夜明け剥がし

鍵を縦にして
開け放ったドアから
私は出ていく
「ぐにゃりとした道を渡って」
来た道を戻るだけ
けれど
復唱して

風景に埋没していたベンチを
視界から取り出して洗い
リハーサルをする
目印の

川のせせらぎを
耳に味わって進む

重心が順調に移動して

バス停とバスが近付くころ
灯台の役目が一つ剥がれる

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