風を呼んで

春だけに出る
ヨーグルトを口に含む夜は
少しさみしい
ももとさくらの出会いを
口の中で実現させてみて
それからどうなったかしら

空いている席があり
花を揺らす微風がある

運ばれていく誰かの季節が
席を立った私にも感染して
肺をみたしていく

影を作る光源を
室内にこしらえれば
おまえに会えるようで
会えない分だけ舟を出したくなる
(今すぐにではなくとも)

置いたスプーンの影で
冷えゆく花びら
また、お会いしましょう


(2021.3.27 オンライン合評会にて発表)

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