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忍殺TRPGリプレイ【サウナ・スキ・スギ】02

 前回のあらすじ:ソウカイニンジャ・デモンハンドは、ネオカブキチョでとあるサウナ店に遭遇した。導かれるようにそこへ入ると、ドリンク・サウナ・水風呂・外気浴を一巡することで、今までになくカラテが充実したのだ。これは……ただのサウナ店ではない!デモンハンドは二巡目を開始!

 デモンハンドは水風呂から上がり、リクライニングスペースに身を横たえて外気浴を行う。火と水で鍛錬されたカタナになったように。心地よい風が肉体を撫で、呼吸器から入って肺を満たし、エテルが血管を駆け巡る。……ととのった。これか。この感覚だ。彼はカラテの高まりを感じた!

 素晴らしい。特別な鍛錬ではなく、ただサウナを利用するだけで、これほどの効果があるとは!「ヒッヒッヒ!どうだねオニイサン、もう一巡するかね?」番台の老人が笑いかけた。「……ああ!」「よろしい!ではドリンク選ぶね!水分補給、これが大事!」真のサウナはこれからだ!

2回目

ドリンク

現有万札は21。体力は6(カラテは7に上昇したが回復はしない)、精神力は7。ここは…サウナバリキハイ(万札3、体力+2)を購入。体力8、万札18。

「オススメはオロポ!」「……サウナバリキハイを」「アイヨ!」老人は冷蔵庫からバリキドリンクを取り出し、手早く何かとカクテルする。「効き目は通常の倍ね!」デモンハンドはジョッキを受け取り、飲み干し、水分と栄養を補給する。長い戦いとはなるまいが、体力も気力もカネも有限だ。

サウナ

2回目はサウナイベント判定を4回。まずは[16]=熱風。回避ダイス6で難易度H、失敗すれば体力と精神力に2ダメージ。[442365]回避!

[63]=サウナブッダ。体力と精神力が2ずつ回復。さらに万札5を支払うと、外気浴判定時に追加でもう1個ダイスを振ることができる。せっかくなので支払い、残り万札13。

 BOOOM!「ヌウーッ!」サウナ室に入ると、またも強烈な熱風の洗礼!だが前回ほどではない!「イヤーッ!」デモンハンドはマワシウケで回避!ワザマエ!だがその時!『ホホホホ……!』デモンハンドの眼の前に、ブッダが出現した。幻覚か?『あなたに力を授けましょう』010101101……

[14]=大量の汗。ワザマエ判定、難易度H。失敗すれば体力に2ダメージ。[23441623]ギリギリ成功。

[32]=しんどくなってきた。精神力に1ダメージ、残り6。

「グワーッ……!」サウナ室の温度が上昇し、デモンハンドは全身から大量の汗を噴き出す。体内の毒が汗とともに放出されるとかどうとか聞いたことはあるが、体力と気力も奪い取られるほどの灼熱である。まるでメキシコの砂漠、あるいはジゴク……!「グワーッ……!」だが、これでこそ!

水風呂

体力と精神力が1回復(8と7に戻る)。判定は1D6[3]=精神力が追加で1回復。上限が増えるわけではない。

「フーッ……」デモンハンドはサウナ室を出て汗を流し、しめやかに水風呂に入る。だいぶ慣れてきた。あのブッダは幻覚か、あるいは邪悪なジゴク・デーモンのたぐいだったのか。たとえブッダが実在したとしても、殺し屋で邪悪なニンジャのデモンハンドを救済しに、わざわざ来ることはあるまい。

外気浴

2回目なので2個、ダイスブッダから購入したダイスでもう一個振れ、このうちどれかを選択する。3D6[456]=4:ニンジャソウルの闇を1減らす。もしくはトレーニングの効果蓄積を2増やす。6が出たので「サウナ蓄積(出目にプラスされる)」は増えない。5:ジツ値が1上昇(最大3)、もしくは闇を1減らす。6:成長の壁1を突破し、能力値が1増える。もしくはジツ以外の任意の能力値を1増やす(最大6)。またはニンジャソウルの闇を2つまで消すことができる。ここは…出目6を選び、ニューロンの壁を超えることにする。

 デモンハンドは水風呂からあがり、再びリクライニングスペースで外気浴を行う。体内の熱と冷気、屋外から流れ込む程よい気温の大気……それらがトモエめいて渦巻き、ニューロンを刺激する。戦闘態勢に入っていた心身が急速にリラックスし、アドレナリンとエンドルフィンが体内を駆け巡る。

「……うむ」ととのってきた。神経の興奮とリラックス、強烈な脳内物質が生み出す危険なトリップ状態ではあるが、それは実際ザゼンにも似ている。医学的にも証明されているという。心臓やニューロンに負荷はかかるもののニンジャならば耐えられる!「もう一巡行くかね?」「おう!」

3回目

ドリンク

現有万札は13。オロポを購入、残り万札3。体力と精神力が+3され、上限の10ずつとなる(ドリンク効果が蓄積せずとも、素の体力と精神力が7になったので10ずつ)。また、イベント判定ダイスを1回だけ振り直せる。

「オススメはオロポ!」「……じゃあ、それを」「アイヨ!」番台の老人は冷蔵庫から数種類の栄養ドリンクや清涼飲料水を取り出し、複雑に混ぜ合わせて、蜂蜜酒めいた黄金色のカクテルを作った。「黄金比!企業秘密!飲んでみな、飛ぶよ!」「ああ」デモンハンドはそれをゆっくりと飲んだ。

サウナ

3回目はサウナイベントを5回。[13]=怪しい中年男性。カラテ判定H、失敗したら精神力に2ダメージ。7D6[4152442]ギリギリ成功。アブナイ!

