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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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2021年12月の記事一覧

あるカンボジア人の人生。『淡淡有情』平野久美子

この本は、平野久美子さんが、第6回「小学館ノンフィクション大賞」を受賞した作品です。平野…

夕遊
2年前
19

チョウのように読み、ハチのように書く。『批評の教室』北村紗衣

北村先生は、シェイクスピアや舞台芸術史、そしてフェミニスト批評が専門。以前読んだ『お砂糖…

夕遊
2年前
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記憶をつないでいく不思議な物語。『おもいでエマノン』梶尾真治

表紙をみただけで、なんとなく気に入りそうだってわかる本がときどきありますが、この本もそん…

夕遊
2年前
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解説文を批評する!?『文庫解説ワンダーランド』斎藤美奈子

仕事が忙しい時期は、仕事の書類と並行して、ダラダラ読める本がうれしいです。その本は、ライ…

夕遊
2年前
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最後の貴族たちへのレクイエム。『嵐を生きた中国知識人』章詒和

サブタイトルは、「右派」章伯鈞をめぐる人々。 中華民国の時代は、少し前までは中国国民党と…

夕遊
2年前
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トンデモな分析を批判する『子どもが減って何が悪いか』赤川学

この本は、社会調査や世論調査、統計データを批判的に解読して、「少子化対策」に利用されてき…

夕遊
2年前
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経験者にも大受け。『日本人の知らない日本語』蛇蔵&海野凪子

全力でマジメに日本語を勉強すると、なぜかギャグになる・・・わけではないけれど、とっても楽しい日本語学校の日常を描いたコミックエッセイです。以前、夜間中学で中国やフィリピンやブラジル系の学生さんたちに日本語を教えていたときのズッコケな毎日を思い出しました。 コミックエッセイの舞台は、とある日本語学校。日本語教師が学生さんに「立って言ってください」と言ったのに、外国人の生徒は椅子に座ったまま、「た。」と一言。こういうすれ違いは、コミックが一番表現しやすいです。 インターネット

文章の基本は、あちこち応用可能。『新人賞の獲り方おしえます』久美沙織

久美さんといえば、私の世代なら『丘の家のミッキー』が大人気になった頃でしょうか。私も3巻…

夕遊
2年前
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社会も言葉も変化する。『敬語はこわくない』井上史雄

タイトルは敬語の実用書みたいだけれど、井上先生の本は、普通の読み物としても充分おもしろい…

夕遊
2年前
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台湾人とも華人とも言いにくい。『タイワニーズ』野嶋剛

野嶋記者が取材した台湾人もしくは、台湾にルーツをもつ人々=タイワニーズは、政治家や運動家…

夕遊
2年前
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名誉と体面の明治。『華族誕生』浅見雅男

最初の出版は、1994年。私が読んだのは、その文庫版です。 明治政府というと、江戸時…

夕遊
2年前
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<恋愛大国フランス>に子どもが増えた理由とは?『パリの女は産んでいる』中島さおり

なんだかおもしろそうなタイトルでしたが、実際の内容はというと、フランスの恋愛・結婚事情。…

夕遊
2年前
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かつて死体は金だった『中国臓器市場』城山英巳

2000年代の中国では、死刑囚に人権はなく、臓器も取り放題の使い放題。おかげで、中国は世…

夕遊
2年前
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男の社会の女性観。『紅一点論』斎藤美奈子

一昔前、アニメや特撮のヒロインは、大勢の男性チームにかならず一人。一歩さがって男性たちをサポートし、恋愛もしくはお色気担当というステレオタイプな女性が普通でした。斎藤さんは、こういうヒロイン像と子供向けの「伝記女性像」を小気味良い文章で結びつけていきます。もともと、児童書の編集のお仕事をされていた方なので、そのときの経験が存分に生きている感じです。 しかも、本書は女性だけでなく、男性の側までしっかり分析しています。例えば、アメリカのサンダーバードやスターウォーズなどは、主役