忍殺TRPGリプレイ【ソードマン・ロマンティック】01
ドーモ、三宅つのです。これは久助=サンのソロシナリオ「フリーランスの仕事」および原作小説「トゥー・レイト・フォー・インガオホー」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
原作エピソードの再現シナリオで、ヤクザクランに単独でカチコミかけてオヤブンを暗殺するデッドリーなミッションです。フリーランスの傭兵ニンジャ、それもニュービーないしスカラムーシュ=サン級のサンシタが挑むことが想定されています。つの次元で暇しているフリーランスニンジャはぼちぼちいますが、せっかくなので新たに作成してみましょう。
ニンジャ創造
ゼロから作るのは難しいので、例によって生い立ち表と公式の「ニンジャPCメーカー」を組み合わせてランダムに作成します。2D6[55]=異端考古学者。続いてこれをニンジャPCメーカーに名前として入力します。
異端考古学者=サン、おまえはニンジャになった
◆ニンジャネーム:ロングソード
【カラテ】5【ニューロン】1【ワザマエ】1【ジツ】0(代わりに初期スキルを1個選択)
【体力】5【精神力】1【脚力】3【回避】5 【交渉】1【名声】1【万札】0【DKK】0
生い立ちは『○サイバネ賞金稼ぎ』。知識スキルは『◉知識:ファッション』。
初期装備は『カタナ』。初期サイバネは『無し』だ。
背景タイプ『恐怖や諦観』
能力値合計は5+1+1=7。モータルに毛が生えた程度の、申し分ないサンシタです。しかしカラテ=体力=回避が5もありますし、ニンジャネームどおりカタナも持っていますから、たぶんなんとかなるでしょう。だめなら死ぬだけです。初期スキルは1D6[2]=頑強なる肉体。体力が7に増えました。性別は1D6で奇数なら男性、偶数なら女性。[5]=男性です。生い立ちからの初期知識は1D4[2]=重工系メガコーポ。ふわふわローンで借金して生体LAN端子を入れましょう。整理して調整するとこうなります。
ニンジャ完成
◆ロングソード(種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 7
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 1 脚力 3/H
ジツ 0 万札 -12
DKK 0 名声 1
攻撃/射撃/機先/電脳 5/ 1/ 2/ 3
回避/精密/側転/発動 5/ 1/ 1/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1(ローンあり):ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
◆カタナ
◇ジツやスキル
◉頑強なる肉体:体力+2
○生い立ち:サイバネ賞金稼ぎ
◉知識:ファッション、重工系メガコーポ 記憶
○背景:恐怖や諦観
能力値合計:7
カラテ全振りの脳筋野郎ですが、生体LAN端子で補っています。連続側転は期待できませんが、回避5・体力7なのでそうそう死にません。精神力は1なので気をつけましょう。ワザマエとニューロンが1なので◉は記憶含めて2つまでしか持てませんが、いいことにします。では、始めます。
◆◆◆
ダンゴウ
ネオサイタマ、スノマ・ストリートの喫茶店「シンエイ小気味」の窓際席。グレースーツにセルフレームグラスの女は、油断ならぬアトモスフィアの若者と対面していた。「つまりですね、ビジネスチャンスの障害になっているわけなんです。我々の革新的なソリューションの滞りを生んでいる」
机の上には交換済みの名刺が二枚。一方には「電臣ニストソリューションシステムズCEO、コバヤシノ・ドンマイ」と書かれている。手の込んだ光透かし細工の施された名刺だ。もう一方のものはシンプルである。「ニンジャ、バウンティハンター、用心棒、暴力、実直な価格。ロングソード」。
「我々の商材は革新性をもたらします。つまりカネの流れを作る。信頼してもらっていいですよ。システムにショックを与える、それが生きがいですから」コバヤシノのバストは豊満である。ロングソードは彼女のビジネストークを耳鳴りめいて聞き流している。「で?殺しか?」「そうです」
「悪いが新規クライアントには前金を要求している。40%だ」「ハイ」コバヤシノは携帯端末をその場で操作した。キャバアーン!「……」ロングソードはコバヤシノを睨みつけたまま、懐から己の端末を取り出し、素早く表示を確認した。「……」彼は無表情を保った。「内容を聞いてないぞ」
「我が社の覚悟とキャッシュフロー健全性を証明するには十分ですね?」コバヤシノはメガネを指で直した。ロングソードはメンポをずらして安いコーヒーを啜り、威圧的に腕組みした。「お前さんの何とかいう会社の障害とやらは?ヤクザか?カルトか?弁護士か?」「ヤクザです」「武力の内訳は」
「センセイには、どうという事ありません」コバヤシノはファイルを取り出し、広げて見せた。「どうという事ない?向こうさんにもニンジャがいるッて事か」ロングソードは顔をしかめた。コバヤシノは笑顔のまま、黙った。図星である。「ニンジャはオプション料金だ。100%追加だ」キャバアーン!