 デモンハンドはブッダめいた表情で三度サウナ室に入った。先客がいる。「グフフフ……」先客の中年男は、好色そうな目つきでデモンハンドを眺める。サウナにはこの手の客がしばしばいるという。彼はデモンハンドの席に近づき、手を触れようとする。「やめろ」「……チッ」彼は引き下がった。

[66]=アウフグース。回避ダイス6で時間差回避4回、失敗すると1回ごとに体力と精神力-1。オロポ効果で振り直し、[12]=水。体力1回復。

「お触り禁止!ウチはそういう店じゃねェんだ!」番台の老人がサウナ室に入ってきて、中年男を睨んだ。そしてデモンハンドにコップに入った水を差し出す。「アイヨ!熱中症対策に水分補給!」「ドーモ」自然にオジギし、ゆっくりと水を飲む。中年男もコップを渡され、ちびちびと水を飲む。

[51]=焦りは禁物。判定を1回だけ振り直すことが可能になる。

『焦るんじゃない。俺は腹が減っているだけなんだ』……テレビでは先程のドラマの続きをやっている。そうだ、焦りは禁物だ。デモンハンドはカラテとニューロンをととのえ、ブッダめいてザゼンした。「スゥーッ……ハァーッ……」中年男はやや離れた位置に移り、不愉快な目つきを投げかける。

[52]=テレビからゲームのCMが流れ、精神力が1減少。さっそく振り直す。[35]=隣の客が放屁。体力と精神力が1減少(9と9)。ブッダ!

『う~や~ま~い~も~し~……』テレビドラマはCMに変わった。中年男はリモコンを操作し、オイラン・ニュース番組に切り替える。「ヘクショ!」BUUUUDDHAA!ナムアミダブツ!中年男はくしゃみとともに激しく放屁!「グワーッ!」デモンハンドは集中を乱された!熱波が襲いかかる!

[54]=足の裏が熱い。カラテ判定N、失敗したら体力と精神力に1ダメージ。7D6[2243364]成功。

 ジリジリと足の裏が熱くなってきた。デモンハンドはカラテを集中させて耐える。やがて換気が行われると、中年男は……消えていた。彼はもしや、ゲイでサディストのブッダだったのだろうか?「……そろそろ、上がるか」デモンハンドはゼンめいた心地で、しめやかに立ち上がった。

敦煌で出土した10世紀の仏画。仏陀に攻めかかるマーラ(悪魔)。

水風呂

体力と精神力が1回復。1D6[2]=さらに体力1回復。

外気浴

3回目なのでダイスを3個振れる。[145]=1:任意のトレーニングの効果蓄積を1増やす。サウナ蓄積を1増やす。4:ニンジャソウルの闇を1減らす。もしくはトレーニングの効果蓄積を2増やす。ジツ値が1上昇(最大3)、もしくは闇を1減らす。ここは…出目5を選び、闇を減らす。しかし、闇が消えても狂気は自動的には消去されない。

「フーッ……」水風呂に入り、外気浴を行う。心身が慣れてきたのか、あのととのう感覚はさほど強くない。しかし……ニンジャソウルがもたらしていた過剰な闇の力が洗い流され、失われて、どこかへ消えていくのを感じた。成長の壁を超えた代償か、それとも。「……これぐらいにしておくか」

終了

エピローグ

「ヒッヒッヒ!いい面構えになったね!」番台の老人はデモンハンドを見て笑った。「さあさ、現世へお帰り!」「ああ」デモンハンドはオジギし、ノーレンをくぐって外へ出た。……振り返ると、そこにあったはずの店は看板ごと消えていた。「え?」ゴーン……ゴーン……鐘の音が遠くから響く。

 毎夜のウシミツ・アワーには、ネオサイタマじゅうのブディズム・テンプルで108回の鐘が突き鳴らされ、聴く者のボンノ(欲望)を払い、デーモンを追い出すという。魔都ネオサイタマが少しでも浄化されているかは疑問だが、少なくとも、デモンハンドは……ニルヴァーナめいた心地になった。

 そしてブディズムにおいて、デーモンは滅ぼされるばかりの存在ではない。改心しブッダに仕えるようになったデーモンはブッダデーモンとなり、ブッダやボンズを守護するようになるという。テンプルの門の左右に控えるニオウ・デーモンはその代表だ。あるいは、ニンジャのことだろうか。

 デモンハンドは己の掌を見つめ、握り、開く。彼は何かを獲得し、何かを失った。この手で守れるものはあるか……。「そんなガラでもねェか」彼は苦笑し、ウシミツ・アワーを過ぎたネオカブキチョへ去って行った。

【サウナ・スキ・スギ】終わり

リザルトな

カラテとニューロンの壁を超え、各能力値が7に上昇。ニンジャソウルの闇を失う。万札31を消費し残り万札は3になったが、充分な見返りを得た。余暇3日を獲得(もとの余暇4日のうち1日を消費したとみなす)。

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