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夕遊の漫画cafe

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大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...
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#女性の生き方

台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど、アーティスティックな線描写がとてもステキです。時代は清朝。日本でいうと、江戸時代。日本の植民地になる前のお話。 台南の杜家の娘・潔娘(ゲリョン)はやさしい兄に可愛がられて育ちました。当時としてはめずらしく、読み書きができて、纏足をしない。これだけ聞くと客家っぽいですが、周りの親戚はそれをよく思っていないのが少し謎。どういう家族&親戚設定なのか、日本語版だとイマイチわかりません。原作だと

アマチュアの歴史的大発見と実話ベースのファンタジー。映画『ロスト・キング』イギリス、2020年。

シェイクスピアの演劇で有名な、イギリスの王様リチャード3世。多分、日本ではそれほど有名じゃないと思います。私が知っているのも、『7人のシェイクスピア』という名作コミックのおかげ。本題から少し脱線しますが、この作品の中でもリチャード3世の演劇は魅力的です。続きが早く読みたくてたまりません。 さて、歴史上のリチャード3世は身体が不自由で、野心家で正当な王の権利を持たない簒奪者というイメージらしく、それをシェイクスピアがあまりにもおもしろい作品にしてしまった(?)ということで、よ

自然の恵みと山の村の暮らし。『リトル・フォレスト』五十嵐大介

以前から気になっていたけれど、きっかけがなかったマンガ。映画館で見た韓国リメイクの予告編があんまりきれいだったので、ようやく読みました。この『リトル・フォレスト』は田舎の農作業の日常が、地道に技術的に淡々と描かれていて、ファンが多いのも納得の内容。マンガの舞台は岩手がモデルとのこと。 私は信州の山のムラで育ったし、祖母の山菜採りや農作業、保存食作りにつきあわされた経験があるので、ムラのご近所とのやりとりも、町とムラの生活の差も、いろいろわかる部分があります。 山のことにつ

SFかと思ったら寓話のような現実でした。『銃座のウルナ』伊図透

主人公のウルナは孤児で、自分を育ててくれた教会や友達を守るために、志願して兵隊になります。長い間、戦争ばかりしている祖国が、女性ばかりを配属する先は、雪深い島で、敵は口だけの大きな怪物たち。なぜ、彼女たちは化け物と闘わなければいけないのか。読み進めていくと、驚愕の事実がわかってきます。 辺境の部隊にいる女性兵士たちの、悲惨な人生がやさしい筆致で描かれていています。最初の戦場シーンはSFかな(?)と思うような場面が続きます。1930年代と思うような、雪深い、きれいな風景と、対