「ムム」ロングソードは唸った。もっとふっかけても良かったか。だが充分ではある。カネの問題はこれで解決だ。問題は敵のニンジャだ。「ニンジャは用心棒か?ターゲット当事者か」つまり、ニンジャの殺害が必要なケースと、そうでないケース……危険度が段違いだ。「用心棒です」「よし」
ロングソードはファイルを受け取り、ページをめくって行く。ゴーストオブドラゴンゾンビー・クラン。内部抗争で滅びたドラゴンゾンビー・クランの生き残りが作ったヤクザクランで、風前の灯だ。コバヤシノのような後ろ暗い新興ソリューション詐欺企業の上前をはねてシノギをしている。
「まあその、センセイが看破なさったように、障害らしい障害はニンジャです。ゴーストオブドラゴンゾンビー・クランから離脱しようとしたグレーターゴーストオブドラゴンゾンビー・クランの連中を皆殺しにしたのもそのニンジャ……」「ニンジャの名前は?」「ハオカーです」「……無名だな」
ロングソードは前情報を一通りあらため、ファイルを閉じた。ニンジャ記憶力である。「それじゃ、始めるぜ。少し下調べをする。決行はこっちで決めさせてくれ」「よいでしょう」コバヤシノは頷いた。「ただ、四半期決算が近いです。その一週間前を期限に」「カイシャは大変だな」「ハイ」
事前調査
……ロングソードは彼なりに情報収集を行い、ファイルの情報と突き合わせて日取りを決めた。ゴーストオブドラゴンゾンビー・クランは今日から3日後の14日、オヤブンの別宅でカラオケパーティーを開く。そのタイミングであれば警備は手薄だろう。問題はヨージンボニンジャのハオカーだ。
素性は元ケンドー機動隊。ごく最近ドロップアウトし、ニンジャになったらしい。ソウカイヤや、それに匹敵する巨大組織との関係は確認できない。とはいえニンジャだけはあり、これまでに3つの零細ヤクザクランを全滅させている。アームドカーリーとデビルズカルーセルの滅亡も彼の仕業だ。
ニンジャとの戦闘は確認されていない。非ニンジャ相手に立ち回って調子をつけてきたクチだ。「成る程……」ロングソードはケモビール缶を呷り、UNIXのキーを叩く。生体LAN端子を介してハオカーの戦闘に関する秘密記録が脳内UNIXにダウンロードされ、解凍されていく。……遥かに良い。
選択肢はどのみち一つだ。前へ進むしかない。仕事を果たせばカネが手に入る。それを元手に現状から一発逆転だ。次の仕事がいつあるかも確証がない。闇稼業は信用商売だ。腰抜けのアホに次のビズなど来ない。良くてムラハチ、悪ければソウカイヤに目をつけられて、ヤバイ奴が送り込まれる。
決行当日
……14日!19:00!カネモチ・ディストリクト!ゴーストオブドラゴンゾンビー・クランのオヤブン所有のレジャー邸宅から2ブロック離れた区画で、ロングソードは手配されたタクシーを降りた。タクシーが走り去るまで用心深く待機した彼は、やがて、しめやかな風となって移動を開始した。
道沿いにはバイオ松が等間隔で植えられ、黄金色ボンボリでライトアップされている。ネオン広告看板などとも無縁だ。どの家も塀が高いが、庭園がそれとなく外から見えるようにしてある。各自の庭の枯山水の自慢の為だ。
勿論、軽い気持ちで空き巣や強盗を試みれば、奥ゆかしく隠された灯篭セントリーガンや灯篭アーク銃、サイバー番犬が牙を剥き、愚かなヨタモノはボロクズとなる。 カネモチは無慈悲である。ロングソードは心の中でため息をつく。ニンジャになっても、すぐにカネモチになれるわけではない。
しめやかな風はやがて、やや高く丘めいた場所に建てられた邸宅にたどり着いた。正門の両脇にヤクザが二人。入っていくヤクザリムジンにオジギしている。「おっぱじまってやがる……30分後の運命も知らずによ……」ロングソードは呟く。さて、どうやってあの関門を抜け、邸宅へ潜入すべきか?
ロングソードは……無造作に、真正面から正門へ近づいていく。そして門衛ヤクザたちにオジギすると、カタナを抜いた!SLASHSH!「「アバーッ!」」緑色の血液を噴き上げ、2つの生首が宙を舞う!「「「エッ」」」周囲の客たちはあっけにとられ、呆然としながら噴き上がる血を浴びた。
「「「アイエエエ!?」」」数秒後、客たちは一斉にパニックを起こし、悲鳴を上げて逃げ惑う!ロングソードはその隙に邸内へ!仕事の始まりだ!
襲撃開始
【続く】
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