踊り場にて

飛び出せるかも分からずに
手すりに引っ掛かり
1マイルずつ蹴伸びして進むのに憧れていました
(点滅している
(心臓の横で
(受話器が喉をひらいて
点字ブロックをなめらかになぞる

空気に触れ
甘い金木犀の庭に行きましょう
写真が何枚も干され
風景の引き算をしている最中で
我慢できずに買いに
出かけてしまうのですね
それでも開けることをやめられない
開封ラベルのささめきが
その都度膨らむ
から
芳しいのでしょうね

曲がった手すりは戻ろうとする力で
橋の欄干に生まれ変わり
足下に川を育てる
反響するように誰かが電話に答えていた
(川が出来てうれしいです
(点字ブロックを見ないで済みますから

あ、航空障害灯が居ました
1マイルでも15マイルでも
仲良くしています
ずっとここにいることができます



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