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夕遊の連続劇

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連続ドラマは、見始めてからしばらくの間、現実を忘れさせてくれる元気の素です、映画よりも物語を深く長く描いてくれるのが素敵です。わくわくするドラマを、誰かにそっとご紹介。
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#海外ドラマ

コミカルで切ない台湾ドラマ『一筆お祓いいたします』2023年

普通の何気ない日常とか、やさしい人間模様を描いた、ゆったりしたドラマをみたいと思って、探して目にとまりました。「コメディ」枠で、しかも「書道」でトラブルを解決する物語だと紹介文にありました。日常ミステリかなと検討をつけて、軽い気持ちで見始めましたが期待以上でした。 原題は「不良執念清除師」。主人公は、書道家の家に生まれた成績の悪い高校生、蒲一永(プー・イーヨン)。優等生の 曹光硯(ツァオ・グァンイェン)に嫌がらせするけれど、基本的には態度やヘアスタイル(美容師の母がカット)

傷ついたからこそ、美しく輝く。台湾ドラマ『茶金 ゴールドリーフ』2021年

出張先の夜に一気見。評判以上のすばらしいドラマでした。植民地時代の日本語、台湾の人たちの台湾語、主人公一族の客家語、そして中国大陸からやってきた人たちの国語(Mandarine)や上海語、蒋介石の国民党政権を支えるアメリカ人たちの英語がいきかいます。そして、登場人物たちのセリフ以上のものを使い分けられる言葉たちが表現します。 主人公の張薏心(チャン・イーシン)は、茶虎と呼ばれる台湾最大の茶輸出会社「日光」の社長張福吉(吉桑:ジーさん)の一人娘。台湾の新竹県北埔鎮が彼とその張

暑い夏に見る中国ドラマ『バーニング・アイス』(無証之罪)2017年。

中国ドラマ『バッド・キッズ』、『ロング・ナイト』と続いた紫金陳原作の三部作ドラマ。最後は『バーニング・アイス』です。 ドラマを見始めたときの最初の感想は、久しぶりの北の文化~!でした。最近は、『家族の名において』とか『破氷行動』とか、南が舞台のドラマ率高かったので。核家族とか、一族が出てこないで、親分子分関係の組織が出てくるとか新鮮でした。雪のちらつく東北は、マイナス20度とか30度とかの世界ですけど、夏にドラマで見るなら悪くないです。 さて、物語の舞台は、中国の東北地方

『バッド・キッズ』の原作は確かにハードでした。『悪童たち』紫金陳(稲村文吾訳)

あまりにもよかった中国ドラマ『バッド・キッズ』。シリーズ3部作すべて原作がありますが、日本語に翻訳されているのは本書だけということで、すぐ入手。一気読みしてしまいました。 ドラマと違って、原作では厳良が子供ではなく、大学で数学を教える先生として登場します。これって東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』のガリレオみたいと思ったら、なんと作者の紫金陳さんは『容疑者Xの献身』の中国語版を読んで、社会派ミステリーを書きたいと思ったとか。 東野圭吾さんといえば、10数年前から中国で翻訳小

見応えある社会派サスペンス。中国ドラマ『ロング・ナイト』(沈黙的真相)2020年

仕事が鬼のように忙しかったですが、ようやく一息つけました。評判のドラマ『ロング・ナイト』(沈黙的真相)がなければ、乗り越えられなかったかも。すごくよかったです。12話っていうのもよかった。最近は60話とか70話の中国ドラマで鍛えられていましたから、「短っ!」って感じです。 何をさておき、このドラマの導入がかっこよすぎです。呂暁霖さん演じる刑事の任玥婷、現場責任者として度胸もアクションもすごい。強くて賢くてできる女性、超好きです!  ドラマは、2010年、架空の都市で地下鉄

壮大なシスターフッドの物語。中国ドラマ『ミーユエ』(羋月伝)

