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夕遊の漫画cafe

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大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...
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#漫画感想文

激しくて、あたたかい。『3月のライオン』羽海野チカ

アニメ化もされて、神木隆之介さん主演で実写化もされた名作。将棋のネットTVを始めた頃に読んでみました。15歳でプロ棋士になった主人公の桐山零と、彼を取り巻く人々の日常や成長を描いた作品で、東京下町のあったかい雰囲気と、将棋の世界の厳しさのコントラストが際立ちます。 最初は将棋の世界のことを全然知らなかったので、棋戦とか専門用語の解説なんかは、実は飛ばして読んでいました。(監修の先崎先生すみません、でも老眼には、字が細かすぎたので、『うつ病九段』は別に読みました)三姉妹がかわ

SFかと思ったら寓話のような現実でした。『銃座のウルナ』伊図透

主人公のウルナは孤児で、自分を育ててくれた教会や友達を守るために、志願して兵隊になります。長い間、戦争ばかりしている祖国が、女性ばかりを配属する先は、雪深い島で、敵は口だけの大きな怪物たち。なぜ、彼女たちは化け物と闘わなければいけないのか。読み進めていくと、驚愕の事実がわかってきます。 辺境の部隊にいる女性兵士たちの、悲惨な人生がやさしい筆致で描かれていています。最初の戦場シーンはSFかな(?)と思うような場面が続きます。1930年代と思うような、雪深い、きれいな風景と、対

おとなのための青春ファンタジー。『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ

ファンタジーなのに、妙に現実があって、でも独特の浮遊感ある作品です。昔話と少女漫画を合体させたような、不思議な魅力があります。天狗が住んでいて、それをみんなが受け入れている町っていうのも、すごくファンタジーなのに、なぜか自然。 物語の舞台は、ある中国地方っぽい田舎町。父親は、天狗になった元人間で何百年も生きています。母は、年上好みのしっかり美人。主人公の秋姫は、二人の間に生まれた娘で、力自慢。でも、お山で修行するのが嫌で、父親のような天狗になりたくなくて、怪力じゃない普通の