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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#台湾

スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ス…

夕遊
6日前
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ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
4か月前
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「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。…

夕遊
5か月前
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”無常”という冥界の使者『中国の死神』大谷亨

評判がよい本はぜひとも読みたいです。この本を読むまで、中国には無常(むじょう)という地獄…

夕遊
7か月前
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台湾グルメと鉄道の旅と百合。『台湾漫遊鉄道のふたり』楊双子(三浦裕子訳)

予告されたときから、すごく楽しみにしていた本。『台湾漫遊鉄道のふたり』というタイトルもそ…

夕遊
10か月前
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南からみた衝突と融合の三〇〇年『越境の中国史』菊池秀明

日本に来る中国人観光客が増えても、日本人には中国と台湾、香港の区別が難しいです。ましてや…

夕遊
10か月前
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上質な仙侠ミステリーでファンタジーで人間ドラマで群像劇。『天官賜福』墨香銅臭、1・2巻

少し前から、中国で取締をめぐる経緯なんかを多少チェックしていて知った本ですが、実際に読むのはちょっとハードルが高い気がしていました。でも、昨年夏ドラマ『陳情令』を見て、その勢いで『魔道祖師』全4巻を読んだら、もう怖いものはなくなりました。アニメも人気らしく、ちょくちょくトレンドにあがっていましたし、これだけ注目されているなら読まないわけにはいきません。ということで、読了しました。 この『天官賜福』は台湾の出版社から出ていて、繁体字版は全6巻。日本語訳は2巻が出たばかり。これ

書かれた女学生と書く女学生の百年。『少女中国』濱田麻矢

アニメにも実写にもなった『ムーラン』(木蘭)。彼女は中華圏では戦う少女のアイコンだけれど…

夕遊
1年前
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日本生まれの台湾人で、北京放送のアナウンサー。『陳真』野田正彰

私が初めて、NHK中国語講座をみたときに、穏やかな笑顔で発音を担当されていた陳真さん。て…

夕遊
1年前
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難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々『境界の民』安田峰俊

一気に読める、読ませる本です。著者の安田さんは、大昔のblogの時代から文章がうまかったです…

夕遊
1年前
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歴史は政治で”現代史”。『中国の「よい戦争」』ラナ・ミッター

サブタイトルは、「甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム」。中国にとって、第二次世界大…

夕遊
1年前
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自転車レースの迫力がすごい。映画『疾風 スプリンター』香港・中国、2015年

自転車好きの夫を誘って、最終日に観に行って来ました。大画面で迫力ある自転車レースのシーン…

夕遊
2年前
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小気味よい日本語の深いエッセイ。『越境 ユエジン』東山彰良

東山彰良さんは直木賞をとった『流』がすごくおもしろかったし、その後に読んだエッセイ『あり…

夕遊
2年前
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中国政治のあわせ鏡。『台湾総統列伝』本田善彦

本田さんの本はいつも内容が濃くて、おもしろいです。そして、他のライターさんとは、視点が違うので新鮮なインパクトがあります。 台湾の政治家って、普通の日本人にはあまりなじみがないと思います。詳しい人でも、年輩の人なら蒋介石とか李登輝くらいなイメージだろうし、若い台湾好きなら女性初の大統領になった蔡英文を知っているかも。あと、政治家ではないけれど、政治に関わる台湾人としてオードリー・タン(唐鳳)は天才の閣僚で、最近インタビューがたくさん出ています。 本田さんの本は2004年出