMAAASH!ゴウオオオオン……!サツバツ!ヌンチャクは青銅巨人を除夜の鐘めいて鳴り響かせ、強烈なカラテ振動を起こさせる!ボボボ……ズゥン!カラテゴーレムの内なるジツの炎がゆらぎ、巨体が傾いて膝をつく!なんたる恐るべき威力!だが、なおも動く!

 ズシン!ズシン!2体のカラテゴーレムは巨大な足で踏みつけ、巨大な拳で殴りつける!当たればニンジャといえど危険!「「イヤーッ!」」ディプロマットとアンバサダーは側転回避!「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクで殴り返す!SMASH!ゴオオオン!振動!

「イヤーッ!」ケイビインはニンジャスレイヤーへ斬りかかる!SLASHSH!「イヤーッ!」ジュー・ジツで回避!だがウカツに攻撃を仕掛ければケイビインの周囲を旋回する浮遊武具に迎撃される!ここはカラテゴーレムから破壊すべし!「取るに足らぬ弱敵ども!ゴーレムに押し潰されるがいい!」

「「「イヤーッ!」」」ディプロマット、アンバサダー、ディテクティヴは大きく負傷したカラテゴーレムへ集中攻撃!SMASH!BLAM!SMASH!凄まじい連打が叩き込まれるがなおも健在!「イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを腰に納め、カラテゴーレムたちへ鉄拳連打!

 SMAAASH!ゴウオオオン……『『バモオオオーッ!』サツバツ!2体のカラテゴーレムのスネを破壊!1体はそのまま仰向けに倒れ戦闘不能!だが、もう1体はなお動く!ズシン!「「イヤーッ!」」ディプロマットとアンバサダーは双子ならではのシンクロした動きで華麗に回避!ワザマエ!

「残りのカラテゴーレムはオヌシたちに任せた。私はケイビイン=サンを殺す」ニンジャスレイヤーはカラテを構えて挑発した。ケイビインの攻撃が彼らに向かえば危険だ。「やってみるがいい!」ケイビインは激しい怒りを燃やす!彼のアスラ・カラテは感情を高ぶらせるほど威力が増すのだ!

06

「イイイヤァアアアーーッ!」ケイビインはニンジャスレイヤーへ斬りかかる!SLASHSHSH!「イヤーッ!」見切って回避!「「「イヤーッ!」」」ディプロマットらは残る1体のカラテゴーレムへ猛攻!SMASH!BLALALAM!SMASH!ゴウオオオン……!除夜の鐘めいて青銅の巨体が鳴り響く!

「イイイ……イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーは憎悪の炎を燃やし、ケイビインへヌンチャクを振るって飛びかかる!「イィヤーッ!」キキキィン!ケイビインはアグラ姿勢のまま、4本の腕と浮遊武具によってこれを弾く!さらに迎撃!「イヤーッ!」見切って回避!タツジン!

 ズシン!ズシン!カラテゴーレムはディプロマットたちを踏み潰そうと暴れまわる!だが、ニンジャの反応速度には及ばぬ!「「「イヤーッ!」」」見切って回避!ワザマエ!

「イイイヤァアアアーーッ!」ケイビインはアスラのごとくニンジャスレイヤーへ斬りかかる!SLASHSHSH!「グワーッ!」躱しきれず命中!なんたる恐るべきカラテ!「「「イヤーッ!」」」ディプロマットらはカラテゴーレムへ猛攻!SMAASH!ゴウオオオン……!トビゲリがジツの炎を揺らす!

「イイイ……イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーは瞳に赤いセンコめいた火を灯し、ケイビインへヌンチャク連打!連打!連打!ケイビインはアドレナリンを過剰分泌し、これを……SMAASH!「アバーッ!」サツバツ!ヌンチャクがケイビインの胴を叩き、内臓に重篤なダメージを与える!