『家族の名において』で唐燦(タンツァン)がスタントをさせられそうになった孫梨(スンリー)という架空の女優さん。有名な実力派女優の孫儷(スンリー)の名前を借りたのだと思います。 私が初めてスンリーの名前を聞いたのは、中国残留婦人として苦労した日本人女性のドラマ。ベストセラー小説のドラマ化で、日本と中国が今ほどギクシャクしていなかった頃のお話。以来、スンリーってどんな女優さんか気になっていました。 今回、スンリーが主役のドラマは、なんと紀元前(!?)の中国の後宮が舞台のドラマ

強くてブレない女性の魅力。ドラマ『瓔珞』(延禧攻略)中国、2018年

とうとう見てしまいました。全70話もあるのでどうしようかと思ったけど、私の大好きな邱秋さんが主役の声とあっては見ないわけにはいきません。 『琅琊榜』で穆霓凰の声を担当した邱秋さん。(あと、アニメ『天官賜福』の風師も!)『瓔珞』ではイメージした宮廷ドラマを遥かに超えて、穆霓凰以上にイケメン役でした。 清朝は乾隆帝の時代。刺繍担当の女官になった魏瓔珞(ウェイ・インルオ)が持ち前の頭の良さで皇后の女官になり、令妃になり、ラストは皇后にまで上り詰める実話ベースのドラマ。インルオは、

家族と友情と恋と人生の物語。ドラマ『家族の名において』中国、2020年。

舞台は、風光明媚な厦門の下町。麺の店を営む李海潮(リー・ハイチャオ)と娘の尖尖(チェンチェン)は二人暮らし。母は最近亡くなったばかり。団地の上の階に、訳あり家族が引っ越してきたところから物語は始まります。ドラマはざっくり3パート。子ども3人の幼少期、高校生の頃、そして社会人です。 団地に引っ越してきた凌霄(リン・シャオ)の父は警官で忙しく、家庭を顧みることができません。精神的な問題を抱えていた母と父はケンカばかり。ある日、とうとう母親は出ていき、凌霄と凌パパは李父子と支え合

わくわくしかない中国レトロミステリー『紳士探偵L 上海の事件録』2019年

3年くらい前、中国で話題になっているとき、第1話を見たんですが、あんまり好みじゃなくて、そのままになっていました。今なら、アマプラでも見れるし、日本のテレビでも放映になったそうです。すっかり忘れていたのですが、ふと思い出して見たら、第2話以降がおもしろかったので、ハマってしまいました。 BBCの『シャーロック』を思わせるテーマソング。武闘派女子が活躍するミステリー。しかも、舞台は1930年代の上海なんて、私の好みばっかり集めたみたいです。しかも、ドラマがすっごく標準語でわか

自閉症の研修医。海外ドラマ『グッド・ドクター』

このドラマ、もう脚本段階で成功です。自閉症の名医。「自閉症だけど名医」じゃなくて、「自閉症だから名医」ってところがポイントです。あと、外科医っていうのも重要。 主人公のショーンは自閉症。ものすごく賢くて、読んだ本は全て暗記してしまうし、医学知識に漏れはないくらい、学校で勉強した医学はパーフェクトに身に着けけている。それだけじゃなくて、人体にものすごく興味をもって、いろんな可能性も考えられる。 目的がはっきりしていることに対して、対処することに躊躇がないので、どんな患者さん

強くて頭のいい美人は最高。BBCドラマ『SILK 王室弁護士マーサ・コステロ』

偶然見つけたBBCのドラマですが、これがもう最高におもしろくてハマりました。舞台はイギリス。王室弁護士を目指す弁護士マーサの物語。もし、年末に時間を持て余すことがあったら、このドラマシリーズをおすすめします。6話×3シーズンと、アメリカのドラマほど長くないの見やすいです。 シーズン1は、イギリスの弁護士の名誉ある資格「王室顧問弁護士」を目指すマーサ(マキシーン・ピーク)とライバルのクライブ(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)、そして2人が所属する弁護士事務所の上級事務官のビリ