「オノレ……ニンジャスレイヤー=サン!イイイヤァアアアーーッ!」ケイビインは怒りをジツのエネルギーに変え、浮遊武具で迎撃!さらにカラテゴーレムを呼び戻し、体勢を崩したニンジャスレイヤーを攻撃させる!アブナイ!「グワーッ!」浮遊武具が一発命中!だが残りはヌンチャクで防ぐ!

「イイイヤァアアアーーッ!」ケイビインはニンジャスレイヤーへ斬りかかる!SLASHSHSH!「グワーッ!」命中!無視できぬダメージだ!「「「イヤーッ!」」」ディプロマットたちがカラテゴーレムに飛びかかる!SMASH!BLALALAM!SMASH!もはやカラテゴーレムはボロボロだ!ならば……!

「イイイ……イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを振るって青銅巨人へ連打!連打!連打!SMASH!SMASH!SMASH!ゴウオオオオン……!『バモオオオ……』ついにカラテゴーレムは砕け散った!「残るはオヌシだけだ。ハイクを詠むがいい」「笑わせるな、下郎めが」

 ケイビインは血反吐を拭いつつ、不敵に笑う。「我がアスラ・カラテの真髄はこれからだ。まとめてネギトロにしてくれるわ!」

「イイイヤァアアアーーッ!」ケイビインはニンジャスレイヤーへ凄まじい猛攻!狙うは両腕!どくん……!ニンジャスレイヤーはアドレナリンを過剰分泌し、これを……SLAASH!「グワーッ!」命中!だが堅牢なドウグ社製のブレーサーにより紙一重で腕の切断をまぬがれる!とはいえ重傷だ!

「「「イイイヤァアアアーーッ!」」」ディプロマット、アンバサダー、ディテクティヴは一斉にケイビインへ飛びかかる!KRAAASH!「ヌウーッ!」3人のトビゲリが円盾・サイ・斧の3つの浮遊武器を破壊!だが残る浮遊武器が飛びかかる!「「「イヤーッ!」」」見切って回避!ワザマエ!

「イイイ……!」ニンジャスレイヤーは血みどろになりながらもヌンチャクを構え、ケイビインへ飛びかかる!「イイイヤァアアアーーッ!」SMASH!SMAASH!「グワ……アバーッ!」ナムアミダブツ!ケイビインの4本の腕のうち2本が叩き折られる!青銅製の腕を装着し、キネシスで動かしていた!

「ナメ……るなァーーッ!」ケイビインは血涙を流しながらキネシス反撃!浮遊武器が竜巻めいて回転し、襲いかかる!ガガガガッ!「グワ……アバーッ!」痛烈!カタナ、ジュッテ、メイスが命中し、ニンジャスレイヤーはたたらを踏んでのけぞる!このままでは!「ニンジャ……殺す……べし……!」

「イイイヤァアアアーーッ!」勝機!ケイビインはズタボロになりながらもニンジャスレイヤーへ斬りかかる!この敵さえ倒せば!「イイイ……!イイイヤァアアアーーッ!」ニンジャスレイヤーは凄まじいアスラ・カラテ連続斬撃を……見切って躱す!弾いて逸らす!ブリッジ回避!タツジン!

「「「「イイイヤァアアアーーッ!」」」」4人のニンジャが一斉にケイビインへ飛びかかる!旋回する浮遊武器の動きを見切り、踏み台としトライアングルリープ!SMAASH!「グゥワーッ!」ポータル兄弟の痛烈なトビゲリが命中!ディテクティヴのキックは空を蹴る!そしてニンジャスレイヤー!

 ヌンチャクの2つの棍に「忍」「殺」の漢字が浮かび上がり、鎖が龍めいて伸び、舞い踊る!狙うは頭と腕!「イイイヤァアアアーーッ!」SMASH!KRAASH!「グワ……アバババーッ!」ナムアミダブツ!ケイビインの兜とメンポが砕け、残った生身の腕も根本から切断!白砂へ叩き落される!

「ゴバッ!」おびただしい血液が白砂を汚した。グランドマスター・ケイビインはついに崩れ落ち……否!彼の両眼が暗青紫色に輝き、残る浮遊武器と破片がニンジャスレイヤーへ飛ぶ!「グワーッ!」命中!もはや双方瀕死!『仮初めの……モータルの生……五十年……!』ケイビインはハイクを詠んだ。

 それは彼に憑依したニンジャソウル、織田信長ことオダ・ニンジャが末期に詠んだというハイクだ。ケイビインのカラテやジツはオダ・ニンジャ自身と比べればやや見劣りするが、遜色ないレベルにまで高められていた、とはいえよう。まさか、そのニンジャソウルが目覚めたというのか!?

『ニンジャの生は五千年、ソウルとなりて不滅なり!』ケイビイン、オダ・ニンジャは再び立ち上がり、アグラ姿勢で空中に浮かび上がった。彼の周囲には武器が、青銅の破片が浮遊し、堅牢な防壁を……複数の腕を、形作る!互いに満身創痍、一撃必殺、最終決戦アトモスフィア!

「「イイイヤァアアアーーッ!」」ディプロマットとアンバサダーは決死のトビゲリ!SMAASH!『グワーッ!』命中!『心地よい痛みよ!イイイ……イイイヤァアアアーーッ!』オダ・ニンジャはキネシスの力を解放し、竜巻めいて浮遊武器と青銅破片を高速旋回させる!アスラ・カラテストームだ!

「「グワーッ!」」ディプロマットとアンバサダーは躱しきれずに食らう!「「イヤーッ!」」ディテクティヴとニンジャスレイヤーは見切って回避!このキネシス竜巻を突っ切り、中のオダ・ニンジャを直接叩くしかない!「「イイイヤァアアアーーッ!」」2人は決死の覚悟で突入!

 ゴゴゴゴゴゴゴ……! 本丸庭園の白砂が竜巻によって巻き上がり、5人のニンジャたちは空中へ!「「イイイヤァアアアーーッ!」」SMAAAASH!『グゥワアアアーーーーッ!』オダ・ニンジャの断末魔の絶叫が響く!

 ディプロマットとアンバサダーは……竜巻に巻き上げられながら空中で両手を繋ぎ、腕の間に攻性ポータルを出現させた!竜巻の中心、オダ・ニンジャの頭上から奇襲!「「イイイヤァアアアーーッ!」」『!』ガオン……!オダ・ニンジャはポータルの彼方へ送り込まれ、01分解して消滅した。

 ……4人のニンジャは白砂の上に着地し、膝をつく。実際恐るべき強敵であった。ディテクティヴを除く全員が負傷、特にニンジャスレイヤーは満身創痍だ。ディテクティヴは肩を貸した。「立てるか」「ああ……スゥーッ……ハァーッ……!」ニンジャスレイヤーは息を調え、チャドー呼吸を行う。

 大気中からエテルを吸収して少しずつ負傷を癒やす秘術だ。しかし、このまま天守閣に突入すれば危険。どこかに潜んで体勢を立て直す必要がある。「スシを」「オヌシらが食べよ」ディテクティヴは周囲に視線を走らせ、中庭の敷地内に建物……テンプルを発見する。「ホウリュウ・テンプルか」

 ディプロマットがうなずく。「グランドマスターか、ロードの許可を得た者にしか出入りを許されていない場所だ。ニンジャにまつわる古文書が収蔵されていると聞く」「ちょうどいいぜ!」ディテクティヴはニンジャスレイヤーをひきずり、そちらへ駆けていく。テンプルを守る門番はもういない。

 あれほどの騒ぎがあったというのに増援は来ない。グランドマスターが討ち取られるような事態そのものが想定されていないのか、電算室での騒動に気を取られているのか。ともあれ休息は必要だ。

 ……かくしてニンジャスレイヤーたちはグランドマスター・ケイビインを倒し、キョート城の本丸エリアに潜入した。果たして彼らはユカノたちを助け出し、ロード・オブ・ザイバツを討ち取ることができるのだろうか……?

【ザ・ニンジャズ・オブ・ザ・ショーグン】前編終わり:続く

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